発声方法

正しい裏声について【犬ファルセットと猫ファルセット】

投稿日:2020年2月23日 更新日:

今回は『犬ファルセットと猫ファルセット』について掘り下げます。

この記事は

  • 『犬ファルセット』とは
  • 『猫ファルセット』とは
  • この二つの違いが様々な声区の解釈を生み出している?

という内容です。

『犬ファルセット』と『猫ファルセット』

裏声の種類や区分は大きく3つに区分されるのが一般的です。

  • ファルセット
  • ヘッドボイス
  • ホイッスルボイス(フラジオレット)

などに区分されることが多いでしょう(*流派による)。

 

しかし、今回はそういう区分のお話ではなく、

  • もっと根本でファルセットは区分するべきではないか?

というお話です。

 

その区分が

  • 犬ファルセット(正しい裏声・美しい裏声)
  • 猫ファルセット(良くない裏声・美しくない裏声)

という二つの区分です(*「犬ファルセット」「猫ファルセット」は一般的な言葉ではなく、その音色の特徴をわかりやすくするために僕が作った造語です。世間では使えないので注意してください。)

 

裏声は大きく2種類の出し方に分けられると考えられます。

それが

  1. 「犬ファルセット」
  2. 「猫ファルセット」

です。

この二つは音色は似ているけど、実は全く別の発声と考えられます。

にも関わらず、ほとんどの人はこの二つを『裏声』と一括りに定義していると考えられます。

 

何もせずとも犬ファルセットを出せる人もいますし、逆に猫ファルセットの人もいます。

人によるのですね。

 

この大本の部分が違うので、世の中に溢れる裏声の区分や定義や感覚に違いが出るのだとも思います。

 

『犬ファルセット』とは

簡単に言うと

『犬の鳴き声のようによく響くファルセット』です。

  • 綺麗に裏返る
  • 響き渡る
  • 透き通る美しい音色
  • 開放感のある音色
  • スポッと抜けるような音色

おそらく「正しい裏声」と言えるものでしょう。

 

犬や狼の声のように広がりのある音色です。

綺麗に響くような音色のファルセットで、息の倍音が乗りやすく美しい音色になります。

 

犬ファルセット

 

犬ファルセットは正しいファルセットなので綺麗な美しい音色を奏でます。

犬ファルセットの一番わかりやすい点は、『地声系の発声から裏声につなげて移行するときに「スポッ」と抜けるような鳴りがある』ことです。

 

ボトルのコルクを「ポンっ」と抜くような音色を作れるのが特徴です。

「スポッ」と抜ける

綺麗にスポッと抜けますし、美しく響きます。

100%犬ファルセットと言い切れるようなお手本のような美しい裏声ですね。

 

ヨーデルはアルプスの山で遠くの仲間とのコミュニケーションをとる伝達手段であったとされています。つまり正しいファルセットはそれだけ遠くに響き渡るような音色にできるのですね。

 

ヨーデルに限らず、ポップスの裏声においても犬ファルセットは「スポッ」と抜けます。

「できないとゆ〜(スポッ)う〜〜〜〜

「わたしのおも(スポッ)い〜〜すべてをかけて〜

 

このように綺麗な「スポッと抜ける」音色は猫ファルセットの人にはおそらくできないでしょう。

ただ、これができないからと言って『猫ファルセットである』とは言い切れないのが厄介なところです。

 

でもこれができる人は間違いなく『犬ファルセットだ』と言えるでしょう。

 

『猫ファルセット』とは

簡単に言うと

『猫の鳴き声のように響きのないファルセット』です。

  • 綺麗に裏返らない
  • 響かない
  • 金属的な音色
  • 締まったような音色
  • 詰まったような音色

限りなく裏声に近づけたミックスボイスのような音色になるのが特徴です。

 

猫ファルセットの人でも一応ファルセットみたいな音色は出せます。

基本的には少し薄い芯を持ちがちですが、息っぽくすることもできます。

 

まぁ良く言えば「ヘッドボイス(芯のある裏声)」と言う人もいるかもしれません。

芯のある犬ファルセットはヘッドボイスと言えるでしょうが、猫ファルセットはなにか違います。

 

綺麗な抜けるような音色にならないんですね。

  • 綺麗に裏返らない

という現象が起こるのです。

 

むしろ声帯の動きはミックスボイスに近いと考えられます。

『地声と裏声の違いがわからない』と感じる人は猫ファルセットの可能性大です。

 

猫ファルセットはどんな声?

ファルセットは声帯の使い方が地声とは完全に違うので別の音色になるのが普通ですが、この裏返らない音色はすごく薄い地声もしくはすごく薄いミックスボイスに近いような音色になってしまいます。

 

地声と完全に違う声帯の使い方ではなく、限りなくファルセットに近づけた地声・ミックスボイスの一種になってしまうと考えられます。

 

人によってはほとんど聴き分けられないかもしれませんが、正しいファルセットは解放的な音がするのに対し、猫ファルセットはどこかほんのり締まったような閉鎖的な音色、もしくは地声から「薄皮一枚剥いだような薄い芯のある声」になります。

 

つまり犬ファルセットは楽に綺麗に澄んだ音色で、「すぽっ」と抜けるように響くのに対し、猫ファルセットはほんのり締めたようなどこか閉塞感のあるやや芯のある音色で響かないのです。

 

具体例

すごくわかりやすい例は新旧ミッキーの声の違いです。

ミッキーマウスの声優さんは2018年から交代していますが、以前のミッキーの声は『猫ファルセット』現在のミッキーの声は『犬ファルセット』だと考えられます。

「”何が”違うのか」はわからない方もいるでしょうが、はっきりと「”何かが”違う」のはわかると思います。

旧ミッキー

旧ミッキーはほんのりと芯があり、柔らかい鳴りの倍音を持っています。声は斜め前くらいに当たっていることが多いです。レコーディング音声なので意識しないと気づきにくいでしょうが、響きとしてはあまり響きのない音色です。

新ミッキー

現ミッキーは旧ミッキーに寄せてはいますが、息の倍音成分が多めです。声は頭の上に抜けていることが多いです。響き的にはかなり響いています。

ミックスボイス系の発声状態を裏声に寄せているのか(旧ミッキー・猫ファルセット)、裏声自体に芯を持たせようとしているのか(現ミッキー・犬ファルセット)の違いがあります。

ただ、「前のミッキーの方が良く感じるから問題なくない?」と思う人もいるかもしれませんがそれとこれとは話が全く別ですよね(好みや愛着の問題)。

また、旧ミッキーが猫ファルセットだからと言って旧ミッキーの声自体をダメと言っているわけでもありません。これも全く別の話です。

あくまでも参考にする例としてのお話でした。

 

犬ファルセットと猫ファルセットはおそらく微妙な感覚の違いがあると思われます。

 

感覚の違い

  • 「犬ファルセット」は全く力がいらない

です。『全く』です。

むしろバランスを取っている感覚の方が強いはずです。

息の勢いに応じて音色がどんどん大きくなるのも特徴です。息を強く吐けば、周りに響き渡る音色になります。

  • 「猫ファルセット」はかすかに締まったような感覚

かもしれません。

力自体はいらないのですが、若干ほんのりと喉が締まるのです。この『ほんのり』のせいで力を抜いているつもりでも気付きにくい。

息を強く吐いてもある一定の位置で音量に限界がきて、周りに響き渡らせるのは難しい。息の圧力をかければかけるほどに音色に芯を持ったりします。

 

裏返らないのが羨ましく思える人もいるかもしれませんが、決していいものではありません。

  1. 「裏返すことができる上で裏返さない高音」
  2. 「裏返すことができないで出す高音」

は全く違います。

 

後者はおそらく使い物にならないか、鍛えても魅力的ないい物にはならない可能性が高いでしょう。

 

こういう裏返らない人たちはライブ会場とかで「フォオオーーー!!」とかフウゥゥーー!!」とか叫ぶのができないはずです。

あの声って会場に響き渡りますよね。正しいファルセットですもん。開放的に響くのです。

ところが裏返すことができないファルセットもどきみたいな声帯の状態になってしまう人がそんな感じで叫んでも、声量のない閉塞感のある音色になってしまうのです。むしろそんな声すら出せない状態かもしれません。

 

つまり

わかりやすく言うと『猫の声(喉)なのです。犬の声(喉)のように響かない』のです。

 

鳴き声を想像するとわかるでしょう。

つまりこの裏返すことができないファルセットは『ニャー』の音色なのです。

 

こんなファルセットじゃないファルセットをもつ猫の喉になってしまうと、なかなかそこから真のファルセットを身につけるのは容易ではありません。

綺麗にひっくり返らない声帯の使い方になってしまっているのですね。

 

こういう喉の人は少なからずいます。というか、かなりいるのではないかとも思っています。

まぁ割合を調査したわけでもないので正確なことは言えませんが。

 

『輪状甲状関節の亜脱臼』?

詳しいことははっきりと言えないのですが、これは「輪状甲状関節の亜脱臼」というものも原因として考えられる様ですね。

「輪状甲状関節!?脱臼!?なんだそれは!?」という感じでしょう。

 

これまで「高い声が出ない」「高音が出しづらい」「高音が金属音的になる」などは、ボイストレーナーからはテクニックの未習得、耳鼻咽喉科医師からは前筋麻痺(輪状甲状筋の動きが緩慢な状態を指す)と言明されてきたが、輪状甲状関節の亜脱臼の有無を含めた動き具合を調べることも大切

★症状
①声の特徴:高音が出ない、高音が出にくい、声帯ヒダの伸長が叶わないので声帯筋を過緊張させた金属音的高音発声となる、かすれるほどではないが声が張れない
②その他の特徴:会話も歌唱も可能、目視では確認できない、痛みはまったくない、自覚症状がない、日常生活に支障はない、放置しても問題ない

引用元:輪状甲状関節の亜脱臼-『喉ニュース』より

 

もちろんこれだけが原因ということでもないでしょうが、猫ファルセットの人ってこういう理屈なのかもと納得してしまいます。

 

つまり声帯伸展が働かずに、声帯閉鎖が強く働きすぎて(声帯筋の過緊張)しまうのでしょう。

特に「その他の特徴」の欄の「自覚症状はない」という部分は恐ろしいですね。

 

無理な高音域による亜脱臼。

 

例えば

リラックスしながらあくびをして「ふぁあぁー」と高い声で言いますよね?

普段言わない人でも一度くらい言ったことあるはずです。これすら裏返る人は犬ファルセットになるし、裏返らない人は猫ファルセットになるのです。そういう声帯になっているのですね。

 

あなたはどうでしょう?本当に裏返っていますか?楽に響く裏声が出せるでしょうか?

綺麗に出せなくても「フォオオーーー」って響く感じで叫べるのなら大丈夫です。っぽいのなら大丈夫です!

 

街中や公園で「フォーーーー」って叫ぶと周りに響きますか?(実際したら迷惑なので気をつけて。)

猫っぽくないですか?

犬っぽいなら大丈夫です。

「あれ?そう言えばそういう声出せないかも」という方は猫ファルセットの喉かもしれません。

 

猫ファルセットを極めると

実は猫ファルセットを極めることでもある程度の歌唱は可能だと考えられますし、普通に歌を歌う分にはあまり害を感じないかもしれません。

 

カラオケで歌う、趣味で歌うにはこれでも十分でしょうし、ある程度は楽しめるかもしれません。

 

なんなら、ミックスボイスに近い音色なので地声からの切り替えが非常にスムーズ(薄皮一枚剥いだような感じ)になりますし、声自体のコントロールはしやすいかもしれません。

なので表面上は『上手いっぽくなる』可能性もあると思います。

 

「じゃあ、そんなに悪くないじゃん!」と思いますよね。

まぁ人によってはそうかもしれません。

 

しかし、

声の質・発声の質において、犬ファルセットとの差は明らか(主に魅力的な倍音成分の差が大きい)です。

猫ファルセットを頑張って犬ファルセットっぽく聴かせることもできるでしょうが、質が全然違います。

 

人を感動させるような声やプロのように楽器として声を鳴らしたい人は猫ファルセットではなく犬ファルセットが必要だと考えられます。

 

ファルセットの区分の仕方が人によって違う理由はこれ

実は猫ファルセットの中でも

  • 息の多い声質
  • 芯のある声質
  • 低音・高音

という変化をつけられると考えられます。

 

当然犬ファルセットの人も同様です。

 

これが非常に厄介で、世の中に溢れるファルセットの区分をぐちゃぐちゃにしている要因は「犬ファルセット・猫ファルセット』の存在だと考えられます。

このように「犬と猫」それぞれのファルセットに対して『息が漏れる声質・芯のある声質』などが作れてしまうので、人によって言ってることが変わってくるのだろうと考えられます。

 

「ヘッドボイスがどうだとか、息漏れがどうだ」とか情報が溢れかえっていますが、人によって言っていることが様々になる根源はこの犬か猫かの違いが大きいでしょう。

 

さらに言えば、

この「犬喉の人」と「猫喉の人」で裏声の考え方のみならず、ミックスボイスの考え方や定義まで変わってきます。

 

なので、世の中のボイトレ情報はごちゃごちゃしているのだろうと思います。

 

犬と猫の『何が』違うのか?

実は何が違うのかという明確なものは未解明です。

というよりそもそもこのように裏声自体を区分している人が少ないのかもしれません。

 

おそらくほとんどの人が「お前、何言ってんだ」と思っていることでしょう。笑

 

ただ、犬と猫では『何かが』明らかに違うんです。

猫ファルセットは「輪状甲状筋が働かず、甲状披裂筋(声帯筋)を働かせている裏声のような発声」と考えられるのかもしれません。

 

自分自身で「裏声を出せる」と認識されている方の中には、声帯を伸展させず、緊張させることで振動を停止させ、間違った裏声を発している人が多く存在します。貴方は、正しい裏声を発せていますか?

引用元:ボイス・リビルディング『裏声発声のメカニズム』

ボイストレーニング実施時も、当然最初に裏声を発声していただくのですが、実にその9割の人が「力み」でもって裏声を発しています。どんなに「力を抜いてください」と指摘しても、最初の練習で力みを完全排除できる人はほとんどいません。それぐらい、裏声発声時の「力み」が無意識の中でセットになってしまっていることが多いようです。「力み」でもって裏声発声する人は、本来機能すべき輪状甲状筋の代わりに甲状披裂筋を硬化させ「裏声らしき声」を発声していることが多いようです。

引用元:ボイス・リビルディング『裏声の正しい出し方について考える』

 

こちらのサイト(すごく参考になる)で言っていることと全く同じかどうかはわかりませんが、少なくとも似たような考えの方がいるのだと思うとなんか嬉しい。

 

本当に2種類いるんです。あなたの周りにも間違いなくいるはずです。

裏声を正しく身につけるのであれば「犬ファルセット」を身につけることをオススメします。

 

参考

「犬ファルセット」と「猫ファルセット」がまだよくわからない方は、僕のnote『犬ファルセットと猫ファルセットの追究』も参考にしてみてください。

 

 

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