発声方法

がなり声の出し方【仮声帯発声についての考察】

投稿日:2019年10月23日 更新日:

今回は「がなり声の出し方」ついて考察していきたいと思います。

がなり声とはガラガラ・ゴロゴロした声帯の鳴りを持つ声のことですね。まぁ別の言い方をすれば「唸り声」とも言えるでしょう。正式には仮声帯発声なんて言い方もします。

パワフルに歌うシンガーが歌の中のニュアンスとしてよく使っており、歌の中でアクセントになる表現です。シャウト系の発声の分類でしょう。今回はそんな「がなり声」についてです。

『がなり声』とは

「がなり」とは

• がなる( 動ラ五[四] )

〔擬声語「が」に「鳴る」が付いてできた語〕の連用形。 大きな声で言う。どなる。 「大声で-・る」 「盗人どろぼう〱と-・ると/塩原多助一代記 円朝」(大辞林 第三版)

がなり声。シャウト(英語: shout)と同様に、発声方法として用いられる。

引用元:Wikipedia『がなり』より

とあります。基本的には「大きな声」という意味で、発声方法としてはシャウト的なニュアンスということですね。

 

一般的に考えられる「がなり声」の音色は

がなりの音色

  • ガラガラ・ゴロゴロした強い鳴りの声  
  • 怒鳴っている声
  • 大声を出した時の声

のような音色ではないでしょうか。

 

このような音色は『仮声帯(かせいたい)』という部分が大きく影響していると考えられます。

普通に声を出す分にはこの仮声帯は鳴らないのですが、「がなり声やシャウト」のような発声では仮声帯も同時に鳴らしているような声になっています。

 

なので、ガラガラ・ゴロゴロした鳴りがあるのですね。

これは声帯とは別に仮声帯部分が鳴っている音です。

 

よって、

  • がなり声や唸り声のような発声は『仮声帯発声』

と言われています。

 

仮声帯発声のお手本

仮声帯とは

 

この部分です。

 

この仮声帯とは簡単に言うと

  • 「声帯の上(口側)に位置しており、食べ物や飲み物が気管に入らないようにするための喉の蓋のようなもの」

です。

 

  • 仮声帯(喉頭前庭ヒダ、前庭ヒダ)は、喉頭蓋の付着部のすぐ下、声帯突起(英語版)のすぐ上にあって、甲状軟骨(英語版)の角の部分と披裂軟骨(英語版)の前横の面を結ぶ繊維状の組織により狭い隙間を囲む、2つの深い粘膜のヒダの内の一つである。
  • 仮声帯の重要な役割として、呼吸や発声の際に食物や飲料が気道に入らないようにすることがある。
  • 仮声帯は通常の発声では大きな役割を果たしていない。しかし、チベットのシャント(英語版)やフーメイでは、低く響き渡る口調を生じるのに用いられる[2]。同様に、ヘヴィメタルのいくつかの形で用いるスクリーミング唱法(英語版)やデスヴォイス唱法、黒人音楽でのブロウと呼ばれる唱法でも用いられる。声帯と仮声帯の両方から同時に発声すると二重声を生じる。

引用元:Wikipedia『仮声帯』より

 

声帯という名称がついていますが、普通に軽く話すような声を出す際にはほぼ無関係の部分で、声帯のような声を鳴らすことはできません。

 

鳴らせても「声」というよりは「音」と言う方がしっくりくるかもしれません。

 

仮声帯が鳴る原理

この仮声帯は意図的に鳴らそうと思えばいつでも鳴らせるのですが、

  • 『仮声帯が鳴る理由』

について理解しておくことが重要だと思われます。

 

仮声帯が鳴る原理は「呼気圧(息の量・息の力)」が大きく影響しています

もっと正確に言うと『声帯にかかる呼気圧の大きさ』によって仮声帯が動きます。

 

なので怒鳴り声や大声を出した時、歌で言えばシャウトなどを鳴らしたときに「がなり」が生まれるのです。

人間は怒鳴り声などの大きな声を出そうとすると、本能的に息を多く吐こうとします。息を強く吐くことで大きな声を出すことができるのです。

 

この際、息の量が強すぎると声帯が息の力を支えられなくなります。

 

息の力を支えられなくなった声帯は割れてしまい、『声』にできなくなってしまいます。

 

しかし実際には

  • この瞬間仮声帯が閉鎖をはじめて声帯が息の圧力をなんとか支えられるような補助の働き

をします。

この補助(仮声帯の閉鎖)は意識的に動かすこともできますが、基本的には無意識に働きます

 

怒鳴ったときは誰でも

  • 「声が割れる=がなり声になる」

ように。

 

当然仮声帯は声帯のように綺麗な声を鳴らせるほどの発声機能は備えてないので、仮声帯が閉鎖するとガラガラ・ゴロゴロとした鳴りが生まれます。

これが仮声帯が鳴る原理です。

 

つまり結果的に仮声帯は「声帯にかかる息の圧力を緩和している」と考えられます。

 

がなり声の出し方・練習方法

仮声帯の役割は基本的に「呼吸や発声の際に食物や飲料が気道に入らないようにすること」でしたね。

その他、咳払いえずく時などで使われています。

どれも何かを排出するような動きの時に主に使われていますね。

 

基本的には

『強い咳払い』や『思いっきりえずく』と仮声帯が鳴ってがなり声を生み出すことができるはずです。

 

肝心なのは思いっきり強く咳払いやえずくことです。声帯や喉に対して強い息の力をかけようとするとガラガラ・ゴロゴロっとなるはずです。このガラガラ・ゴロゴロの感覚をしっかりと覚えておきましょう。

 

これが「がなり声」の種です。種とは言ってもほぼ「がなり声」で、この状態の発声で歌うことができればいいのですね。

 

できなかった場合のやり方その1

エッジボイスを出します「あ”あ”あ”」

このエッジボイスの状態は息がせき止められている状態なので、その喉の形を意識したまま思いっきり息を強く出す

 

できなかった場合のやり方その2

エッジボイスを出します「あ”あ”あ”」

その状態のまま舌の奥を上アゴにつけるように動かします。こうすることで喉仏が上昇し喉の空間が狭くなったように感じるでしょう。この状態で息を強く吐けば自然とがなり声になるはずです。

仮声帯は喉仏が上にあった方が閉鎖しやすいです。何も意識さえしなければ喉仏を上げるだけで仮声帯は閉鎖的に働くはずです。喉仏を下げても閉鎖しないわけではないですが、その構造的に喉仏を下げているとがなりにくいです。なのでオペラ系・ミュージカル系の喉仏を下げた発声はがなり声を使いませんね(まぁそっち方面ではがなり声=悪い声というのもあります)。

 

これでおそらくはできるはずです。

この仮声帯発声はたくさん使えば使うほどに仮声帯が上手く使えるようになってきます。

なので「がなり声の種」を見つけることができたらそれをたくさん使うことで「がなり声」上手くなるでしょう。「がなり声」です。

 

何が言いたいかというと、それに頼ってそればかり練習していると、普通の発声(声帯の運動能力)が退化してしまう可能性もあるかもしれないということ。

 

がなり声の効果

がなり声が音楽的にどういう効果を生み出すと考えられるかということです。

 

がなり声の効果

パワフル・力強い印象を作る

感情的・情動的な印象を作る

 

大きくはこんな感じでしょうか。

やはり大きな表現やパワフルな表現で使われることが多いと感じます。

具体的には「強い高音域」での発声で使われることが多いでしょう。

 

あくまでスパイス的な要素が強い

音楽のジャンルにもよるので一概にその良し悪しを判断できませんし、受け手の感じ方次第というのは大前提なのですが、例えば全ての発声が「がなり声」だった場合、「良い」と感じるでしょうか?

おそらくほとんどの人がそうではないはずです。怒鳴り声って聞いていると不快ですよね。そういう日常では怒鳴り声などで使う発声なので、常に使われると不快な印象の方が勝る可能性もあります。

がなり声だけの歌や発声なんてワサビだけ食べているようなもので、やはりワサビ(がなり声)は普通の食材(普通の発声)を引き立てるスパイスのような役目がベストだと思います。

基本的には、です。

当然ワサビだけでも食べられるくらいに美味しいワサビ(常に心地よいがなり声)の人もいるでしょう。

 

がなり声のメリット・デメリット

息の圧力を支えてくれているということ

仮声帯が息の圧力を支えてくれているということはつまり、仮声帯を使うことによって高音発声しやすくなると言えます。

これはこちらの記事の

リップロールの最大の効果は「声帯にかかる呼気圧を軽減させること」

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リップロールの『圧力弁』での話と同じ原理で、仮声帯が「声帯にかかる呼気圧を軽減してくれること」「声帯が呼気圧を支えようとすることで生まれる余計な締まり」などを軽減してくれるのですね。その結果高音発声しやすくなるのです。

 

実際に発声してみるとわかります。

がなり声で高音を発声するときと普通に高音を発声するときでどちらが楽に出せるでしょうか?もしくはどちらがより高く出せるでしょうか?おそらくがなり声になるはずです。

 

これは圧力軽減の効果ですね。

つまり高音発声しやすくなるということです。

 

この仮声帯を使った発声をメインにして歌うのであればメリットですが、普通に発声したい場合はその仮声帯に頼っていた分が使えなくなるので高音発声の難易度が上がります。日頃、仮声帯に頼っている分だけ、声帯のみで発声する能力は衰えると予想されます。

 

これをメリットと取るかデメリットと取るかは個人の感覚次第です。

 

声帯や仮声帯へのダメージがある

強い息の圧力のある発声の場合、その発声を維持するために仮声帯が働くというのは先ほど述べた部分ですね。

この強い息の圧力は圧力が軽減されているとは言えある程度は声帯にも負荷がかかっています。なのである程度の声帯へのダメージも考えられます。

 

これよりも大きいのは仮声帯へのダメージです。

そもそも仮声帯は主として発声するための器官ではありません。

 

なので、声帯とは違い音を鳴らすことで受けるダメージへの耐性が弱い可能性があります。つまりダメージを受けやすいというよりそもそも耐久値が低いのかも。

 

なので

怒鳴り声などで仮声帯をガラガラと鳴らしまくるとすごく喉が痛くなったりヒリヒリするのは仮声帯へのダメージが占める割合が大きいと考えられます(ちなみに声帯自体はいくら使ってもヒリヒリしません。痛覚がないですから。)。仮声帯へのダメージもありますが、もちろん声帯へのダメージもあると考えられます。

 

 

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