声や歌について

お腹から声を出す方法についての考察

投稿日:2020年1月24日 更新日:

今回は「お腹から声を出す」ということについての内容です。

歌はもちろん、日常でも特に大きな声を出す際に「お腹から声を出しなさい」みたいなことが言われますね。

これの真意についての考察とコツや練習方法などについてです。

お腹から声を出すとは

大きな声を出すときや合唱などでよく「お腹から声を出して!」という表現が使われると思います。

基本的には大きな声を出すための『感覚的な指導』として使われることが多い言葉ですね。

まぁ言われなくても分かっていると思うのですが、実質的にお腹から声は出ないです。

あくまで声が出るのは喉であり声帯からですね。しかし、全く見当違いのことを言っているわけではないはずです。であればそもそもそんなこと言わないですよね。

僕は「お腹から声を出す」という言葉では字足らずだと考えています。

「お腹から声を出す」とは

『お腹から声が出ている(お腹をしっかりと使っている)と感じるほどのしっかりとした呼気圧(息の力)をかけてそれを声帯でしっかりと支えられるように発声する』

ということだと思っています。

(もちろん場面場面で意味合いは変わってくることもあります。)

問題はこの「お腹から声を出せ」という指導に対してできる人とできない人がいることです。

だからこの言葉は議論を呼ぶのだと思います。

このお腹から声が出せる人と出せない人の何が違うのか?というところがこの問題の一番重要なところだと思います。

重要な部分は「お腹」でなく、「声帯」だと考えられます。

お腹から声が出ない人

「お腹から声を出せ!」と言われて、お腹を意識したりお腹に力を入れたりお腹を大きく凹ましたりといろいろな工夫で息自体を強くしようとするでしょう。

それでも大きな声が出せなかったりすると思います。

これは実質的に『声帯の状態』に問題があるのだと考えられます。

つまりお腹をいくらベコベコ動かして息を強く吐こうが出せない人は大きな声は出ません。

どういうことが起こっているのかというとお腹の力(息を吐く力)を声帯が支えきれないので、息の力を声の量(音量)に上手く変換できないのです。

声帯がどういう状態になっているかは人によるので一概には言えないですが、一つ言えるのは『息の圧力を支えられない』ということです。

息を強く吐くと当然声帯にかかる息の圧力も上がります。

このとき人間は息の勢いに自然に反応して声帯が動くような仕組みになっているので息の力をある程度は支えられるでしょう。

ところがこの支える能力(声帯の柔軟性)には個人差があるので、人それぞれ限界があります。

あまり支える力がない人は声帯が息の力に押し負けて、声にできなかったり声が割れてしまったりします。

なので

「お腹から声を出せ」と言われてお腹を意識しても(強く息を吐いても)、声帯が上手く支えられないので、声が割れたり変な声になったり、もしくはその息を上手く受け流そうと息っぽい声になったります。

これが『お腹から声を出せない人』の声帯の状態です。

だからお腹から声を出そうとしても望み通りの結果は得られないのだと考えられます。

逆に

『お腹から声を出せる人』は声帯が息の増減に対して柔軟に動くので、お腹から声を出そうとする意識(強い息を吐こうとする意識)だけで大きな声量の声を出せるのです。

「お腹から声を出せ!」と言われて、お腹から声を出そうとするとできてしまうわけです。

そして、そういう声帯の柔軟性がある人が指導者になったりするので、「お腹から声を出しましょう!」と言うのですね。その人にとっては嘘偽りのない真実ですから。

このようなことから

「お腹から声を出す」では字足らずで、

『お腹から声が出ていると感じるほどのしっかりとした呼気圧(息の力)をかけてそれを声帯でしっかりと支えられるように発声する』

という表現しないといけないのではと感じます。

つまり

重要なのは『お腹からの勢いを作る』ことではなく、『お腹からの勢いに対応できるような声帯の状態を作る』ことです。

どうしてもお腹から声を出せない喉を持っている人もいる

声帯自体の閉鎖が不完全でどうしてもお腹からの勢いを声に還元できない人もいるはずです。

例えば生まれつき声帯が上手く閉鎖しない声を持っていたり、息系の声を持っている人は場合によって上手くできないことは考えられます。

自分の声質がどんな声質なのか、しっかりと考慮する必要があります。

お腹から声を出す方法

後ほどお腹から声を出すためのオススメトレーニングを紹介しますが、まずは出せない人でも簡単にお腹から声を出せるコツや方法のようなものを紹介します。

個人個人持っている目標はわかりませんが、まずはどんな声であれ「お腹から声を出している状態」を体感しましょう。

大きく2種類のアプローチがあると思います。どちらも真逆のものですが、人によって合う合わないがあると思います。

お腹から声を出すコツその1

まずは風邪をひいたときにする「咳(せき)」を大きな音でしてみましょう。

「ゴホッゴホッ」。

このときお腹がへこむように動くでしょうし、吐く息の量も多いはずです。

この咳のとき「ゴホッ」と音が鳴っているのは実は仮声帯の部分がメインなので、声帯自体は関係ないです。

この咳の勢い(息の力)を完全にそのままイメージして声を出してみます。

「ハッ!!」などで。

このとき自分の出しやすい範囲内の音域の中の低い声で出します。

低い声の声帯の状態というのは声帯の柔軟性があまりない人でも息の力を支えやすく、息の勢いに負けない可能性が高いです。

つまり低い声で咳の勢いをイメージして出せば「お腹から声が出せる」でしょう。

これはあくまで掴みの部分で、定着させたりある程度の高音は訓練が必要でしょう。

お腹から声を出すコツその2

こちらは逆のアプローチです。

声を出す瞬間に『お腹を意識的に膨らませます』。

普通は声を出したり息を吐いたりする時点でお腹はへこむのですが、逆に膨らませるようにして声を出します。

声楽界でよく使われる支えというテクニックで、横隔膜を意図的に下げる(お腹を膨らませる)ことで喉全体の緊張を解き声を出しやすくします。

腹圧呼吸と言われるようなものですが、これを正しい腹式呼吸としている人もいるはずです。

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声を出す瞬間にお腹を膨らますような動きをすると大きな声が出せたりします。人によってはこれを「腹から声を出す感覚」としている人もいるでしょうし、お腹から声を出せないと感じる人ほど、この腹圧を高める(お腹を膨らませる)方法の方がお腹から声を出す感覚があるのではないでしょうか。

お腹から声を出す練習

ここまででお腹から声を出すには「息の力」と「それを支える声帯の動き」が必須であると考えることができたと思います。

ということは「息の力」と「声帯の柔軟性」を鍛えていけばいいと考えることができます。

つまり息の力と鍛えるトレーニングか声帯を鍛えるトレーニングをすればいいということになります。

息の力を鍛える

オススメなのは『ドッグブレス』や「スー」「ズー」トレーニングなどの息系のトレーニングです。主に息と声の連動というところに重きを置いたトレーニングです。

これらのトレーニングは表面だけで考えると息だけを鍛えているように考えられますが、息の勢いに適応できるように声帯を鍛えていることにも繋がります。

なので歌は息を鍛えなさいと言われるのですね。もちろん日々の積み重ねが重要です。今日やって明日できるようになるトレーニングではなく、毎日少しづつでも続けて行くことが重要です。

声帯を鍛える

お腹から声を出せないのは「声帯が息の力を支えきれていないから」でしたよね。ということは声帯が息を支えられるように鍛えればいいのですが、どこを鍛えればいいのかというと、これが『一概には言えない』と考えられます。

人によってはエッジボイスなどで声帯の閉鎖や収縮を鍛えた方がいいかもしれませんし、人によっては声帯の柔軟性を鍛えるために声帯伸展系の動きを鍛えた方がいい場合もあります。

これは場合によります。

結論

お腹から声を出すとは「お腹をしっかりと使うような息の力を声帯がしっかりと支えられること」で実現します。

そしてお腹から声が出せない(声量ある声が出せない)人は多くの場合『声帯』が上手く動いていない可能性があります。

つまり「息の力」「声帯の連動」お腹から声を出す重要なポイントだと考えられます。

息の力を鍛えることは結果的には声帯の適応を鍛えることにもなりますので、「息の力を鍛えること」「お腹から声を出そうと練習すること」も最終的には声量のある声への道となります。

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