【9/13】まとめページは都合上削除いたします。引き続きカテゴリーページ等でお楽しみください。

声や歌について

高い声が出ない人は『二つの力』を理解すべき

投稿日:2019年10月25日 更新日:

今回は高い声が出ない人が理解すべき「二つの力」について考察していきます。

その二つの力とは『声帯伸展』『声帯閉鎖』という二つの声帯をコントロールする動きです。

この二つの動きのどちらもが音程をコントロールする機能を持っています。つまりどちらも高い声を出すのに関わってくる力なのです。そして高い声を出すということを難しい問題にしているのはこの二つの力が反対方向に拮抗しているからです。どちらも高い声を出すために必要な力なのに対立しているのです(真っ向から対立しているわけではなく、共存させることもできる=ミックスボイス)。

さらに人によってこの二つの力のバランスはバラバラで、得意不得意もあります。なので高音発声は難解なのです。

この音程調節を司る二つの能力を理解すれば、高い声が出せるようになる道が切り開けるかもしれません。

今回はそんな高い声が出ない人へ向けた内容です。

高い声を出すために必要な二つの力

高い声を出すため、もっと正確に言うと「音程を調整するため」にはこの『声帯伸展』『声帯閉鎖』の二つの力が必要ですし、基本的には誰しもに備わっている声帯の動きです。

なので高い声が出ない人・高音が苦手な人は基本的にはこの二つの能力のどちらか一方、もしくは両方の能力が欠けている場合が考えられます。

ということは「高い声を出すにはこの二つの能力を鍛えていけばいい」とも言えますね。

厄介なのはこの二つが相反する動きの性質を持っているということです。この二つの力があるから世の中の『高音の出し方』というものが多種多様にあるとも言えますし、人によって高音を出す感覚が違うのですね。

そんな『声帯伸展』『声帯閉鎖』を一つづつ解説していきます。

『声帯伸展』とは

「声帯伸展」とはその名前の通り声帯を引き伸ばす力です。

例えば

声帯を輪ゴムのようなものとイメージすると単純に引っ張って伸ばすことで音程を調整しています。輪ゴムを指で弾くと引っ張れば引っ張るほど高い音が鳴りますね。声帯はもちろん輪ゴムではなく2枚のひだ状のものなのですが、考え方は輪ゴムと同じようなものと考えても特に問題ないです。

実際の声帯で考えても理屈は同じと考えましょう(実際はもっと複雑ですが、いいんです。)。図は簡略化していますのでご了承ください。

声帯を伸ばすことで振動数をあげて高音を鳴らすのです。

これが『声帯伸展』であり、音程を調節している2大要素の一つです(動きは正確に捉えても簡単に考えてもいいと思います)。

一概には言えないのですが、実はこの『声帯伸展』能力が欠如している人こそ高い声が出ない人・高音が苦手な人である確率が非常に高いです。

声帯伸展はどういう原理?

声帯伸展は輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)という筋肉が外側から声帯を引っ張ることで声帯を引き伸ばしています。

引っ張り具合を強くすると声帯が薄くなって裏声(ファルセット)へと変化します。

なのでこの声帯伸展を司る輪状甲状筋を鍛えるには裏声の練習がいいと言われるのですね。ただし、声帯伸展による『正しい裏声(犬ファルセット)』の場合に限ります。

裏声が出せない人は『猫喉』かもしれない|出し方や練習方法について

今回はファルセットについての詳しい考察を書いていきたいと思います。 ファルセットとは裏声のことですね。ファルセットが出せる人にとってはファルセットなんて簡単なのですが、出せない人にとってはこうも難しい ...

続きを見る

なので綺麗な裏声を出せる人は声帯進展が得意な人ですし、そういう人は歌が上手い人が多いですね。

一概には言えないが、

高い声が出ない人は声帯進展が苦手なのでファルセットが全く出せない、もしくは悪いファルセット(猫ファルセット)になっている可能性が大いにありますね。こういう人は声帯伸展が働かずに声帯閉鎖が優位に働いてしまうのです。

そんな人でも声帯進展が全くできないということはあり得ないので体感してみましょう。

声帯伸展の体感

声帯伸展の体感

普段話し声で使っている声を何も意識せずに楽に出せる音で出してみてください。脱力して出せば結構低めになるはず「あー

次に自分が出せる地声の最低音を出してみてください。「あー」この最低音は音になる範囲の最低音です。

この最低音「あー」から先ほどの楽に出せる音「あー」までをつなげて交互に発声してみてください。

あーあーあーあーあーあーあーあー」かなり自分の音域の中では低い位置での発声になったはずです。

この時の声帯の動きが声帯伸展です。

おそらく最低音に近い低音域なら声帯伸展が苦手な人でも声帯伸展が動きやすいはずです。逆に最低音から『声帯閉鎖』を働かせて音を上げるようなことは逆に難しいと考えられます。

感覚的にはそのまま声帯が伸びているように動いている感覚を感じる人もいるでしょうし、「そう言われるとそんな感じもしないでもない」くらいの人もいるでしょうし。「全然そんな感じしないな」という人もいるでしょう。わかりにくい人は音程の振り幅を大きくするとわかりやすく感じるはずです。

ただ、振り幅を変えてもいいのですが、『声帯閉鎖』を働かせないために低音域帯で音を動かしているので、『声帯閉鎖』を働かせてはいけないということは大前提です。

『声帯閉鎖』とは

「声帯閉鎖」とはその名の通り声帯を締める力です(この締めるというのは考え方次第では「声帯伸展の引っ張る力」に対して緩める力と考えることもできます)。

例えば

この声帯閉鎖は輪ゴムでイメージしにくいので声帯伸展と比べてややこしいのですが、輪ゴムでイメージすると輪ゴム自体が硬質化するようなイメージです。輪ゴムがギターの弦のような金属になっていくようなイメージです。

試すことはできないでしょうが、ある程度ピンと張った輪ゴムと金属だったら輪ゴムは「プン」という音で金属は「キン」という音で金属の方が高くなるのが想像できるはずです。

声帯で考えると少し動きは複雑になりますが、わかりやすくするとこんな感じで、声帯を固めることで声帯の振動数を上げて高音を鳴らすのです。

これが『声帯閉鎖』であり、音程を調節している2大要素の2つ目です。

これも一概には言えませんが、

実はこの力が大きく欠如している人というのはそこまで多くはなく、高音が苦手な人でもある程度の力がある可能性が考えられます。普段話す分にも使われることが多い力だからです。ただし、「上手く使えているかどうか」は「能力がある」のとは全く別問題です。

声帯閉鎖はどういう原理?

声帯閉鎖は正確には甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)という筋肉で声帯筋と言われたりします。声帯筋は難しいことは抜きにほぼ声帯そのものと捉えた方が簡単に考えられるかもしれませんし、それでいいと思います。

この声帯そのものが収縮する力こそが声帯閉鎖です。なので声帯自体を収縮して分厚くする(考え方次第ではたるませる)ような働きがあります。ただし膨らむわけではないので太くはならないはずです。

ちなみにですが、

ちなみに

声帯を横方向へ締める力は外側輪状披裂筋という筋肉で、声帯の二つのひだを締める働き(『声門閉鎖』があります(その他いくつかの筋肉がこの左右に閉じる働きをしていると考えられていますが、明確には解明されていないはずですし、ここでは置いておきます)。

この閉じる動き声帯閉鎖とは厳密には別物です。しかし全く関係ないものではないのですし、むしろ関係はあると考えられます。そして声帯筋もこの内側に閉鎖的に働く力があるとも考えられています。

が、難しいことは置いておきたい人は一緒と捉えてもいいかもしれません。

これは「声閉鎖」です。声帯自体の収縮は『声門閉鎖』と別物です。

芯のある声を作るのは「声門閉鎖」

今回は芯のある声を作るために必要な「声門閉鎖」についてです。 この声門閉鎖は声帯閉鎖と似た言葉ですし、同義語として使われることももちろんなのですが、個人的には使い分けています。 声門閉鎖は『声帯の二つ ...

続きを見る

「声帯閉鎖」もまた音程を決める重要な要素なのです。ちなみに高音が出ない人や苦手な人は喉が締まる経験もあると思いますが、大きくはコレの力で締まっています。厳密には声帯閉鎖も上手くコントロールできずに喉の外側の力を借りて喉がしまっていることがほとんどですが。

声帯閉鎖の体感

コレは非常に体感しにくいです。この声帯閉鎖だけの力を体感するのはほとんどできないでしょう。

単純な閉鎖による高低の体感であれば、楽に「あー」と発声してそこから意図的に喉を締めれば音程が上がりますよね。音程を上げる意識を持たなくても喉を締めれば音が上がります。原理的にはコレです。

ただ、声帯閉鎖だけの力ではなく、外側からの閉鎖の影響(喉を締める)もありますね。声帯閉鎖のみの体感は難しいのです。

あえて言えばしっかりと脱力した状態でのエッジボイスを発声している時に、この声帯閉鎖がしっかりと働いていると考えられますが感覚として体感するのはほぼできないでしょう。

エッジボイスの真の効果は『声門閉鎖ではなく、声帯筋による閉鎖を鍛えること』

今回は「エッジボイス」について書いていきたいと思います。 「エッジボイス」という言葉。ボイストレーニングでは有名なものですが、聞き慣れないという方もいると思います。『エッジボイス』とは声の出し方の名称 ...

続きを見る

なのでミックスボイスは難しいのです。

そしてこの声帯筋による声帯閉鎖を外側からの余計な力なく発揮できる時(声帯伸展もある程度しっかりと働いた状態)にミックスボイスが発声できると考えています。

高音が出ない人の声帯

コレは一概には言えないのですが、割合多いのは『声帯伸展能力』の不足です。コレは先ほども書きましたが、この能力が足りない人ほど高音が苦手である可能性が高いです。

声帯伸展が上手くできる人

このように音階を上げていきます。ところが高い声が出ない人(声帯進展が苦手な人)は

このように声帯伸展が早い段階でストップして声帯閉鎖が働きます。さらに声帯閉鎖も上手くできない・もしくはできても閉鎖だけの力では高音は出せないので

この過剰な閉鎖は声帯の外側(のど周辺)の力を借りている状態なので当然喉が締まっている。このように声帯伸展は非常に重要なのです。

例えば、「声帯伸展が得意」で「声帯閉鎖が苦手な人」でも地声から裏声までは綺麗に出せるはずです。

もうこの時点で高音が苦手な人ではないですよね。ただ声帯閉鎖が苦手であれば地声で出せる範囲を超えた発声、つまりミックスボイスのような強い中高音発声はできないはずです。なので地声域以上の高音域はファルセット系の発声しかできません。

ミックスボイスは『声帯伸展の限界を超えた範囲を声帯閉鎖の力でファルセットに移行させずに地声に近い声帯の使い方での発声』だからです。

ミックスボイスとは『声帯伸展の限界を超え、声帯閉鎖を必要とする中高音発声』

今回はミックスボイス(ミドルボイス)について書いていきたいと思います。『ミックスボイス』というものについて疑問を持っている人は多いと思います。そもそもなんなの?何がミックスボイスなの?自分の声はどうな ...

続きを見る

まとめ

声帯伸展は『声帯を引き伸ばす力

声帯閉鎖は『声帯を収縮する力

です。

声帯をゴムに例えると

「声帯伸展」はゴムを引き伸ばして高音を出す

「声帯閉鎖」はゴムを固めて高音を出す

ということです。

この二つの力を理解し、鍛えることで高音が出ない人も出せるようになるかもしれませんし、きっかけをつかんだり、何を練習していくべきなのか道筋を立てられますね。

人によって求める発声が違うので一概には言えませんが、どちらかと言えば声帯伸展の方が高い声を出すために重要なのではないかと考えられます。

オススメ記事

1

今回はボイストレーニングの効果を高めるグッズや声を鍛えるのに欠かせないグッズについて書いていきたいと思います。グッズがなくてもボイストレーニングはできるのですが、あれば便利です。 グッズを使うメリット ...

2

今回はボイストレーニングにオススメの本について書いていきたいと思います。ボイストレーニングというものは、なかなか独学でやっていくというのは難しいですよね。「何からやればいいのか、何が正しいのか、何が一 ...

3

今回は「声の音域を広げる方法」について書いていきたいと思います。歌において音域を広げるということは大きな課題の一つですね。おそらく多くの人が音域を広げたいと思ったことはあるでしょう。 それくらい歌にお ...

4

今回は「歌が上手くなる方法」について徹底考察していきたいと思います。歌というものは誰もが身近に聞いたり歌ったりすることができるものですね。 そんな身近なものだからこそ歌が上手くなりたいと思ったことがあ ...

5

今回はミックスボイス(ミドルボイス)について書いていきたいと思います。『ミックスボイス』というものについて疑問を持っている人は多いと思います。そもそもなんなの?何がミックスボイスなの?自分の声はどうな ...

-声や歌について

Copyright© 【ミュートレグ】 , 2019 All Rights Reserved.