今回は「自分の歌声を録音する」というトレーニング方法についてです。
実は歌声を録音することは、歌が上手くなる上で最上位に位置するくらいの重要性があるのではないかと考えられます。
録音することの重要性
自分の歌声を録音することのメリットは
- 自分の歌声を自分の耳で判断できる
- 余計な情報に惑わされずに済む
- 自分で試行錯誤したものは大きな成長になる可能性がある
- マイク乗りのある発声になる
というところが考えられます。
自分の歌声を自分で聴いて判断するのは難しいことでもあるのですが、実は他の誰よりも自分の声を判断できるのは自分という可能性もあります。
なぜなら、自分の声をどう出しているのかは自分が一番よくわかっているからです。
また、自分で試行錯誤する事で余計な情報に惑わされずに済みます。
さらに自分で切り開いた道は自分にとって最も適したものであると考える事ができます。
ボイストレーニングなんて必ず人によって合う合わないがあります。声が人それぞれ違って声帯が人それぞれ違うのですから。
つまり自分で試行錯誤する人はそれだけいろいろな失敗と成功を重ねることができるとも言えるでしょう。
そういう積み重ねは結局大きな成長に繋がり、『自分にとって最適なものを見つける』ことができます。
例えば、
- 「高い声が力んで出せない」→『ネット検索:リップロールがおすすめ』→「よし、リップロールをやるぞ!」
でもいいのかもしれませんが、
- 「高い声が力んで出せない」→「何が原因なんだろう?楽に出せている人とは何が違うのだろう?」→「これか?いや、これか?これだな?」
とやっていく人の方は経験値の深みが違いますね。こういう人の方が結局上手くなる可能性が高いような気もします。
また、録音と向き合うことで『マイクに乗る歌声』のトレーニングにもなります。
おそらくクラシックでもない限りほとんどの人は”マイクに乗る歌声”を身につけたいはず。
マイクに乗る発声はマイクと向き合わなければ手に入れられません。
録音も言ってしまえば、マイクのようなものです。録音に乗る歌声は十中八九普通のマイクにも綺麗に声が乗るでしょう。
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録音トレーニング
自分の歌声を録音するトレーニングとは
- 録音する
- よく聴く
- 改善点を見つける
- 改善方法を試行錯誤する
この4つの行動をループするトレーニングです。
『歌が上手くなる』というトレーニングの中でも上位に位置するようなトレーニング方法だと思います。
同時にやりたくない・継続しないトレーニング上位でもあるような気がします。笑
トレーニング内容を一つづつ解説していきます。
1、録音する
自分の歌声を録音します。
アカペラでもカラオケでもなんでもいいです。まずは自分の歌声を録音しましょう。
今は大抵のスマホにはボイスメモがついていますし、ついてない場合は無料アプリなどでも録音できると思います。
何かの音源と一緒に歌う場合はなるべく自分の声が聴き取りやすいように録音するといいです。
スマホで満足できない場合は、安いボイスレコーダーがオススメです(録音するための製品なので、安くても音質はいい)。
2、よく聴く
とにかくよく聴きます。
これが難しいのですが、なるべく客観的に聴く事が重要です。
また、自分の声が気持ち悪く聴こえることもあるでしょう。
しかし、大抵の場合それが現実です。少なくともあなたが普段聞いているあなた自身の声より現実に近いはずです。受け入れましょう。
これは外耳と内耳の関係で自分が普段話す声とは違って聴こえるのですね。
3、改善点を見つける
どこが悪いのかをしっかりと見つけましょう。
例えば
- 高音の音程が外れている
- 苦しそうに聴こえる
- 感情がこもっているように聴こえない
- 気持ち悪い歌声に聴こえる
などのように自分の歌声を聴いたものの改善点を客観的に探します。
これは思ったことを素直に書き出していくような感じでいいと思います。
4、改善方法を試行錯誤する
次に先ほどの改善点を改善するための試行錯誤をします。
ここが一番大変です。
- 高音の音程が外れている→「高音の音程が外れないようにするにはどうする?」
- 苦しそうに聴こえる→「苦しそうに聴こえないためにはどうする?」
- 感情がこもっているように聴こえない→「感情がこもっているように聴こえるにはどうする?」
- 気持ち悪い歌声に聴こえる→「気持ち悪く聴こえないためにはどうする?」
という風に考えていきます。
その上で自分の仮説を立てて試行錯誤していきます。
例えば
- 高音の音程が外れている→「高音の音程が外れないようにするにはどうする?」
という項目であれば
- 高音でもう少し力を抜けば音程が外れない?
- 高音の前に呼吸をしっかりと整えると音程が外れない?
- そもそも声帯を鍛える必要があるのか?
など自分で仮説を立てて練習します。
その結果としてどうなるかを一つづつ確かめていきます。
場合によっては長い時間を必要とすることもあるでしょう。
「そんなの知識がないと無理だよ」と思うかもしれませんが、知識がないなりに考えることが案外正解だったりします。
大事なのは自分でしっかりと考えてやってみることだと思います。
歌においての問題を改善するためには
- やり方や意識で改善
- 練習や鍛えることで改善
- 経験や知識で改善
- グッズや楽器で改善
などいろいろな改善策が考えられます。
ここは自分で試行錯誤するしかないので大変です。
でもこの試行錯誤を続ける事が「歌が上手くなる道」でしょう。
このトレーニングの弱点
このトレーニングの弱点は
- 継続が難しい
- 自分の耳が間違っているかもしれない可能性もある
- 大きく道を間違える可能性がある
このトレーニングは継続してやる人・できる人が非常に少ないトレーニングでしょう。
なぜなら、自分の歌声は聴きたくないですから。
嫌になっちゃうんですね。「気持ち悪い。下手に聴こえる。落ち込む。聴きたくない。」と。
でも良く考えてみてください。プロのシンガーはレコーディングで毎回やっています。だから上手いんです。
なので自分の歌声がいくら嫌でも我慢して聴き続けましょう。それが成長に繋がるはずです。
また、自分で聴く自分の歌声の判断を大きく間違えて、それによって努力の方向性を悪い方へと向ける可能性があるのもこのトレーニングの弱点です。
なかなかないでしょうが、例えば「地声」を「裏声」と思い込んだまま練習するなどですね。
もちろん「間違い」だと途中で気付ければこのトレーニングは大きな意味があるのですが、止まることなく間違った方へ進み続ければこのトレーニングが全くの裏目に出てしまいますので、この点は注意です。
つまり、このトレーニングは大いに成長できる可能性がある反面、マイナスに作用する可能性がないとは言い切れない事が弱点です。
つまり、歌声を正しく判断できる耳が必要になってくるということです。
歌声を正しく判断できる耳を鍛えましょう。