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歌の雑学・研究・考察

ボイトレの時間と頻度はどれくらいがいいのか?についての考察

更新日:

ボイトレはどれくらいの頻度で取り組めばいいのか?

これは極論、『人によって違う』というのが答えになってしまうのですが、一般的には

  • 一回、15〜30分
  • 週に3〜6日

がベストな頻度になるかと思います。時間と頻度、それぞれ掘り下げてみます。

1日の練習時間は、15~30分くらいが目安

まず、ボイストレーニングの一日当たりの練習時間についてですが、これは15分~30分くらいが目安とされています。

 

考え方として、

  • 最短5分でもOK
  • 基本は、15分~30分くらいになる
  • 1時間以上は、やり過ぎになる可能性がある

という風に考えておけばいいと思います。

 

短くてもOK

まず、ボイトレは5分でも、トレーニング一つくらいはしっかりと取り組めますし、その積み重ねの成果は出るものなので、「最短5分でもOK」という意識を持っておくといいでしょう。

 

疲労を考慮する

「基本的には、15分〜30分くらいが目安になる」というのは、喉の疲労を考慮したものです。

 

例えば、しっかりと声を出すトレーニングをみっちり30分~1時間くらい続けると、どんな人でもかなりの喉の疲労が生まれるはずです。つまり、がっつりボイトレすると、大体30分、良くて1時間くらいしかもたないのですね。

 

もちろん、頑張ればそれ以上取り組むこともできますが、喉の疲労とともに集中力も切れていくでしょう。

また、声帯は消耗品としての面も持っているので、やりすぎると今度は傷ついていく危険性があります。そうなると、トレーニングとしてはマイナスです。

 

なので、その点を考慮すると、15分〜30分が目安になっていると考えられます。

 

「トレーニング内容」と「能力」で、喉の疲労は変わる

上記までの時間はあくまでも目安であり、実際には、

  1. トレーニング内容
  2. 能力

によって、最適な時間は変化します。

 

つまり、かなり負荷の大きいトレーニングは短い時間の方がいいでしょうし、負荷の小さいトレーニングは長くやっても問題ないことも多いでしょう(*だからと言って、長くやればいいとは限らない)。

 

また、人それぞれの歌の能力(喉や声帯の能力)によっても、時間は変化するでしょう。

歌の能力が高い人は、長くトレーニングしても大丈夫かもしれませんし、歌の能力が低い人は、短い時間でもいっぱいいっぱいになってしまうかもしれません。

 

マラソン上級者は毎日長い距離走っても平気だが、マラソン初心者はいきなりそんなことできず、無理をすると怪我をする。みたいなものですね。

 

このように、「トレーニング内容」や「能力」によって最適な練習時間が変化するということは、頭に入れておきましょう。

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一週間にどれくらいがいいのか?

「ボイトレを一週間に何日すればいいのか?」という疑問はよくあると思いますが、これは

  • 基本は、週3~6日くらい
  • 回復が早い人は、週7日(毎日)
  • 最低、週1日程度

と考えるのが良いかと。

 

基本の考え方

まず、基本的には『ボイトレはやればやるだけ成長するもの』だと考えておくといいでしょう。よく「毎日歌ってたら上手くなりました」などと言いますが、これは正しいことなのですね。

 

ボイトレに限らずどんなことにでも言えますが、量をこなせばこなすほどに成長するのが人間ですね。

 

回復を考慮する

しかし、しっかりと回復させる時間も成長には必要不可欠です。

 

この回復を考慮せずに頑張りすぎると、

  • 能力の成長が停滞する
  • 能力が下がってしまう
  • 怪我をする(喉にダメージを負う)

などのことが起こります。

 

つまり、どこかを境に「やり過ぎ(オーバートレーニング)」になってしまうということです。

 

ただ、どこまでが「やり過ぎ」になるのか。これは、人によって違います。

 

回復の速度は、個体差、食事や栄養、睡眠の質、など様々な要因によって変わってきてしまいますし、トレーニング内容によっても変化しますから。

  • (週3日練習)2日連続で休む
  • (週4日練習)1日置きに休む
  • (週5日練習)2日置きに休む
  • (週6日練習)3日置きに休む

など、どれがベストかは人によって違うでしょう。

 

回復力によっては、毎日やってもOKという人や、1日2回(朝晩)でも大丈夫という人もいるでしょう。こういう人はひたすらトレーニングしても、何も問題ないと言えます。

 

逆に回復力がないから、週に一回程度で丁度いいという人もいるでしょう。

 

これは後ほど触れますが、超回復理論では人間の体は24時間〜72時間程度で回復するとされています。

24時間で回復するなら週に7日練習できますし、72時間で回復するなら週に3日練習になります。

 

つまり、「週に3日〜7日」がベストになるのですが、個人的には、どれだけ高頻度に耐えられる人でも、時々は一定の休養を取る方がいいと考えています。

 

なので、その点を考慮して「週に3日〜6日」がベストとしておきます。

 

また、変則的に「1週間みっちりトレーニングして1週間丸々休む」など、色々なパターンがあると考えられるので、自分に合う回復のペースを見つけてください。

 

最低、週1日

「逆に低頻度は?」というお話です。

これは1週間に一回くらいでも、ボイトレは成長できるものだと考えられます。当然、その分成長速度は遅くなるでしょうが、成長しないことはないのですね。

 

ただ、2週間に一回、1ヶ月に一回など間を空けすぎると流石に成長しにくくなるでしょうから、そういう点で「最低週1日」くらいで考えておくといいと思います。

 

長く期間が空いてしまうと、どうなるか?

風邪などで長く期間が空いてしまうこともあるでしょう。長く練習期間が空いてしまうと、その時間の長さに応じて、当然能力自体は徐々に下がっていきます。

 

しかし、人間には「マッスルメモリー」というものがあり、一度鍛えたものであれば、一定の期間休んで能力が衰えたとしても、もう一度トレーニングすると短い時間で能力を取り戻せるとされています。

 

歌においても同じことが言えるだろうと考えられます。

 

そもそも、歌の能力は成長も衰退もゆっくりしたものです。

例えば、歌が上手い人が数ヶ月くらい歌わなかったからと言って、急に下手になることはないですね。もちろん、何もしなければ能力は少しづつ低下するでしょうが、また練習を再開すればすぐに取り戻せるでしょう。

 

なので、時間が空いてしまう場合でも、大きく心配する必要はないと思います。

 

「超回復理論」や「フィットネス-疲労理論」を頭に入れておく

「超回復理論」や「フィットネス-疲労理論」は、スポーツや筋トレにおける体の成長理論です。

 

スポーツ・筋トレとボイトレは、場合によっては考え方が異なる点もありますが、同じ「体」のお話なのでそうかけ離れたものではないと言えます。

 

なので、頭に入れておいて損はないです。

 

超回復理論

超回復理論とは、ある能力(体力・筋力など)がトレーニングすることによって一時的に下がり、時間を経て回復した時に、トレーニング前よりも成長するというものです。

先ほどの述べましたが、超回復の時間は、24〜72時間と部位によって差があるとされています。

 

筋トレでは多くの場合、48〜72時間くらいになることが多いとされていますが、腹筋など遅筋(持久力系の筋肉)が多い部位は24時間とされています。また、小さい筋肉ほど超回復の時間が早くなるという傾向があるとされています。

 

仮に、超回復48時間で考えると、一日置き(週4日)でボイトレすると丁度いいということになりますね。

あくまでも48時間というのは例なので、実際に発声に関する超回復の時間は不明です。というよりも、発声に関わる部位は多くありすぎるので、はっきりとした時間を求めることは難しいのでしょう。

 

ボイトレに関しては、24〜48時間くらいで考えるといいのではないかと思います(*一概には言えないが)。

 

この理論で考えた場合、やり過ぎ(オーバートレーニング)というのは、回復する前にトレーニングを繰り返してしまうような状態ですね。

 

フィットネス-疲労理論

超回復理論と似たようなものなのですが、『フィットネス−疲労=パフォーマンス』という考え方をする理論です。

 

簡単に言えば、

  • フィットネス・・・その人の能力
  • パフォーマンス・・・実際に起きた結果、本番

という感じで、あるトレーニングをすると、フィットネスは向上するが、疲労によってパフォーマンスが低下する。疲労が回復してくるとパフォーマンスが上がる。という考え方です。

フィットネスは増減の変化が遅く、疲労は増減の変化が早いので、パフォーマンスが向上していくということですね。

 

なんだかわかりにくいので、歌に置き換えて考えてみましょう。

  • フィットネス・・・その人の本来の歌唱力
  • パフォーマンス・・・実際の歌声

と考えると、『歌唱力−疲労=実際の歌声』となるということです。

考え方として、トレーニングをすればするほど歌唱力は伸びていると考えるのですね。そして、トレーニングによる疲労によって実際の歌声のパフォーマンスは落ちている、ということです。

 

例えば、高音が「ミ」の音まで出せるという人が、しっかりとボイトレをした後「レ#」までしか出せなくなった。などはよくあることですが、これは疲労によってパフォーマンスが落ちている、と考えるのですね。

 

先ほどの超回復理論は、『トレーニングをすると能力が落ちて、回復によって上がる』という考え方ですが、こちらは『トレーニングをすると能力は上がるが、疲労によって下がったように見える』というような考え方の違いがあるのですね。

 

ただし、こちらもやり過ぎた場合は、フィットネスも下がっていくという考え方をします。

疲労が蓄積すると、効果的なトレーニングができない状態となり、フィットネスも下がっていく。という風に考えるのですね。

 

どちらの理論も似たようなもの

どちらの理論も考え方が違うだけで、実は同じようなものになるのですが、超回復理論では上手く説明できないパターンなども、フィットネス-疲労理論では上手く説明できることがあるのですね。

 

特に連続的なトレーニングや長期的なトレーニングにおいては、後者の方が考えやすいようです。

 

なので、最近は筋トレなどでもこの「フィットネス-疲労理論」が用いられるようになっていますね。だからと言って、「超回復理論」で考えても特に大きな問題はないようですが。

 

もし、ボイトレをがっつり理論的に考えるのなら「フィットネス-疲労理論」で考えるといいと思います。実際に歌には「調子の良し悪し」という考え方がつきものです。

とは言え、あまり難しく考えても、理論通りの完璧な成長ができるわけではないので、『成長のためには回復が必要だ』ということを頭に入れておけばいいのではないかと思います。

 

フィットネス-疲労理論はこちらのページにまとめています↓

ボイトレの成長におけるプラトーとスランプについての考察

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まとめ

以上にようなことから、ボイトレは週に3~6日、15分~30分くらいを目安に取り組むといいと考えられます。

また、

  • トレーニング内容
  • 喉の状態、回復力

に応じて柔軟に変化させましょう。

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