ボーカリスト、歌が好きな人、歌が上手くなりたい人は
- Auto Tune (オートチューン)=ピッチ補正技術の存在
については知っておくべきでしょう。
「Auto Tune」とは
オートチューンとは、本来”ピッチ補正プラグインの名称”を指すものです(他には、メロダインとかありますね)。
ただ、その意味が飛躍して”ピッチ補正技術そのもの”のことを、「オートチューン」と言う事もあります。
おそらく、海外でも一般的には、ピッチ補正技術そのもののことを『Auto Tune』と言っていると思います。
ここでも「その技術そのもの・ピッチ補正」という意味で、この言葉を使うことにします。
ピッチを修正する機能を使った歌のアプリなどもあるので、ピッチ補正そのものの技術は知っている人も多いでしょう。
具体的にどんなものかわからない場合は、こちらをみれば一発でわかると思います↓
がっつりかけたもの(HARD TUNING)はケロケロするのでわかりやすいですが、ほんのりかけたもの(LIGHT TUNING)はわかりにくいですね。
ビブラートも作れていますし(CREATE VIBRATO)、わざとものすごく下手に歌ったものもすごくそれらしく仕上げられますね(KEYBOARD CONTROL)。
これ以外にも、一つの音だけをいじったりという補正も普通にできます。
このオートチューンという技術は、歌が苦手な人と歌が得意な人の差を埋めるものすごい技術なのですね。
面白いのが、
- すごく上手い人は恩恵を受けにくい(考え方や場合によってはマイナス印象になることも。そもそも使いたがらない。)
- 苦手な人ほど多大な恩恵を受ける
という点。
しかも一般的には判別がしにくいので、色々な問題を生み出しているのです。
ちなみに、個人的にはAUTO TUNE全然アリだと思っています(好きかと言われるとそうでもないが。笑)
あっていい技術だと思います。強くかけた特有の音色変化も面白いですし。
薄くかければ楽曲によく馴染むでしょうし。
というか、もはや音楽制作の一部と化しているでしょうから、使わない方が損なのかもしれませんね。
これからもどんどん技術や精度が上がって、もはや誰もが(疑似的に)歌が上手い時代になるでしょう。
歌が上手くなりたい人は知っておくべきだろう
言われるまでもないことでしょうが、歌が上手くなりたい人が知っておくべき最大の理由は、
- 『Auto Tuneの恩恵を受けた歌声』を判別できないと、”真に歌が上手くなる”という目標が達成しにくくなる
からです。
というのも、”発声の質がいい人はピッチがいい”という法則があるのですが、『Auto Tune』はこの法則を無視しているんです。
発声の質がどんなものであれ、ピッチはスケールに吸い寄せられる。ある意味ありえないことが起こるのですね。
ありえないことは、いくら研究しても、真似しようとしても再現できない(*それを再現するような強者が現れることはあるかもしれませんが、基本はないとみるべきかと)。
おそらく、歌が好きな人は大抵判別できるでしょうから、大丈夫とは思いますが。
研究するのなら、『絶対にAuto Tuneがかかってない上手さ』みたいなものが良いですね↓
海外はAUTO TUNEに厳しい?
日本では「Auto Tune」というものは、一般的には知られている言葉ではないでしょうが、海外(特に音楽先進国)では、かなり認知度の高い言葉なのではないかと予想します。
もちろん、調査したわけでもないのでただの予想ですが、海外の音楽のYOUTUBE動画のコメント欄には大抵『Auto Tuneが〜』みたいなコメントがあります(びっくりするくらいあります)。
それにYOUTUBEで『AUTO TUNE』と検索すれば、海外の動画がすごくたくさん出て来ますし、ものすごく再生されていますので、認知度は高いと思われます。
ほとんどが、AUTO TUNEが「かかっている歌声」と「かかっていない歌声」を比較している動画だったりします。
色々な動画の中には「これはAUTO TUNEほぼかかってないだろう。」と思えるものまで AUTO TUNE有り で紹介していたりしていますが、もう「マイクを通したものは全部AUTO TUNEだ!」くらいの勢いです。笑
アカペラで歌っているだけでも十分じゃないですか。恐ろしい、、。
まぁ向こうでは、一流シンガーが口パクやオートチューンによくいちゃもんつけてますからね。
これはコントというか、AUTO TUNEを揶揄しているようなネタで面白い↓
これらの動画が何を示したいのかはわかりません。
- AUTO TUNEを使うな!
- AUTO TUNEってズルくね?
- AUTO TUNEってこれだけできるんだよ。知っておくべきだ。
みたいな批判のためなのか、認知のためなのか、単なるネタなのか、意図はそれぞれでしょう。
まぁとにかく、Auto Tuneという発明は「歌の在り方・価値」みたいなものを変えてしまった、画期的で恐ろしい発明なんです。
だからこそ海外では肯定的であれ、否定的であれ、常に注目されているのでしょう。
「真の歌の上手さ」はもはや”生歌”でしか証明できない時代
「AUTO TUNE」は、基本的に聴き手側は知らない方が幸せなのかもしれませんね。
その技術そのものが広く知れ渡ると、多くの人の心に
- 「これってAUTO TUNE?」
って疑問が常につきまとうわけです。
そうすると実際に上手く歌っていても、「どうせ、AUTO TUNEだろ?」って感じになっちゃうんです。
すでに海外はその状態では?
- 『リアルな上手さ』なのか
- 『AUTO TUNEによる上手さ』なのか
判別できなくなってくるわけです(まぁ耳がいい人は普通にわかる。”今は”。)
仮にライブの音源や映像であっても、それがマイクを通した『音声のデータ』で綺麗に編集されたものである以上、「AUTO TUNEがかかっていない」ことを証明できないんです。
じゃあ、リアルな上手さを証明するにはどうするか?
- 『マイクを通さないで歌う』
しかないですよね。
だから、昨今のシンガーはスマホの前で生歌を歌う機会が増えていますし(単純にSNSの普及などの面も大きいでしょうが)、ミュージックビデオなどをあえて生歌で歌ったりすることがすごく増えていると思います。
もちろん、そのためだけに生歌にしているわけではないでしょうが、結果的にこうすることでしか、その歌声を証明できない時代に突入しつつあるとも考えられます。
もちろん、先ほど言ったようにAUTO TUNEは音楽に詳しい人や耳がいい人は普通にわかるでしょうし、そうでない人でも肌感覚でなんとなくわかることも多いでしょう。
しかし、それは”今の技術”における話で、これからさらに技術が加速すれば誰にも判別できないようになるかもしれません。
そして、もうすでにそういう状態に半分くらい突入しているからこそ、海外では「AUTO TUNE!AUTO TUNE!」と言っているのでしょう。
仮に世界中のほとんどの人がそれを認知するようになったとして、その先に人はどんな歌声に価値を見出すのか。
- 認知が広まっても、AUTO TUNEを受け入れるのか
- 認知されすぎて、AUTO TUNEは衰退してしまうのか
これからが楽しみですね。
『人間らしさ vs 機械』。
ただ、歴史はいつも「人間らしさ」を憂いながらも、機械が勝つんですよね。笑
- 「刀振るよりも銃の方が良くね?」
- 「馬に乗るよりも車の方が良くね?」
- 「一個一個手作りするよりも工場で大量生産の方が良くね?」
みたいな。
結局、『便利さという価値』が『人間らしさの価値』を上回ることがあるんですね。
- 「歌の練習するよりもAuto tune使った方が良くね?」
あぁ、なんか同じ匂いが、、、。
個人的な未来予想(適当です。)
おそらく、こういう技術に衰退はないかと思います。
さらに進化して、そのうちAuto tuneに「ヒューマナイズ機能(人間っぽくする機能)」がついて、誰にも判別できなくなりそう。
さらに『ヒューマナイズ:アリアナグランデ風』とか『ヒューマナイズ:ジャスティンビーバー風』とか選べるようになり「人間らしさ」+「一流ボーカリストの特徴」を捉える機能が付く。
というか、それくらいの機能がつく頃には初音ミクの進化版のような感じで、『A.I:ホイットニーヒューストン 』『A.I:フレディマーキュリー 』などが販売される。
そうすると、もはやボーカルそのものの価値が薄まる、、、、、。
最近だとホイットニーヒューストンのボーカルデータを使って今風にリミックスとかされてますしね。
これはあくまで、実際の歌声を使ったリミックスですが、『A.I美空ひばり』があったように、一流のボーカルデータで新たな歌声を作れる時代はもうそこまで来ているのかもしれません。