ボイストレーニング

【エッジボイス】のやり方・効果・練習方法について

投稿日:2017年10月16日 更新日:

今回は「エッジボイスについて」がテーマです。

歌のテクニックやボイストレーニングとして使われる「エッジボイス」。

このトレーニングは歌唱中のテクニックはもちろんのこと、細かい声帯の使い方や鳴りのコントロール、甲状披裂筋(声帯筋)の開発などに役立ちます。

『エッジボイス』とは?

『エッジ』とは

ふち。へり。端。
刃物の刃。刃物の切れ味。また比喩的に、人を刺激する鋭い感覚。「エッジの効いたデザイン」

引用元:コトバンク「エッジ」より

このような意味があります。エッジのある声で「エッジボイス」です。

海外だとそのままの意味になってしまうので、『ボーカルフライ』と呼ばれることが一般的なようです。

 

 

『エッジボイス』というのは

  • 声帯を『最小振動数』で鳴らす技法

と捉えるとわかりやすいです。

主にカラカラ・ジジジジ・ビビビビなどのような音で、「声」というよりは「声の素」だけを鳴らしているような音です。

 

 

ちなみにボーカルフライの「フライ」はfly(飛ぶ)でなはく、fry(揚げ物)の方です。エビフライのフライ。『パチパチ』とした揚げる音に似ているためでしょう。

 

 

ほとんど息を必要とせずに、どちらかと言えば息を止めている感覚の方が強いでしょう。

つまりエッジボイスは『声帯が閉じている状態を作りそこに声帯を最小振動させるくらいの息を通せば鳴る』ということです。

 

エッジボイス

洋楽系の発声は軽いエッジボイスの延長線上で発声します。

なので歌の随所にエッジボイスの「カラッとした音」が含まれます。

わかりにくい人はイヤホンで聴くといいかもしれません。


エッジボイスの効果について

まず最初に言っておきたいのが、エッジボイスは

  • 『発声を劇的に改善するトレーニングにはならないだろう』

ということです。

 

エッジボイスってかなり有名なトレーニングなので必要以上に効果を期待されていることも多いですが、期待しすぎるのは良くないということです。

 

例えば、「エッジボイスだけをひたすらやり続ける」ことで効果が倍増するとか、「エッジボイスが一番いい練習」とかそういう風に期待すると『効果がない練習』に感じるかもしれません。

 

あくまでたくさんの練習方法の中の一つとして考えるといいと思います。

 

そういう面を大前提にして、エッジボイスの効果は

エッジボイスの効果

  1. 声帯をコントロールする力を身につける
  2. ミックスボイス(高音発声)を鍛えるのに役立つかも
  3. 声門閉鎖を鍛える
  4. 歌の表現の幅が広がる

というものが考えられます。

 

①声帯をコントロールする力を身につける

声帯の内側の力・声帯自体が収縮する力である『声帯収縮・緊張』を鍛える効果があるということです(甲状披裂筋を鍛える)。

 

コレは『筋トレのように筋肉が盛り上がっていくような感じの鍛える』ではなく、

  • 『神経を開発するような意味合いでの鍛える』

というニュアンスが強いと考えられます。

 

例えば

足の指を閉じたり広げたり、グーチョキパーが表現できるなど自由に動かせる人ってなかなかいないですよね。コレはそれほど動かす必要がないので神経が衰退しているのですね。

足の指を動かすトレーニングをしたり、手でたくさん動かしてあげたりすると、神経が発達して足の指を結構自由に動かせるようになるみたいですね。

このような「神経開発」みたいな意味での「鍛える」です。

 

内側の力(声帯筋)をたくさん動かすことで、神経が開発されて声帯のみを上手くコントロールができるようになってくると考えられます。

 

この『声帯筋』を開発するような働きこそがエッジボイスの一番重要な目的のように感じます。

これはのちほど説明する内側を意識したエッジボイスで開発できると考えられます。

 

②ミックスボイス(高音発声)を鍛えるのに役立つ

ミックスボイスについて』の記事に詳しく書いているのでここでは簡単に述べますが、上記で書いている声帯の内側の力(声帯筋)こそミックスボイスにおいて大事な役割を持っていると考えられています。

エッジボイスが高音発声に役立つだろうと考えられるポイントはここでしょう。

 

声帯伸展が働いている状態で声帯収縮を共存させないといけないので、上記で書いたような声帯のみの収縮ができるような神経を開発する必要があるのですね。

 

③声門閉鎖を鍛える

声帯自体を左右に閉じる力も当然働きます。

④歌の表現力が向上する

エッジボイスの効果は『歌の表現力が向上する』ということもあります。

表現力が上がると言い切るのは少し語弊がありますが、言い換えると『表現の幅が増える』ということです。

 

特に洋楽なんかでは多用されることが多いです。(というか英語はエッジボイスの延長線上のような声の出し方です。)もちろん邦楽でも使われます。

 

特に歌いだし、つまり言葉の最初をエッジボイスではじめることで歌に哀愁や深み・心地よさを生み出すように思えます。

乱用しすぎるのはよくないのかもしれませんが、適度に上手く使用することが表現の幅を広げるはずです。

 

『エッジボイス』の出し方・練習方法

エッジボイスの出し方

まずは普通に「あーーーーー」と発声してみてください。

口はしっかりと開けた状態がいいでしょう。

その「あーーー」という状態から声帯のニュアンスをそのままに声量だけを絞っていきます。

声の音量を落としていき、吐く息の量を弱めていくと声にできなくなる点(音にならない点)が出てくると思います。

その声にならなくなりそうなギリギリの点はおそらく「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」という状態になっていると思います。声の源だけ鳴っている状態です。

 

つまり、

声帯で息を止めている感覚を作りそこに声帯がカラカラと鳴るくらいの少量の息を通します

これが『エッジボイス』です。

 

そしてこのエッジボイスは

  1. 『声帯の外側の力を主体にしたエッジボイス』
  2. 『声帯の内側の力を主体にしたエッジボイス』

があると考えられます。

 

この二つが音としてはほとんど同じ音でエッジボイス と言えるので「歌の中での表現技法」として使う分にはどちらでも特に問題はないのです。

しかし、トレーニングとしては目的によって大きな効果の差が現れるかもしれません。

 

もしかしたらエッジボイスの効果が出ない人はこの違いによるものかもしれません。

 

2種類のエッジボイス

エッジボイスは

  • 声帯の内側の力メインのエッジボイス
  • 声帯の外側の力メインのエッジボイス

があると考えられます。

 

声帯は色々な力で閉じたり締まったりする

まず『声帯は色々な力で閉じたり締まったりするということを理解しておかなければなりません。

声帯が閉じる動きのことを『声門閉鎖』『声帯閉鎖』などと言ったりします。

 

この声門閉鎖はかなり複雑な複数の力の働きで声帯を閉じます(解明されていないことも多いらしい)

ここでは難しいことは置いておいて声帯を閉じるにはいろいろな力があるということだけ知っておけばいいと思います。

いろいろな力があるので

この

  • 「声門を閉鎖させるのにはいろいろな力がある」

そして

  • 声門を閉鎖させた状態に軽い息を通せばエッジボイスになる」

ということは、

「いろいろな力のどこを主体に閉鎖させるか」エッジボイスの出し方は分類ができますし、「いろいろな力をどれくらい使って閉鎖させるか」エッジボイスのトレーニング効果が変わってきますよね?

 

こういうことから大きく分けると

  • 『声帯の外側主体のエッジボイス』
  • 『声帯の内側主体のエッジボイス』

という二つのエッジボイスが考えられるのです。

 

*コレはあくまで力を使う割合の話で完全に違う部分を別々に使っているというわけではないのでそこは気をつけてください。

 

図は簡単に捉えやすいように簡略化しています。

このように外側と内側のどちらからの力でもエッジボイスは生み出せると考えられます。

 

外側の力中心のエッジボイス【強いエッジ】

難しいことは抜きにして外側の力を中心としたエッジボイスです。

おそらく強めのジリジリとしたエッジ感がある鳴りだと思います。

 

声門を閉鎖するときに厳密に何の力の割合が強いかを確認することはできませんし、それを目視で確認することもできません。

なのでこの外側の力を中心とした声門閉鎖は自分の感覚でしか判断できません。

 

外側の力中心のエッジボイスの感覚

一番わかりやすい感覚は喉や喉周りを締めている感覚でしょう。

喉の空間が狭まってエッジボイスを出しているのならそれは外側の力を中心にした閉鎖です。

 

シンプルですが、コレ以外にあまり感覚的に確認できる術がない気がします。

これらは声帯周辺の筋肉などを使って喉を締めるようにして生み出すエッジボイスです。

超ハイトーンボイスは少なからずこういう外側の力を必要としていることでしょう。

 

内側の力中心のエッジボイス【軽めのエッジ】

内側の力を中心としたエッジボイスです。

おそらくカラカラとしてエッジ感になるかと思います。

 

この内側の力は外側の力よりもさらに感覚として感じることは難しいでしょう。

なので外側の力を排除したエッジボイス=内側の力中心のエッジボイスと考えるとわかりやすいかもしれません。

 

内側の力中心のエッジボイスの感覚

一番わかりやすい感覚は喉を締めていない感覚です。

喉の空間が広い状態を保ってエッジボイスを出しているのならそれは外側の力にあまり頼っていない閉鎖です。

 

内側を使っている感覚というよりは外側をいかに使わないかという感覚と言えるかもしれませんね。

喉がしっかりと開いた状態で声帯だけが閉じているような感じです。喉に力を入れずに声帯だけを締めて「カラカラ」と鳴らすのです。

 

できるだけ力を入れないことで余計な力を使わずに声帯のみを閉じるようにします。

喉に力を入れずに声帯だけがしまっている状態を感じることができれば成功です。

 

 

トレーニングとして最も効果が期待できるのはこの内側を意識したものでしょう

 

エッジボイスの練習はさらに3パターンに応用できる

単純にエッジボイスと言っても、やり方次第では様々なエッジボイスを作り出すことができます。

もちろん上記で書いたように

  • 「外側からの意識のエッジボイス」
  • 「内側を意識したエッジボイス」

が大きく考えられるのですが、それとは別に、3パターンのエッジボイス練習があると考えられます。

 

3パターンのエッジボイス

  1. 低音エッジ
  2. 高音エッジ
  3. 裏声エッジ

ではそれぞれについて説明していきます。

 

低音エッジボイス(普通のエッジボイス)とは

低音エッジボイスとはいわゆる普通のエッジボイスです。

のどを完全に脱力させた状態で出すエッジボイスですね。脱力して出すので、持っている音域の中でも低い音域のエッジボイスになるはずです。

響きも下方向に向かって出すエッジボイスです。

厳密には音色が下に向かっているわけではなく、音が鳴る位置(声帯の位置)が下がっているのですが、感覚的には下方向へ声を当てる感覚です。

 

高音エッジボイスとは

これは単純に高音のエッジボイスです。

声帯自体がある程度高音域を出す形で出すエッジボイスです。共鳴も上方向に共鳴しやすいはずです。

普通のエッジボイスから音の音域を高音に上げようとすればできるはず。

 

高音エッジボイスのやり方

  • 通常のエッジボイスを出す
  • そこから音を上げていきます
  • このとき、響きが下方向から上方向へとシフトしていきます
  • できるだけ高音になるまでエッジボイスで音を上げていきます

高い音色のエッジボイスということですね。

 

ココがポイント

普通のエッジボイスは咽頭に響きますが、高音エッジボイスは鼻腔の方へ響きやすいです。

明るい音色の高めのカラカラとしたエッジボイスになるはずです。

 

高音エッジボイスの延長線上にはミックスボイスのような高音発声がある可能性があります。つまりミックスボイスの声帯コントロールの練習になると考えられます。

 

裏声エッジボイス(ファルセットのエッジボイス)とは

その名の通りですが、裏声の状態・声帯の使い方でエッジボイスを出すこと。

 

しかし、そもそも裏声自体が声帯を薄く使って出す声なのでエッジボイスとしての音を出しづらいですし、エッジボイスと言えるのかどうかは微妙です(薄い声帯でエッジボイスを作らなくてはならないので、そもそも『エッジ』が薄い)。

また、歌の技法として使うことはなく、個人的にはそこまで必要なトレーニングではないように感じます。

 

ココがポイント

高音エッジボイスとは音域は同じくらいかもしれませんが、音色が全然違います

こちらは息漏れが多く、かすかにカラカラとしか鳴らないはずです。もはやカラカラとも言えないくらい、どちらかと言えば「カサカサ・ガサガサ」の方が近い音になるはずです。

 

この裏声エッジボイスについては結構定義が曖昧で、意見が別れるところでもあります。

 

地声などの高音系の声帯で出すエッジボイスが高音エッジ。

裏声の状態からのエッジボイスは裏声エッジ。

 

個人的にはこのように考えています。

特にこの裏声エッジは裏声の種です。この裏声エッジから呼気圧を上げたりしてファルセットやヘッドボイスになります。つまりそういう発声のトレーニングになる可能性があると言うことです。

 

個人的には必要なトレーニングとは感じていませんが、ファルセットがより上手くなる可能性もあるので各自研究してみてください。

 

【おまけ】吸い込みエッジボイス

息を吸い込みながらエッジボイスをするという技もあります。

メタル系のデスボイス系の表現で使われることもありますが、一般的にはほとんど耳にすることはないでしょう。

 

また、基本的に練習としての効果は考えられにくいですね。そもそも吸気発声(吸い込み発声)自体そこまで効果的なトレーニングであるとは考えにくいので、エッジボイスにおいても同様でしょう。

吸気発声は発声障害などの治療として使われることが有名です。

 

 

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