ボイストレーニング

【エッジボイス】のやり方・効果・練習方法について

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今回は「エッジボイスについて」がテーマです。

歌のテクニックやボイストレーニングとして使われる「エッジボイス」。

このトレーニングは歌唱中のテクニックはもちろんのこと、細かい声帯の使い方や鳴りのコントロール、甲状披裂筋(声帯筋)の開発などに役立つと考えられます。

『エッジボイス』とは?

『エッジ』とは

ふち。へり。端。
刃物の刃。刃物の切れ味。また比喩的に、人を刺激する鋭い感覚。「エッジの効いたデザイン」

引用元:コトバンク「エッジ」より

このような意味があります。エッジのある声で「エッジボイス」です。

 

海外だとそのままの意味になってしまうので、『ボーカルフライ』と呼ばれることが一般的です。

こんな感じ↓

 

ちなみにボーカルフライの「フライ」はfly(飛ぶ)でなはく、fry(揚げ物)の方です。エビフライのフライ。『パチパチ』とした揚げる音に似ているためでしょう。

 

歌における『エッジボイス』というのは

  • 声帯を『少ない振動数』で鳴らす技法

と捉えるとわかりやすいです。

 

主にカラカラ・ジジジジ・ビビビビなどのような音で、「声」というよりは「声の素」だけを鳴らしているような音です。

リアルで見るとこんな感じ(グロいのが苦手な人は注意)↓

 

ほとんど息を必要とせずに、どちらかと言えば息を止めている感覚の方が強いでしょう。

エッジボイスの効果について

まず最初に言っておきたいのが、エッジボイスは

  • 『発声を劇的に改善するトレーニングにはならないだろう』

ということです。

 

エッジボイスってかなり有名なトレーニングなので必要以上に効果を期待されていることも多いですが、過信・期待しすぎるのは良くないということです。

 

例えば、「エッジボイスだけをひたすらやり続ける」ことで効果が倍増するとか、「エッジボイスが一番いい練習」とかそういう風に期待すると『効果がない練習』に感じるかもしれません。

 

あくまでたくさんの練習方法の中の一つとして考えるといいと思います。

 

そういう面を大前提にして、エッジボイスの効果は

  1. 声帯をコントロールする力を身につける
  2. 中高音発声(地声・ミックスボイス)を鍛えるのに役立つかも
  3. 声門閉鎖を鍛える
  4. 歌の表現の幅が広がる

というものが考えられます。

①声帯をコントロールする力を身につける

声帯の内側の力・声帯自体が収縮する力である『声帯収縮・緊張』を鍛える効果があると考えられます(甲状披裂筋を鍛える)。

コレは『筋トレのように筋肉が盛り上がっていくような感じの鍛える』ではなく、

  • 『神経を開発するような意味合いでの鍛える』

というニュアンスが強いと考えられます。

内側の力(声帯筋)をたくさん動かすことで、神経が開発されて声帯のみを上手くコントロールができるようになってくると考えられます。

 

この『声帯筋』を開発するような働きこそがエッジボイスの一番重要な目的のように感じます。

これはのちほど説明する内側を意識したエッジボイスで開発できると考えられます。

②中高音発声(ミックスボイス)を鍛えるのに役立つ

ミックスボイスについての記事に詳しく書いているのでここでは簡単に述べますが、上記で書いている声帯の内側の力(声帯筋=地声の成分)こそ、地声の高音orミックスボイスにおいて大事な役割を持っていると考えられています。

この一番内側は「独立して収縮できる」というのが鍵。

エッジボイスが地声系の高音発声に役立つだろうと考えられるポイントはここでしょう。

 

声帯伸展が働いている状態で声帯収縮を共存させないといけないので、上記で書いたような声帯のみの収縮ができるような神経を開発する必要があるのですね。

③声門閉鎖を鍛える

声帯自体を左右に閉じる力も当然働きます。

芯のある声を作るのは「声門閉鎖」

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④歌の表現力が向上する

エッジボイスの効果は『歌の表現力が向上する』ということもあります。

表現力が上がると言い切るのは少し語弊がありますが、言い換えると『表現の幅が増える』ということです。

 

特に歌いだし、つまり言葉の最初をエッジボイスではじめることで歌に哀愁や深み・心地よさを生み出すように思えます。

乱用しすぎるのはよくないのかもしれませんが、適度に上手く使用することが表現の幅を広げるはずです。

『エッジボイス』の出し方・練習方法

エッジボイスの出し方

まずは普通に「あーーーーー」と発声してみてください。

口はしっかりと開けた状態がいいでしょう。

その「あーーー」という状態から声帯のニュアンスをそのままに声量だけを絞っていきます。

声の音量を落としていき、吐く息の量を弱めていくと声にできなくなる点(音にならない点)が出てくると思います。

その声にならなくなりそうなギリギリの点はおそらく「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」という状態になっていると思います。声の源だけ鳴っている状態です。

このように声帯で息を止めている感覚を作り、そこに声帯がカラカラと鳴るくらいの少量の息を通すとできると思います。

2種類のエッジボイス

エッジボイスは

  1. 声帯の内側の力メインのエッジボイス
  2. 声帯の外側の力メインのエッジボイス

があると考えられます。

*コレはあくまで力を使う割合の話で完全に違う部分を使っているというわけではないのでそこは気をつけてください。

 

この二つは音としてはほとんど同じ音でエッジボイスと言えるので「歌の中での表現技法」として使う分にはどちらでも大きな問題はないのです。

しかし、トレーニングとしては目的によって大きな効果の差が現れるかもしれません。

図は簡単に捉えやすいように簡略化しています。

このように外側と内側のどちらからの力でもエッジボイスは生み出せると考えられます。

①外側の力中心のエッジボイス【強いエッジ】

難しいことは抜きにして外側の力を中心としたエッジボイスです。おそらく強めのジリジリとした硬いエッジ感がある鳴りだと思います。

先ほどの動画の例などはどちらかと言えば、こちらに当てはまるでしょう。

 

外側の力中心のエッジボイスの感覚

一番わかりやすい感覚は喉や喉周りを締めている感覚や息を止めているような感覚でしょう。

喉の空間が狭まってエッジボイスを出しているのならそれは外側の力を中心にした閉鎖です。

 

これらは声帯周辺の筋肉などを使って喉を締めるようにして生み出すエッジボイスです。

「声帯を柔軟にしている」というよりかは「喉周りの固定感を鍛えている」というようなイメージです。

 

一般的にはあまり必要ないかもしれませんが、ハードロックなどの超ハイトーンボイスは少なからずこういう外側の力を必要としていることでしょう。

 

②内側の力中心のエッジボイス【軽めのエッジ】

内側の力を中心としたエッジボイスです。おそらくカラカラ・カサカサとしたエッジ感になるかと思います。

 

これは特に何も力を入れないことが大事で、

  • 『外側の力を排除したエッジボイス=内側の力中心のエッジボイス』

と考えるといいかもしれません。

 

簡単に言えば、『話し声とかで使われるくらいのエッジボイス』

日本人(日本語)の声帯の使い方では少ないですが、英語圏の声帯の使い方だと普通に話し声で使っていることも多い↓

 

カラカラしてますね。

内側を使っている感覚というよりはいかに楽に声帯を最小限で鳴らすかという感覚と言えるかもしれません。

特に喉に力を入れずに声帯をゆっくり「カラカラ」と鳴らすのです。

エッジボイスの練習はさらに3パターンに応用できる

単純にエッジボイスと言っても、やり方次第では様々なエッジボイスを作り出すことができます。

上記で書いたように

  • 「外側からの意識のエッジボイス」
  • 「内側を意識したエッジボイス」

が大きく考えられるのですが、それとは別に、3パターンのエッジボイス練習があると考えられます。

3パターンのエッジボイス

  1. 低音エッジ
  2. 高音エッジ
  3. 裏声エッジ

ではそれぞれについて説明していきます。

低音エッジボイス(普通のエッジボイス)とは

低音エッジボイスとはいわゆる普通のエッジボイスです。

のどを完全に脱力させた状態で出すエッジボイスですね。

 

脱力して出すので、持っている音域の中でも低い音域のエッジボイスになるはずです。

響きも下方向に向かって出すエッジボイスです。

厳密には音色が下に向かっているわけではなく、音が鳴る位置(声帯の位置)が下がっているのですが、感覚的には下方向へ声を当てる感覚です。

高音エッジボイスとは

これは単純に高音のエッジボイスです。

声帯自体がある程度高音域を出す形で出すエッジボイスです。共鳴も上方向に共鳴しやすいはずです。

普通のエッジボイスから音の音域を高音に上げようとすればできるはず。

 

高音エッジボイスのやり方

  • 通常のエッジボイスを出す
  • そこから音を上げていきます
  • このとき、響きが下方向から上方向へとシフトしていきます
  • できるだけ高音になるまでエッジボイスで音を上げていきます

高い音色のエッジボイスということですね。

声帯をある程度引き伸ばした上での、声帯コントロールのトレーニングになると考えられます。

裏声エッジボイスとは

その名の通りですが、裏声(ファルセット)の状態・声帯の使い方でエッジボイスを出すこと。

 

しかし、そもそも裏声自体が声帯を薄く使って出す声なのでエッジボイスとしての音を出しづらいですし、エッジボイスと言えるのかどうかは微妙です(薄い声帯でエッジボイスを作らなくてはならないので、そもそも『エッジ』が薄い)。

また、歌の技法として使うことはなく、個人的にはそこまで必要なトレーニングではないように感じます。

 

ココがポイント

高音エッジボイスとは音域は同じくらいかもしれませんが、音色が全然違います

こちらは息漏れが多く、かすかにカラカラとしか鳴らないはずです。もはやカラカラとも言えないくらい、どちらかと言えば「カサカサ・ガサガサ」の方が近い音になるはずです。

 

この裏声エッジボイスについては結構定義が曖昧で、意見が別れるところでもあります。

 

この裏声エッジは裏声の種です。この裏声エッジから呼気圧を上げたりしてファルセットやヘッドボイスになります。つまりそういう発声のトレーニングになる可能性が考えられます。

 

個人的には必要なトレーニングとは感じていませんが、ファルセットがより上手くなる可能性もあるので各自研究してみてください。

 

【おまけ】吸い込みエッジボイス

息を吸い込みながらエッジボイスをするという技もあります。

メタル系のデスボイス系の表現で使われることもありますが、一般的にはほとんど耳にすることはないでしょう。

 

また、基本的に練習としての効果は考えられにくいですね。そもそも吸気発声(吸い込み発声)自体そこまで効果的なトレーニングであるとは考えにくいので、エッジボイスにおいても同様でしょう。

吸気発声は発声障害などの治療として使われることが有名です。

『吸気発声』のやり方や効果についての考察

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