発声方法

ホイッスルボイスの出し方についての研究【ホイッスルは2種類ある】

投稿日:2018年8月6日 更新日:

この記事は

  • ホイッスルボイスの概要と2種類のホイッスルボイスについて
  • 声帯の状態についての考察
  • 出し方・練習方法
  • ホイッスルボイスの必要性について

についての内容です。

『ホイッスルボイス』の概要

ホイッスルボイスの定義

ホイッスルボイスとは

笛のような音色・金属的な音色の超高音発声のこと

です。

*別名「フレジオレットボイス」という呼ばれ方をする場合もあります。

 

実は明確にどこからどこまでという音階の線引きなどはなく、ホイッスルボイスをどう定義するかは流派によるでしょう。

 

とにかく超高音はなんでもホイッスルボイスとする人もいるでしょうし、限られた音色の超高音のみをホイッスルボイスとする人もいるでしょう。

 

これは「ホイッスボイス」というものの厳密な定義が決まっていないので、どう考えてもいいとは思いますが、一般的にホイッスルボイルと呼ばれるものは2種類の発声構造に分けられます。

2種類のホイッスルボイス

大枠ホイッスルボイスと定義される超高音発声は2種類に分けられるある。

  1. 笛のような音色のホイッスルボイス
  2. 金属的な音色のホイッスルボイス

世間的にはこの二つの発声をまとめてホイッスルボイスと呼んでいるでしょう。

 

これらは「構音型」「気流型」と呼ばれたりもします。

  • 構音・・・肺から送られた空気が声帯を通過するときに声帯を振動させて音声になること。
  • 気流・・・大気の流れ。空気の流れ。

という意味です。

 

わかりやすく言い換えると、

  • 「構音する(構音型)」→「声帯が振動する」
  • 「構音しない(気流型)」→「声帯がほぼ振動しない。声帯を硬直させた隙間に気流だけで鳴らす。」

という意味合いになります。

言葉の印象的にかなり厄介なのですが、気流型の方が発声の音色的には息っぽくないのです。

 

おそらく英語を直訳してそうなったのでしょうが、少しわかりにくいのでここでは

  • 笛ホイッスル(構音)
  • 金属ホイッスル(気流)

とでも呼んでおきます。

「笛ホイッスル」は「笛笛」ってことになりますが、音色の特徴的にわかりやすいので気にしない。笑

 

この二つは同じくらいの音域の発声ですが、発声の質が違います。

  • 笛ホイッスルは「の倍音」を多く含み、歌の中でも使える発声。
  • 金属ホイッスルは「鳴りの倍音」を多く含み、歌の中では使いにくい発声。

と言えるでしょう。

 

笛ホイッスル

フルートやピッコロ、リコーダーのような管楽器の音色のようなホイッスルボイスです。

笛ホイッスルの特徴

  • 息の「スー」っとした倍音を多く含む
  • 音色に透明感がある
  • どこか開放的で心地よい
  • 裏声・ファルセットの延長線上にあると考えられる
  • かなりの声帯の柔軟性を必要とするので難易度が高く、基本的に女性にしかできないと考えられる

 

音色のイメージ↓

 

音色的には裏声に近く、美しい笛のような音色が鳴るホイッスルボイスです。

歌の中でも実用的に使えるホイッスルボイスと言えるでしょう。

 

個人的には『笛ホイッスル』は”基本的に”男性は出せないものと思っています。

男性の場合声帯が大きいのでどうしても超高音の音色は芯を持ってしまい金属的にならざるを得ないのがほとんどでしょう。

 

しかし、出せている人もいます(再生位置*1:55〜)↓

なので、あくまで”基本的に”男性は難しい。

 

金属ホイッスル

鉄琴・グロッケンを叩いたような金属的音色のホイッスルボイスです。

金属ホイッスルの特徴

  • 鳴りの「キーン」とした倍音を多く含む
  • 音色が硬く金属的である
  • どこか詰まっていてツンとする
  • エッジボイスの延長線上にあると考えられる
  • 男女関係なくコツを掴めば誰でもできる

 

音色のイメージ(再生位置*7:00〜)↓

笛のような音色というよりも金属的というか、電子音のような声ですよね。

音域自体は超高音ですが、「笛ホイッスル」とは発声の質が違います。

「声帯振動はない」と言ってますね(日本語字幕つけられます)。

 

金属ホイッスルは基本的に歌に使いにくいのですが、どんな発声も使い方次第と言いますか、見事に使いこなすシンガーもいます↓

このようにホイッスルボイスは大きく分けると二つに分けることができます。

ホイッスルボイスの声帯の状態

地声の声帯の状態は

裏声の声帯の状態は

金属ホイッスルの声帯の状態は

図は少し誇張していますが、基本的にこのような状態であると考えられます。

声帯周りや声帯全体を収縮させてガチガチに固めた声帯の隙間から音を出すような発声が金属ホイッスルです。

ほぼほぼ声帯が振動しなくなり金属音ような音色になる。

 

笛ホイッスルの声帯の状態は

このように金属ホイッスルに比べると、ファルセット的な発声状態を維持して超高音を発声していると考えられています。つまり、超高音域で声帯を硬直させずに声帯の振動を保っておりあくまでファルセットの超高音という位置付けになる。

 

この笛ホイッスルの状態は『締めるより伸ばす』のが重要だと考えられます。

声帯の超伸展が生み出す発声

 

もちろん、「金属」と「笛」は完全にどちらか一方に偏っているというよりは「締めるのか」「伸ばすのか」の要素の割合の違いでしょう。

 

つまり、どっちとも取れるようなホイッスルも存在する↓

ホイッスルボイスの出し方・練習方法

先に言っておきますが、「金属ホイッスル」は出すだけなら簡単ですが、おそらく喉にいいものではないかもしれません(*一概には言えませんが)。

 

あくまでも可能性のお話ですが、やり続けると何が起こるかわかりません。

 

これは「ダメージが大きくて声帯に悪い」というよりも「声帯の使い方に変な癖がつき結果的に歌唱全体に悪影響が及ぶかもしれない」ということです。

なので、単にホイッスルボイスだけが出したい人は問題ないかもしれませんが、歌が上手くなりたい人は練習しないほうがいいでしょう。

 

逆に「笛ホイッスル」は出すのが超難しいでしょうが、喉にそこまで悪くないと考えられます(*これも一概には言えない。金属同様に変な癖をつける可能性もあるかも)。

①金属ホイッスルボイス

このホイッスルボイスは意外と簡単です。

とにかくイルカの鳴き声を真似しましょう。

 

声帯のみの閉鎖だけでなく、声帯周りを使って喉を締めたような状態を作ります。

 

エッジボイスでのアプローチ

  • 高音のエッジボイスを出します
  • この状態からさらに喉を締めること(息を声帯でせき止めるイメージ)を意識します
  • 音になるか、ならないかくらいの範囲まで締めます
  • 口を「あ」の形に開けます(*やりにくい人は自分のやりやすい母音で)
  • 思いっきり高い音を出す意識を持ちます
  • 喉や声帯で息をせき止めるような力はそのままに、せき止められた息を押しのけるように息を押し出して声にします
  • 「キュ」っと言う音の性質になると思います
  • この音を上手くコントロールできれば完成です

 

出せましたか?

できない人は先ほどのホイッスルの指導動画にもありましたが、吸気発声からのアプローチがいいかもしれません。

 

吸気発声でのアプローチ

  • エッジボイスの状態を保ったまま逆に息を吸います
  • 息を吸い込むことで音を鳴らします
  • 「キュッ」としたような声になると思います(引き笑いのように)
  • この吸い込んで鳴らす状態を覚えて、それを息を吐く状態でできるようにします。つまり息の方向を逆転させればいいのです。
  • 最初は慣れないでしょうが、繰り返すとできるはずです。

声帯の小さな隙間に息を通すのです。

声帯をガチガチに固めてその隙間に息を通すようなイメージでの発声です。

②笛ホイッスルボイス

これに関しては『出し方』というものは厳密にはないと考えられます。

笛ホイッスルは工夫や出し方の問題ではなく、『単にものすごく高音の裏声』です。

 

つまり、

出し方というのはある意味単純明快で、「裏声の高音域をひたすらに鍛えて裏声で超高音を出す」ということになる。

裏声の発声状態を維持したまま超高音に突入するのです。

単純かつ最も難しいと思います。

 

こういうイメージ↓

笛ホイッスルは単に裏声の高音域を極めた発声方法とも言えるでしょう。

 

まずこれができるようになるには裏声をとにかく鍛えなければいけません。

つまり、単純な声帯の柔軟性の能力が物を言うのですね。

 

普通の人が裏声で超高音を出そうとすると、ものすごく声量が出てしまったり叫ぶ感じになっていくと思います。

もちろん、メタル系で使うホイッスルシャウトやホイッスルスクリームを言われるような声量ある力押しの発声ならそれでもある程度問題ないでしょうが、綺麗に鳴らそうとすると声帯全体が閉鎖し始めて『金属ホイッスル』のようになっていくでしょう。

 

あくまで裏声の発声を維持したまま超高音に突入するには圧倒的な声帯伸展能力が必要になると考えられます。

 

さらに、声帯は「地声」にも「裏声」にも魅力的な限界音域が決まっていて、それは個人個人違います。

なので、裏声を徹底的に鍛え抜いたとて出せるかどうかはわかりません。

 

魅力的な音域の範囲は声帯の音域のタイプに合わせてズレるので、基本的には

  • 声が高い女性ほど笛ホイッスルを出せる可能性が高く、声が低い男性ほど笛ホイッスルを出せる確率は低くなる

でしょう(*あくまで傾向)。

 

また、声変わりが始まっていない子供のうちだけであればホイッスルボイスを出せる子は結構いますから、そういう点でも高い声帯を持っている人ほどホイッスルボイスを出せる確率は上がると言えるでしょう。

ホイッスルボイスはなくてもいい?

ホイッスルボイスは高音発声が大好きな人にとっては極めたいでしょうしそれはそれで全然いいと思うのですが、「少し興味があるな」くらいの人は『果たして歌に必要なのか』『練習するべきものなのか』というところは一度考えたほうがいいのかもしれません。

 

先ほどのボイストレーナーの動画でも後半でそういう内容が述べられていましたね。

 

例えば、プロのシンガーでホイッスルボイスを出せる人が何人いるでしょうか?

そう多くはないですね。もしかしたら「出せる」という人はある程度いるのかもしれませんが、使っている人は少ないです。

 

おそらく、シンガーの数に対してのホイッスルボイスを使う人の割合なんて1%以下くらいでしょう。

これは限られた人しかできないものという理由だけでなく「必要ないもの」だからではないでしょうか?

 

おそらく、

ホイッスルボイスが真に魅力的なものであるならば、その声をみんな練習するでしょうし、そういう方向へ音楽は進化していくはずです。

プロのシンガー(同じ人間)ですから、ひたすら練習すればそのうちできるでしょう。

ですが、そうしないのはホイッスルボイスではない普通の声の方が人にとって魅力的に聞こえるからではないでしょうか。

 

人が魅力的に感じる音域をホイッスルボイスは突き抜けてしまっているように感じます。

もちろん「すごい!」と思わせたりする力はありますが、「すごい!」と「良い!」は違うような気がします。

 

もちろん「良いホイッスルボイス」もあるのですが、強烈な音域の音色を魅力的になるまで磨くにはかなりの時間を費やすことになるでしょうし、仮に魅力的に使えるようになったとしても歌の中での使い所はほんのごく一部になるでしょう(*デスメタル系なら少し実用性が増えるかも)。

 

「ないよりはあった方がいいもの」かもしれませんが、「なくてもいいもの」でもあるのですね。

 

なかなか実用的ではない技を磨くために膨大な時間を使うのは勿体無いですし、他のことに時間をかけた方が歌全体の質は上がるかもしれないということを頭に入れた上で練習するかどうかを決めた方がいいのかもしれません。

 

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