今回は『歌に感情を込める』というテーマです。
この記事は
- 「歌に感情を込める」についての考察
- 歌に感情を込める方法【初級編】
- 歌に感情を込める方法【上級編】
についてです。
歌に感情を込めるために考えるべきこと
「歌に感情を込める」ということを考える上で非常に重要なポイントが二つあります。
それは
- 感情の量や強さは実力を助けてくれない
- 「歌の心」は聴き手側の解釈次第
ということです。
歌において「気持ちを込めること」は非常に重要と言えるのはもちろん承知です。
確かに気持ちや想いの強さは大事でしょうし、それが人の胸を打つこともあります。
でも、
想いの強さ「だけ」では多くの人は150キロの球は投げられませんし、メッシのようなドリブルはできませんし、トリプルアクセルもできないはずです。
歌も同じです。
気持ちだけでは、『すごい高音』も『美しい音色』も『胸打つパワフルな発声』もできませんね。
極論を言ってしまうと、歌がものすごく苦手な人がものすごく感情を込めて歌っても、やはり『いい歌』にはならないことの方が多いでしょう。
逆に、すごく歌が上手い人が『無心』で歌った歌や『軽い気持ち』で歌った歌に多くの人が感動することだってあるでしょう。
本人が何を想って歌っているかも大事でしょうが、それ以上に聴き手側がどう感じるかの方が圧倒的に大事ですよね。
つまり、
『歌に感情を込める』とは
- 「歌っているときに気持ちを込めて歌うこと」
ではなく、
- 『聴いている人にその歌の感情を感じられるように表現すること』
だと考えられます。
その感情を表現できるのなら、心のうちは何を思っていようともそこは大きな問題ではないはずですね。
歌の心を読み解くのは歌っているあなたではなく、『聴き手』です。
ということで、前置きが長くなってしまいましたが歌に感情を込める方法について掘り下げます。
- 初級編(2つ)
- 上級編(3つ)
と分けて考えます。
初級編は
初級編
- とにかく大きく表現する
- 話すように歌う
上級編は
上級編
- 抑揚・大小・ダイナミクス
- 声区変化・音程変化
- 倍音
という内容です。
それでは一つずつ掘り下げていきます。
歌に感情を込める方法【初級編】
①とにかく大きく表現する
これは舞台でも政治家の街頭演説でもなんでも当てはまるとは思うのですが、『大きく表現する』ことは重要です。
- 声の大きさ
- 口の開き・発音
- 表情
- 身振り手振り
など色々考えられますが、とにかくできる限り大きな表現をすることで人の心は動きます。
人の心が動くということは、感動するということですね。
なのでこれらのポイントを自分なりに大きく表現することは重要でしょう。
わかっています。
歌は「とにかく大きな表現をすればいい」ものではないことは。
しかし、あくまで初級編という点を考えると、まずはそれでもいいのではないでしょうか。
歌における失敗の中でよくないのは『失敗を恐れて縮こまったまま失敗すること』でしょう。
それなら『大きく表現して失敗した方がいい』ですね。
もっと言うと『音楽の表現に失敗なんてない』くらいのスタンスで表現することこそまさに音楽だと思います。
大きな表現は多くの人の心を打ちますね。
②話すように歌う
これも非常に重要かつ誰でも意識できることです。
ここでの「話すように歌う」とは文字通り「話しかけるように歌う」ということです。
- 感謝を伝える
- 喜びを伝える
- 悲しみを伝える
などなどその時々で、人は自然とそれに合わせた
- 声色
- 表情
- 言葉の発音の仕方
をしますね。
歌声を歌声として作るのではなく、話す時にするような表現をそのまま活かすようにして歌えば、それは自然と感情の乗った表現になるのではないでしょうか。
結構これだけで話すようなニュアンスになるテクニックですが、
- 音を伸ばしすぎない
- 意図的に音を止める
という点を意識すると語るようなニュアンスが出やすいはずです。
話しかけるような温度感だからこその感情表現もあります。
歌に感情を込める方法【上級編】
③抑揚・大小・ダイナミクス
先ほどの初級者編の上級者版です。
初心者のうちはとにかく大きな表現をすることが大事だと思いますが、
上級者は歌声の
- 大小
- 押し引き
- 硬柔
- 動静
などを表現することが感情を込める上でとても重要だと思います。
つまり、
- フレーズの中で大小のある表現をしっかりと入れる
- フレーズの中で声色を変化させる
みたいなところが重要になってくるはずです。
人は『変化に心が動く』のです。
静が動を活かし、動が静を活かす。ダイナミクスは人の感情を動かすものですね。
④声区変化・音程変化
抑揚などの変化に加えて、声区を変化させることも感情を乗せることにつながるでしょう。
声区変化とは
- 地声から裏声
- 地声からミックス(ミドル)
- ミックス(ミドル)から裏声
- 時々ホイッスル
などなどですね(まぁ「ミックスはない」と考えても損はないです)。
つまり、
- 声区の変化を歌の中でしっかりと入れる
- 特に地声・裏声の2声区は極めておく
というのが重要です。
声区が変化する時とは音程が大きく動く時でもあります。
声区を変化させたり、音程が大きく変化させることで聴き手に変化を感じさせて、心を動かす。
つまり歌に気持ちを込めることができるものですね。
音程の変化は感情を動かしますし、
声区の変化も感情を動かします。
⑤倍音
『倍音、簡単に言えば音の成分』です。
これが結局「感動の成分」だったりするのですが、まぁ多くの人が捉えにくいものでもあります。
「あの人の声はなんか素敵、なんか感動する、なんか沁みる、なんか泣ける」はほとんど倍音のせい(おかげ)です。
倍音が素晴らしいから人の心を動かすのですね。
ピアノやギターなどの楽器でも、何かの効果音でも音の成分・音の良し悪しは全て倍音が握っています。
つまり、やるべきことは
- 『発声そのものの質の向上』
- 『声を良いものにする』
です。
一番トレーニングが大変な部分でもありますね。
参考
倍音やそのトレーニングは倍音についての記事に書いているので、ここでは省略します。
倍音成分の多い歌声それだけで感動します。もはやそこに意味のある言葉もいらないのかもしれません。
結論
歌に感情を込めるには
初級編
- とにかく大きく表現する
- 話すように歌う
上級編
- 抑揚・大小・ダイナミクス
- 声区変化・音程変化
- 倍音
ということが大事だと考えます。
まぁ色々と抑えるべきポイントは他にもあるでしょうが、
大切なのは
- 『聴き手がどう感じるかを考えて表現すること』
で、それを考えるとここでは書いていないあなたなりの表現ももちろんあるはずです。
- その自分なりを考えることこそが、真の「歌に感情を込める」ということ
なのかもしれませんね。