ボイストレーニング

裏声(ファルセット)の出し方・効果・練習方法について

投稿日:2018年8月3日 更新日:

今回はファルセットの出し方や練習方法について書いていきたいと思います。

ファルセットとは裏声のことですね。ファルセットが出せる人にとってはファルセットなんて簡単なのですが、出せない人にとってはこうも難しいのかというくらいに難しいのがファルセットですね。歌にとっては非常に重要なものですし、現代ポップスにおいてはその傾向がどんどん強まっており、歌の中で使われる頻度も増加傾向にあります。

もちろん使わなくても歌は歌えるのですが、歌が上手い人というのは必ずと言っていいほどにファルセットが綺麗です(あまり使わない人でも)。それだけ重要だということです。ただ、ファルセットは正しいファルセットが出せることが重要です。僕は正しいファルセットを『犬ファルセット』悪いファルセットを『猫ファルセット』と名付けています。

正しいファルセットが出せると

  • 綺麗な高音が出せる
  • 喉の柔軟性が向上する
  • 表現の幅が広がる
  • 歌が上手くなる

今回はそんなファルセットの出し方や練習方法についてについて書いていきたいと思います。

裏声(ファルセット)とは?

裏声もしくはファルセットという呼び方をします。裏声というのは地声に対して薄く高い音です。声帯の一部を使って発する声なので地声に対して弱い声質になります。

音としてはフクロウの鳴き声狼の遠吠えのような音です。

【例】

  • 狼の鳴き声のマネ
  • フクロウの声
  • ミッキーの声
  • ヨーデルの裏返った部分
  • 森山直太朗さん「さくら(独唱)」の「いま咲き誇る」のマーカー部分

声としてあまり使う頻度が少なく、特に男性は普段生活してる分にはほとんど使う機会がないでしょう。女性であれば地声との音程の乖離が小さいので実は結構使っていたりします。

ファルセット・裏声自体はそこまで特殊な用語でもなく、日常で使うような言葉なのでこのような説明はいらないかもしれませんね。

ただ、ファルセットが出せているつもりでも正しいファルセットが実は出せていないという方は結構います。男性でも女性でも。

僕が勝手に名付けているのですが、正しいファルセットは『犬ファルセット正しくないファルセットは『猫ファルセットと呼んでいます。僕が勝手につけているので世の中では通用しないので注意してください。

まずは『正しいファルセット』を認識しよう

まずは正しいファルセットを認識することが重要です。つまり犬ファルセットであることが重要です。猫ファルセットはダメです。

これから身につけるのは犬ファルセット(正しいファルセット)です。まずはこれを認識することが一番重要であるとも言えます。ちなみに上記で書いたファルセットの例は犬ファルセットです。もしもこれを認識できていないで間違った猫ファルセットの状態ではいくら練習しても壁にぶち当たることになります。なので正しいファルセット認識することが重要なのです。もちろん普通に正しい「犬ファルセット」を出せる人も大勢います。ただ「猫ファルセット」も結構いるのです。

ではこの2種類のファルセットについて順を追って説明していきます。少し長くなるのでお付き合いください。「絶対正しいファルセットは出せてるよ。練習法は?」という方は読み飛ばして記事の後半へお進みください。

実は『ファルセット出せない人』は結構いる

ファルセット出せない人って結構いますね。実は、プロのシンガーでもこれファルセット出ないんだろうなっていう人や昔は出てたけど出せなくなっている人は普通にいますね。

もちろん何もしていない一般の方でも出せる人は出せるし、出せない人は出せないですね。でも本来子供の頃とかは出せたはずなんですよね。そういう人が多いはず。それがだんだん使わないから出せなくなってしまうのですね。

性別の差でいうと、男性の人の方が出せない人は多いでしょうが、女性の方でも普通にいます。

このような人たちがどのような状態になっているのかというと高音は出せても「裏返らない」のです。もっと正確に言うと「綺麗に裏返らない」のです。これが「猫ファルセット」という状態です。

『猫ファルセット』とは

ファルセットが出せない人でも誰でも一応、高音は出せます。でも綺麗なファルセットにならないんですね。「綺麗に裏返らない」という現象が起こるのです。

ファルセットは声帯の使い方が地声とは完全に違うので別の音色になるのが普通ですが、この裏返らない音色は薄い地声もしくは薄いミックスボイスに近いような音色になってしまうんですね。地声と完全に違う声帯の使い方ではなく、限りなくファルセットに近づけた地声・ミックスボイスの一種になってしまうのです。

ファルセットは解放的な音がするのに対し、このファルセットもどきは締まったような閉鎖的な音色になります。このファルセットもどきが『猫ファルセット』です。

つまり本当のファルセットは楽に綺麗に澄んだ音色ですぽっと抜けるように響くのに対し、ファルセットもどきは締めたようなどこか閉塞感のあるやや芯のある音色で響かないのです。

 

裏返らないのが羨ましく思える人もいるかもしれませんが、決していいものではありません。

「裏返すことができる上で裏返さない高音」「裏返すことができないで出す高音」は全く違います。後者はおそらく使い物にならないか、鍛えてもいい物にはならないでしょう。

こういう裏返らない人たちはライブ会場とかで「フォオオーーー!!」とかフウゥゥーー!!」とか叫ぶのができないはずです。あの声って響きますよね。会場に響き渡りますね。ファルセットですもん。開放的に響くのです。裏返すことができないファルセットもどきみたいな声帯の状態になってしまう人がそんな感じで叫んでも、声量のない閉鎖的な感じになってしまうのです。むしろそんな声すら出せない状態かもしれません。

わかりやすくいうと

猫の声(喉)なのです。犬の声(喉)のように響かない。

鳴き声を想像するとわかるでしょう。つまりこの裏返すことができないファルセットは『ニャー』の音色なのです。

こんなファルセットじゃないファルセットをもつ喉になってしまうと、なかなかそこから真のファルセットを身につけるのは容易ではありません。綺麗にひっくり返らない声帯の使い方になってしまっているのですね。

こういう喉の人は少なからずいます。結構います。

『輪状甲状関節の亜脱臼』?

詳しいことはわからないのですが、これは「輪状甲状関節の亜脱臼」というものが考えられる様ですね。

「輪状甲状関節!?脱臼!?なんだそれは!?」という感じでしょう。他サイトですがこちらに詳しく書かれています。僕も詳しくはないのでなんとも言えませんが、猫ファルセットの人ってこういう理屈なのかもと納得してしまいます。

プロの人がだんだんファルセットが出せなくなったりすることがあるのもこれではなかろうかと思うのです。無理な高音域による亜脱臼。(ちなみに僕個人もこれだったのかもです。わかりませんが。でもなんとか取り戻しました。そのことについてはこちらに書いています。

例えば、リラックスしながらあくびをして「ふぁあぁー」と高い声で言いますよね?普段言わない人でも一度くらい言ったことあるはずです。これすら裏返る人はファルセットになるし、裏返らない人はファルセットもどきになるのです。

あなたはどうでしょう?本当に裏返っていますか?楽に響く裏声が出せるでしょうか?綺麗に出せなくても「フォオオーーー」って響く感じで叫べるのなら大丈夫です。犬や狼っぽいのなら大丈夫です!

街中や公園で「フォーーーー」って叫ぶと周りに響きますか?(実際したら迷惑なので気をつけて。)猫っぽくないですか? 犬っぽいなら大丈夫です。「あれ?そう言えばそういう声出せないかも」という方は猫ファルセットの喉(ファルセットもどき)かもしれません。

この猫ファルセットの喉になってしまっている人は

この真のファルセットと呼べない猫ファルセットになってしまっている人は基本的に魅力的な高音を出せないことが多いですね。自由に歌えなかったり、気持ちよく歌えなかったり、声量が全然出なかったり。

まぁ基本的にはあまり歌が上手くないと言える人が多い気がします。そのせいで喉が硬いというか、大事な部分が使えなくなっているのか、、。もしくは逆に、金属的な高音を出せるというパターンもあります。これは必死で練習したタイプですね。猫ファルセット猫ミックスボイスを極めたような感じです。

「裏返らないんならいいんじゃね?」と思いますか?まぁ個人の自由ですが、人を魅了する声にはならないはず。

高音を出せるのと歌えるのは違いますからね。

猫ファルセットすら出せない人は

「そもそも裏返らないし、高音すら全く出せないよ!」という方はある意味ラッキーですね。変な癖はつけずにすみます。が、すでに裏返らない時点で猫ファルセット予備軍です。

本当のファルセットを身につけない限りは同じです。出せる人はもうなんの苦労もなく出せるのです。「高音で叫んでみて」と言えば、簡単に「フォーーーー」「フゥーーーー」と出せるのです。「ミッキーだよ、ハハ!」って出せるのです。

そういう喉なのです。生まれながらの犬ファルセットなのです。そしてそれを持ち続けているのですね。

ファルセットの出し方・練習方法

では具体的にファルセットの出し方を書いていきます。

基本的なアプローチ編

やり方

  • 狼の遠吠えのように叫んでみましょう「アオーーーーン」
  • フクロウの鳴き声のように「ホー ホー ホー」
  • マイケルジャクソンのように「フォオオウ!」
  • ハミングした状態で全く力を入れずに「フン」と高い音を出してみる

どうでしょうか?できましたか?部屋中に響く感じですか?息っぽい感じですか?猫っぽくなくて犬っぽいなら大丈夫です。まぁこれでできた人はもともとできる人でこんなの読まなくてもできる人です。

「今までできなかったけどできた」という人は限りなく少ないでしょう。

「じゃあ、書くなよ!」って話ですが、こういう説明以外でファルセットを説明するのはなかなか難しいのです。

自転車乗れない人に乗り方を言葉で説明するような難しさ。乗れる人は乗れるし、乗れない人は乗る練習をするしかないですよね。それと同じです。

まずは「ほんの少しファルセットができた方」へ

綺麗ではなかったけど、狼っぽかった。汚い声だけどマイケルだった。ちゃんと響く感じがしたし、裏返っているし、力もあまりいらずに高い音が出たという人はOKです。おそらくまだ使えないファルセットで、ガラッとしたり綺麗に鳴らなかったりするかもしれないですが、おそらくちゃんとしたファルセットでしょう。

この場合はその声をたくさん出していくしかないのです。1音しか出せないのならその音をしっかり鳴るようにたくさん出す。そこから低音・高音に少しづつ押し広げていきます

ファルセットの低音域・高音域を広げる練習方法については記事後半に書いています。

「全くできなかった方」へ

これが非常に難しく険しい道のりですね。おそらくあなたは猫ファルセット猫ファルセット予備軍です

ファルセットを使う神経が衰退している状態ですね。

この場合結構練習しないといけないので、諦めずに頑張りましょう。

練習方法・開発方法

  • 一切の力を入れずに「あー」と声を出す
  • 低めの地声になったでしょう
  • ここから一切の力を入れずに音をあげていきます
  • 一切の力が入ってなければほとんど音階上げることはできないはずです
  • それでも音を上げていきます
  • すぐに地声の限界点にきます
  • その上の音を絶対に脱力状態を維持したまま上げます
  • (ここでファルセットが出せる人だと「スポッ」て空気が抜けるようにすぐにファルセットに切り替わります。)
  • ここでになった方はその先に綺麗なファルセットはないのでやり直し
  • ここで「ひっくり返るという感覚=今まで使っていた部分を使わなくなる感覚」を感じる
  • おそらくデスボイスのようなもの・もしくはガラガラと鳴る・もしくはカサカサと鳴る、声じゃないような声。でもなんか息は出てるな。という声になると思います。

これが正しいファルセットの『です。猫喉の人が犬ファルセットを見つけるための『です。

この種ファルセットを出し続けることが重要です。それはもう聞けたもんじゃない声ですし、出している自分が不愉快になるような声ですが、これを出し続けないとファルセットが開拓されません。神経を1から開拓するようなものなのです。足の小指だけを動かせるようになる練習のようです。最初は全くできないでしょう。

最初のうちは全くファルセットになる気がしないと思いますが、続けていくうちに少しづつファルセットが出るようになってきます。ただ、根気よく練習しないと全然育ちませんし、これでいいのかと自問自答するような道のりになるかと思われます。

高音ファルセット(裏声)の練習

ではファルセットが出せるようになったとして、ファルセットの高音域を開発していくトレーニングを書いていきます。

高音ファルセットのお手本

高音域のファルセットが苦手な人はファルセットの声帯の使い方での閉鎖ができない人ですね。もしくはその閉鎖で呼気圧を支えられない状態です。

全ての声はそうなのですが、ファルセットも息をたくさん吐くだけでかなり高い音になります。それが支えられるようになればいいので、高音練習は強くファルセットを出す練習をすればいいのです。

練習

  • ファルセットでなるべく大声を出す
  • 「は」の発音で。まぁ割となんでもいいのですが。
  • しっかりと息を吐いて叫ぶ寸前くらいまで音量をつけてもいいです。
  • 必然的に限界点に近い高音を出している状態になる

とにかく高音域は呼気圧に耐えられる力(声帯コントロール)を身につけるのが大切です。ファルセットの高音は普段使わないだけで、出していると結構身につきます。最初は喉が痒いような痛いような感じですが、慣れてい食はずです。

あとは「ヒ」トレーニングなんかで高音ファルセットを練習するといいかもしれません。

低音ファルセットの練習

次はファルセットの低音域です。

低音ファルセットお手本

低音域のファルセットは結構難しいですね。

高音ファルセットのように力押しができないですからね。どちらかと言えば、バランスを取る感覚というか。地声に落っこちない範囲の裏声で低音域を出すのですから。低音ファルセットも基本的には押し広げていくしかないです。急には出ないでしょう。

ファルセットの状態で喉仏が下げられるのならおそらくできるでしょう。

練習

  • ファルセットでなるべく低い音を出す
  • 喉仏を触りながら練習する

下方向への響きをつけやすくする「ボイ」トレーニングで音域を下げていくのが有効でしょう。こういう低音系のトレーニングとファルセットを掛け合わせることで、ファルセットの低音域を押し広げていくことができます。

しかし、ファルセットには限界もあるのでいくら頑張ろうと超えられない壁はあります。が、そんなに低い音のファルセットは普通使わないでしょう。

ファルセットの声質について

ファルセットは本来息の成分が多くなる性質を持っています。これは当然と言えば当然ですね。

ココがポイント

ファルセットは声帯の一部を使って声を出す発声法です。

声帯の一部のみが綺麗に閉じ合わせている状態なので、当然閉じていない部分は息が漏れます。結果息の多い発声になりますし、息の倍音も多くなります。

芯のあるファルセットは、その声帯の一部の閉鎖が強めに閉鎖することで芯のあるファルセットになるのですね。

もともと息が多い性質を持つ発声なら、息をしっかり吐けるようにするトレーニングは必要ないと思うでしょうが、そうではないですね。息が多いファルセットを使うなら、より一層息が多い方が綺麗な倍音で通るファルセットになります。であれば、鍛える必要がありますよね。

芯のあるファルセットは、ファルセットの状態で声帯閉鎖を強めないとできないので、これも鍛える必要があるのです。ファルセットをコントロールできる人の場合は比較的どちらもコントロールできるので、結局ファルセットを極めるにはどちらも練習が必要です。

『息の多いファルセット』の練習方法

ファルセットの練習方法も基本的には地声やミックスボイスと変わらないです。息が多く吐けるような声を作るトレーニング方法はどの声の種類も変わらないですね。

ドッグブレス「スー」「ズー」トレーニングなどをファルセットを使って練習するのです。特に「ha」や「ho」の発音での練習がいいでしょう。

これはさほど難しい練習ではないので、しっかりと続けることが重要ですね。

『芯のあるファルセット』の練習方法

芯のあるファルセットはファルセットの状態で声帯閉鎖を強めなければいけません。こちらも地声やミックスボイスの練習方法と変わらず声帯閉鎖を強めるトレーニングになります。

「ネイ」「ヤイ」トレーニングや裏声でのエッジボイスのトレーニングによって芯のあるファルセットを身につけられます。

裏声を鍛える効果『輪状甲状筋を鍛える』

『輪状甲状筋』とは

簡単に言うと喉仏に付随する筋肉で主に音程の調整を担っている筋肉です。特に高音へ引っ張り上げるような筋肉なのでここを鍛えると音程をコントロールしやすくなるわけです。

この筋肉が発達している人は歌がうまいと言われるほどに歌の中で重要な筋肉なのです。声帯に直接関わる内喉頭筋ですね。

この筋肉を鍛えるのに最適なのが裏声

裏声はこの筋肉をメインで使って発声されています。つまりこの筋肉を使うことで鍛えられるわけです。また、この筋肉が発達していると綺麗な裏声が出せるとも言い換えられます。

当然この筋肉は裏声以外でも使われますから、この筋肉が発達している人ほど高音発声が得意ということになります。もちろんミックスボイスの上達にも大きく繋がります。

輪状甲状筋を鍛えるのには地声とファルセットの交互発声の練習もオススメです。

裏声が上手い人は歌が上手い?

先ほども書きましたが、裏声に使う筋肉は歌の中で大きな役割を持っています。輪状甲状筋ですね。

その筋肉を動かす能力が高いということはそれだけ発声・声帯をコントロールする能力が高いということです。それだけで歌がうまいと言い切れるものではないのはもちろんですが、プロのシンガーの中でも一流の人は大抵最高級のファルセットを持っていることがほとんどです。

つまり声帯のコントロール能力を格段にあげるのが輪状甲状筋でそれをよく使う人が歌が上手いのは当然ということです。

ちなみにですが、歌の上手さは声帯のコントロール音楽的感覚によって決まります。この二つが重要でそのうちの一つを向上させるものが裏声なのですね。

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