今回は、横隔膜と発声や歌声との関係性についての内容です。
特に、
- 「なぜ、横隔膜を鍛えるべきなのか」
- 「横隔膜を鍛えると、どういうメリットがあるのか」
という部分を掘り下げて、考察したいと思います。
目次
横隔膜とは
横隔膜とは簡単に言えば、
- 肺を動かすためのドーム状の筋肉のこと
です。
この『横隔膜』は、発声において重要度が高いので、
- 息を鍛えなさい
- 横隔膜を鍛えなさい
- 横隔膜を柔軟に
などと言われます。
プロのシンガーもその重要性を語ったりします(*再生位置17:07〜)↓
このように多くのシンガーが横隔膜を鍛えたりしますが、”なぜ重要なのか?”。
主な理由は
- 声の4大要素の一つ『息』をコントロールする主役だから
- 横隔膜の柔軟性が、喉周り(喉頭懸垂機構)に影響すると考えられているから
という2つ。それぞれ掘り下げます。
①声の4大要素の一つ『息』をコントロールする主役だから
発声の4大要素は、
- 息(原動力)
- 声帯(調節)
- 共鳴(増幅)
- 発音
の4つです。
この4つが声の全てを決めているので、全ての問題や解決もここに集約されます。
まず『息』というのは声の原動力の部分です。
そして、その息の力をコントロールする『肺』を動かしているのが、主に『横隔膜』『胸郭(肋間筋)』の二つ。
『横隔膜』『胸郭』のうち、息を大きくコントロールできる部分が『横隔膜』。つまり、一番主役の部分です。
- 『歌は”息”が大事』
とはよく言いますが、息の主役が横隔膜であるなら、
- 『歌は”横隔膜”が大事』
とも言い換えられるのですね。
②横隔膜の柔軟性が、喉周り(喉頭懸垂機構)に影響すると考えられている
喉頭懸垂機構(こうとうけんすいきこう)。よくわからない言葉が出てきましたね。
難しく考えずに、
- 喉を上下から吊り下げている『喉周り』の筋肉たち
と考えましょう(*再生位置辺り。Extrinsic group)↓
「ふーん」くらいで、細かいことは置いておきましょう。
で、この喉周りの筋肉の動きは、声帯(発声)に色々な影響があるものと考えられています。
動画内でも、『Extrinsic group』(外因性のグループ=外部要因)と書かれていますね。
さらに、喉周りは横隔膜などの呼吸筋の動きとも間接的に繋がっていると考えられています。
例えば、横隔膜の動きが鈍いと、息を吐く力が弱まったり、息の持続力が弱まります。そうすると、この息の出力不足を補おうとして、喉周りが締まります。また、肺の下部が動かない分、胸郭(肺)の上部を使おうとするという点でも締まります。
喉周りが締まれば、当然声帯に影響が出ます。
ということは、
- 喉周り(喉頭懸垂機構)と『声帯』が関係ある
- 喉周り(喉頭懸垂機構)と『横隔膜』が関係ある
なので、
- 『声帯』と『横隔膜』は肺を介して間接的に繋がっている
と言えます。
例えば、この横隔膜と喉頭懸垂機構の連動する動きを利用するテクニックが『声の”支え”』ですね。
さらに
「一概には言えない」というのは大前提ですが、
- 股関節が柔らかい人(体が柔らかい人)は、歌が上手い傾向にある
という説がありますよね↓
私の柔軟性たるや@vizkage pic.twitter.com/JuBLDutjmY
— LiSA (@LiSA_OLiVE) May 2, 2019
これも横隔膜を軸にして考えると、つじつまは合うのです。
というのも、横隔膜と股関節は「大腰筋(腸腰筋)」という筋肉で繋がっているからです。
こちらを見れば、なんとなくイメージできるかと↓
この大腰筋と股関節の柔らかさは密接な関係があります。
つまり、
- 股関節が柔らかい=大腰筋が柔らかい=横隔膜の柔軟性が高い
ということになります。
よって、股関節の柔軟性は回り回って声帯へと影響するとも言えます。
横隔膜は大事だが、発声の全てではない
これまで書いてきたように、横隔膜は、
- 声の4大要素の一つである『息』の要
- 声帯の動きへの影響もある
ということから、歌においては重要と考えるのはいいのですが、”横隔膜が全てではない”ということもまた大事なことでしょう。
例えば、『横隔膜が息と声帯に作用するから横隔膜だけ鍛えればいいや』っていうのは違いますよね。
ものすごく重要なのは間違いないのですが、『発声の全てではない』。なので、『横隔膜も鍛える』というスタンスがいいでしょう。
あくまでも、鍛えるべき主要部分の”一つ”ということ。
横隔膜を鍛えるのはコツコツと
「横隔膜を鍛える」とは言っても、すぐには効果は出ないと思います。
こういうものは筋トレやストレッチなどと同じように、長期的続けることで効果が出るものです。
- 横隔膜のトレーニングを頑張る→1ヶ月後効果が出ない→意味ないからやめる
みたいなものはよくあると思いますが、もったいない気もします。
残念ながら『いつか絶対に効果が出る』という保証はできませんが、半年〜1年スパンくらいで長期的に考えることが大事かと考えられます。1日5分でも十分なので、コツコツと続けることが大事です。
横隔膜に効くトレーニングはこちらの記事にて↓
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声量を上げるトレーニング方法について
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