今回は「独学で歌が上手くなるために重要なポイント」というテーマです。
そもそも『独学でも歌は上手くなれるのか?』という疑問はよくあるでしょうが、これは「歌を習ったことはない」と発言しているシンガー達は日本はもちろん世界中にたくさんいるので『可能』だと言えるはずです。
「ではどのように練習すれば上手くいくのか」という部分について考えてみたいと思います。
目次
独学の弱点は「問題点の把握が難しいこと」と「道を間違えやすいこと」
「歌を習う」ことと「独学」を比較するとそれぞれ細かいメリット・デメリットがたくさんありますが、独学における最大の問題は
- 自分の歌の課題や問題点の把握が難しいこと
- 間違った方向性へ進んでしまう可能性があること
という二つでしょう。
逆に言えば、この二つの問題をクリアできれば「歌を習う」と「独学」の差はそこまで大きなものにならないとも言えるはず。
ということはこの二つを問題を解消できるというものが独学を成功させるためのポイントになりますね。
独学を成功させるためのポイント
上記二つの弱点を考慮した上で独学のポイントを考えると、
- 自分の歌声をたくさん録音する
- 自分の歌声とシンガーの歌声を同じ条件で比較して改善点を修正していく
- 現状の自分の音域でも歌いやすい曲から練習して極めていく
- 楽器を練習する(*必ずではないが、、)
この4つが重要になると考えられます。
⑴自分の歌声をたくさん録音する
ある意味当たり前かもしれませんが、自分の歌声をたくさん録音することが独学には必須です(*録音はスマホで十分でしょう)。
独学においてはこれが一番重要とも言えるのかもしれません。
録音をするメリットは
- 自分の声の現実を知ることができる
- 客観的に問題点を把握・修正できる
- マイク乗りのいい発声が身につきやすくなる
などがあります。
ある意味録音こそが”ボイストレーナー”とも言えますが、特に大事なポイントは『自分の声の現実を知ることができる』という部分でしょう。
というのも人間は体の構造上「自分で聞いている自分の声」と「他人が聞いている自分の声」が違います。そして、自分の現実の声というのは「他人が聞いている自分の声」の方です。これは自分の声は骨伝導によって伝わってくる音があるからですね。
これによって例えば、
- 自分はいい声を出しているつもりでも現実はそうでもない
などのズレが起こります。
ズレがある状態では歌が上手くなることはできないので、この誤差を小さくするためにも録音を繰り返す必要があると考えられます。
特に自分の声を録音して「気持ち悪さ」や「違和感」を少しでも感じる場合は必ず取り組んだ方がいいと考えられます。それは『自分の声の認識に誤差がある』ということですから。
歌が上手い・下手に関係なく
- 自分の録音を聴いたときにあまり違和感を感じないこと
これがかなり重要なので、録音(現実)を繰り返し聴いて誤差を修正していく必要があるのですね。
この”違和感を感じない状態になること”の重要性は『歌の成長を加速させるための地味に大事な4つのポイント』の記事にもまとめています。
とにかく録音は『問題点の把握しやすく』し、『間違った方向性へ行かない』ためには必須でしょう。
⑵自分の歌声の録音とシンガーの歌声を比較して改善点を修正していく
先ほどの録音を応用することで、さらにいいトレーニングをすることができます。
簡単に言えば
- 『自分の歌声とプロのシンガーの歌声を同じ条件で比較する』
という練習です。
これによって間違った方向性へ行くリスクをほぼ無くすことができると思います。
具体的には
例えば、YOUTUBEなどでプロのシンガーの”生歌”の映像がたくさん聴けますね。
こういうもの↓
YOUTUBEやTik Tokなどの発展によりこのような生歌が聴ける機会が爆増していますね。
こういうスマホで撮られたようなものは自分も”同じ条件”を簡単に作ることができるわけです。
そして「プロの生歌の動画」と「自分の生歌の動画」を交互に比較します。すると、プロのシンガーにあって自分の歌声に足りないものが正確に見えてくるということになります。
なぜ同じ条件が必要?
普段聴くプロのシンガーの歌声は素晴らしいエンジニア達によって綺麗にミキシングされたものがほとんどです。要するに最高の音になるように”盛っている歌声”です。盛るというとなんだか偽物みたいなマイナスイメージがある人もいるかもしれませんが、いい音に聞こえるように音を盛るのはある意味昔から当たり前のことです。
歌のお化粧みたいなものですね。
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つまり、「お化粧したプロの歌声」と「自分のスッピンの歌声」を比較しても条件が同じではないので、その差が正確に見えてこないのですね。
正確に理解しなければ、お手本までの道のりを間違えてしまう可能性も高まります。
逆に言えば、
- 『お手本と自分との差を正確に・的確に把握すれば道を間違えることはない』
とも言えるはずです。
つまりこれは『自分の歌の問題点の把握が難しい』『間違った方向性へ進んでしまう可能性がある』という独学の弱点をカバーできるということになりますし、”正しい発声”を身につける一番いい方法とも言えるでしょう。
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注意点
お手本と同じ条件で比較する上で一つ重要な注意点なのですが、
- 声帯の『音域』のタイプ
- 声帯の『声質』のタイプ
というものは人それぞれの個性なので、それを考慮に入れておきましょう(*スポーツで言う「骨格」「身長」のようなものです)。
例えば、
すごく低い声帯を持つ人がすごく高い声帯を持つ人のような声を研究して出そうとしてもいつまでたっても上手くいかないでしょうし、かなり息っぽい声質を持っている人が鳴りが強い鋭い声質を出そうとしても上手くいかないことが多いでしょう。
*あくまでも傾向のお話で例外はある。
お手本と比較する時に『人それぞれ声帯の特性は違う・元々持っている楽器(声帯)は違う』ということを考慮に入れておきましょう。
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⑶現状の自分の音域でも歌いやすい曲から練習して極めていく
歌が上手くなるために最も重要な行動は『歌を歌う』ですね。
ある意味当たり前ですが、絵を描かずして絵が上手くなることはできませんし、シュートを打たずしてシュートが上手くなることはできないのと同じように、歌を歌わずして歌が上手くなることはできない。
なのでたくさん歌を歌い込むことが重要なのですが、ここで『好きな曲をただひたすらに歌い込む』というのも悪いことではないのでしょうが、独学の場合それが裏目に出ることもあると考えられます。
つまり、独学でのトレーニングを上手く成功させるためには『どんな曲を練習するか』というのがかなり重要な鍵になってくると考えられます。
選曲のポイントは
- 今の自分の能力(音域)でも歌える曲
です。
つまり、音域的に無理のない曲から極めていくということが大事になると考えられます。
この理由も『間違った方向性へ進んでしまう可能性』を限りなく減らすためですね。
- 今の自分に歌える音域の曲からたくさん歌い込んで一歩づつステップアップしていく
- 今の自分には歌えない音域の曲にいきなり挑戦し、歌い込むことでその歌を歌えるようにする
確かに②の道でも成功することはでしょうが、失敗のリスクがかなり大きくなると予想できますよね。独学を成功させるためには間違った方向性は可能な限り回避したいので、必然的に①の道を選んだほうがいいということになります。
しかも②の道を選んで失敗しないとしても最終的にかかる時間に大きな差がつくこともないかと思います。
ただし、これの弱点は人によっては「楽しくない」と感じることがあるという点です。やはり歌いたい歌を歌うことが楽しいわけで、歌いたくない歌を極めるというのは楽しくないこともあるでしょう。
人の価値観はそれぞれなのでこればかりは何とも言えませんが、歌いたい歌のキーを変えるなど工夫することはできます。そうしてでもコツコツと進んでいく方が独学にはメリットが大きいと思います(*独学に限らずですが)。
⑷楽器を練習する(*絶対ではないが、、)
これは統計を取ったわけではなくあくまでも個人的な肌感覚なのですが、
- 独学のシンガー達は楽器が弾ける割合がかなり多い
という傾向があります。
つまり、楽器を練習することが歌の独学を成功させる重要な要素の一つになると考えられます。
もちろん”絶対”というわけではないのですが、「やった方がいい」と言わざるを得ないくらいには重要かと。
例えば、世界的に有名な独学シンガー達↓
- エルトン・ジョン
- デイヴ・グロール(Foo Fighters)
- ジャック・ホワイト
- ナイル・ホーラン(One Direction)
- プリンス
- ノエル・ギャラガー(Oasis)
- エリック・クラプトン
- デヴィッド・ボウイ
- ジミー・ヘンドリックス
- ショーン・メンデス
他にも、皆さんご存知フレディ・マーキュリー(Queen)もピアノは習っていたが歌は独学だと言われています。
このように独学の人には楽器が弾ける人(楽器を練習してきた人)というのが非常に多いです。
楽器を練習することで音楽的感性が高まるので、それによって『歌の課題や問題点の把握がしやすくなる』『間違った方向性へ進みにくくなる』という理屈でしょう。
まぁ言ってしまえば独学に限らず『楽器が弾ける人は歌が上手くなりやすい』という傾向が存在するので当然と言えば当然なのですが。
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まとめ
独学を成功させるための重要なポイントは
- 自分の歌の課題や問題点の把握を正確にすること
- 間違った方向性へ進んでしまわないこと
です。
そして、それを考慮すると
- 自分の歌声をたくさん録音する
- 自分の歌声とシンガーの歌声を同じ条件で比較して改善点を修正していく
- 現状の自分の音域でも歌いやすい曲から練習して極めていく
- 楽器を練習する(*必ずではないが、、)
という項目に取り組むことで独学でのボイトレを成功させる可能性を高められるだろうということです。