今回は声や声帯にとっていい飲み物・悪い飲み物について考察していきます。
歌などの発声面における声と飲み物との関係性についてのお話です。
なので「風邪などによる喉や声帯の炎症に効く」という健康面でのお話ではなく、
- 「カラオケで歌うときなどで喉や声にいい飲み物は?」
- 「声が枯れにくくなる飲み物は?」
- 「声が出しやすくなる飲み物は?」
というようなお話です。
そんな「声にいい飲み物」と「声に悪い飲み物」、そして「実はそんなに悪くない飲み物」についてです。
声帯や喉に悪い飲み物
アルコール類
これは言わずもがな悪いですね。
これはエタノール(アルコール)によって声帯の粘膜が炎症を起こしたり、化学的なやけどを起こすのですね。
つまり「焼ける」のです。もちろん炎症は些細なものですが、それが積み重なると声枯れ・酒焼けのようなモノを引き起こすのですね。
また、エタノールは揮発性(蒸発しやすい)があるので声帯や喉の熱を奪います。
さらにアルコールを分解するために細胞の水分を使うため体全体が乾きやすくなり、喉が乾いた感覚になります。喉が乾くとまた飲んでしまうという悪循環ですね。声帯にとっていいことなしの飲み物です。
ただ、利尿作用に関してはそこまで声帯との関連性を考えなくてもいい項目だと思います。
これについては下記カフェインの項目で語ります。
また中には「お酒で声が出しやすくなる」というような人もいるかもしれませんが、そういう人は炎症によって出しやすくなっているだけです。
例えばハスキーボイスな人が「よりハスキー感が出せて声が出しやすい」みたいなことも考えられます。
しかし、炎症していることには変わりないですし、喉は確実にダメージを受けています。
アルコール
声帯が炎症を起こす・声帯や喉の熱を奪う・喉が乾きやすくなる
ウーロン茶
実はウーロン茶も良くない。
これはウーロン茶が油分を分解する性質を持っているためです。
油分とはつまり保湿力に関わってきます。喉の油分を削ぎ落としてしまうと、乾いた感じになりやすいのですね。
実際ウーロン茶を飲んで歌うとすぐに喉が乾いたような感じになりやすいですね。そうすると次から次へとウーロン茶を飲んでしまいます。結果的にどんどん油分を分解してしまう恐れもあります。
アルコールほどの破壊力はないですが、地味に悪い方に効くのがウーロン茶です。
ウーロン茶
喉や声帯が乾燥しやすい
実はそこまで悪くないのではないかという飲み物
コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物
もちろん「喉に良い」とは思ってませんが、言うほど悪いか?と思っています。
「利尿作用により体の水分が失われる」とは言いますが、この利尿作用に関しては明確なエビデンスがあるものではないみたいですよ。
あ、でも個人的にはたまに利尿作用を感じます。。。これはどうやらカフェイン耐性と言うものがあって、定期的にカフェインを摂取している人とそうではない人で影響に差があるみたいですね。
仮に利尿作用により脱水するとしても、そもそも利尿作用による脱水ってそんなに急激に声帯に影響を与えますか?
長時間何も飲めない状況で声を出し続けるのなら影響は出るかもしれませんが、カラオケでもボイトレでもそっと一口コーヒーなどを飲んで喉を潤せば良いじゃないですか。それで潤います。
そんな5分〜10分程度でカラカラになるほどの利尿作用って一体どれほどの、、、、。
と言うか、もはや
これまで長きにわたり、カフェインの利尿作用により脱水症状が起きると信じられてきましたが、近年、この説は必ずしも真実ではないことが明らかにされています。むしろ、カフェイン入りの飲料を避けることが、結果的に水分摂取量の低下につながり、脱水症状のリスクを高める可能性もあります。カフェインの日常的な摂取によって、私たちの体のカフェインに対する耐性は3~5日程度で得られることが知られており、カフェインによる脱水作用を過剰に恐れる必要はないでしょう。
だそうです。
つまり大きな脱水作用はないのですね。
少なくとも過剰に恐れる必要はない。カフェインに脱水作用がなければ声や喉に何か悪いことがありましょうか?
例えば「カフェインが喉や声帯を刺激するから良くないのでは?」なども考えられるかもしれませんが、
コーヒーや紅茶、お茶などの飲みものにはカフェインが含まれていますが、無水カフェインには気管支を広げたり、痛みを抑えたりする作用があるくらいですから、のどに害があるとは思えません。
問題ないですね。
まぁなので声や喉に悪いとは言いきれないと思います。
個人的にもそんなにコーヒー飲んだからって「声帯に影響出てるな」とは思いません。
もちろんそれで「良くなる」とも思ってませんが、少なくとも悪くない。
ポイント
カフェインは声に対しては別に悪くない
牛乳系
牛乳や牛乳を含むカフェオレのような飲み物です。
こういう飲み物の弱点は牛乳のトロみといいますか、脂質などによるトロトロ感ですね。これが声帯や喉に膜を張ったりして痰が絡みやすくなるような感じになります。
確かに飲んだ直後は声が出しにくい状態になりますが、声が普通に出せるくらいにまで膜が取れると逆に声帯の保湿になると思うのですが。
そこまで長時間膜を張っているわけでもないですし。膜なんて2〜3回咳払いすれば大きな邪魔は取れるでしょう。
シンガーの三浦大知さんのステージドリンクもミルクティーだそうですよ。
ポイント
牛乳系は一長一短。膜というメリットとデメリットのどちらを取るか。
声帯や喉に良い飲み物
お水
これが最も無難であり、最適なものでもあるという感じですね。
何も悪いものがなく、声帯の水分を整えてくれるものです。
特殊な効果は期待できませんが、水分という声帯にとって一番重要なものを一切の不安要素なく摂取できます。飲んだ直後から余計な絡みや詰まりもなく喉や声帯の環境が最適な状態に保たれるのもいいところですね。
なんだかんだ水が一番。
お水
特殊な効果こそないが、あらゆる面で最適
スポーツドリンク
体の水分を効率良く吸収するための飲料なので、当然声帯へもしっかりと水分を与えてくれます。
糖分も含まれているので喉の保湿に優しいですね。
「え!?糖分?」そうです。糖分です。これについては後半のハチミツの部分でまとめて説明させてください。
スポーツドリンク
水分補給に最適化された飲み物。当然声帯にも優しく発声にもいい。
コーラ
炭酸抜きという条件に限り、良い。
やはりコーラの糖分がいいのです(こちらの糖分についても次のハチミツの項目でまとめて説明させてください)。
「コーラを飲んだら声が出しやすくなる」という話は多いです。
ただし、炭酸は刺激になる可能性があるのとゲップが出やすくなるのでシェイクして炭酸を抜いたコーラという条件がベストですが。
炭酸抜きコーラをステージドリンクにしているシンガーもいるというお話を聞きますし、節約のために炭酸抜きコーラで喉の調子を整える声楽家の学生の話なども音楽業界では結構よくある話だと思うのですが。
カラオケで試してみてはどうでしょう?炭酸抜きコーラ。
味はどうあれ声帯や喉にはいいですし、カフェインも問題ないですし。
炭酸そのものについては少し謎があります。刺激が良くないとする意見も気持ち的にはわからないでもないのですが、「その刺激がなんの刺激なのか」ということが非常に重要なポイントですね。
炭酸の刺激は泡が弾ける刺激のように思いがちですが、どうやら違うようですね。
炭酸飲料の醍醐味ともいえるパチパチとした刺激。その正体は、表面に次々と浮かび上がるあの「泡」だと思っている人も多いかもしれません。しかし、近年の科学的な研究によって、パチパチとした刺激の正体が「泡」ではないことが明らかになってきました。では何が刺激を生み出すのかというと、それは、炭酸飲料に溶けた「二酸化炭素」が口内の酵素と反応してできる「炭酸」そのものです。泡が刺激に全く関与しないわけではありませんが、大部分は、炭酸が口内から感覚神経を通じて脳に伝わることで、刺激として認識されています
この刺激が声や声帯にどう影響するのか?というところが問題ですね。
個人的にはそう何も感じないのですが、こればかりはわかりません。とは言えやはりゲップは歌にとってはデメリットですね。
コーラ
声帯や発声自体にはとてもいい。炭酸とどう付き合うかが難しいところ。
ハチミツ
これはもう王道中の王道。
最も喉に良い飲み物だと思われます。飲み物と言えるのかは微妙ですが。
やはり喉や声にいいと言われるのは殺菌作用や保湿力の面ですね。
殺菌作用
ハチミツは喉の殺菌作用があります。ハチミツに含まれるグルコン酸による殺菌作用ですね。
これによって風邪を引いたときなどの喉のコンディションを改善する効果があるのですね。
もしくは殺菌作用による風邪の予防もできます。
保湿力
また、ハチミツには保湿力があります。
この保湿力が声帯にいいのですね。含まれている成分が保湿に適しており美容クリームなどに使われていますね。クレオパトラも保湿のために使っていたとかなんとか。
糖分について
ハチミツの糖度は80%です。
その成分のほとんどを糖分が占めているのです。もちろんその内訳として多くの成分が含まれていますが、大きく言えば糖分80%です。
糖分は粘性があります。その粘性が声帯の潤いを長く保つのに一役買います。
さっきからさんざん「糖分がいい」と言っていますがこう思う方もいるはずです。
「あれ?いろいろなサイトには糖分は喉に良くないって、、、」
そうなんです。確かに書いているサイトが多いと感じます(もちろん全てではないですが)。
もちろん糖分は口内環境的には虫歯になりやすいですし、もしかしたら飲料によっては喉が乾いたように感じやすいですし、多少のベタつき感もあるでしょう。
しかし、「声や声帯」に悪影響を与えているのでしょうか。
だって、のど飴の原材料にも、
- 原材料:砂糖、水飴、ハーブパウダー、ハーブエキス、香料、着色料(カラメル、葉緑素)、酸味料
- 原材料:砂糖、水飴、ハーブエキス、プロポリス抽出物、果実エキス、オリーブ葉抽出物、香料、カラメル色素
ね。
もちろん何事も取りすぎは良くないですよ。
でも糖分がもし悪いものだとして、喉や声帯に悪い成分をのど飴に含ませるでしょうか?
今の時代糖質0にすることもできるでしょう。
何より「ハチミツは喉に良い」というのが世の定説であれば、糖分が悪いわけがない。
自分で一度試した方がいいと思います。本当に糖分をとった後、声が出しづらくなるのか・声帯が乾燥しやすいのか、それとも案外声が出しやすいのか。
声帯にはすごくいいと思うんですけどね、糖分。
ともあれそんな糖分を多く含みかつ殺菌作用もあるハチミツが喉の健康にも声の状態を整えるのにもいいと言われていますし、そう感じます。
はちみつを溶かした水などをステージドリンクに選んでいる人も多いですね。星野源さんもそうだというお話をされていました。
もちろんハチミツ飲んだからって急に声が出しやすくなったり歌が上手くなったりするわけではないですが、長時間歌ったりボイストレーニングする負荷に耐えやすくなったり、また歌った後のアフターケアとしても役立ち、次の回復を早めます。
そういう点でハチミツは必須かもしれませんね。