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発声方法

『吸気発声』のやり方や効果についての考察

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今回は「吸気発声」について。

吸気発声とは、その名の通り、息を吸って発声するものです。

そんな「吸気発声」やその効果についての考察です。

「吸気発声」とは

「吸気発声」とは吸気による発声、つまり吸気音のことです。

吸気音(きゅうきおん 英語: ingressive sound)とは、声道を外から内に向かう気流によって発せられる音をいう。肺臓気流機構によるものと、非肺臓気流機構によるものがある。

吸気音の逆は呼気音(egressive sound)と呼ぶが、通常の言語音声は大部分が呼気によるものなので、わざわざ呼気音と断ることは少ない。

引用元:Wikipedia『吸気音』

簡単に言うと、『息を吸いながら発声する』というものです。

 

普通声を発する場合は息を吐いて発声するのですが、それの逆をするものが「吸気発声」です。

 

吸気発声のやり方・コツ

やり方・コツ

  • まずは、強めに「あ”ーー」と発音します。
  • 発声しながら自然に息を吐ききってください。
  • ここで息を吸うのですが、その際その発声している(閉じている)声帯の状態を維持したまま吸ってください。
  • そうすると、音が鳴ると思います。

 

これが吸気発声です。

 

できなかった人

できなかった人は、エッジボイスくらいしっかりと声帯を閉めた状態を意識してそのまま吸ってみてください。

もしくは、息を意識的に止めている状態を維持したまま吸うと鳴ります。

 

日常生活でも使う人は使うというか、誰でも一度はやったことがあるものではないしょうか。

この吸気による発声をボイストレーニングとして活かすのが、『吸気発声によるトレーニング』です。

 

吸気発声の効果

定説的効果

「吸気発声の効果」として、仮声帯が外転(つまり仮声帯が閉鎖しない・開く)することが主な効果と言われています。

 

これが仮声帯です。がなり声・唸り声に使われる部分です。

 

吸気発声は、この仮声帯が発声の邪魔をしているような発声障害を抱える人にいい治療法として有名です。

つまり、仮声帯が意図せず振動してしまうような発声障害を改善する効果が考えられるというのが定説です。

 

ただし、

吸気発声は仮声帯が開きやすくはなるのでしょうが、必ず開くものではないとも考えられます。仮声帯を閉じようと思えば、吸気でもできないことはないとは思います。

 

効果があるのか疑わしそうな効果

  • 声帯コントロール、声門閉鎖、声帯収縮(緊張)系を鍛える効果がある
  • 地声の高音、もしくは俗に言うミックスボイスの習得に役立つ

などは「どうなのだろう?」と思います。

 

もしかしたら何らかの効果があるかもしれませんが、「遠回り」では?。

 

歌は息を吐いて歌うのだから、吐いて歌う練習した方がいいと考えるのが普通ですね。

 

そもそも、吸気発声時の声帯の状態を維持したまま、呼気(吐いて)で同じように発声しても同じ音色にはなりません。

つまり、吸気発声と呼気発声で同じ声帯の状態を維持しているのにも関わらず、息の方向性の違いで音色が違う音色になるのです。

 

リコーダーを逆から吹いても綺麗な音が鳴らないですよね。

 

同じように声帯も『呼気側から綺麗に鳴る構造』になっています↓

ぱっと見の形で、呼気側と吸気側が全然違うのがわかりますね。

 

声帯の振動を横から大きく拡大して瞬間的に切り取ってみると、息の流れに沿って滑らかに振動しています。

 

 

普通の発声だとこのような順番で振動しています。

 

声帯は全体を同時に打ち合うように振動しているのではなく、このように順番に打ち合っています(ベルヌーイ力とかベルヌーイの定理とか言われますが、難しいことは置いておきましょう)。

 

わかりにくい方は、こちらを見ればわかります(グロ注意)↓

 

瞬間の世界のお話です。

それが、吸気発声だと逆方向になるのですね。

 

その際構造が上下同じ形ではないので、声帯の状態が同じだとしても呼気発声と吸気発声は違う音色が鳴る

 

つまり『吸気発声でいい音色の発声ができても、それが呼気発声でいい音色を歌う為になるものとは限らない』と考えられますね。

そういう点で吸気発声のトレーニングは遠回りですし、正しい発声方法を捉えにくいものだから、最悪マイナスに働くこともあるかもしれないと考えられます。

もちろん、プラスに働く場合あるかもしれませんが。

 

個人的に考える吸気発声の効果

何かを鍛えるトレーニングとして活用するには成長にマイナスに及ぶ危険性があるとは思うのですが、きっかけやコツを掴むには役立つトレーニングかもしれません。

 

というのも吸気で発声する場合、声帯全体が綺麗に締まりやすいです。

おそらく、普通に呼気で発声するのに比べて喉が締まった感じがあるでしょう。にも関わらず声帯周りの余計な力は締まりにくい(仮声帯が外転するから?呼気圧をかけられないから?)。

 

そして、音を鳴らすにはその締まった状態を維持したまま息を通さなければいけないから、そのような声帯の使い方をする発声(例えば強い高音発声など)の感覚やキッカケを掴むようなものになるのではないかと考えます。

 

あくまでその感覚を掴むためのもので、

  • 必ずしも『吸ってできる=吐いてできる』ではない

ということを頭に入れておくべきかと。

 

正しい吸気発声のやり方

感覚を掴むにしても正しいアプローチでやるトレーニングとして成立させたいですよね。

やったらやった分だけマイナスになっては意味がないです。

 

この正しい吸気発声のやり方や目指すべき音色ですが、正直わかりません。笑

というよりも

  • 「人による」
  • 「目指すべき発声による」

と考えています。

 

実は呼吸の際に、吸気発声しているシンガーは普通にいますね。

もちろん完全な吸気発声らしい吸気発声ではないですが。

 

CD音源として普通に聞けたりもします。

もちろんたくさん聴けるものでもないのですが、強い高音発声の使い手に多いですね。「キュッ」という音になりやすいです。

おそらく本人たちはそのつもりはなく、ブレスとして息を吸った結果吸気発声気味になっているのでしょう。

 

ということは

『その吸気発声の音がそのシンガーの声帯の使い方のヒントになる?』かもしれません。

 

結論

この吸気発声は

仮声帯を使わないようにするには役立つかもしれない

声帯を締める・閉じるような発声のきっかけを掴むものになるかもしれない

と考えられます。

 

もちろん声帯コントロールを鍛えるトレーニングになるかもしれませんが、「吸うくらいなら吐いた方が、、、、だって結果的に吐くんだし」と思います。

 

とは言え、まずは自分で試して検証してみてください。

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