ボイストレーニング

ビブラートについての考察【どこを使って生み出すのか】

投稿日:2018年2月6日 更新日:

今回はビブラートについての内容です。

この記事の内容

  • ビブラートとはなにか→「1秒間に5〜6回程度半音くらい揺らすテクニック」
  • ビブラートの種類とは→「厳密には種類はない、あるのは個性」
  • ビブラートはどこで生み出すのか→「横隔膜?口?いや、声帯」

という内容です。

ビブラートとは

ビブラート(伊: vibrato)とは、演奏・歌唱において音を伸ばすとき、その音の見かけの音高を保ちながら、その音の特に高さを揺らすことである。バイブレーション(英: vibration)も似た言葉だが音楽においては、ビブラートには含まれないタイプの音の揺れや、感情の揺れ等を示すことが多い。

引用元:Wikipedia『ビブラート』

ウィキペディアにはこのようにあります。

単純に

音程の揺れ・揺らぎ』のこと。

波のように規則的に音程を動かすことで、音程の安定感と心地よさを生み出すもの。

です。

まぁ割と一般的な言葉でもあるのでわかる人も多いとは思います。

しかし、ビブラートはあくまで『音程の揺れ』ということをしっかりと理解しておくことは重要です。これは後半の『ビブラートはどこで生み出すのか?』ということを考える上で非常に重要です。

ビブラートの原理

音程を揺らす幅は『半音の音程の揺れを作るのが理想的なビブラート』とされています。

この上下にトータルで半音で揺らすということは実質的に「シ」「ド#」に四分音(半音のさらに半分)届かない状態なるので人間に耳には「ド」の音として認識されるのですね。

このドと認識する範囲で音程を綺麗に揺らすことで『音程の音程感』と『音の心地良さ・揺らぎ』を生み出すのがビブラートです。

ただし、その音程の揺れ幅や揺らし方は決まっているわけではなく、音程を半音以上大きく揺らしてもビブラートはビブラートです。

あくまで理想的なビブラートは半音程度の揺れというだけで、揺らし方などは人によって表現は自由ですし、個性が出るところでもあります。

ただ大きく揺らした場合、

このように不必要な音程まで認識できてしまいます。

逆に揺らす幅が狭すぎても

音程の揺れを認識できません。

表現は自由ですが、音楽的にはある程度美しいと感じる範囲は決まっていると考えられそうです。

なので理想的な音程の揺れ幅は半音程度と言われています。

揺れる回数

実は時間あたりどれくらい揺らせば最適なのかというのもすでに研究されています。

一般的に1秒間に5〜6回程度音程を揺らすビブラートが心地よいビブラートとされています。

理想的なビブラートは

「1秒間に5〜6回程度半音くらい揺らすビブラート」が理想的なビブラートと考えられています。

下の音源は1小節毎・1秒間に1〜8回まで音をビブラートをかけた音源です。好みにもよるでしょうがやはり5〜6回目くらいがちょうどよく感じ、3〜4回ではゆったり、7〜8回で多いと感じるでしょう。

ビブラートの種類

ビブラートの『種類』と言ったって、実は種類というものはないと考えたほうがいいと思います。

一般的には細かい音の揺れをするビブラートを「ちりめんビブラート」と言うことはありますが、別に明確な定義が決まっているものでもないです。

イチロー選手の送球を「レーザービーム」と言っているのと同じようなものです。わざわざ名前をつけたみたいな感じです。

ビブラートにあるのは「種類」ではなく『個性』だと思います。

ビブラートの個性

ビブラートの個性を作るポイントは二つあります。

ビブラートは大きく分けると2つに軸で判断できます。それが深さ細かさです。

言い換えると音の波の高さです。

この二つの度合いでビブラートは個性が出ます。

ちなみに

カラオケとかの採点で出て来るのですが、この二つの度合いをタイプに分けて「A-1」だとか「B-2」だとか色々分けられています。見たことある方もいるはずです。

これは覚えなくていいですし、気にしなくてもいいと思います。

あれはあくまでDAMを製作した第一興商さんが定めたビブラートの種類ですから、カラオケ採点の楽しみを増やす要素でしかないです。当然、世界共通の用語でもないです。

カラオケ採点が好きな方は気にしてもいいとは思いますが、それ以外の方は気にする必要のないことです。

少し話が逸れましたが、音の波の『高さ』と『』の二つの判断軸についてです。

深さ・波の高さ

深いビブラート浅いビブラートかというものです。

波の大きさ

つまりこれは音の波の揺れの大きさ=音程の揺れ幅のことです。

これはピッチのブレの幅を指します。だいたいビブラートは半音程度、音を揺らすのが基本的でしたね。

もちろん1音くらい揺らす人もいます。こういうビブラートは深いビブラートと言えるでしょう。

逆にあまり音を揺らさないビブラートは浅いビブラートと言えます。

あまり大きく揺らしすぎると不快に感じることもありますし、小さく揺らしすぎるとビブラートと認識できないような場合もあります。人間が心地よいビブラートと感じるにはある程度の範囲があるのです。

深いビブラート

浅いビブラート

そこまで浅くはないのですが(むしろ理想形)、浅すぎると聴き取れないのでこれくらいを例に。

細かさ・波の幅

細かいビブラート(ちりめんビブラート)緩やかビブラートかということです。(細かいの対義語は粗いですが、粗いビブラートというとなんかわかりにくいので緩やかなビブラートとします。わかりづらい方はすみません。)

波の幅

音の波の揺れの幅=音程を揺らす回数です。

時間内にどれだけ音を揺らしているかということです。

細かいビブラートは震えているような寂しさが表現しやすいですし、緩やかなビブラートは壮大さを感じさせてくれますね。

ただし、細かすぎるとそれはもうただの高速の震えですし、緩やかすぎるとただの音程の変化ですね。これも人間がビブラートと認識するにはある程度の範囲がありそうです。

細かいビブラート

緩やかなビブラート

ビブラートはどこを使って生み出す?

ビブラートはどこを使って生み出すのか?という問題が議論になることは多いです。

特に議論に上がるのがこの3つです。

ビブラートはどこを使う?

  1. 横隔膜(お腹)
  2. 喉(声帯)

人の体はそれぞれですからいろいろな意見があって当然とは思うのですが、個人的な答えは『喉(声帯)と考えています。

なぜなら、音程を調節している部分は結局『声帯』だからです。

  1. ビブラートは「音程の揺れ」
  2. そしてその音程を調整している部分は『声帯』
  3. よってビブラートは声帯が生み出している

こう考えるのが自然だと思います。

横隔膜や口を使うビブラートはあくまでコツを掴むためのものだと考えられます。

『横隔膜ビブラート』について

よく横隔膜を使うとかいう話が出てきます。

横隔膜を使って揺らすとか。それと同義語的な意味で『お腹を使う』とか。

横隔膜(お腹)って息を吐いたり吸ったりするために肺を動かす部分です。

このようにあくまで横隔膜は『息をコントロール』している部分です。

ということは横隔膜で作るビブラートは『息の起伏で作る?』ということになりますね。

息の起伏で作れますか?

試しにお腹(横隔膜)をベコベコ膨らませたりヘコませたりしながら声を出してみましょう。

「あ〜〜〜〜」

確かにビブラートになります。まぁ一応ビブラートというものにはできるのです。

でもこれは結局横隔膜の動きに合わせて声帯が動いているだけです。集中すれば声帯が動いているのがわかるはずです。つまり、実施的な主役は「声帯」と言えます。

例えば、喉や声帯はできるだけ音を揺らさないように意識してお腹をベコベコさせてみてください。おそらくビブラートっぽくなりません。

雰囲気としては「あっあっあっあっ」みたいな感じになるでしょう。

つまり横隔膜ビブラートは横隔膜の動きに合わせて声帯が動いているというだけです。

横隔膜だけでビブラートは作れない

横隔膜をどうこうしたって、実質的にコントロールできるのは息だけです。

つまり揺らすというのなら揺らせるのは厳密には『息の量』だけですよね。

さらに核心をつくと、『ビブラートはお腹(横隔膜)をほとんど動かさなくでもできます。』。

なので必要ではないと考えるのが普通ですね。

横隔膜はビブラートにおいて重要ではないと考えられます。

つまり横隔膜ビブラートとは『横隔膜の助けを借りて声帯がビブラートのような動きをするため』の補助輪みたいなものです。

最初は補助輪付きでもいいのですが、いつかは補助輪を外さないと自由にビブラートが使いこなせません。

ビブラートができる人の中には横隔膜を使っている感覚のある人もいるでしょうが、実質的に音程を動かしているのは『声帯』のはずです。

なので「横隔膜の揺らし方がわからない」などという人はわざわざそこに縛られる必要はないでしょう。

感覚を掴むコツにはなる

横隔膜を意識的に動かして音の強弱を作り、そこからビブラートのコツを掴むものと考える方がいいでしょう。

上のような音の強弱変化はビブラートではなく、あえて言えば『トレモロ』と言うような気がします。エレキギターを弾く人ならわかると思いますが、トレモロもビブラートっぽく聴こえます(あくまで「ぽく」)。

このトレモロも楽器や音楽のジャンルにおいて定義が変わることもあるのですが、基本的な概念は音の強弱変化です。

器楽演奏ではトレモロは断続的かつ周期的に同じ音の発音を繰り返すことであり、連続的に揺れるビブラートとは区別されるが、楽器の種類によっては境界が曖昧となることもある。

歌唱においては、古典声楽ではトレモロをあまり用いないこともあってか、質の悪い揺れをビブラートと区別してトレモロと呼ぶ場合がある。これは本来の、演奏手法を指すトレモロとは全く別な物である。

引用元:Wikipedia『ビブラート』

『口を使うビブラート』について

『口を使うビブラート』という論もあります。

例えば、

口を高速で「アウアウアウアウ」と動かしながら声を出すとビブラートっぽくなりますよね。

「っぽく」ですが。

これが口を使うビブラートです。

これはなぜかというと、「ア」は明るい開放的な音「ウ」は暗い閉鎖的な音色なのが理由です。

口の開き方の差が大きいので、音色の差が生まれるのです。その差が音階を若干(半音もいかないくらい)変えてしまっている(もしくはそのような印象を生んでいる)のですね。その音色の差を練習の感覚としての足がかりとするのはいいことだと思います。

ただ、

口の開きの差だけではビブラートほどの音階の波は生まれませんし、そういうビブラートをしている人は結局はその口の音色の差に合わせて声帯で音の波を作っているのですね。

試しに一定の音をなるべく変えないようにしながら「アウアウ」してみてください。多分ビブラートっぽくならないはずです。

さらに核心をつくと、『口を閉じてもビブラートはできます』。

なので口の動きは必須ではないと言えます。

つまり『口を歌うビブラート』もあくまでビブラートのコツを掴むため・整体の動きの波を作るための補助輪のような役割だということです。

口を速く動かすということは比較的誰でも簡単にできるので、コツを掴む練習に向いていますね。

ここで言いたいのは口を動かすのが悪いということではなく、ビブラートを作っているのはあくまでも声帯だということです。

重要なのは音程の揺れ、つまり『声帯の動き』ということですね。

結論

  • ビブラートは『音程の揺らぎ』のことで、理想的なビブラートは上下に半音程度揺れる。
  • ビブラートは音程の揺らぎの『高さ』と「』で表現の個性が出る。
  • ビブラートを生み出すのはあくまで声帯である。横隔膜や口を使うビブラートはコツを掴むための補助輪的なもの。

今回はビブラートとは?というビブラートの触りの部分の内容でした。

次のステップ『ビブラートを身につける練習方法』についての記事はこちらです。

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