今回は、「ブッ」「トゥッ」「タッ」の発音を使うボイストレーニングについての内容です。
このトレーニングは、
- 声のアタック(出だし)を改善する
- 発声のバランスを整える
- 声帯が息を支えやすくなる
- 地声の高音や声量を鍛えやすくする
という効果が期待できます。
個人的には、初心者はいい発声を身につけるため、上級者は声を整える・ウォーミングアップに使えるトレーニングだろうと思っています。
目次
「ブッ」「トゥッ」「タッ」トレーニングとは
その名の通り、
- 「ブッブッブッブッ♬」
- 「トゥットゥットゥッ♬」
- 「タッタッタッタッ♬」
という発音でのトレーニングです。
派生させて、
- 「ブイブイブイブイブイ♬」
- 「トゥイトゥイトゥイトゥイ♬」
- 「タイタイタイタイタイ♬」
など「イ」をつける形にする方法もあります。
個人的には「ブッ!」「トゥッ!」「タッ!」という強い区切りの発音が良いと感じますが、個人差があるので自分に適した形を探すのが一番です。
練習方法としては、
- 同じ音で反復練習する
- ピアノなどの音階に合わせて練習する
- 歌唱曲全体をこの発音のみで歌う
などの方法があります。
どんな方法でやってもいいのですが、ピアノなどの音階に合わせてトレーニングすることでピッチ感なども一緒に鍛えられて一石二鳥です。
練習用音源
練習用の音源に困っている方は『「ブッ」トレーニング練習用音源ページ』をどうぞ。
注意点
- 発音をしっかりと行うこと
- 区切りをしっかりと意識すること
- 無理に声を出しすぎないこと
- 「B」「T」の発音の特徴をしっかりと活かすこと(*後ほど説明)
という点に気をつけましょう。
「ブッ」「トゥッ」「タッ」トレーニングの効果
これらのトレーニングによる効果は、
- 声のアタック(出だし)の改善
- 発声のバランスの整備、良質な発声を身につける
- 声帯が息を支えやすくなる
- 地声の高音や声量の鍛錬が行いやすくなること
が考えられます。
この効果は、「バビブベボ」「タチツテト」のような「B」と「T」の子音の発音の特性から生まれます。
これらの発音は、瞬間的に息を止めて一気に吐き出すという特性があります。
①声のアタック(出だし)の改善
「B」「T」の発音は、子音の勢いに声を引っ掛けやすい発音です。簡単に言えば、出だしが強くなりやすい発音なので、「出だし」にスピード感とアクセントが付きやすいということです。
なので、この発声を繰り返しているうちに、声のアタックの精度が向上する効果が考えられます。
②発声のバランスが良くなる・いい発声が身につきやすい
『B』や『T』の発音は出だしが強くなるので、息の勢いや流れがつきやすくなります。
つまり、息がしっかりと乗った発声のトレーニングになることで、息と声帯の連動性が高まり、発声が良くなるということです。
「B」や「T」は比較的鋭い子音ですが、声帯部分に着目すれば発声を綺麗に整えてくれるのですね。
③声帯が息を支えやすくなる
これは「声帯が呼気圧(息の圧力)をしっかりと支えている状態」を作りやすくなるということです。
「ブッ」「トゥッ」「タッ」をスローモーションで発音してみるとわかると思いますが、発音しようとする瞬間に胸周辺で息の圧力が高まるような感覚(息がせき止められて膨らむような感覚)があると多います。
これが、声帯が息を支えている状態です(*支えているのは声帯のみではないですが)。
この状態が作れている状態から声を出すと、自然としっかりとした鳴りの声が生まれます。つまり、声をしっかりと鳴らすのが苦手な人などには良いトレーニングになるということです。
④地声の高音開発や声量開発になる
これまでの内容を踏まえると、このトレーニングは発声のバランスを整え、息の勢いと声帯の鳴りを共存させることが特徴です。
そのため、高音開発や声量開発を目的とする際にも、発声の質を維持しながら効果的にトレーニングができます。
『B』や『T』の発音をしっかりと行うことで、喉締め発声などの不自然な発声をすることが難しくなるため、自然な発声のまま高音や声量の開発がしやすいということです。
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まとめ
「ブッ」「トゥッ」「タッ」トレーニングは
- 声のアタック(出だし)を良くする
- 発声のバランスの整備、良質な発声を身につける
- 声帯が息を支えやすくなる
- 地声の高音や声量UPのトレーニングにしやすい
という効果が考えられます。
もちろん、すぐに効果が出るものではないので、コツコツとした積み重ねが大事になります。
また、ボイストレーニングには必ず個人差があるので、全ての人に同じように効果があるとは限りません。自分に合うトレーニングを探すことも大切なので、その点は考慮に入れておきましょう。