今回は、『歌が上手い人は生まれつき歌が上手いのか』みたいなテーマ。
小さい頃から歌が上手い人、何もしなくても歌が上手い人が存在する理由についての研究考察です。
結論だけ先に言っておくと、
- 生まれつき歌が上手いというのはありえない。誰しも必ず「下手から上手い」へと切り替わる時期がある。
- 小さい頃から上手い人はその時期が早いだけで、その理由は「経験値」と「成長速度」が関係する。
と考えられます。
歌が上手い人は若い頃から歌が上手いことが多い
プロのシンガーは、子供の頃から歌が上手いというのはよくある話です。
いくつか例を見ていきましょう。
アリアナ・グランデ(8歳)↓
8歳というと小学校2〜3年生ですか。恐ろしい。もう完成間近という感じですね。
マイケル・ジャクソン(11歳)↓
完全に完成しちゃってますね。
デュア・リパ(12歳)↓
こちらも完成しきっています。
エド・シーラン(16歳)↓
男性の場合は、基本的に「声変わりが終わってから」完成する人が多いですね(*声変わりによる声の変化の落差が大きいから)。
こういうのを目の当たりにすると、「やっぱり、生まれつき歌が上手いのか」「結局、才能か」となってしまうかもしれませんがそうでもないでしょう。
生まれつき歌が上手い人はいない
”生まれた瞬間から歌が上手い人”はいません。
どんな一流ギタリストもピアニストも最初は必ず下手であるように、一流シンガーにも下手な時期が必ずあります。
つまり、
- どんなシンガーにも「下手」から「上手い」に変わった時期、変わっていく過程
がある。
例えば、この子は4歳くらいの頃から有名ですが↓
3年でこれくらい成長しています↓
明らかに上手くなっていることがわかると思います。この時点でまだ7歳。
つまり、小さい頃から上手い人は上手くなる時期が他の人より早いだけと考えることができます。
その理由は、
- 若くして経験値が多い
- 技術の成長速度が速い
からでしょう。
まぁ、これを才能と言ってしまうのであればそれは才能なのですが。
基本的に、
- 能力=「経験値」×「成長速度」
という方程式になると思います。
①若くして経験値が多い
例えば、12歳の子が6歳から歌を始めていたとすると、『歌歴6年』です。
何事でも6年あれば相当上手くなるでしょう。18歳から初めて24歳と同じです。
歌は部活動みたいなもので、
- 1年〜(初心者脱却レベル)
- 3年〜(活躍できるレベル)
- 5年〜(ガチ上級者レベル)
くらいの成長目安(*もちろん、人による。特に「道を間違えない」ことが大事。後ほど説明します)。
例えば、日本のシンガー玉置浩二さんは、祖母が民謡歌手でその影響により3歳の頃から作曲して歌っていたというお話があります。さすがのさすがに、3歳の頃は上手くはなかったでしょう。
ただ、それくらいの年齢から歌っていたのであれば18歳で『歌歴15年』です。
経験値と上手さが比例するのは自然ですね。
ちなみに、先ほどのエド・シーランが音楽をはじめたのは4歳からだそう。他の人も大体「幼少期」という表現で語られています。
②技術の成長速度が速い
飲み込みが早い・習得が早いなどは成長速度を速めます。
これはある意味「才能」と言ってしまえる部分も多少あるかもしれません。
そもそも、若ければ若いほど歌に限らずあらゆる面で成長しやすい。
歌においても「鉄は熱いうちに打て」というのはあるでしょう(*ただし、変声期を除く。ここでは掘り下げませんが、どんなに幼少期に上手くても変声期でコケる可能性はある)。
こういう「若さ」や「飲み込みが早い」などは、成長速度の『ポテンシャル』と言ってしまえるのかもしれません。
ただ、それよりも成長速度を決める要因において圧倒的に大事だと思うのが「道を間違えないこと」。成長が早い人は、上手くなるための道を間違えずに『正解の道』を通っていることが多いと考えられます。
確かにそこに多少のポテンシャルの差は存在するでしょうが、それは大きな問題ではないでしょう。
それよりも『努力の方向性』=道を間違えないことがものすごく大事だと考えられます↓
これはスポーツの話ですが、歌においても全く同じことが言えると思います。
つまり、若い頃から上手い人は「正しい道」を通っている。
そして、”偶然にしろ必然にしろ”上手いシンガーたちはその道を通る運命にあるのでしょう。
例えば、先ほど例に挙げたシンガー達もそうですが、若い頃から道を間違えない人たちは本人の能力はもちろんですが、周りの環境によって『正解の道へと誘導されやすい』という好条件であることは間違いない(*アリアナ・グランデ→両親が社長。マイケル・ジャクソン→家族がミュージシャン。デュア・リパ→父親がミュージシャン。エド・シーラン→両親が芸術関係。4歳で教会の聖歌隊に加入。)
先ほどの女の子(クレア・クロスビー)も父親の影響があるのは間違いないですよね。また、日本でも親がミュージシャン、子がミュージシャンというパターンはたくさんあります。
これって能力の遺伝ではなく、正解の道を辿りやすい環境にいるだけなのですね。
-
歌の上手さと遺伝の関係性【重要なのはやはり”経験値”】
続きを見る
これは逆を言えば、道さえ間違えなければ『何歳からでも上手くなれる』とも言えるはず。
「気がついたら歌が上手い人」がいる理由
上記のように、歌の上手さというものは必ず必然性があるのですが、「何もしてないけど、気がついたら歌が上手かった」ということは時々あると思います。
というのも、
- 歌の上手さ=「発声能力」×「音楽的感性」
です。
歌を歌うことが、この二つの能力を高めるもっとも近道であることは間違いないのですが、この二つの能力は日常生活で自然と身につく可能性がある。
なので、だいたい高校生くらいの年齢からそういう人がちょこちょこ現れ出すことがあると考えられます。
「友人にそういう人がいる」という経験がある人もいるのではないでしょうか。
例えば、
- 小学生の頃からずっと剣道をやっていた=日頃から掛け声で声をよく使うので『声帯の柔軟性』が自然とついた
- 中学生くらいから音楽を聴くのが好きで毎日聴いていた=『音楽的感性』が自然とついた
という理由で、「特に望んだわけではなかったが勝手に歌が上手くなっていた」「歌の練習をしたことはあまりないが、友達とカラオケに行ったらすごく褒められた」などのパターンはあるでしょう。
こういう人は『もともと歌が上手い人』と言われがちですが、厳密には『意図せず上手くなった人』と言う方が正確でしょう。
「声(発声能力)」は普段から使いますし、「音楽(音楽的感性)」は日常に溢れているので、歌はこれが起こることもある。日常の中でしていたことが思いもよらない形になることはありうるのですね。
ただ、こういう意図せず上手くなった人も結局は『成長の余白がある上手さ』でしょう。やはり、『真剣に歌に取り組まなければ手に入れられない境地』は存在するでしょう。
気が付いたら歌が上手い人は、スポーツに例えると「気が付いたら運動神経がよかった人」みたいなものだと思います。運動神経がいくら良くても、そのスポーツに真剣に取り組まないとたどり着けない境地が存在するように、歌も真剣に取り組まないとたどり着けない境地はあるでしょう。