今回は『声を出さずにできるボイストレーニング』についてです。
声が出せない環境や状況、風邪などによる喉や声帯の不調時に、何か少しでも役立つトレーニングをしたいという人向けものです。
ただし、大前提として、トレーニング効果は
- 声を出して練習する>>>声を出さないで練習する
であるということだけは、頭に入れておきましょう。
ボイトレの目的は「歌うこと」なので、基本的には声を出すことが一番のトレーニングになりますが、それができないときに行う、あくまでも補助的なトレーニングとしての内容です。
声を出さなくてもできるボイトレ
①喉仏を上げ下げするトレーニング
名前の通りですが、喉仏を上げたり下げたりを繰り返すトレーニングです。素早く動かしたり、ゆっくり大きく動かしたりと工夫もできます。
上手くできない場合、最初は手で喉仏を軽く触りながら練習すると、意識が集中して感覚を掴みやすくなります。
このトレーニングの利点はいつでもどこでもできるという点です。やろうと思えば、通勤通学中でもできるかもしれません。
このトレーニングで鍛えられるのは
- 共鳴(響き)のコントロール
- 喉周りの筋肉の柔軟性・可動域
などです。
ただし、やればやるだけいいというトレーニングでもないと思われます。
ある程度自由に喉仏をコントロールできるようになったら、それ以降はそこまで大きな成果にはならないでしょう。
ただ、歌の上手い人は「喉仏を自由に動かせる人」が多いので、できない人はやって損なしです。
②横隔膜のトレーニング
横隔膜のトレーニングは、声の4要素「息・声帯・共鳴・発音」のうちの、息の部分に役立つトレーニングです。
ただ、横隔膜の動きは間接的に喉周りにも繋がっているので、横隔膜を鍛えることは声帯部分にとっても重要である場合があります。
トレーニング方法はシンプルで、
- 『お腹を膨らませてへこませる』、これをなるべく高速でやる。
というものです。
目的は横隔膜なので、呼吸は口からでも鼻からでもあまり気にしないでいいのですが、鼻からの方が静かにトレーニングできると思います。
なるべくしっかりと動かしつつも素早く動かす、というのを続けると、最初は一分くらいでお腹がかなりキツい感じになると思います。
横隔膜が鍛えられると、息の使い方・ブレスコントロールが良くなりますし、息の能力向上によって発声の質にも影響します。
もちろん、『息と声帯の連動』というものがあるので、発声の質に関しては声帯部分も大事なのですが、ここでは声を出さないという条件なので、息の部分だけが鍛えられるということになります。
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呼吸能力の部分を徹底的に鍛えたい場合は、お金はかかりますが、パワーブリーズを活用するのがオススメです。
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③喉回り、首回りのストレッチ
喉周り、首回りをストレッチすることで、発声向上に役立てるというものです。
ストレッチの方法は色々あり、
- 首をぐるりと回す(右回り・左回り)
- 思いっきり上を向いて首の前側を伸ばす、思いっきり下を向いて首の後ろ側を伸ばす
- 思いっきり左右を向いて、耳の後ろから縦に伸びる筋肉(胸鎖乳突筋)を軽く手でほぐす
などがおすすめです。
喉周辺も発声に関わっているので、こういうストレッチも歌の能力向上に役立ちます。
ただし、「ストレッチをたくさんやったら、発声がすごく良くなった」みたいなことは稀で、ほとんどは「役に立っているかわからないけど、なんとなく意味あるのかな?」くらいの実感になるでしょう。
必ず意味はあるのですが、冒頭でも述べたようにあくまでも補助的な効果になると考えられます。