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歌の雑学・研究・考察

『ロックらしい歌い方』についての考察

投稿日:2023年1月8日 更新日:

今回は、ロックらしい歌い方に関する研究考察です。

 

大前提として、

  • シンガーは一人一人違う
  • 音楽は自由でありジャンルによって決まった歌い方というものはない
  • そもそも「ジャンル」を括るのは難しい

ということは述べておきます。

 

しかし、細かい視点を抜きにして”大まかな傾向”くらいの感覚で見れば、『ロックらしい歌い方』のようなものをまとめることはできるのではないかと。

今回はそんなロックらしい歌い方、ロックなボーカルスタイルについての掘り下げてみようを思います。

「ロック」らしい歌い方

「ロック」らしい歌い方の要点を考えると、

  1. 高い熱量・テンション、叫び(シャウト)
  2. 力強く鋭い高音
  3. 反抗的(いい意味での『汚さ、雑さ』と『強いメッセージ性』)
  4. ゆるさ・だるさ
  5. セクシー・色気・魅惑的

というポイントが考えられます。

中には正反対に感じるものもありますが、全てを捉えていなくてはならないというわけではなく、どれかが入っているとロックらしい歌い方になるのではないでしょうか。

 

①高い熱量・テンション、叫び(シャウト)

そもそも「ロック」の起源は『ロックンロール』ですね。

ロックンロールは、1940年代後半〜「ブルース」や「ゴスペルミュージック」などの黒人達の音楽と「カントリーミュージック」などの白人の音楽が融合し『ロックンロール』になったとされています。

 

このロックンロールの特徴は発声の熱量が高く、叫ぶようなニュアンスがあったり、語尾で裏声に勢いよく跳ね上げたりするなど、テンション高めで歌うという点があります(*もちろんあくまでも傾向)。

語尾で裏声には跳ね上げる歌唱方法は、しゃっくりをしているようなニュアンスから「ヒーカップ唱法」と呼ばれていますね↓

ロックンロールは速いビートの音楽(当時の音楽の中では)なので、そのテンションに合わせて歌のテンションも上がっていったのか、音楽機器の進化によるものなのか、人々が新しいものを求めたからなのか。

 

なぜこういう歌唱スタイルが多くなった正確な理由はわかりませんが、とにかくロックンロールは「高いテンション」「高い熱量」で歌われたものが多いので、その系譜をたどる「ロック」にも熱量の高さ・叫びのような歌い方があるのが一つの特徴と言えるでしょう。

ポイント

高い熱量やテンションを表現した歌い方、叫んでいるような(シャウトのある)歌い方

 

②力強く鋭い高音

これは主に、ハードロック・ヘヴィメタルなどの激しいロックによって生み出されてきた印象だと考えられます。

 

例えば、「高い声」「力強い尖った声」という二つの条件を満たしたような発声は、ハードロックやヘヴィメタルらしさの象徴でしょう。

これも色々な要因があるでしょうが、一つ言えるのはこういうジャンルは『激しい音色の楽器』が特徴でもあります。歪んだギターやベース、手数の多いドラムで演奏全体の激しさを生み出します。

 

この楽器陣が激しい分だけボーカルもそこに埋もれないために、「より高く」「より鋭く」進化していったのかもしれませんね。

ポイント

より高く・より鋭く尖った発声を使う

 

③反抗的(いい意味での『汚さ・雑さ』と『強いメッセージ性』)

これは悪い意味ではなく、ロックにはいい意味での音楽的な『汚さ』『雑さ』のようなものがあるということ。そして、それと引き換えに生まれるような強いメッセージ性や表現力のようなものがあるということです。

 

これは主に、パンクロックやグランジロックなどによって作られたイメージでしょう。

もともと『パンク』には、「青二才・若造」「怠け者」「役たたず」のような意味があるとされています。

 

また『グランジ』という言葉には、「不潔なもの」「汚いもの」「過度に手入れされたイメージへ反抗したボサボサな外観」などのような意味があるとされています。

 

『パンク』も『グランジ』も当時の綺麗に完成された商業的な音楽に対する反抗の音楽であり、社会に抵抗するような主張を持った音楽です。

なので、歌い方も「音程やリズムが整った綺麗さ」とは反対の方向性で「綺麗に整えるなんてつまらない。この強い主張を聞け」というような雰囲気を持っています。

綺麗に整えずぎないからこそ、どこか日常に近いニュアンスを持ちそれが強いメッセージ性・表現力・親近感などを生み出し人の心に刺さるのではないかと思います。

 

もちろん、綺麗に歌うとメッセージ性や表現力が無くなるというわけではないのですが、『パンク』や『グランジ』などの持っている雰囲気はそれ特有の良さがあるように思います。

 

綺麗に上手く歌うというのも歌の上手さの一つの方向性ですが、そうではない色々な方向性にも”上手さ(美味さ)”があるのが音楽の面白いところです。

ポイント

いい意味での汚さや雑さと強いメッセージ性

 

④ゆるさ・だるさ

こちらも若干悪いニュアンスがありますがそうではなく、いい意味で「ゆるい」「だるい」「甘ったるい」感じのようなものがあるということです。

 

例えば、ブリットポップ(*1990年〜2000年辺りのイギリスのロック)はまさにこれに当たると思います。

ブリットポップは『日常的な親しみやすさがある』『背伸びせず等身大で』というような流れを持った音楽とされています(*この「ブリットポップ」という言葉にも色々な議論がありますが、細かいことは置いておきます)。

 

なので、歌に関しても叫んだり激しく歌ったりすることが比較的少なく、全体的に『ゆるさ』があります。

気だるいニュアンスで歌うシンガーは、ブリットポップ流行期にはすごく多いように思います。

ポイント

「ゆるさ」「だるさ」「甘ったるさ」がある歌い方

 

⑤セクシー・色気・魅惑的

「色気のある魅惑的な雰囲気を持った歌い方」というのもロックの一部であると言えるでしょう。

例えば、グラムロックなどのイメージです。

まぁグラムロックは『派手な化粧や格好で両性的雰囲気を出したシンガーが歌うロック』という感じで、歌い方自体が魅惑的で色気のある感じばかりかと言われれば、そうでもないかもしれません。

ただ、そういう歌い方のルーツはこの辺りにあるのではないかと。ちなみに「グラム」とは「グラマラス(魅惑的な)』が語源とされています。

 

日本で言う「ヴィジュアル系ロック」と呼ばれるものもこのグラムの流れを組むものでしょう(*この「ヴィジュアル系」という言葉も議論を生んだりしますが、これも置いておきます)。

ポイント

魅惑的な雰囲気で色気を感じる歌い方

 

まとめ

これまでをまとめると、

  1. 高い熱量・テンション・叫び(シャウト)
  2. 力強く鋭い高音
  3. 反抗心(いい意味での『汚さ・雑さ』と『強いメッセージ性』)
  4. ゆるさ・だるさ
  5. セクシー・色気・魅惑的

のいづれかを意識すると、ロックらしい歌い方のようなものにつながるかと。

 

もちろんこれ以外にもあると思いますが、どこかで区切りをつけないといけないのでこんな感じでまとめとします。というより「結局、音楽は何でもありだな」というのが個人的な感想です。笑

ある意味、

  • 自分がしたい歌い方をすることこそ『ロックの歌い方』

と言えるのかもしれませんね。

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