今回は『耳の良さと歌唱力の関係性』についてです。
この記事は
- 耳の良さは歌唱力に影響する
- 歌唱力に必要な二つの「耳の良さ」
- 耳をよくする方法
という内容です。
耳の良さと歌唱力の関係性
当たり前と言えば、当たり前でしょうが、
- 耳がいい人は歌が上手くなる可能性が高い
です。
もちろん一概には言えないのは大前提ですが、「耳の良さ」は「歌の上手さ」に大きな影響があると考えられます。
また、「耳の良さ」にも色々なジャンルがあると思いますが、歌の上手さに必要な「耳の良さ」は
- 音程やリズムが合っているかどうかが分かる耳の良さ
- 発声の質(音の性質)を理解できる耳の良さ
という2つでしょう。
両方とも大事なのはもちろんですが、特に右側の能力が歌の上手さにおいては重要かと考えられます。
①音程やリズムが合っているかどうかが分かる耳の良さ
自分が発している歌声の音程やリズムが合っているか合っていないかが分かるという耳の良さ
です。
いわゆる『音楽的感性・感覚』に関連する耳の良さ。
例えば、単純に『音程が合っている』とは言っても、
- どちらかと言えば合っている
- 普通に合っている
- かなり合っている
- 超絶合っている
のような感じで細かい度合い・レベルがあるので、実はかなり奥が深いものでもあります。
ただ、歌の上手さにおいてこの耳がものすごくいいからと言って、歌が上手くなるとは限らないのが面白いところ。
なぜなら、
- 『歌唱力=発声能力×音楽的感性』
だからです。
そして、「音程やリズムに関する耳の良さ」は右側の能力に深く関わっていますが、左側の能力には関わっていないので片側しか埋められない耳というわけですね。
例えば、一流ピアニストなどの音楽家はこういう耳はトップクラスに長けていると考えられますが、歌が上手いとは限りません。意外と「歌は下手です」と発言する音楽家も多いですよね。
とは言え、半分を埋める要素ではあるので、重要なことに違いはない。
こういう耳の良さは、楽器を練習することで飛躍的に高められると考えられます。
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楽器が弾けると歌が上手くなりやすい【楽器と歌唱力の関係性について】
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②発声の質を理解する耳の良さ
これは
「どんな発声をしているのか、どんな音色なのか」などを聴き分ける耳の良さ
です。
この耳が歌の上手さに非常に重要だと思いますし、歌が上手い人はこういう耳がいいのだと考えられます。
発声を聴き分ける耳がいいということは
- 『目標のシンガーの発声の質や状態がわかる』
ということです。
また、
- 『自分の発声の質や状態もわかる』
ということでもあります。
そして
その二つが正確に理解できていれば、
- 『目標の発声と自分の発声の誤差を埋める能力がある』
と言えます。
「自分の発声」と「目標の発声」を正しく認識することができるのならば、目指すべき方向への修正や正しい道筋へ訓練することができますね。
例えば、
文字の練習であれば「あ」という文字のお手本が隣に書いてあって、それに合わせて自分の「あ」を練習することでその違いを認識して、修正しようと努力することでどんどん字が上手くなっていきますね。
歌においても同じで、お手本を”正しく認識”し、自分の歌声も正しく認識すればお手本に向かって何が必要かは自ずとわかります。
この耳の良さを持っている人は歌が上手い人、もしくは上手くなる人が多いと考えられます。
【お手本を正しく認識する難しさ】
お手本(プロの歌声)を正確に認識するのは、かなり難しいです。
なぜなら、大抵の歌手の歌声はCDなどの音源としてしか聴けないからです。ライブであっても基本的にマイクを通していますね。
おそらく、目の前で歌手の生歌を聴くことができれば、誰もがその質を正確に認識できるはずなのですが、マイクを通した音声データと化したものでは、その質を聴き分ける難易度がぐんと上がります。
例えば、
一般的な音源化された歌声は例えば『生歌→マイク→コンプレッサー→EQ→リバーブ・ディレイ』のように色々な機械を通して(音声を変化させて)音源の歌声になっています。特に、コンプレッサーあたりは発声の理解を捻じ曲げやすいものだと思います。
とにかく、「生歌」の部分の理解がとても重要なのですね。
プロのシンガーの子供が歌が上手くなるのも、バンドのボーカルではない楽器陣が意外と歌が上手い人が多い傾向にあるのもこのためでしょう。本物の発声の質を正確に理解しやすい環境にいるもで、自然と上手くなるという理屈です。
最近は、YOUTUBEなどで生歌が聴ける機会が増えています(*厳密にはスマホの録音音声ですが、音源よりは圧倒的にわかりやすい)。
そういうものは、ある程度正確に歌声を理解しやすくなるので、すごくいい勉強になると思います↓
【自分の声を正しく認識する】
これの解決方法は比較的簡単です。
- 自分の声を録音する
がベストな方法でしょう。
録音すると変に感じるという人もいるでしょうが、つまりそれは自分の声が正しく認識できてない可能性が高いということ。
そういう意味でも、この耳の良さは重要なのです。
耳を良くする方法
大枠耳を良くする方法として、
- 洋楽を聴く
- いいイヤホン・スピーカーを使う
というものが考えられます。
洋楽を聴く
発声を聴き分ける耳をよくするにはどうすればいいか、一つは洋楽を聴くというのがおすすめです。
「言葉の意味がわからないから嫌だ」という人もいるかもしれませんが、言葉の意味が理解できないからこそ、『歌声を音として捉える耳が鍛えられる』と思います。より発声そのものや発声などに集中しやすいということですね。
また、日本人にとって英語は上手く聞き取れない言語です。ただ、ずっと聴いていると耳が慣れてきます。つまりこれは、声を捉える耳の能力が上がったということですね。
何より世界に名の通ったすごいボーカリスト達の歌声を聴くというのは良い勉強になります。
よく洋楽を聴く人は歌が上手くなりやすいとは言いますが、それは耳の能力の向上という面もあると言えるでしょう。
良いイヤホン・スピーカーを使う
音の違いがわからないのであれば、わかるくらいに良い音楽機器を使えばいいというのも一つの考え方です。
実はこれも意外と重要かと。
というのも、良い音楽機器というのは音の解像度が高く、音を明確に捉えられます。当然その分だけシンガー達の発声の状態をしっかりと捉えやすくなります。
自分がそうだったからものすごく気持ちはわかるのですが、「安いイヤホンと高いイヤホンあんまり変わらないよ!」って思っている人ほど危険です。
結局それって、違いがわかってないから耳は良くないのですね。
個人的なおすすめは、『音場の広いイヤホン』を使うことです。「音場が広い」とは、音の左右が広いということです。音場が広いと、音が左右に分離しやすくなり、他の楽器と音像が重なりにくくなるので、ボーカルがはっきりとクリアに聴こえます。ボーカルを鮮明に聴きたい人には、とても良いです。
もっと言えば、音場の広さは基本的にイヤホンよりもヘッドホンの方が優れていることが多いので、ヘッドホンにすると、より鮮明にボーカルを聴くことができるでしょう。
とにかく、音をはっきりと分析できる環境を整えることも、耳を良くすることにつながるということです。