歌の雑学・研究・考察

声の音程を調節する仕組みについて【声帯伸展と声帯収縮】

投稿日:2019年10月25日 更新日:

今回は『声の音程を調節する二つの筋肉の力・働き』についてのテーマです。

この記事は

  • 声の音程をコントロールする二つの力
  • 声帯伸展とは
  • 声帯収縮とは

という内容です。

声の音程をコントロールする「二つの力」について

声の音程をコントロールする力は主に二つあります。

  1. 『声帯伸展(声帯が伸びる)』→輪状甲状筋
  2. 『声帯収縮(声帯が縮む)』→甲状披裂筋

という二つの力です。

 

先に簡単にまとめておくと、

声帯伸展は

  • 声帯が伸びること。
  • 音程を高くする働きがある。
  • 主に輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)という筋肉が働いている。

 

声帯収縮は

  • 声帯が縮むこと。
  • 基本的には音程を低くする働きがあるが高くするときにも働く。
  • 主に甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)という筋肉が働いている。

 

声帯は伸びたり縮んだりして音程を調整しているのですね。

 

それぞれに動きについて掘り下げていきますが、先にイメージを見ておくといいかもしれません↓

 

この「伸びる」「縮む」という、二つの声帯をコントロールしている作用について掘り下げていきます。

 

『声帯伸展』とは

「声帯伸展」とはその名前の通り声帯を引き伸ばす力です。

これは音程をコントロールするメインの力です。

 

声帯収縮とどちらが重要かと言われればこちらが重要だと考えます。

 

声帯を輪ゴムのようなものとイメージすると単純に引っ張って伸ばすことで音程を調整しています

輪ゴムを指で弾くと引っ張れば引っ張るほど高い音が鳴りますね。

声帯はもちろん輪ゴムではなく2枚のひだ状のものなのですが、考え方は輪ゴムと同じようなものと考えても特に問題ないです。

 

実際の声帯で考えても理屈は同じと考えても問題はないです(実際はもっと複雑ですが、簡単に考えればこれでいいと思います)。

 

声帯を伸ばすことで振動数をあげて高音を鳴らす

 

これが『声帯伸展』であり、音程を調節している2大要素の一つです(動きは正確に捉えても簡単に考えてもいいと思います)。

 

一概には言えないのですが、

この『声帯伸展』能力が欠如している人こそ高い声が出ない人・高音が苦手な人である確率が非常に高いと考えられます。

 

なのでそういう点でもこの声帯伸展は音程調節の主役と言えるのでしょう。

 

声帯伸展はどういう原理?

声帯伸展は輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)という筋肉が主役。

これです(*再生位置)↓

引っ張り具合を強くすると声帯が薄くなって裏声(ファルセット)へと変化します。

なのでこの声帯伸展を司る輪状甲状筋を鍛えるには裏声の練習がいいと言われるのですね。

 

関連

「なぜ声帯が伸びると裏声になるのか?」については長くなるので、こちらで。

声が裏返る仕組みや原因について

続きを見る

 

どんな人でも声帯伸展が全くできないということはあり得ないので体感してみましょう。

 

声帯伸展の体感

  • 普段話し声で使っている声を何も意識せずに楽に出せる音で出してみてください。「あー
  • 次に自分が出せる地声の最低音を出してみてください。「あー」この最低音は音になる範囲の最低音です。
  • この最低音「あー」から先ほどの楽に出せる音「あー」までをつなげて交互に発声してみてください。
  • あーあーあーあーあーあーあーあー」かなり自分の音域の中では低い音域での交互発声になったはずです。
  • この時の声帯の動きが声帯伸展です。

おそらく最低音に近い低音域から音程を上げれば声帯伸展が苦手な人でも邪魔が少ないので綺麗な声帯伸展の動きを感じやすいはずです。

 

感覚的にはそのまま声帯が伸びているように動いている感覚を感じる人もいるでしょうし、「そう言われるとそんな感じもしないでもない」くらいの人もいるでしょうし、「全然そんな感じしないな」という人もいるでしょう。

 

わかりにくい人は音程の振り幅を大きくしたり地声と裏声にしたりするとわかりやすく感じるはずです。

 

『声帯収縮』とは

「声帯収縮」とはその名の通り声帯を縮める力です。甲状披裂筋という筋肉が関わっています。

 

こいつは少し厄介です。

なぜなら『声帯が収縮する力は2種類の作用がある』と考えられるからです。

  1. 低い音にするための収縮(メイン)
  2. 高い音にするための収縮(サブ)

考え方として

  • ①は「弛緩・緩まる」
  • ②は「緊張・硬くなる」

というイメージがいいと思います。

「低くなる?高くなる?どっちだよ!」とよくわからなくなりますよね。

基本は「低くなる」ですし、それだけで考えておいて問題ないのですが、厳密には両方だと考えられています。

つまり、声帯は思ったより器用に複雑に動いていると考えられています。

 

弛緩・音が低くなる

さっきの伸びる力に対して縮むのであれば普通はこのように音が低くなると考えられます。

つまりこれは先ほどの声帯伸展に対して声帯が縮んだということです。

単純に考えると声帯を縮める力なので『音程が下がる力』と考えられます。

これが基本です。

 

ところが、この力は声帯が伸びる力と反比例する力ではなく独立して動かせる

伸びるか縮むかで考えるのではなく、伸びながら縮むこともできるのです。

なので縮むことが音程を低くすると考える場合もあるし、高くしていると考える場合もあるのです(*あくまでサブ)。

緊張・音が高くなる

声帯が緊張する・硬くなることで音程を高くします。

 

音程が高くなる場合の声帯収縮(緊張)は、輪ゴムでイメージすると輪ゴム自体が硬質化するようなイメージです。

輪ゴムがギターの弦のような金属になっていくようなイメージです。

試すことはできないでしょうが、ある程度ピンと張った輪ゴムと金属だったら輪ゴムは「プン」という音で金属は「キン」という音で金属の方が高くなるのが想像できるはずです。

声帯で考えるとイメージはこんな感じで↓

 

声帯を固めることで声帯の振動数を上げて高音を鳴らすのです。

これが『声帯緊張』による音程の上昇です。

 

ただし、この力は音程上昇の主役にはならないと考えられます。

一概には言えませんが、この力を音程上昇の主役にするのは発声的にはあまり良くないのかもしれません。

 

例えば、「喉締め発声」は声帯を引っ張る能力が未熟だから、喉の周りを締めることで声帯を固めて(緊張させて)でも高音を出そうとする発声ですよね。つまり、人の本能は意外とこの緊張による音程上昇を使っているのですが、それが発声的にいいものかどうかはまた別の話なのですね。

声帯収縮・緊張はどういう原理?

声帯収縮・緊張は甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)という筋肉(=声帯筋)が活躍します

これです(*再生位置)↓

甲状披裂筋・声帯筋は難しいことは抜きにほぼ『声帯そのもの』と捉えた方が簡単に考えられるかもしれませんし、それでいいと思います。

 

つまり声帯という筋肉そのものが縮むんですね。

 

実はこの声帯筋は内側とか外側とか色々あり、厳密な機能や役割はまだ議論の余地が残されているようです。

先ほどの動画のように内側甲状披裂筋・外側甲状披裂筋の2層で分けることが多いでしょうが、内側の内側を含めた3層、もしくは分けるべきではないという1層で考えるべき論もあるようです。

一つ言えるのはこの一番内側の甲状披裂筋(声帯筋)は地声という音色を作っている部分であり、独立して縮むことができるということ。

  • 縮むことで厚みを保ち、「地声」にすることができる

と考えられるのですね。

逆にこの一番内側が働いていない状態が裏声↓

これも詳しくは先ほどの「裏返る仕組みの記事」にて書いています。

声帯収縮の体感

コレは非常に体感しにくいものです。

この声帯収縮だけの力を体感するのはほとんどできないでしょう。

 

音程を下げるときに働くこの力(弛緩)はまず感じられないでしょう。

基本的に下げるのは楽になりますから。

 

音程を上げるときに働くこの力(緊張)は喉を締めるようにして音程を上げると感じられないこともないのでしょうが、実質的には声帯伸展(伸びる)力も少なからず働いています。

 

あえて言えばしっかりと脱力した状態でのエッジボイスを発声している時に、この声帯収縮がしっかりと働いていると考えられますが感覚として体感するのは難しいでしょう。

 

まとめ

声帯伸展は『声帯を引き伸ばす力

声帯収縮は『声帯を縮める・緊張させる力

です。

 

声帯をゴムに例えると

「声帯伸展」はゴムを引き伸ばす

「声帯収縮」はゴムを縮める・固める

ということです。

 

この二つの力を理解し、鍛えることで高音が出ない人も出せるようになるかもしれませんし、きっかけをつかんだり、何を練習していくべきなのか道筋を立てられますね。

 

人によって求める発声が違うので一概には言えませんが、どちらかと言えば声帯伸展の方が高い声を出すために重要なのではないかと考えられます。

 

 

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