今回は『再現しよう、モノマネしようとするトレーニング』についてです。
この記事は
- 声を再現する力、モノマネする力の重要性
- ボイストレーニング好きが陥る道
- トレーニング方法
- トレーニングに必要な能力
という内容です。
声を再現する力、モノマネする力の重要性
ボイストレーニングは様々な手法ややり方など多く語られており、そのバリエーションは無限ですね。
そんな多くのボイストレーニングの方法があり、結局何をすればいいのかと迷うことも多いはずです。
でも迷えば迷うほどに実は遠回りしている可能性があるというか、一番大事なことを見逃してしまう可能性があります。
それは人間には
- 『声(音)を再現する力、モノマネする力がある』
ということです。
人間は他の動物と違い、聞いた音をある程度忠実に再現する能力があります。
脳の違いは当然ですが、何より声帯の運動能力に関して他の動物とは雲泥の差があります。
自由自在に声帯を動かせるので複雑な言語や歌唱が可能になるのですね。
例えば、
ミッキーやマリオなどのキャラクターのモノマネなど誰でも一度くらいはやったことあるのではないでしょうか。あれは聴いた音をただただ再現しようとしてモノマネするはずです。
「輪状甲状筋がこうで、、甲状披裂筋はこうで、、響きの位置は鼻腔に寄せて、、」みたいな感じで理屈を立てて真似する人はいないと思います。
このモノマネするときのアプローチとして
- 音を聴く→音を理解する→その音を再現してみる→自分の耳に入る→聴いた音に近づける
という経過を無意識のうちにたどっているはずです。
この結果モノマネができるのですね。
これはキャラクターに限らず、何かの音でも効果音でも同じです。
この何かの音をモノマネする力、再現しようとする力は歌が上手くなる上で結構重要だと思うのですが、情報が溢れているばかりにこの力を軽んじてボイストレーニングばかりやってしまう人もいることでしょう。
ボイストレーニングにとらわれる人が陥る道
ボイストレーニングにとらわれる人
ボイストレーニングにとらわれる人はボイストレーニングで成長しようとします。
「あの声が出したいな」→「なかなか出せないな、どうやって出すんだろう?」→「検索」→「なるほどボイトレ!リップロールがいい?よし、たくさんリップロールだ!」
みたいな感じですね(勘違いして欲しくないのですが、別にこれが間違い・ダメだとは言ってないです。)
ボイストレーニングにとらわれない人
ただ、ボイストレーニングにこだわらない人は声を再現しようとする力で成長します。
「あの声が出したいな」→「なかなか出せないな、どうやって出すんだろう?」→「こうか?いや、違うな。こうか?うーん」→「とにかくできるまでやろう!」
というような道を辿ると思うのです。
どちらの方が成長するでしょう?
どちらもある人には正解・ある人には不正解だと思いますので、判断はお任せします。
ただ、知っておかなければいけないのは「世に出ている偉大なシンガーたちの中には世に溢れているようなボイストレーニングらしいボイストレーニングをしていない人も多くいる」ということです。
そもそもボイストレーニングが歌の成長に100%プラスに作用するのなら世の中のボイストレーナーこそ最強・偉大なシンガーになる可能性が高いですね。
ほぼ毎日やっているでしょうから。しかし、実際はどうなのでしょう?(ボイストレーナーを悪く言っているわけではないです。許してください。)
どこまでをボイストレーニングとするかは線引きが難しいですが、
- 「とにかく、たくさん歌う」
- 「ワンフレーズをたくさん練習する」
とか、そういう実践や再現性を意識したトレーニングだけで圧倒的な歌唱力を身につけた人も多いと思うのです。
- 「あの声を出したい」から「ボイストレーニングであの声を出すために必要なものを鍛える」
- 「あの声を出したい」から「あの声を出してみる練習することで必要なものを鍛える」
どっちが近道でしょう?
このように『再現する力・モノマネする力』を信じたトレーニング、というか『モノマネできるまで実践すること』は非常に効果の高いボイストレーニングだと思うのです。
理にかなっている
『ある発声ができるために必要なものはある発声をひたすら実践してみることで手に入れる』
合理的ですね。
再現するためにとにかく実践するトレーニング方法
トレーニング方法はいたってシンプルです。
『その再現したい音をよく聴く、やってみる、振り返る、再度やってみる、振り返る』
の繰り返しです。
ざっくり言ってしまえば『とにかく歌う』。
そうやって試行錯誤してある音を出せるようになるまでやることです。
再現・モノマネするために必要な”能力”と”理解”
必要な能力
この再現トレーニング・モノマネトレーニングには一つ必要な能力があります。
それは『耳の良さ』です。
ココがポイント
再現するためにはその音の情報を正確に読み取らなければいけません。「どんな音なのか、どんな感じで発声しているのか、どんな質なのか」などを聴き取れる耳が必要です。
ある発声を再現するために得た情報自体が間違った解釈をしていては、その再現しようとする方向を間違えてしまいます。
再現するためにはそれを『理解』することが重要で、理解できるだけの『耳』が必要なのです。
特に歌はCDであれ、ライブであれ、基本的にマイクを通しているので言わば『音のデータ』に変換されています。
当然、少なからず加工・編集(EQ・コンプなど)はされていますから、発声を正確に読み取るのは難しいです。
「よく聴いて」それを「正しく理解」して「再現しようとする」というのが再現する力を利用したボイストレーニング(実践)です。
そしてそのトレーニングを良いものにするためには『正しく聞き取る能力』が重要ということです。
そういう点で言えば、世の偉大なシンガー達はそういう点が長けているのではないか?とも想像します。
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音楽を聴く耳の良さと歌唱力の関係性【耳をよくする方法】
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必要な理解
実はこれも非常に重要なことなのですが、
- 自分の持っている声帯によって再現できる限界は決まっている
ということです。
「魅力的な音域、魅力的な声質」というのはその人が持って生まれ声帯によって決まっています。
なので、もしあなたが真似したいシンガーの持っている声帯とあなた自身の声帯が全然違う場合、”多少近づくことはできるが、そのシンガーを超えることはない”でしょう。
つまり、モノマネトレーニングは有効ではあるが、自分の声帯に合わないものをお手本にしてモノマネすると良くない結果を引き起こす可能性も大いにあるということです。
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『自分の持っている声帯の音域』と『魅力的な音域』の関係性について
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