今回は「声と筋トレの関係性」「ボイトレに筋トレは必要なのか?」というテーマです。
ボイトレに筋トレは『必要ない』
はじめに
ここでの『ボイトレ』は
- 発声練習など声に直接関わるトレーニング
ここでの『筋トレ』は
- 腕立て 腹筋 背筋 ランニング インナーマッスルなど声を出すのとは直接関係ない部分のトレーニング
として話を進めます。
「歌が上手くなるためには筋トレはなくてはならないもの?」という疑問はよくあるでしょうが、これは結論から言いますと、
- ボイトレに筋トレは『必要ない』
と考えられます。
その理由は直接的な因果関係が薄いと考えられるからです。
誤解しないで欲しいのですが、「必要ない」とは『やっちゃダメ』という意味ではなく『やらなくていい』という意味です。
その理由について掘り下げます。
ボイトレと筋トレは直接的な因果関係が薄い
もし、『筋トレ』が歌が上手くなるために必要なものであれば、
- プロスポーツ選手やボディービルダーは大抵歌が上手いことになる?
- 歌が上手い少年少女は存在しないことになる?
- プロシンガーはみんなムキムキなのか?
など色々とおかしな点が生まれます。
例外が多すぎますね。そういう意味では筋トレは『なくてもいいもの』のはずです。
冷静に考えれば誰もがわかるとは思いますが、
- 一年間、腕立て・腹筋・背筋などを鍛え続ける
- 一年間、ボイストレーニングを続ける
のではどちらが歌が上手くなるでしょう?どちらが声が良くなるでしょう?
絶対ボイトレした方が声に関してプラスになりますよね。やはり喉(声帯)を直接動かしている部分を鍛える『ボイトレ』と、間接的にしか関わっていない部分を鍛える『筋トレ』とでは雲泥の差があります。
そういう点で直接的な因果関係は薄いと言えるでしょう。
では歌いながら筋トレすることは?
ボイトレと筋トレを同時進行でやるのはどうか?というのも考えられますね。
プロのシンガーでもやっているのを時々見かけます。
こんなイメージ(*再生位置)↓
これはどうなんでしょうね。
個人的にこれは「筋トレ(ボディシェイプ)のついでに声も整えている」が正解だろうと思います。
『筋トレと同時にボイトレすることでボイトレ効果が上がる』という理屈に結びつけるのは難しいでしょうから、やはり切り離して考えるべきかと。
ただし、同時にすることは『喉周辺に集中してしまう意識を分散させる』のには効果的だと思います。
例えば、喉に変に力が入ってしまう癖を抜くときなどに「腹筋しながら声を出す」「スクワットしながら声を出す」「ジャンプしながら声を出す」「走りながら声を出す」などをすると、動かしているところに意識が分散して喉に余計な力が入りにくくなる。
結果として、自然ないい発声を身につけやすくなります。
こういう点では筋トレしながらボイトレするのは効果的とも言えます。
筋トレで声が変わる可能性もある
ただ、筋トレしていたら声が変わる・良くなるなども考えられます。
「どっちだよ!」とツッコミたくなるでしょうが。笑
しかし、勘違いしないで欲しいのですが『声を良くしようとして筋トレすることはあまり意味がないが、筋トレしていて偶然声が良くなる可能性はある』という意味です。
それは筋トレで
- 体型が良くなる?
- 姿勢が良くなる?
- 体全体のバランスが良くなる?
からなのかわかりませんが、筋トレの副産物として発声の質が良くなることはあるでしょう。
あくまでも『間接的な因果関係が上手く結びついた』ということですが、そうなる可能性はあるということですね。
つまり、
- 筋トレだけをしていても歌は上手くならないが、歌の練習をしながらついでに筋トレしているとそれもプラスに働く可能性がある
というくらいで考えておくといいのかもしれません。
そこまで大きなプラスになるとは考えにくいですが、プラスにならないことはない。
逆に声が悪くなる
同じ理由で筋トレすると声が出しにくくなることや歌が下手になるなども考えられないことはないです。
筋トレの影響が悪い方に出てしまったということになります。
ただし、直接的に影響しないという点で『筋トレが大きな害になる』ということもあまりないだろうと考えられます。
つまり、筋トレはプラスにもマイナスにもなる可能性はあるがそこまで大きな影響にはならないだろうということです。
筋トレすると声が低くなる?
『筋トレしたら声が低くなる』とよく言われます。
これは体型の変化なども若干関係があるでしょうが、ほとんどは『ホルモン』によるものだと考えられます。
特に筋トレはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが多く分泌されるので、そのホルモンの影響によって声が若干低くなる可能性があります。
男性ホルモン・女性ホルモンは声の形成にも大きく影響を与えるものです。例えば、テストステロン注射によって女性の声を持っている人も男性の声へと変化します。
性同一性障害 Female to Male(FTM/GID)症例に対する男性ホルモン投与では声が低くなることが経験的に知られている
テストステロンによる声の変化の例↓
このようにホルモンは声に対して大きな影響力があります。
もちろんこれは医療行為によって体を変化させるくらいのものなので「筋トレ」とは比べものになりませんが、筋トレによってテストステロンが増加するのであればかなり小さいながらもこのような変化は起こると考えられるわけです。
なので、若干ではありますが筋トレをすると声は低くなっていくことも考えられます。
あくまでも理論上はそうなのですが、そこまで気にしなくてもいいことかとも思います。