声や歌について

『口パク』の見分け方について

投稿日:2019年12月8日 更新日:

今回は「口パクの見分け方」について書いていきたいと思います。

特に音楽番組などでよく見られる「口パク」。耳がいい人は一瞬でわかりますが、そうでもない人は聞き分けるのが難しいですね。僕も昔は見抜くことができませんでした。

先に言っておきますが、僕は口パクはどちらかと言えば容認派です。してもいいと思っています。

「じゃあ、書くなよ」という話ですが、日本の音楽の成長のためには見分けられる人が増えればいいとも思っています。まぁ、触れていいのかわからない内容でビクビクしていますが。笑

今回はそんな口パクの見分け方についてです。

口パク(リップシンク)とは

口パクとは

口パク(くちパク)とは、音声と同期して口元を動かす事である。英語ではリップシンク (lip sync) という。「実際に声を出さずに口だけパクパク[1]と動かす」様から名付けられた。1980年代[2]からラジオ、テレビなどで「口パク」と蔑称で呼ばれることが増え始め、現在では放送業界の各所で受け入れられている技法のひとつである。少なくとも、デジタル時代に録音メディアが移行してから顕在化した技法である。

引用元:Wikipedia『口パク』

とあります。まぁ説明されずともわかるという方も多いと思います。

もう一つ口パクとは違う「半分口パク」とも言えるような「被せ」というものもあります。

「被せ」

もう一つよく見られるのが「被せ・重ね」と呼ばれるようなものです。

これは音源の上から自分の声を重ねて歌うというようなものです。

この被せの効果は

一つは歌声が安定して聴こえるようにすること。

もう一つは『ダブリング・ダブルトラック』的な効果を生み出すことが考えられます。

「ダブリング」とは

ジョンレノンが生み出したと言われる録音手法で、録音した同じ2つの音声を重ねてほんの若干ずらすことで、独特の音色(厚みやウェット感などリバーブに近い)を生み出す手法です。

当然、ライブでも重ねることで音の厚みが生まれ独特の音色が生まれます。

おそらく音楽番組やライブなどではこの「口パク」と「被せ」という技法が使われています。

口パクをする理由

口パクをおこなう理由は様々なものが考えられます。

激しいダンスがある

喉の調子が悪い

機材や予算の都合・機材の不調

歌唱に不安がある

など様々な理由でしょう。

僕は全然ありだと思っています。人間だから調子のいい悪いはありますし、パフォーマンス次第では必要でしょう。ビヨンセやマイケルジャクソンでさえ口パクを使っていたことはあるのですから。

魅力は様々

歌が苦手で口パクをしていたとしても、その人はおそらくそこにいるだけ・動くだけで人を魅了できる、価値を生み出すことができる存在なのですから、「口パク」も全然ありだと思っています。

『聴かせる音楽』ももちろん重要だと思いますが、『魅せる音楽』もあっていいと思います。

では口パクを見分ける方法について紹介します。

『口パク』を見分ける方法

ハ行・サ行・ザ行・タ行・カ行の鳴り方

マイクを使って生で歌っているのと、録音を流しているので一番わかりやすいのはこの「ハ行・サ行・ザ行・タ行・カ行」の鳴り方です。

マイクを使って生で歌う場合、これらの子音の立ち方というか、鳴り方というのはおそらく人間である限りはコントロールできません。

もちろんマイクはこれらの子音の鳴りを軽減するために「ヘッドケース」や「ポップフィルター」という部分があるのですが、生で歌うとどうしてもこれらの子音は強く出てきます。

具体的にどうなるのか

ハ行は吐息の鳴り「ボファ」っとした鳴りが入ります。

サ行・ザ行・タ行・カ行は「ツン」とした子音の鳴りが入ります。特に「シ・ジ・チ・キ」の発音は子音の成分を多くマイクが拾うため「ツン」とした鳴りが強調されます。

僕は基本的にほとんどこれでわかります。

この子音の鳴り方の音圧を一定にするということは人間にはできないでしょう。歩く歩幅を完全に同一にするくらい難しいと思います。

どれだけ平坦に歌ってもこれらの子音は際立ちます。「ツン」とします。少なくともその子音の音圧に凸凹感があります。

これらの子音は他の発音に比べて音圧が上がりやすいのですね。波形にするとクリップしやすい部分です。

録音音声はこのようなノイズに近い音はカットしますし必ず入れないようにします。もちろん録音音声の中にもダイナミクスはあるのですが、生歌はもっと凸凹です。

なのでこれらの子音の凸凹感をよく聴くとほとんどわかると思います。

『マイキング』による音圧差

生歌で歌っている人は口からマイクを離す人も多いです。このようなマイク操作をマイキングと言ったります。

このマイキングによる音圧差でわかる場合もあるでしょうが、口パクをしている場合基本的にマイクと口の距離をかなり近づけます(バレないように)ので、音圧差ではわからないこともあります。

でも生歌で歌っていれば、口を近づけたぶんだけ先ほどの子音が際立つのです。

その他フレーズの音圧差

その他フレーズの音圧の差でわかることもあります。

生歌はうまい人でも凸凹します。むしろ凸凹をコントロールしているのが生歌の良さですよね。

ところが録音音声は音圧が生歌と比較するとかなり一定です。もちろん録音の中にも音圧差があるのですが、生歌はそれ以上に凸凹します。

何を言っているのかわかりにくい

良いのか悪いのか微妙なところですが、生歌はやはりいい意味で何を言っているのかわからない時があります

それは音圧によるものなのか、発音によるものなのか、原因は様々でしょうがそれが生歌の良さですね。

ブレス

先ほど「ハ行」にもつながるのですが、ブレス音が不自然な形で入って入ればほぼ生歌でしょう(もちろん口と合っているとことは前提ですが)。

ただ、ブレスがないからと言って口パクと決めつけることはできません。

言葉のタイミングが良すぎる

言葉のタイミングが良すぎると音源である確率が高いですね。

どれだけリズム感のある達人でもわずかなズレがあります。そのほんの少しのズレが音楽としてのグルーヴを生み出していますし、最大の楽しみの一つでもあります。

クオンタイズのかかった0,00000000000001秒も誤差のない完全なリズムほどつまらないものはないように思います。話が逸れました。

マイクが空気感を捉えておらず音楽に埋まっている

生歌の場合、マイクが周辺の何らかの空気感(音)を捉えています

例えば、マイクから1メートルくらい離れた位置で大声を発してもマイクはその音を捉えています。

ということはその周りにある音(演奏)を小さいながらも捉えているはずなのです。もちろん演奏は一緒に鳴っているので埋れて聴こえないにしても、先ほどの発音の凸凹や吐息などは生歌特有の空気感です。

ところが口パクの場合とても綺麗に音楽に埋まっています(音源としてはとても良い)。

フレーズの語尾が整いすぎている

フレーズの語尾はどんなに上手い人でも、一定のニュアンスを出すのは難しいです。

ポップスの場合、全てのフレーズの伸ばす拍数や収束感・ビブラートまで決めてその通り実行している人はいないでしょう。

その場の空気感で伸ばしたり切ったり跳ね上げたりフォールさせたり、最も歌のニュアンスが出る部分です。上手い人はだいだい語尾でフェイク・アドリブを入れてニュアンスを作ります。

この語尾に着目するのも結構わかりやすいです。

オートチューンがかかっている

Auto Tune、ピッチ補正ソフトのことです。

オートチューンは上手い人が使うと音楽的な表現技法として成立するのですが、それ以外の用途で使っているオートチューンは不自然に聴こえますね。音程を揃えるために整えたオートチューンは不自然に音階にハマりますから結構すぐにわかります。

生歌にオートチューンをかける人は上手い人でないとできないでしょうし、そういう場合は深くかけて音色変化の一種として使ってます。

事前に録音した音源であればオートチューンがかかっていても不思議はないですし、そういうものがあるのはこの耳で確認済みです。

CD・口の動き・音

これは誰でもわかるでしょうから最後に。

当たり前ですが、音がCDと同じなのかどうか。

口の動きと音はあっているのかどうか、ですね。

この項目を前提に上記のいくつかの項目を見ていけばわかります。

最後に

何度も言いますが、口パクは悪いものではないと思うのです。

口パクをすることで生み出せる魅力もあるはずなのです。いろいろな魅せ方があっていいはず。

ただ、聞き分ける耳を持つことは損ではないですね。

そういう耳を持つと音楽をより深く味わえますし、楽しめますし、歌も上手くなるでしょう。

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