歌唱力アップ

歌の成長を加速させるための地味に大事な4つのポイント

投稿日:2022年2月16日 更新日:

「効率よく歌が上手くなるために重要なポイントは何か」「成長を加速させるためのポイント」についての研究考察です。

今回の内容は具体的なトレーニング方法などよりも、効率よく成長するための『練習の方向性の考え方』や『作るべき耳の状態』など見落としがちだが地味に大事な4つのポイントに焦点を当てた内容になっています。

地味ではない派手な重要項目は『本気で歌が上手くなりたい人が何をすべきか』の記事にまとめていますが、今回の内容はその土台にもなるのでぜひ合わせて読んでみてください。

①自分の「声質」「音域」を把握し、それを”活かす”方向性で磨く

これは今回のテーマの中で最も重要な項目だと考えられるのですが、

  • 自分の声の個性(声質・音域)を活かし、逆らわないこと
  • ボイストレーニングは『鍛えればどんな歌声にでもなれる』というものではなく、『自分の持っている声を最大限磨くもの』と考えること

が重要ということです。

 

その理由は、ある意味当たり前かもしれませんが、

  1. 『自分の個性を活かすように努力する道』
  2. 『自分の個性に逆らうように努力する道』

であれば活かす道を選んだ方がぐんぐん成長するからです。逆に「自分の個性に逆らうと成長しにくい、もしくは成長できない」とも言えるでしょう。

これはスポーツでも芸術でも何事でもそうだと思います。

もちろん逆らうことが必ずダメとは限らないのですが、確率論で考えると上手くいかない可能性の方が高く、いくら努力してもそこを適正(活かす道)とする人にはかなわないことがほとんどだと思います。

 

これを歌に当てはめると、例えば、

  1. 「すごく声が高くて透明感のある声質を持っている人」
  2. 「すごく声が低くて力強い声質を持っている人」

がいたとして、この二人が『すごく声が高くて透明感のある歌声』を目指してトレーニングしたとします。

この場合、どちらが目的を達成しやすいか。

おそらく多くの場合、右の人にはものすごい向かい風が吹いているはず。そして左の人はスイスイ進めるはず。

もちろん、目指すべきところが逆であれば立場は逆転します。

これが「個性を活かす道」と「個性に逆らう道」の基本の考え方です。

 

もちろんこれはわかりやすい例であり、全く逆のパターンのような形になることもなくはないでしょう↓

これはこれで右側の人は活かしている、左側の人は逆らっているということになります。

「じゃあ、なんでもOKじゃん」と感じるでしょうがそういうことではなく、『自分の個性を活かしていればなんでもOK』『個性を活かす道がどういう形になるかは人それぞれ違う』ということです。

 

なので、”個性を活かす”というものが自分にとってどんな形になるかは自分で確認しなければいけないでしょう。

 

「自分の個性を活かす」というのは

  • 最初からある程度できる
  • 得意・やりやすい
  • 練習すると伸びやすい
  • 他人から褒められた部分

などを目安に考えるといいと思います。

 

スポーツでも身長が大きい人・小さい人、骨格が太い人・細い人などで個性を考えるように、声にも人それぞれの個性を考えければいけないということですね。

そして個性が違うのであれば、それぞれを磨く道筋も変わってくる。

つまりこれは

  • 誰もが『自分に適した魅力的な歌声』になれる道はあるが、それが『自分が憧れる理想の歌声』とは限らない

とも言えるのでしょう。

自分の理想と適性がぴったり一致していればラッキーですが、そうでない場合はこの問題としっかりと向き合わなければいけないでしょう。

まずは自分の声帯の個性(音域・声質)を把握する

”歌に関わる個性”は極論を言えば「その体全て」ですが、中でも重要なポイントが「声質」「音域」だと考えられます。

自分の「声質」「音域」をしっかりと向き合うことで歌の成長が加速するはずです。

 

声質は大きく区切ると4タイプくらいに分かれていて、

音域は大体6タイプくらいに分かれます。

これらはあくまでもざっくりと分けた指標でしかないので、厳密には人の数だけの個性があります

 

当然「何もかも普通でグループ分けしにくい」という人や「どこにも当てはまらない特殊な声」という人もいるでしょう。

そういう面も含めて、『自分の声帯の特徴を考える必要がある』ということです。

注意点

*声変わりが終わるまでは声帯のタイプ(特に音域)が確定しないので、その点は注意です。

②自分にとっての良いお手本を見つける

先ほどの項目とも関連するものですが、歌のお手本選びが歌の成長に大きく影響するだろうという内容です。

なぜなら人はお手本に引っ張られて成長するからです。

おそらく歌の練習においてほとんどの人には『お手本のシンガー』がいるはずです。

それは大好きなシンガーや憧れのシンガーであると思いますが、その選択が成長を変えるでしょう。

例えば、

色々なシンガー達が語る「影響を受けたルーツ」を辿ると、その影響をしっかりと感じられたり似ていたりすることも多いですよね。

自分にとってのいいお手本は”自分と似ている”シンガー

ここで厄介なのが

  • 自分の大好きなシンガーや憧れのシンガーが自分にとっていいお手本になるとは限らない

という点です。

もちろん自分の大好きなシンガーがいいお手本になる場合もありますが、そうならない場合もあるはず。

 

理由は先ほどの項目とも関連してきますが、やはり人には「得意・不得意」「向き・不向き」があるということ。

引っ張られるお手本が自分にとって不向きな方向性であった場合、成長速度が大きく鈍ってしまう・もしくは全然成長できない可能性が高くなります。

そうなれば「自分にとってのいいお手本」とは言えないですよね。

 

良いお手本

ではどんなシンガーが自分にとっていいお手本になるのかというと、

  • 自分の声帯の個性(音域・声質)と似たタイプのシンガー

だと考えられます。

これを考慮したお手本を選ぶことで成長速度を加速させることができるでしょう。

 

やはり自分と似たタイプのシンガーには自分にとっての良いヒントがたくさんありますし、真似しやすいですから。もちろん、完全に同じ声を持った人はいないでしょうが、『似たタイプ』で考えれば見つかるはずです。

似ているから好きになる?

実は多くのシンガー達の「影響を受けたルーツ」なども、『好きだから似た』というよりも『自分に似ているから好きになった』という方が正確なのかもしれませんね。自分と似たものを好きになる”類似性の法則”というやつです。

ちなみに人間は”相補性の法則”といって自分と正反対のものを好きになる性質も持っているそうです。どちらも本質的には良い悪いはないのですが、歌の成長においては”相補性の法則”はあまり良くないのかもしれません。

ただし、自分の特性に上手く変換出来るならどんなシンガーをお手本にしてもいい

とは言え、好きでもないシンガーをお手本にするのは気が進まないということもあるでしょう。

その場合は上手く自分の特性に置き換える』ことが大事になる

お手本と自分の差をしっかりと考慮して、自分のことに上手く変換できればどんなお手本を選んだとしても問題ないはず。

 

ただし、この『上手く自分に置き換える』ことは意外と難しいかと。

できる人は上手くできますが、できないのであれば自分と似たシンガーをお手本にした方が無難ということになるでしょう。

③ボーカル耳を作る(耳のズレを修正する)

「ボーカル耳」とは

  • 「自分に聞こえる自分の声」と「現実の自分の声」とのズレをあまり感じない耳(脳)

のことです。

*「ボーカル耳」は世間では通じない個人的な造語なのですが、音楽家の中でボーカリストにのみ必要な耳なのでわかりやすくそう呼ぶこととします。

 

簡単に言えば『自分の歌声の録音を聴いたときにほとんど違和感を感じない状態になること』とも言えます。

これは今回のテーマでは2番目くらいに重要なのではないかと考えられます。

「ボーカル耳」が必要な理由は自分の声だけは現実の音が聞こえないから

まずボーカル耳が必要な理由は、声以外の全ての音は耳の外側から聞こえてくる音(気導音)だが、自分の声だけは耳の内側から骨伝導によって聞こえてくる音(骨導音)が混じっているからです。

基本的に全ての音は耳の外側から聞こえる

自分の声だけは内側からの音が含まれる

これが原因で「自分が聞いている自分の声」と「本当の自分の声」の認識がズレるということが起こります。

例えば、自分の声の録音を聞くと変に聞こえるのもこのためですね。

 

歌においてはこの「骨導音」によるズレが様々な悪影響を及ぼします

 

例えば、極端な話「自分ではすごくいい音色の声を出しているように聞こえるが、現実の声はいい音色ではない」「自分では音程が合っているように聞こえるが、実際は全然合っていない」というようなことが起こります。

これはあくまで極端な例ですが、ズレがある人は多かれ少なかれこれが起こっていることでしょう。

基本的に『音痴』と言われるようなものの原因もこれだと言われています。脳が勝手に骨導音をいい感じに補正してしまう(誤認してしまう)などが音痴の主な原因です。

 

このように「自分に聞こえる声」と「他人に聞こえる声」の認識の誤差が大きいということは歌にとってマイナスにしかならない。だからこそ、この誤差を小さくする必要があるということです。

 

ちなみにピアニスト、ギタリスト、ベーシストなどボーカル以外の全ての音楽家はこの誤差がいくら大きくても全く関係ないはず。なぜなら「骨導音」で音を聴かないから。

ところが歌だけは「他人が聞いている音」と「自分が聞いている音」がズレています。

なので、ボーカリストだけは「骨導音」と向き合う必要があるのですね。

「ボーカル耳」を持つ最大のメリットは歌の成長効率を高めること

ボーカル耳を持つことが歌に及ぼすメリットは

  1. 音程・リズム・音色の質・表現などの把握・修正が上手くいく
  2. 自分の歌声を常に客観的に聴くことができる
  3. 歌の成長度合い・成長効率を高める

などが考えられます。

 

「自分が認識する自分の声」と「他人が認識する自分の声」のズレが少なければ、まず『音程』や『リズム』のズレを正確に認識することができるということになる。

また、自分の歌声を常に客観視できている(主観と客観の誤差が少ない)ことになる。

 

要するに「良い」「悪い」の認識がほとんど正確にできる耳になる。ということは、自分の歌声をより良くするために的確な行動が取れる

 

なので、おそらく現状歌が苦手な人であっても『正確に自分の歌声を把握できる能力』さえ持っていれば自分で行う修正が正しい方向に働くので長期的には伸びる可能性が高い。逆にこの能力を持っていないのなら自分が良かれと思った修正を正しい方向性へ向けられないことも多くなるかもしれません。

 

つまり、ボーカル耳は『歌の”成長度合い”に大きく関わってくるもの』と言えるでしょう。

歌が上手い人と苦手な人の差は案外こういうところの要因が大きいのかもしれません。

であればこの耳は早めに作っておいた方がいいですよね。

まずは自分の耳の状態を測る

これはあくまでも目安ですが、自分の歌声をスマホなどで録音して聞いた時に、

  1. 「うわ、気持ち悪い声。これが自分の声?聞きたくない!」→*誤差『
  2. 「悪いとまではいかないけど、録音した声は違和感を感じる。普段歌っている感じより若干変に聞こえるし、イメージ通りじゃない。」→* 誤差『
  3. 「うん、いつも通り。良くも悪くもこれが自分だし、特に違和感は感じない。」→*誤差『

この誤差『小』の状態を目指しましょう。

もちろん、人間なので完全な誤差0にはならないですが、ほとんど違和感を感じなくなる状態にはなれるでしょう。

「ボーカル耳」を作る方法は録音をたくさん聞く

おそらく一部の才能ある人でもない限り、大抵の人は最初は誤差『中』か誤差『大』になっていると思われます(*「自分に聞こえる自分の声」をたくさん聞いて生きてきたはずなので、ある意味自然なこと)。

しかし、訓練さえすれば誰でも修正できるものでもあると思われます。

 

ズレを修正する

やり方は簡単で、

  • ひたすら『自分の声を録音して聞くこと』を繰り返すだけ

です(*スマホの録音で十分)。

 

録音の音声は「ほぼ現実の声」なので、『出した自分の声』と『聞いた自分の声』をすり合わせることで脳の認識がどんどん修正されていくと考えられます。

 

人間の脳は不思議なもので、自分の声の録音に最初のうちは大きな違和感を感じていたはずなのに繰り返し聞くことでどんどん違和感がなくなっていきます。

おそらく脳が認識のズレをだんだんと修正してくれるのでしょう。

最初のうちは自分の声を聞くのが嫌で苦しくても、何回も繰り返せば「いつの間にかなんとも思わなくなった」と慣れます。

ある意味この”慣れ”こそ『ズレの修正』とも言えるでしょう

なので、とにかく録音を繰り返して慣れましょう。プロのシンガーも録音(レコーディング)は必ずしていますから。

*ちなみに録音などあまりしたことがないのにこのズレが小さい人も時々いるでしょう。これは「発声の質がいい」という条件によって生まれやすいと考えられます。長くなるのでここでは省略しますが、簡単に言えば『声が大きい人はボーカル耳になりやすくなる』ということです。

④楽器の弾き語りができるようになる

楽器が弾けることと歌が上手いことの関係性は切っても切れない関係にあります。

つまり、

  • 楽器の弾き語りができるようになると歌が上手くなりやすくなる

ということです。

もちろん、楽器が弾けなくても歌が上手いシンガーもいるので「絶対に弾けなければいけない」わけではないのですが、割合で考えると楽器が弾けるボーカリストはかなり多くそこには強い相関関係があると言えるでしょう。

 

なので、歌が上手くなるために楽器を練習するというのも外せない項目になる。

これは「楽器の高度な演奏能力を身につけろ」ということではなく、「弾き語りができるくらい」で十分でしょう。

「”できるくらい”」と言うと、弾き語りを下に見ているような言い方で角が立ってしまうのですが、そういう悪い意味はなく『あくまで”歌のための弾き語り”であればいい(コードを鳴らしてそれに合わせて歌えればいい)』という意味です。

歌が上手くなりやすくなるのは「コード感」と「タイム感」が成長しやすいから

まず、歌の上手さは『①発声能力』『②音楽的感性』という二つの能力によって決まると考えられます。

 

掛け算的に考えるとわかりやすく、

  • 歌の上手さ=発声能力×音楽的感性

と言ってもいいと思います。

 

そして、楽器を練習することは『音楽的感性』の面を効率よく伸ばすことができると考えられます。

特に音楽的感性の中の、

  1. コード感・・・楽曲のコード進行やキー(調)に乗る能力
  2. タイム感(テンポ感)・・・自分だけで一定のリズム・BPMを刻む能力

という二つの能力を成長させやすいというのが鍵かと。

 

コード感(覚)

歌におけるコード感は即興の演奏などにも自然とメロディがつけられるような能力(作曲もできるようになります)。

楽曲のコードやキー(調)に乗る力があるということは、言わば『音程を外さない能力』でもあります。

  1. 「音程を合わせる能力」
  2. 「音程を外さない能力」

一見同じものですが、「合わせる能力」の上位互換が「外さない能力」です。

「音程を外さない能力」があるとアドリブやフェイクも自在になります。

 

タイム感(覚)

タイム感(テンポ感)は演奏のリズムに合わせる能力ではなく、自分だけで一定のリズムを刻む能力。

これは自分がリズムの柱になる能力で、基本的にドラマーやベーシストなどに必須の能力と言えるでしょう。

ただボーカリストもこれを持っている場合、より一層歌のリズム感が良くなると考えられます。

 

つまり、「コード感」「タイム感」は高度な音程・リズムの能力ということです。

 

そしてこの二つの能力はカラオケなどに合わせて歌っているだけではなかなか身につきにくい能力だと考えられます。

もちろん全く身につかないわけではないですし、それだけで身につく人も当然いるでしょう。

しかし、弾き語り(楽器を演奏すること)はこれらの能力を飛躍的に高めると考えられます。

 

つまり、弾き語りができる人は『高度な音程の能力』『高度なリズムの能力』を身につけやすいので、結果的に歌が上手くなりやすい傾向が生まれると考えられます。

まとめ

これまでの流れをまとめると、

  1. 自分の個性(声質・音域)を活かす意識を持ち、逆らわないこと
  2. 自分にとって良いお手本を選ぶこと
  3. 『ボーカル耳』を作ること
  4. 楽器を練習すること

この4つを考え取り組むことで歌の成長効率がすごく良くなるのではないかということです。

個人的には①と③は重要度がものすごい高いものだと考えています。

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