歌の雑学・研究・考察

歌に声量はいらない?【声量の必要性について】

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今回は『声量の必要性』について考察していきます。

*ここでの声量とは文字通り『声の音量』という意味で話を進めます。

歌に声量は必要か

この『声量』という言葉をどこまでの音量と捉えるのか、それは個人個人違うでしょうからはっきりとしたことは言えないのですが、

  • 基本的に声量は絶対に必要なものではない

と考えるべきかと。

その理由はマイク(音をデータに変換する機械)があるからです。

そもそも声量がある=『優』はジャンル次第?

『音楽のジャンル』によって”声量があるという価値”は変動する要素はあると思われます。

 

例えば、クラシック音楽は『声量=優』の要素が強いのではないでしょうか。

これは前提が『マイクなしの歌唱方法』だからですね(*近年はマイクを使うことも普通にあるのでしょうが、前提はあくまでマイクなしのための歌唱方法)。

その身一つで会場に声を響かせなければいけないのですから、必然的に声量がある方が聴く側も『魅力を感じやすい=必要』というのは当然です↓

 

逆にポップスはマイクを使うので、本質的には”声量なんてあってもなくてもいい”。

どれだけささやこうが、発声の質の良さと音響次第で綺麗に響き渡ります

ちなみにこれ、口元にマイクついてますが、動くとき用のもので音は入ってないでしょう(3:43〜くらいでマイキングによる音量差があるので)。

声量はマイクを越えない

マイクというものはあくまで『音声を音のデータに変換するもの』です。

*マイクの後にも色々な機械を通りますが、ここでは省略します。

 

で、データに変換された音の音量はいくらでもコントロールできます

極端な話、生歌でいくら声量を出そうが、マイクの設定を絞れば、音量は大きくなりません。

逆に言えば、マイクの設定さえ良ければ音量はどうとでもなる。

このように音声データに変換する以上は『音声データ側の設定の方が重要』ということになります。

つまり、

  • ”声量は”マイクを超えない

んですね。

 

ということは、”声量(音量)による”優劣はマイクありの歌唱においては存在しないとも言えます。

”熱量”はマイクを超える

ただ音楽のジャンルによっては

  • 声量がある方が『曲に合う』

こともあるでしょうし、逆に

  • 声量がない方が『曲に合う』

ということもあるでしょう。

 

これはつまり、発声表現の熱量・温度感』の問題

マイクを通った後の音声データは声量そのものはどうにでもなるが表現の熱量そのものは変えられない。

これは特にどちらが良いとか悪いとかではなく、音楽のジャンルや楽曲によって合う合わないが変化するものでしょう。

 

例えば、熱量的に熱いジャンルであれば熱量が高いパワフルな発声の方が合うでしょうし↓

熱量的にクールなジャンルであれば熱量が低いささやく発声の方が合うでしょう↓

もちろん、これらも一概には言えないですし、音楽の表現はどんなジャンルであれ自由でもあります。

 

とにかく、

  • 『声量はマイクを越えないが、熱量はマイクを超える』
  • 声量(声の音量)は熱量を決める要因の一つになる

と考えられるということ。

”倍音”もマイクを超える

熱量とも関係してくるところですが、「倍音(音色の性質)」も声量と関係しています。

マイクは音量は変えられるが”音色の良し悪し”はあまり変えられないということです。

 

これは”逆もある”のですが、一般的に

  • 「声量を出さない発声」よりも「声量を出す発声」の方が倍音が多く含まれる

傾向にあるタイプの喉の人が多いはず(*統計を取ったわけではなく、肌感覚)。

 

倍音は心地良さ・魅力に直結する部分なので、声量ある発声をするシンガーに魅力を感じるのもある意味自然です。

(*ただし、普通のマイクでは拾いにくい倍音もある。特にクラシック系の発声。が、今回そういう話は置いておきます。)

 

マイクを通している場合においての、パワフルな高音発声などが「すごい!」と感じるのは、声量によって音量が大きいからすごいのではなく、声量を出すことによって『倍音・音色そのものの質』がすごくなるというのが本質的かと思います↓

(*「ザラザラ」・「ジュワジュワ」・「ガリガリ」・「母音の鳴りの強さによる音の飽和感」などなどの倍音の気持ちよさ)

 

逆もある

ただし、人によっては声量を出そうとすると倍音が減衰するタイプの喉の人もいると考えられます(息っぽい喉・鳴りにくい喉のタイプに多い気がします)。

なので、一概に『声量を出す=倍音が増える=魅力的になる』とは言えないのです。

 

こういう喉の人は逆に

  • 「声量を出す発声」よりも「声量を出さない発声」の方が倍音が多く含まれる

傾向にあります(*これも一概には言えませんが)。

そういうシンガーはささやくような発声が得意なので、そういう倍音を最大限活かすようなスタイルが多いですね↓

(*息系「スー」「シュワー」・「カリカリ(エッジ)」・「子音の音の粒」などの倍音の気持ちよさ)

簡単に言えば『高感度マイク』。息を吸う音や子音の音がすごくマイクに入っているのがわかると思います。

ASMRみたいな気持ち良さ。

 

結局、どんな声量であれそれに応じた倍音(魅力)の出し方はあるのですね。

つまり、

  • 声量が大きかろうが、小さかろうがどうでもよく、『”倍音の多い心地よい発声”をマイクに通すこと』が重要

と考えられます。

 

結局この『マイクに通すこと』がすごく重要で、『マイクによく通る声=真の意味で声量があると言ってもいいのかもしれません。

マイクに通る声であればどんな声でも構わないとも言えるのかもしれません。

 

もちろん、

  1. ささやいても魅力的な倍音を乗せる
  2. 強く鳴らしても魅力的な倍音を乗せる

という風な感じで死角がないシンガーもいます↓

とにかく、ポップスの場合は

  • マイクという機械を使う以上、『いかにマイクに声を通すか』『マイクによく通るという意味での声量』が重要であり、『生歌の声量』は必要ない(重要ではない)

というのが真理でしょう。

”マイク乗りのいい歌声”についての研究

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