今回は、芯のある声を作るために必要な「声門閉鎖・声帯閉鎖」について。
この記事は
- 声門閉鎖・声帯閉鎖とは
- 芯のある声の出し方やトレーニングについて
という内容です。
声門閉鎖とは
声門閉鎖(声帯閉鎖)とは
- 『声帯という2枚のひだが閉じること』
です。
そして、この開閉具合が声の芯を作っています。
ちなみに、『声の芯』とはなにか?
個人的に声の芯とは声帯の鳴りそのもの、つまり
- 鳴りの倍音
だと考えています。
厳密な定義がある言葉ではないので、結局は個人個人の感覚の問題となってしまいますが、ここでは声の芯=『声帯の鳴りの倍音(成分)』と考えて話しを進めます。
この2枚のひだが非常に厄介で複雑な構造で色々な力が働いて閉じるものなのですが、難しいことは考えずにシンプルに開く・閉じると考えておいていいと思います。
そして、「閉じる」というのは普通に声を出すだけで働いている力でもあります。
つまり、声を出すだけで(声になった時点で)声門閉鎖は行われているのですね。
なので、声門が閉じるという動きは「声を出す状態を作る」とも言えます。
ただ、この力は先ほど言ったように、非常に複雑で色々な力の度合い・色々な閉じ具合や開き具合があると考えられます。
少し図がわかりにくいですが、気になる方はこちらの動画がわかりやすいです(*20:28〜、21:10〜、21:49〜、上下は逆になっています)↓
このように、とにかく複雑な力が絡み合った結果、様々な『声帯の閉じ具合』が生まれるということ。
『声門閉鎖』と『声帯閉鎖』の違い
声帯閉鎖とは、声門閉鎖と同じ意味の言葉でしょう。
つまり、基本的に同じ「声帯が閉じる」という意味。
なのですが、少し違った使われ方をする場合が結構あります。
特に
地声の高音(orミックスボイス)などで、「声帯を閉鎖する」などという表現をすることがあります。
感覚的には「締める」という感覚から「閉鎖する」と表現しているのだと思います。
こういう声帯を締める(固める)ような力は、『声帯収縮』や『声帯緊張』と呼ぶべきではあると思います。
なぜなら、これらは左右の力というよりも「上下の力」や「硬直する力」に関連していると考えられるから。
しかし、緊張や収縮によって左右の閉鎖もある程度起こってはいるはずなので、完全に間違っているとも言えないはず。
なので、まぁどっちでもいい。笑
芯のある声のトレーニング
①しっかりとした声門閉鎖・声帯閉鎖の感覚を掴む
- まずは、声を出さずに息だけを吐きます「はーーー」
- それと全く同じ状態で何か発音しようとすると、『ささやき声(ウィスパーボイス・無声音)』になるはずです
- 次に「はーーー」と吐きながらそこにほんのりと声を乗せます
- すると、息っぽい「あーーー」という発声になるはず
- 次に、また息だけを吐きます「はーーー」
- その息を喉でせき止めてください。当然、息が止まります。
- 喉の何かが閉じた感覚したはず(*披裂軟骨部分)
- その息を止めた状態(感覚)を維持して息を通せば、芯のある声になるはずです。
つまり、芯のある声を作るには、披裂軟骨(回転部分)までしっかりと閉じる動きをしなければいけないということ。
そして、「息を声帯でせき止めている状態」を作ればその部分をしっかりと閉じていることになるので、その状態を意識して声を出すと芯のある声になるということです。
このように、声帯で息をせき止めてそこに声を通すようにするとが芯のある声が出せます。
②息の量で声の芯を測る
声帯の開き具合やとじ具合というのは、息の量で測ることができます。
この息の量というのは『実質的に口から出る息の量』です。
この息の量が多ければ声門は開き気味ですし、息の量が少なければ声門は閉じ気味です。
つまり、息の量が多ければ声の芯はあまりないですし、息の量が少ないと声の芯はしっかりとあると言えます。
『声の芯』とは、言い換えると『声帯の鳴りの成分(倍音)』ですね。
芯がある声は鳴りの成分(倍音)が強い声ですし、芯のない声は息の成分(倍音)が強い声という風に言えます。
どちらが良いとか、悪いとかはないです。音楽は表現ですから。
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声の『倍音』の出し方について【意識するべきは「息」と「声帯の鳴り」】
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少し話が逸れましたが、この息の量を利用して芯のある声のトレーニングをすることができます。
トレーニング方法
- 手のひら(もしくは手の甲)を口の前に持ってきてくるか、両手を使って口を覆うようにしてください。
- 声を出しながらこの手で口から出る息の量を図ります。結構感覚を研ぎ澄まさないとわかりにくいです。
- 声を出しながら、口から出る息の量の度合いをコントロールします。ただし、音量自体を大きく変えてはいけません。
- 口から出ている息の量が多い時は声の芯がない発声で、息の量が少なくなればなるほどに芯のある声になるはずです(*流れる息が少なければ少ないほどいい、というわけでもないので注意です。あくまで、”度合いのコントロール”)。
つまりこれは、息の量を手で確かめることで声帯閉鎖のコントロールを覚えていくようなトレーニングです。
どちらかと言えば、直接的なトレーニングというよりは間接的・感覚をつかむようなトレーニングですが、案外いいトレーニングだと考えられます。
というのも、あまり声帯を閉じるということばかりを意識しすぎると、下手をすると喉を締めるようなトレーニングになったりする可能性もありますので(*もちろん、注意していれば問題はない)。
また、声の芯(声帯のコントロール)を身につけるには、エッジボイスもおすすめです。
エッジボイスについては、こちらに詳しくまとめています↓
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エッジボイスのボイトレ効果とトレーニングについて
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