歌唱力アップ

地声の高音域を広げる方法【結局、地道なトレーニングが一番いい】

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今回は『地声の高音域を広げるトレーニング方法』というテーマです。

  1. 前半は、具体的なトレーニング方法や開発の仕方について
  2. 後半は、音域を広げるために考えるべきポイントについて

今回は「手っ取り早く、とにかく地声の高い声を出したい(娯楽派)」という人よりも、「コツコツと努力して、魅力的な地声の高音を開発したい(本格派)」という人向けの内容です。

地声の高音域を広げるトレーニング方法

早速ですが、地声の高音域を広げる具体的なトレーニング方法に入ります。

 

まずは

自分の『地声のに出せる範囲の限界』を把握します。

 

ピアノで一音一音低い音から音程を上げていき、限界を探っていきます。発音は「あー♫」など、好きな発音でOKです。

 

この時、大事なポイントは、『楽に出せる範囲』の限界を探ることです。

『ほんの少しでも苦しい・変な力がちょっとでも入る・喉が締まる予兆がする』みたいなことがあってはダメで、『100回出したら、100回とも一切ミスなく余裕で出せるくらいの音』が目安です。

 

例えば、

  • 『ド』→楽に出せる
  • 『ド#』→ほんのりきつい
  • 『レ』→少しきつい

なら、楽に出せる範囲は『ド』まで、ということになります。

楽に出せる範囲

*これは体調によっても微妙に変化するので、万全な状態で確認しましょう。例えば、体のスイッチが入っていない朝と、体のスイッチがしっかりと入った夕方頃では、数音変化します。

 

この音を理解したら、

まずは、この『ド』と『ド#』(『楽』と『ほんのりきつい音』)をピアノなどの楽器に合わせて、ひたすらに発声練習します。

発音はなんでもいいのですが、色々な発音をやってみる、特殊な発声トレーニングをする、など色々工夫しましょう(※記事後半にトレーニング方法のリンク先をまとめています)。

 

ここでの目標・目的は

  • 『ド#』を『ほんのりきつい→楽に出せる』に変えること

です。

 

これをひたすらに繰り返します。できるまで一点集中

 

そうすると、継続するうちに

  • 『ド#』→楽に出せる
  • 『レ』→ほんのりきつい
  • 『レ#』→少しきつい

へと成長します。

これが、「音域が広がる」ということですし、「楽に出せる音』と少しづつ上げていけば、必然的に歌唱力も上がるということになりますね。

 

トレーニングのポイントは、きつい高音に焦点を当てるのではなく、「楽な高音」に焦点を当てることです。

 

例えば、

  • 『1日15分〜30分』×30日(一ヶ月)

で音域を「半音上げる」とします。

 

そうすると

  • 『半音上げる』×12ヶ月=1オクターブ音域が上がる

という計算になります。

 

そう考えるとできそうですよね。1ヶ月に上げる音域は、たった半音でいいのですから。

 

そして、これを繰り返せば、

  • 1年で1オクターブ
  • 2年で2オクターブ
  • 10年で10オクターブ。。。。。。

となればいいのですが、、、、。

 

ならない。これも頭に入れておくべきでしょう。

 

音域を広げるトレーニングをする上で、知っておくべき大事なことですが、

人の声帯には最適な音階の範囲があり、それは人それぞれ決まっている

ということです(これに関しては後ほど詳しく。)

 

つまり、

半音づつ上げていくと、ある一定のラインまでは

  • 『ほんのりきつい音→楽な音』

と順調に変えていくことができるのですが、そのうち何をどうしても楽にはならない音(限界)にたどり着く

ということです。

 

もちろん、これは『楽な音の限界』なので、そこからの頑張り度合いによって、数音上まで地声で普通に出せるでしょう。

ただ、『楽な音の限界』が伸びない限りは、頑張れる度合いも限られているので、そこが一定の限界と判断できるというわけです。

 

このトレーニングの注意点

最大の注意点は『ほんのりきつい音→楽な音』に変えるときに

  • その発声の音色に最大限の注意を払うこと

です。

 

要は、楽な発声を追求することによって、変な発声に陥らないように注意するということです。発声が楽になったとしても、変な音色や悪い音質の発声は意味がありませんから。

 

もし不安がある場合は、練習時にスマホで録音し、よく聞いてみることをお勧めします。これにより、変な発声に陥ることを防ぐことができます。

 

自分で判断できないかも?

録音を聴いて自分が変と感じたら、ほとんどの場合、他人も変と感じていますので、それが『変な発声』です。

 

「変でもないが、良くもない」と感じたら、良く感じる発声になるように試行錯誤しましょう。

結果的に魅力的な歌声へと近づけるはず。

 

録音だから変に感じる?

いや、これは残念ながら、録音こそほぼ真実です。少なくとも自分で聞いている自分の声より録音の方が信用できます。

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録音の自分の声が変に感じるのは、頭蓋骨から直接耳に響く「骨導音」が影響しています。

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このトレーニングの弱点【質を得る代償】

このトレーニングの最大の弱点は

  • 『つまらない』
  • 『地道すぎる』
  • 『我慢が大変』

みたいなところだと思います。

 

半音づつコツコツと練習し続けるのは、正直楽しくないですよね。

もっと高音まで頑張るような、『ドミソド〜♫』のような音階でトレーニングした方が楽しいですし、「トレーニングしてる感・達成感」があります。なので、音程を飛ばしたくなるんです。

 

ところが、そういうトレーニングは『質のいい発声の音域を広げる』という目的だけの観点で言えば、あまり良くないのですね。

 

というのも、音階をジャンプするようにして無理やり押し広げていく練習は

  • 発声の質高音が出せる

という風に、どうしても意識のウェイトが「高音」側へと偏ります。

 

そうすると、高い声自体は出せるようになるでしょうが、結果的に、質が良くない高音・変な癖をつけた高音を身につける可能性が高くなります。

 

もしそうなった場合、後から質を取ることはすごく難しくなるでしょう。結果的に、振り出しに戻らざるを得なくなるのですね。

 

逆に、一音づつコツコツと、「ほんのりきつい音」を「楽」に変えていくトレーニングは

  • 発声の質高音が出せる

発声の質を最大限重視した考え方のトレーニングです。

 

急激に音域が上がることはないですが、変な発声になるリスクを最大限排除しています。

必然的に、歌に使える魅力的な発声で、音域を広げることができます。

 

そのかわりに、つまらない地道なトレーニングとなりますが、これは我慢です。長い目で見れば、良い結果に結びつく可能性が高いと思われます。

 

ただし、

「何のために音域を広げたいのか?」という目的は人それぞれ違います。

  • カラオケで自由に楽しく歌いたいのか(そこまで努力せず楽しめる範囲になりたい)
  • プロのように魅力的な発声で歌いたいのか(とにかく努力して魅力的になりたい)

など、人ぞれぞれ考え方の幅があります(*音楽の楽しみ方は自由なので、優劣はない)。

 

もしかしたら、カラオケで楽しく歌いたい範囲であれば、音階をジャンプさせるような発声トレーニングの方が手っ取り早いということもあると考えられます。

しかし、今回はあくまでも右側を軸に考えています。

 

「左側から進んで右側に行けないの?」と考えるでしょうが、不思議とそうならないことが多いから『質』って大事なのですね。

音域を広げるための予備知識

「地声」か「ミックスボイス」か

地声の音域広げるという話になったときに、大抵出てくるのが『ミックスボイス』です。

 

個人的には、これに関しては「あまり深く考えない方がお得である」と思っています。少なくとも、損をすることがあまりないのですね。

もし、あなたのミックスボイスの認識が大枠『裏声ではない高音発声』『地声のように聞こえる高音発声』であれば、どちらにしてもやることは変わりませんから。

 

気になる人はこちらに↓

「ミックスボイスとは」についての研究・考察【そもそも存在するのか?】

続きを見る

 

誰でも音域は広がるのか?

聞きなれた言葉かもしれませんが、

  • 音域は誰でも広がると考えられる

のです、、、。

 

が!!!

先ほど述べたように、人の声帯には限界があり、それぞれの限界値(最適値=魅力的な範囲)はその人が持っている声帯によって決まっていると考えられます。

 

確かに、

声帯の仕組み上は「高音域は誰でも伸ばせる」と言えるのですが、それはあくまでも『生理的限界(物理的限界)』のお話。

  1. 生理的限界・・・声として出せる高音の限界
  2. 魅力的限界・・・歌に使える良い音色の高音の限界

歌においては『生理的限界』ではなく、『魅力的限界』を考えなければいけません。

 

『魅力的限界』を考慮すると、伸ばせる範囲は人それぞれの持っている声帯によってある程度決まっていると考えることができます。

 

そして、この「魅力的な音域」というのは男性と女性の違いはわかりやすいのですが、厳密には個人個人違うものである、ということを頭に入れておくべきでしょう。 

誰にでも、自分の体質に合った最適な音域があります。そのため、高音域は「その人の個性に合った範囲で伸ばせる」という表現が現実的です。

 

歌は高い声を出すことが必要だとか、高い方が良いということではありませんので。

自分に合った最適な音域を極めることが、魅力的な歌声を生み出す秘訣です。

 

では、歌においての最適は?

大抵の人は

  • 自分の声の最低音から数えて、『2〜3オクターブ(地声・裏声を含めて)』くらいは出せる(力を秘めている)

と言われています(*個人差がある)。

 

それだけあれば十分でしょうし、ほとんどの人は満足するでしょう。

*ポップスで使う平均音域幅は1〜1.5オクターブくらい(その人の一番おいしい音域帯を狙うから)。

自分の地声域の目安

まず、自分の『自然な最低音』を見つけることが大切です。

 

『自然な最低音』とは

単純に、

  • 『自分が楽に出せる一番低い音』

のことです。

ただし、音にできるかできないかくらいのギリギリな最低音、無理して頑張って出した最低音、ではなく、楽にしっかりとした声量にできる最低音です。なので、「自然な」という言葉をつけています。

 

この自然な最低音は人によって(持っている声帯によって)違います。男女の差はもちろんのこと、人それぞれに違います。

 

基本的にはその人の

  • 声が低ければ最低音は低い
  • 声が高ければ最低音は高い

です(*”基本的に”)。

そして、男性はこの最低音から、

  • 1.5〜2オクターブ目くらいまでは誰でも魅力的に出せるようになるであろう範囲
  • 2〜2.5オクターブ目くらいは魅力面と向き合わなければいけない範囲(裏声に最適な範囲)

女性は、この最低音から

  • 1〜1.5オクターブ目くらいまでは誰でも魅力的に出せるようになるであろう範囲
  • 1.5〜2オクターブ目くらいは魅力面と向き合わなければいけない範囲(裏声に最適な範囲)

という目安になるでしょう(*幅があるのは個人差です)。

 

一般的には、女性の方が狭く、男性の方が広い傾向があります。

 

あくまでもざっくりとした目安なので、必ず当てはまるとは限らないですが、この目安から大きく外れるというようなこともそんなに多くはないでしょう。

地声の音域を広げる要素

地声の音程を上げるために重要な二つの要素

  1. 『声帯』
  2. 『息』

について理解しておくと、トレーニングのヒントになると思います。

『音程』と『声帯』の関係性

音程を司っている声帯の動きは

  1. 声帯が伸びる(高くなる)
  2. 声帯が縮む(低くなる)

という二つの力がメインです。

 

①声帯が伸びる↓

基本的に「高音」の主役はこの動きになります。

 

②声帯が縮む↓

こちらは音程を下げる動きです。

 

この「伸びる動き」と「縮む動き」によって音程が決まっており、音域を広げる=『伸びる動きを鍛えている』とも言い換えることができます。

 

これらの動きはあまり自覚できない動きなので、特に意識する必要はないのですが、そういうイメージを持つことでトレーニングに役立つかもしれません。

 

『音程』と『息』の関係性

音程を決めている要因は、もう一つの主役が

  • 息の量・息の力

です。

 

例えば、現実的にはありえませんが、もし声帯の状態が全く動かないという同一の条件下で、息の量が弱いのと強いのでは、どちらが高音が鳴るでしょうか?

 

音程は声帯の振動数によって決まっているので、息の量が強い方が高い音が鳴りますね。

これは風が強い日の窓の音のイメージです。風が強ければ、「ピューーーー」っという強い高い音が鳴りますし、弱まると低い音になって消えていきます。

 

体育などで使われる笛も同じですね。強く吹けば高い音、弱く吹けば低い音になります。

 

試しに

音程は全く意識せずに、思いっきり息を吐く勢いで声を出してみましょう。次に、すごく弱く息を吐きながら声を出してみましょう。

 

おそらく、強く息を吐いた方が高い声になったはずです。

 

つまり、シンプルに考えると、息の力が強ければ強いほど高い音が鳴ると考えることができます。

ただし、厳密には息の量を強くするとそれに合わせて声帯は動いている(息に合わせて反射的に声帯が動く)ので、息の力だけで高音になっているというわけではないです。

 

『声帯』と『息』の両方を意識して鍛える

上記の二つを踏まえると、地声の高音を出すには『声帯の伸びる力』と『息の力』を鍛えればいい、ということになります。

 

そして、大事なのは、両方の能力を連動させることでしょう。

 

どちらか一方だけを強くしようとするよりも、両方をバランス良く鍛えるような意識を持つことで、綺麗に音域を広げていけるはずです。

 

声帯の伸びる力を鍛えるトレーニング

 

 

実際の発声などで高音を開発していくトレーニング

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