今回は『ボイトレと筋トレの関係性』についてです。
この記事は
- ボイトレに筋トレは必要なのか?
- ボイトレと筋トレは直接的な関係が薄い
- 筋トレで声が変わる可能性
- 必要な筋肉はボイトレでついてくる
という内容です。
ボイトレに筋トレは必要なのか?
はじめに
ここでの『ボイトレ』は
- 発声練習など声に直接関わるトレーニング
ここでの『筋トレ』は
- 腕立て 腹筋 背筋 ランニング インナーマッスルなど声を出すのとは直接関係ない部分のトレーニング
とします。
「ボイトレに筋トレが必要なのか」。
つまり、「歌が上手くなるためには筋トレはなくてはならないもの?」という疑問ですね。
結論から言いますと、
ボイトレに筋トレは『必要ない』
と考えています。
理由は
『直接的な因果関係が薄いと考えられるから』
です。
誤解しないで欲しいのですが、「必要ない」とは『あってはダメ』という意味ではなく、『なくていい』という意味です。
その理由について掘り下げます。
ボイトレと筋トレは直接的な因果関係が薄い
もし、『筋トレ』が歌が上手くなるために必要なものであれば、
- プロスポーツ選手やボディービルダーは大抵歌が上手いことになる?
- 歌が上手い少年少女は存在しないことになる?
- ふくよかな体型の歌うまゴスペルシンガーは筋トレしているのか?(運動してないことはないでしょうが)
- そもそも歌が上手い人はみんな筋トレしているのか?
などおかしな点が生まれます。
例外が多すぎます。
確実に筋トレは『なくてもいいもの』のはずです。
なぜか?
やはり直接的な因果関係が薄いと考えられます。
もちろん筋トレすることで声が少しくらい出しやすくなったりすることもあるでしょう。でもちょっとだと思います。
- 一年間毎日30分腕立て・腹筋・背筋などを鍛え続ける
- 一年間毎日30分ボイストレーニングを続ける
のではどちらが歌が上手くなるでしょう?どちらが声が良くなるでしょう?
絶対ボイトレした方がいいですよね。
筋トレしても体がムキムキになるだけです(まぁいいことかもしれませんが)。
ココがポイント
やはり喉(声帯)を直接動かしている部分を鍛える『ボイトレ』と、間接的にしか関わっていない部分を鍛える『筋トレ』とでは雲泥の差があります。
発声の根源である『声帯や喉』とそれらに間接的に関わる『その他の体の部分』。
どちらを鍛えるべきかは明白ですね。
なので、歌が上手くなりたいのなら腹筋なんてやってないで発声練習した方がいいです。
筋トレで声が変わる可能性
ただ、筋トレしていたら声が変わる、良くなるということも考えられるでしょう。
「どっちだよ!」とツッコミたくなるでしょう。笑
でも勘違いしないで欲しいのですが、
『声を良くしようとして筋トレすることはあまり意味がないですが、筋トレしていて偶然声が良くなることはある』という意味です。
それは筋トレで
- 体型が良くなる?
- 姿勢が良くなる?
- 体全体のバランスが良くなる?
からなのかわかりませんが、筋トレの副産物として発声の質が良くなることはあるでしょう。
まぁつまり筋トレで声が良くなったら結果論なんです。
ココがポイント
筋トレだけで狙って声を良くすることは非常に難しく遠回りでしょう。
それならボイトレしたほうが何倍も早いです。
しかし、筋トレしていたら声が出しやすくなる可能性を秘めていることも考えられなくはない。
という風に筋トレはあくまで結果論。
『間接的な因果関係が上手く結びついた』というところでしょう。
筋トレで声を良くするのは難しいのですね。
逆に
筋トレすると声が出しにくくなることも考えられますが、直接的に関与しないという点で『筋トレが害になる』ということもあまりないと考えられます。
筋トレすると声が低くなる?
『筋トレしたら声が低くなる』とよく言われます。
これはどういう理屈なのでしょう?
体型の変化なども全く関係なくはないでしょうが、ほとんどは『ホルモン』によるものでしょう。
特に筋トレはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが多く分泌されるので、そのホルモンの影響によって声が低くなる傾向になるというのも考えられなくはないですね。
男性ホルモン・女性ホルモンは声に大きな影響を与えるものです。
特に声の形成の大きく影響を与えるみたいですね。
LGBTの方で男性の体になりたい女性の方が男性ホルモン注射をすると声が低く男性のようになるそうです。同じ理由で更年期以降の女性の方は女性ホルモンの減少で声が低くなることが言われていますね。
性同一性障害 Female to Male(FTM/GID)症例に対する男性ホルモン投与では声 が低くなることが経験的に知られている
また、世界的スターのマイケル・ジャクソンさんは地声から非常に高いですね。
あれは成長期の去勢治療が原因だったと言われています。
マイケルの声域の広さは抗男性ホルモン物質「シプロテロン」による化学的な去勢が原因との結論に至った。
これが本当かどうかはさておき、ホルモンによって声変わりを防ぎ高い声を保つことなどは普通にあり得るようですね。
声変わり前のマイケル。
声変わり後のマイケル。
どっちも最高!笑
まぁつまりホルモンは声に対して大きな影響力があり、筋トレによるテストステロンが声を低くするというのは考えられなくはないのかもしれませんね。
必要な筋肉はボイストレーニングでついてくる
上記のように筋トレすることで声になんらかの変化がある可能性はありますが、基本的に『歌が上手くなりたいのなら・声を良くしたいのなら』ボイストレーニングをするべきでしょう。
例えば
腹筋なんていらないですよね。
歌うために腹筋だけしても、腹筋がバキバキになるだけです。おそらくそのバキバキの腹筋は発声にほとんど手を貸してくれないでしょう。
逆に、お腹に関連のあるボイストレーニングをやれば『発声に必要な腹筋』が鍛えられます。
見かけ上はバキバキにならないでしょうが、声は良くなります。
発声に必要な筋肉は『発声で鍛えるのが一番効率的』だと考えます。
その上で筋トレをしたい人は筋トレすればいいと思います。