歌のスキル・テクニック

歌のテクニック『しゃくり』について【アタックのニュアンスを作る表現】

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今回は歌のテクニックでもある『しゃくり』についてです。

多くの人がカラオケの採点などで見かけたことはあるでしょう。

しゃくりはマイナス要因も結構あるので、それを理解して使うことが大事です。

『しゃくり』とは

しゃくりとは

  • ある音の出だしで下の音階から滑らかに入るピッチの取り方のこと

です。

基本的に「フレーズの出だし」「言葉の出だし」「音の出だし」で使われるテクニック。

カラオケの採点でも上記の図のような形で歌うと「しゃくり」判定されるでしょう。

 

イメージこんな感じ(*ポルタメントとも言えそうですが、ゆっくりとずり上げるようなしゃくり)↓

 

音から音へと滑らかに移行させる「ポルタメント」という意味合いに含まれている場合もあるかもしれません。

  • しゃくりは『その音の出だし』に対して使う言葉
  • ポルタメントは『音と音の間』に対して使う言葉

という感じで区別しておけばいいと思います。

歌のテクニック『ポルタメント』について【”上昇感”や”下降感”を生み出す】

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しゃくりのやり方

やり方とは言っても、特別なことは何もありません。

  • フレーズの出だしで、下の音階から入って目的の音を発すればいい
  • 前に音階がある場合、その音階を引きずって次の音階に入ればいい

だけです。

 

出だしの場合、下の音階は正直なんでも良いとも思います。

目的の音にしっかりとたどり着けるのなら、しゃくりの音階は『ニュアンスの部分ですからそんなに気にする必要がないでしょう。

 

思いっきり下からしゃくってもいいですし、浅めにしゃくってもいいと思います。

ここは表現の問題なのでお好きに表現してください。

できない場合

意識やイメージでできない場合はピアノなどを使って練習するのがおすすめです。

例えば、

  • ピアノで『ド→ド#』を弾きそれに合わせて声を出します。
  • この場合メインの音程が『ド#』、しゃくりの部分が『ド』です。
  • 最初の「ド」はすぐ切り替える「ド・ド#〜〜〜♪」

この素早い音の切り替えに合わせて声を出す練習をするとしゃくりを習得しやすいでしょう。

良いしゃくりにするためには

しゃくった後の音程を気をつける

『良いしゃくり』にするためにはしゃくりそのものよりもまず、

  • しゃくった後の音程に気をつけること

が重要です。

 

つまり、

  • しゃくった後の音程はドンピシャであっている方がいい

ということです。

②しゃくりを頻発させるのはよくない

単純にしゃくりを使いまくるのはよくないということです。

回数が多いと、全体の印象として先ほどの「ねっとり」「粘り気」「遅れている」という印象が生まれやすくなるでしょう。

 

もちろん、これは個人の価値観の問題もあるのでそれぞれのお好みに合わせて考えてみてください。

しゃくりのメリット

しゃくりの効果は主に二つ

  1. 歌がいい感じに聴こえることもある
  2. 音程を合わせやすい

という二つです。

①歌がいい感じに聴こえる

すごくざっくりとした表現で申し訳ないのですが、それ以上を説明することは実際難しいというか、好みや感じ方の問題なので『いい感じに聴こえる』としか言えません。

結局は「人による」と思います。

 

あえて言えば、

  • 盛り上がる感じ
  • 這い上がる感じ
  • 上昇感

のようなものでしょうか。

 

例えば、「トレーージャーー」(そんなにしゃくってない)↓

 

しゃくってる「トレーージャ(ア)ーー」↓

若干の違いに感じるかもですが、大体これくらいでしょう。なんとなくいい感じがしますよね。

音程をズリ上げる印象が「想いをこみ上げるイメージ=盛り上がり」みたいなものを生み出すのかもしれませんね。

②音程を合わせやすい

しゃくりは

  • 『しゃくった後の音程を合わせやすい』テクニック

でもあります。

どういうことかというと、音程を『探れる』んです。

 

図で説明した方が早いので↓

つまり音程を探り探り合わせることができるんです。

 

特にコードの境目や沈黙の後バックの演奏と同時に歌い出すときなどに使えます。

出だしの音を最初からドンピシャで合わせるのは難しいですからね。

 

しゃくりのデメリット

しゃくりにはデメリットがあります。

簡単に言ってしまえば、

  • 下手に聴こえる可能性がある

ということです。

 

「いやいや、さっきいい感じに聴こえるって言ったよな!?」と思いますよね。

でも、そうなんですよ。

実は

  • 「しゃくり」は表裏一体のテクニック

だと思います。

歌が上手い人はそんなに”しゃくらない”

実は歌が上手い人ほどテクニックとしての『しゃくり』はそんなに使わないでしょう(*もちろん、一概には言えないが)。特に『音の出だし』。

少なくとも「さぁ、しゃくるぞ」と考えて、狙ってしゃくることは「あるにはあるが、頻度は少ない」でしょう。

 

つまり、

  • 「ココ!」って時に使うテクニック

と言える。

 

なぜ使わないか?

”基本的には”ですが、

  • 使わない方が音楽的に美しいから

でしょう。

これも先ほどの動画ですが、出だしの入りの重要性がわかりやすいと思います(*再生位置)↓

音の出だしをしゃくらずに(音を探さずに)スッと歌うのは意外と難しい。

 

楽器だと鳴らした瞬間からその音が鳴るのですが、声だとそう簡単にはいきません。

だからこそ、それに近づくことで楽器の音色に近づけるとも考えられます。

  • 出だしからドンピシャに合わせる(近づく)ことができると楽器のように聴こえる=音楽的に美しい

と感じるのです。

 

つまり

  • しゃくらない方がいい

とも考えることもできます。

レコーディングなどでも「あー、ここしゃくってしまったから録り直し!」って結構なあるあるでしょう。

 

言葉のアタック(出だし)から音程が綺麗にあっているほど美しいものはないのですね。

個人的にはカラオケの採点は『加点』じゃなくて、『減点』の方がいいと思っています。笑

もちろん音楽の表現は自由なので、個人個人が思うことを大切にしていればいいと思います。

 

ただ、洋楽的は発声スタイルというか、アタック部分が鋭く切り込むようなR&Bっぽさのある発声を目指す人は「なるべくしゃくらない」ようにした方がいいかもしれませんね。

例えば、再生位置から阿部真央さん、三浦大知さん、Takaさん、清水翔太さんなど洋楽っぽい発声スタイルはしゃくらない↓

こういう洋楽っぽい歌唱スタイルは基本、「アタック(出だし)の鋭さや美しさ」が重要な鍵なので、『いかに出だしから綺麗に合わせるか』という「しゃくり」と相反するスキルが大切になってくる(*この方々が全くしゃくらないと言っている訳ではない)。

 

このように目指すスタイル次第ではしゃくりが邪魔になることがあります。

しかも、「しゃくり」は癖付きやすいですから。

 

例えば、阿部真央さんは逆に「しゃくれない〜〜〜」とレコーディングで嘆いていましたね(「春の歌」レコーディング時のミスチル桜井さんの要求に対して)。

僕の価値観では贅沢な悩みというか、いい癖だなと思いました。笑

 

しゃくりを治す

上記のような理由から

  • 『しゃくりを治したい』
  • 『しゃくりたくないのにしゃくってしまう』

という人も一定数いるでしょう。

 

この場合は、声のアタック(出だし)部分を強化すればいいので、そういうトレーニングをするといいでしょう。

アタックのトレーニングは

などがオススメです。

こういうトレーニングは「しゃくり癖」の矯正になるはずです。

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