今回は「女声の出し方」というテーマです。
女声の出し方
女声=『①女性らしい共鳴』+『②女性らしい抑揚表現』+『③女性の音域(裏声はダメ)』
この3つの条件を揃えることが、女声を生み出す方程式になると考えられます。
「女声」とは
明確な定義があるものではないでしょうが、
- 『男性の声帯を持っている人が、女性の声のように聞こえる声を出すこと』
です。
つまり、「いかに”自然な”女性の声に聞こえるか」というのが一番重要なポイントですし、その度合いこそ完成度の高さに直結するものであると考えられます。
メラニー法においても、
メラニー法とは、ボイストレーニングにより女声を出す方法。トランス女性が、外科的処置に頼らずに訓練によって声の性適合を行う場合に習得することが多い。自身も性同一性障害者であるアメリカのメラニー・アン・フィリップス (Melanie Anne Phillips)によって開発された。
「女性」として社会に適合する為には、「声」は重要な要素である。この方法においては高い声を出すことを目的とせず、女声らしい響きをつけることで、相手に女性として認識させようというものである。
重要な部分は『高い声を出すことを目的とせず、女声らしい響きをつけることで、相手に女性として認識させようというものである。』のところですね。
これは、高音に固執せずに発音やイントネーションや音色の作り方を工夫するという意味合いです。
つまり、男性が単に高い声を出すだけでは女性の声っぽくはならないというところが大事なところでしょう。
男性の声と女性の声の違い
女声のトレーニングをする前に、男性の声と女性の声の大きな違いを理解しておくことが重要です。
『この違いを埋めること=女声の出し方』につながります。
①声帯の長さや大きさ
このように、声帯の大きさの違い・長さの違いがあります。
一般的に男性が15〜21mm、女性が10〜15mmくらいの長さとされています(*個人差がある)。
この長さの違いにより男性は声が低く、女性は声が高いのですね。
ただ、音の高低以外の違いはなく、基本的な動きの性能は同じです。
なので、女性の普通の声(地声)を再現するためには、男性の裏声ではダメで、地声のまま音程を上げなければいけないということになります。
地声は「声帯筋」というものが働く発声で、裏声は「声帯筋」が働かない発声という構造です。
男性の声帯であれ女性の声帯であれ、このように地声と裏声は声帯の動きが異なる発声法です。
女性は基本的に地声で話していますから、同じクオリティを求めると男性が真似するときも地声の鳴りが必要になります。
②共鳴腔の大きさの違い
共鳴腔は頭蓋骨の形によって決まるので、男性と女性に若干の差はあれど、鼻腔・口腔に関しては大して差はない。
しかし、『咽頭腔』の差が他の二つの差に比べるとかなり大きいです。
咽頭腔とは、声帯(喉仏)から口腔までの空間のことです。喉仏の大きさや深さ、首の太さの関係で、咽頭腔が男性の方が広く女性の方が狭い傾向にあります。なので、男性の声は太く、女性の声は細いのですね。
女声の出し方
上記二つの差を埋めて、そこに女性らしい抑揚やイントネーションを加えると女声の完成です。
順番は、
- 咽頭腔を狭くする
- 女性らしい抑揚をつける
- 地声で高い声を出す
というのがおすすめです。
①咽頭腔を狭くする
咽頭腔を狭くする方法としては、
- 喉仏を上げる
- 舌の奥を上アゴに近づける
という感覚でできると思います。とにかく『喉の奥の空間を狭くする』というイメージですが、人それぞれ感覚が違うでしょうから自分の感覚で。
自分の喉をコンコンと叩いて音色を高くするこの方法は、わかりやすくてオススメです↓
コンコンと叩く音が高くなっているということは、咽頭腔が狭くなっているということです。
これでまずは『女性らしい響きの形(狭い咽頭腔)』を完成させます。これによって声が鼻(鼻腔)に響くような感覚が強くなります。
②女性らしい抑揚をつける
女性は男性と比較すると、イントネーションや抑揚がやや豊かです。
具体的に何がどうなっているという法則は特にないです。方言などもありますし、女性のタイプによっても変わってくるでしょう。
なので、これをすればいいということは言えないのですが、女性の音声と一緒に声を出してみるなどの練習で、自分が目指す女声の抑揚を研究しましょう。
③地声で高い声を出す
裏声から地声の成分を入れていくようなアプローチしてもいいとは思うのですが、結局地声っぽくないと完成度が高くならないので、最初から地声で高い声を出すのが手取り早いと思います。
女性の話し声の平均はmid2A#〜mid2Eくらいと言われていますし、少し低い女性ならもう少し音程が下に降りてくるので、男性でも地声で出せないことはないですね。
ただし声帯の柔軟性が低く、地声でその音域まで届かない場合はとにかく鍛えるしかないでしょう。
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