今回は「ドッグブレス」というボイストレーニングについて掘り下げていきます。
このトレーニングは、
- 横隔膜を鍛える
- ブレスが上手くなる
- 息と声帯を連動させて発声の質を良くする
- 声の出だし(アタック)を綺麗にする
などの効果が期待できます。
目次
『ドッグブレス』とは
「ドッグブレス」とは、その名の通り「犬の呼吸」をまねるトレーニングで、歌に限らず、ビジネスやスポーツなどでも広く利用されています。
息を「ハッハッハッハ」と短く吐き、すばやく息を出し入れすることで、横隔膜を鍛え、ブレスコントロールを改善する効果があります。
歌のトレーニングにおけるドッグブレスは、基本的には息だけで「ハッハッハッ」と連続で発する方法か、それに合わせて声を出しながら「ハッハッハッ」と発声する方法の2つがあります。
どちらの方法でも効果があると考えられますが、声と一緒にトレーニングすることで、歌に直接的に活かせるので、個人的には声と一緒にトレーニングする方がおすすめです。
トレーニングイメージ(*再生位置)↓
しっかりとやると、結構キツいトレーニングです。
ドッグブレスの効果
ドッグブレスの効果は、以下のようなものが考えられます。
- 横隔膜を鍛える・息のコントロール能力の向上
- ブレス(息継ぎ)が上手くなる
- 息と声帯を連動させる
- 音の出だしのピッチが良くなる
それぞれ掘り下げます。
①横隔膜を鍛える・息のコントロール能力の向上
ドッグブレスは、犬のような呼吸をすることで横隔膜がしっかりと上下するため、横隔膜の動きを鍛える効果があります。
横隔膜がしっかりと動くことで、息を吸う能力、息を吐く能力の両方が鍛えられます。つまり、息をコントロールする能力が高まるということですね。
結果的に、通りやすい声を身につける、大きな声量のある発声ができるようになるなど、様々なメリットがあります。
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②ブレス(息継ぎ)が上手くなる
息を吸う能力と息を吐く能力の両方が鍛えられるということは、歌における「ブレス(息継ぎ)」も上手くなるということになります。
特にドッグブレスは素早く「ハッハッハッハ」と発声するので、自然と素早いブレスが身につきます。
歌は日常会話などのブレスに比べると、素早いブレスが必要になりますから、その練習としてドッグブレスはうってつけということですね。
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③息と声帯を連動させる
ドッグブレスは息と声帯の動きを連動させるのに役立ちます。
息と声帯を連動させるとは、簡単に言えば『声帯が息の力を効率的に活かせる状態にある』ということです。ドッグブレスは、息の勢いをしっかりとつけて声を出すので、この息と声帯の連動のトレーニングになります。
最初のうちは、声帯が強い息に慣れていないので、苦しかったり、喉が締まったりする、など色々な問題が出るでしょう。しかし、ドッグブレスに慣れてくると、息の勢いに声帯がだんだんと適応してきます。そうすると、強い息の勢いをかけても、楽に声が出せるような状態になっていくでしょう。
個人的には、この『連動』の効果がドッグブレスの一番いいところではないかと思っています。
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④音の出だしのピッチが良くなる
ドッグブレスには、『音の出だしのピッチが良くなる』という効果も考えられます。
ドッグブレスは「ハッ♪」と音の出だしだけを切り取ったような発声になるため、このトレーニングを音階などに合わせて行うことで、徐々に声の出だし(アタック)が鋭くなっていきます。
声の出だしのピッチは、歌唱力を高めるために重要な要素の一つになるので、この点を鍛えられるのもいいですね。
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ドッグブレスのやり方・練習方法
ドッグブレスのやり方
ドッグブレスの基本的なやり方は、口を「ハ」の形に開けて、「ハッハッハッハ」と声を出すだけです。
最初は同じ音を連続で練習し、次にピアノで音階をつけて「ドミソミド」などに対して「ハッハッハッハッ」と音階練習を行います。また、母音に変化をつけて「ヒ・フ・ヘ・ホ」などをやってみるのもいいでしょう。
ピアノの音階と合わせなくても、単純に「ハッハッハッハ」と連続的に声を出すだけでもOKです。
しかし、音階を合わせることでピッチ感をトレーニングすることができるため、トータル的により効果的だと言えます。
練習音源
音源に困っている方は、『ドッグブレス練習用音源ページ』を活用してみてください。
ドッグブレスの注意点
息をしっかりと吐いて、息のアクセントをつけるようにトレーニングしましょう。息があまりに弱すぎると、思ったような効果は出ないので。
もちろん、逆に強すぎも良くないので、適度なバランスを探しましょう。
「お腹を動かす必要があるのか?」と疑問に思うこともあるでしょうが、無理に動かす必要はありません。もちろん、動いてもいいです。あくまでも、息に焦点を合わせて、お腹は自然な動きに任せましょう。
ドッグブレスのデメリット
基本的には、ほぼデメリットがないトレーニングだと考えられますが、一つあるとすれば『声帯が弱い人は喉を痛めてしまう可能性がある』ということです。
声帯が弱いタイプの人は、息を強く当ててしまうことで、すぐに声が枯れたりしてしまいます。
もちろん、トレーニングを続けることで強くなって大丈夫になっていくパターンもありますが、いくらトレーニングしてもダメなパターンも考えられます。
後者の場合は、生まれ持った喉の特性と言える可能性が高いので、諦めて違う方法を探すか、声は出さずに行きだけでトレーニングするかになるでしょう。
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