今回は、「POWERbreathe (パワーブリーズ)」についてです。
この記事は
- パワーブリーズ とは
- パワーブリーズ の全般的な効果
- パワーブリーズ の歌における効果
- パワーブリーズ の種類・比較・選び方
- パワーブリーズを使った練習方法
という内容です。
目次
『POWERbreathe (パワーブリーズ)』とは
パワーブリーズは
- 『ボイストレーニング・吹奏楽・スポーツなどにおける、呼吸に関する力を効率よく鍛えるグッズ』
です。
この「パワーブリーズ」は、『吸う力』に対する負荷を与える器具です。風船を膨らますトレーニングの逆みたいなものですね。
なので、パワーブリーズは『息を吸う力』が強化されます。
「吸う力はあまりいらなくない?」と思うかもしれませんが、
- 吸う力が強化されると結果的に「吐く力」も強くなります。
つまり、呼吸面・ブレスコントロールが強化され声の成長にも大きくつながるということ。
プロのボーカリストにも使っている人はいますね↓
パワーブリーズの効果
①全般的な効果
公式サイトに書かれていることを、簡単に抜粋します。
横隔膜や肋間筋などの呼吸に使われる筋肉を鍛えます。
【呼吸筋を鍛えることで得られる効果】
- より深く、より強い呼吸ができる
- 息切れや息苦しさを軽減する
- 呼吸が楽になり、全身の疲労感を軽減する
- タイムトライアルが速くなる
- 持久力が向上する
引用元:『パワーブリーズ公式サイト』より
日常生活においてのメリットはもちろん、スポーツなどにおける運動能力を向上させるなど、色々な面で役立つものとされています。
個人的な体験談としては、日常生活での効果を全く気にしてなかったので、正直何とも言えません。
参考にならず、すみません。
呼吸系のトレーニングは、普通の筋トレと違って筋肉の成長が目に見えないため半信半疑になることもありますが、公式サイトにはしっかりとエビデンス(効果の証拠)もあるので、その辺は心配ないかと思います。
②ボイトレにおける効果
パワーブリーズの歌のおける効果は
- 声量がアップする・声が良くなる
- ロングトーンが長くなる
- ブレス・息継ぎが上手くなる
- 音域が広がる
このようなものが考えられます。
パワーブリーズによって
吸う力(呼吸筋群)が成長することで、
- 『ブレス(息継ぎ)・息を吐く力・息を長持ちさせる力』
が強化されます。
『吸う力が成長する』とは
吸う力の成長とは、具体的には
- 一度に吸える空気の量が増える
- ある一定の時間内で吸える空気の量が増える
- 無意識に吸える空気の量が増える
ということです。
つまり、
- 一度に吐ける空気の量が増える
- ある一定の時間内で吐ける空気の量が増える
- 無意識に吐ける空気の量が増える
ということにつながります。
「息を吐く力」がつくと、
- 声量がアップする・通る声になる
- ロングトーンが長くなる
- ブレス・息継ぎが上手くなる
- 音域が広がる
などなど、歌において様々なプラスにつながるということですね。
パワーブリーズで本当に歌が上手くなるのか?
これは、
- パワーブリーズだけでは上手くならないが、上手くなるために要素の一つを効率的に鍛えられる
というのが正確な表現になるかと。
歌唱力・歌の上手さを決める2大要素は
- 『発声能力』
- 『音楽的感性』
です。
そして、この左側の「発声能力」という部分をさらに分解します。
そうすると、
- 息
- 声帯
- 共鳴
- 発音
という4つの要素に分解されます。
これらは声を構成する4つの要素と言えるのですが、パワーブリーズは『①息』の部分を鍛えることができるということですね。
つまり、『歌唱力の全てを鍛えられるわけではないが歌唱力に必要な要素を鍛えられる』ので、上手くなるか上手くならないかで言えば、”上手くなる”と言えるでしょう。
パワーブリーズの種類
このパワーブリーズは、大きく3種類の商品群に分けられています。
- 『Kシリーズ』→デジタル機能がついたハイテクシリーズ。【ボイトレにはいらない】
- 『プラス』→広く知られる標準的なパワーブリーズ。クラシックに対して新型なので「プラス」なのでしょう。
- 『クラシック』→旧型のパワーブリーズ。プラスに比べると少し値段が安い。
この3種類があります。
『POWERbreathe Kシリーズ』
この『Kシリーズ』に関して、普通の人は使う機会がないでしょう。
アスリートの中のアスリートが使うようなものですし、びっくりするくらい値段が高いので買うことはほとんどないはずです。
ボイストレーニングでここまでのハイテク機能はいらないですし、お手頃価格とは程遠いのでここでは省略します。
『POWERbreatheプラス』
『POWERbreatheプラス』は、3段階の負荷の強さに分けられています。
- 標準負荷
- 重負荷
- 超重負荷
の3種類です。
それぞれ設定できる負荷の範囲が違うので、自分にあったものを選ぶ必要があります。
とは言え、自分に合うものなんてわかりませんし、試せるわけでもないので『どの負荷を選べばいいのか』と迷ってしまいますね。
選び方
公式サイトにはこう書いてあります。
- 『標準負荷』→これから運動を始める方からスポーツを楽しんでいる方
- 『重負荷』→日常的にスポーツやトレーニングをされているアスリートの方
- 『超重負荷』→重負荷モデルの最大負荷まで到達できた方
とあります。
ちなみに
B'zの稲葉浩志さん、Official髭男dismの藤原聡さんなどは「超重負荷」でトレーニングしていました。
ただ、この『POWERbreatheプラス』は自在に負荷を切り替え設定できます。
決して安い買い物ではないので、一つの負荷でずっとやらなければいけないのであればどれを買うかとても悩むのですが、切り替えできるのなら気が楽ですね。
下記の図は負荷の数値です。
レベル | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
標準負荷 | 17 | 25 | 33 | 41 | 49 | 58 | 66 | 74 | 82 | 90 | 98 |
重負荷 | 23 | 39 | 55 | 72 | 88 | 104 | 121 | 137 | 153 | 170 | 186 |
超重負荷 | 29 | 53 | 78 | 102 | 127 | 151 | 176 | 200 | 225 | 249 | 274 |
単位(㎝H2O)は難しいので、単純に負荷の大きさだと考えて大丈夫だと思います。
この表からわかるように、負荷の大きさがかぶっているところがあるので、そこまで悩む必要もないのです。
- 軽いところから始めたい人は「標準負荷」
- それなりで始めたい人は「重負荷」
- 高みを目指したい人は「超重負荷」
という感じですね。
設定切り替えがあるので「実際どれでもいい」というのが本音ですが、個人的な経験上「標準負荷」もしくは「重負荷」の方がいいと思います。
*私は超重負荷を選びましたが、『重ければいいというわけでもない』と切実に感じています。笑
レベル10はかなりしんどいです。正直、高すぎる負荷は必要なかったです。
先ほどの表をよく見てもらうとわかるのですが、負荷が重いタイプほど1メモリごとの差が大きくなっています。
つまり、超重負荷になるほど一歩づつステップアップしにくくなるのですね。
- 負荷は少しづつステップアップする方が継続しやすい
- 息のトレーニングは継続も大事
だと思います。
ただ、
- 「ストイックに呼吸を極めたい!」
- 「生まれながらの力自慢」
- 「稲葉さんが使っているなら、超重負荷だ!」(私のことです。笑)
という方はもちろんそれでいいと思います。
個人次第なので。
*超重負荷で失敗しても大きな後悔はないので、安心してください。
こういうトレーニングは長く続けられることもかなり大事だと思います。
- 一週間に一回超重負荷でトレーニング
- 毎日標準負荷でトレーニング
なら毎日の方が効果が高いと思います。
公式サイトにも「プロのラグビー選手でも重負荷を使っている」とあります。
Q,どの負荷(色)を選べばいいですか?
一般的には女性ならば標準負荷(グリーン)、男性ならば重負荷(ブルー)で十分です。プロのラグビー選手でも重負荷(ブルー)を使用しています。超重負荷(レッド)は、目安として体重90kg以上の方向けです。
パワーブリーズは、他のトレーニングと組み合わせて行うとさらに効果的です。腕立て、プランク、バランスボール、自転車をこぎながらなどのトレーニングと併せてパワーブリーズをお試しください。なお、このような複合的なトレーニングでは重すぎる負荷(特に超重負荷の使用)は向いておりませんのでご注意ください。引用元:『パワーブリーズ公式サイト』より
上の引用の中の
- 『複合的なトレーニングでは重すぎる負荷(特に超重負荷の使用)は向いておりません』
という内容。
これが後半紹介する『歌と一緒にトレーニング』するときにも役立ってくるので、まぁ『標準負荷』『重負荷』でいいのかなぁと思います。
『POWERbreatheクラシック』
『POWERbreatheクラシック』も3段階の負荷の強さに分けられています。
- ウェルネス(軽負荷)
- フィットネス(中負荷)
- スポーツ(重負荷)
の3段階です。
公式サイトでは、以下のように書いています。
選び方
- 『ウェルネス』→呼吸筋肉強化で体質改善。全ての方におすすめします。
- 『フィットネス』→ちょっとした運動もラクラク!呼吸が変わると動きも変わります。
- 『スポーツ』→スポーツ選手にはもはや定番。パワー・持久力ともにアップ
これに関しては、『POWERbreatheプラス』と同じように考えていいと思います。
なので同じような選び方でいいと思います。
負荷の切り替えも当然できます。
レベル | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
ウェルネス | 10 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 | 70 | 80 | 90 |
フィットネス | 10 | 30 | 50 | 70 | 90 | 110 | 130 | 150 | 170 |
スポーツ | 10 | 40 | 70 | 100 | 130 | 160 | 190 | 220 | 250 |
『POWERbreatheプラス』とは若干数値が違いますし切り替えられる数も若干少ないですが、大きな差はありませんね。
使う性能自体に大きな差はないはずです。
メリットは少し安いという点です。
『パワーブリーズ』を使ったボイストレーニング
パワーブリーズの基本的な使い方は公式サイトや説明書に書かれている通り
「口にくわえて呼吸する」というトレーニング方法
ですね。
つまり、呼吸のみのトレーニングです。
さらにこれに声のトレーニングを追加することもできます。
つまり
パワーブリーズを使った
- 『呼吸だけのトレーニング』
- 『声と呼吸のトレーニング』
という二つのトレーニング方法で活用できます。
①呼吸だけのトレーニング
呼吸のトレーニングは、結構シンプルです。
やり方
呼吸だけのトレーニングは大きく分けて二つになります。
- ゆっくりと呼吸する
- 素早く連続的に呼吸する(稲葉さんがやっていました)
やり方は工夫したりすることはあるでしょうが、大枠はこの二つくらいでしょう。
『吸う時間をゆっくりor早く』×『吐く時間をゆっくりor早く』の4通りの方法になるでしょう。
特に、稲葉さんがやっていたような連続で素早く繰り返すのは相当しんどいです。
声と呼吸のトレーニング
『声と呼吸のトレーニング』はこれに声を追加します。
先ほどの吸ったり吐いたりの「吐いたり」の部分を声を出すことに変換します。
つまり、パワーブリーズを使いながら『吐く』ところで『声を出します』。
やり方
パワーブリーズを口にくわえます。吸ったあと息を吐くのに合わせてハミング(鼻歌)声を出します。
つまり息を吸うのはパワーブリーズ、吐くのはハミングで声にするという練習です。
この状態を基本形にして色々なスケール音源で音階練習をしたり、そのまま歌に合わせてハミングで歌ってもいいです。
つまり
パワーブリーズを使うことで
- 『ハミングで発声練習【吸うときかなり負荷がかかるトレーニング】』
になるのです。
歌の中で呼吸負荷を与えれば、より実践に活かせるトレーニングになります。
ただし弱点もありますね。
パワーブリーズを咥えたままにしていると、唾液が大変なことになります。
こればかりは我慢するか、正攻法で息のトレーニングのみをするか、人それぞれの問題です。
まとめ
パワーブリーズ は
- より深く、より強い呼吸ができる
- 息切れや息苦しさを軽減する
- 呼吸が楽になり、全身の疲労感を軽減する
- タイムトライアルが速くなる
- 持久力が向上する
という効果。
パワーブリーズの歌のおける効果は
- 声量がアップする・声が良くなる
- 音域が広がる
- ロングトーンが長くなる
- ブレス・息継ぎが上手くなる
というものが考えられる。
そして、歌唱力アップに必要な一つの要素を効率的に鍛えることができる。
呼吸を制するものが声を制する。
選ぶなら、あくまで個人的なおすすめですが、「標準負荷」もしくは「重負荷」でいいと思います。
ただ、自分を追い込むのが好きな人やアスリート的な人は「超重負荷」がいいかもしれません。