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声の悩み・歌の悩み

高い声が出なくなった原因について

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今回は「高い声が出ていたのにいつの間にかでなくなった」「出せていたはずの高音がだんだん出なくなっている」などのような、高い声を出せていた人が高い声が出なくなるという問題の原因についての研究です。

高い声が出なくなった原因

「出せていた高い声が出なくなった」という原因は、大きく以下の5つの要因に分類できると考えられます。

  1. 変声期(声変わり)
  2. 年齢・加齢によるもの(特に女性)
  3. 高い声を全然使っていなかった
  4. 高い声の出しすぎ、使いすぎ
  5. 風邪・ポリープ・発声障害など

それぞれ掘り下げます。

 

①変声期(声変わり)

これは

  • 声変わりによって高い声が出なくなる

ということです。

 

声変わりは人によって個人差はありますが、基本的に男性も女性も「音程が下がる」という成長をします

これは、声帯そのものが「大きくなる・長くなる」という成長をしており、声帯という楽器そのものの性質が変化しています。

 

当然、出せていた高音が出せなくなる。

特に男性は落差が大きいので、わかりやすく高い声が出なくなるでしょう。

 

さらに、声変わり中であれば『声帯が大きく変化している途中』の段階なので、より一層高い声が出しづらい状態です。変に裏返ったり、声がかすれたりするなど変声期中は色々な問題を抱えやすいです。

 

こういう場合、「変声期が終わるまで待ちましょう」が実は一番の解決策になったりするというか、声変わりが終わった時に結果的に高い声が出るようになるということも普通にあるでしょう。

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②年齢・加齢(特に女性)

これは

声変わりほど分かりやすい変化ではないですが、

  • 年齢による声の変化で高い声が出なくなる

ということです。

 

これは、男性よりも女性の方が多く当てはまるでしょう。

 

というのも、加齢による声の変化は

  • 男性は声がかすれていく(≒高くなる)
  • 女性は声が低くなっていく

という変化が一般的です。

 

個人差はあるでしょうが、男性は70歳前後、女性は50歳前後に強くこの声の変化が出てくると言われています(*ものすごく細かく見れば男性は50歳前後、女性は30歳前後からほんのりとこの兆候が出てくると思われます。ほんのりです。)

 

では「なぜ女性は声が低くなるのか?」というと、

  • ホルモンバランスの変化によって男性ホルモンの比率が上がり、声帯そのものが低く変化するから

です。

 

これは、『男性ホルモン(テストステロン)=声帯が伸びる=声が低くなるもの』と考えると、分かりやすいです。

例えば、男性ホルモン注射で女性の声(喉)を持つ人は男性の声になることができます↓

これは男性ホルモンが『声を低く成長させるもの』だからですね(*ちなみに一度伸びた声帯は縮まないので逆に高くはならない)。

 

こんなにわかりやすくはないのはもちろんですが、加齢によってこれと同じことが起こるので、女性の声は年齢とともにゆっくりと低くなっていきます。

 

これによって例えば、同じ人の20代と50代で比較すると声の標準キーが1~2音くらい落ちるのではないかと考えられます(*個人差がある)。

当然、高い声はそれに合わせて下がりますが、低い声はその分伸びます。

 

つまり、歌のキーもズレる。

なので、若い頃から活躍する女性シンガー(特に高音で歌うタイプ)は、歳を取るとキーを下げることが多い。

よく「キー」を変えることがマイナスとして捉えられたりしますが、このキーを下げるという行為自体は全く悪いことではないと思います。むしろ、声帯特性の変化に合わせて最良の歌を歌うためにキーを変えるのであればそれはとても良いことでしょう。

 

男性は?

ちなみに、男性は加齢によって男性ホルモンが低下してくることで、だんだんと声帯のハリを保てなくなってくるので声がかすれていくと考えられます。

声帯のキーそのものは下がらないですし、むしろこのかすれによって声が軽くなり高くなったように感じたり、実際に若干高くなったりするでしょう。

 

しかし、歌においてはこの「声帯のハリの衰え」「かすれ」によって高い声が出しづらくなることがあると考えられます

特に、力技で高音を出していたタイプの人ほど、このかすれなどが高音発声に大きく影響し出なくなっていくと思われます。

 

③高い声を全然使っていなかった

これは

  • 高い声を出す能力が衰えた

ということです。

声帯も体の筋肉などと同じで、使わなければ衰え、使えば使う分だけ成長します

長期間高い声を出さなかったなどであれば、当然高い声を出す能力が衰えてしまうこともあるでしょう。

 

この場合はもう一度鍛え直すしかないので、1からゆっくりと高い声を開発していきましょう。

地声の高音域を広げる方法【結局、地道なトレーニングが一番いい】

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④高い声の出しすぎ、使いすぎ

これは

先ほどとは逆に

  • 高い声の出しすぎによって、高い声が出なくなる

ということです。

 

これは高音の出し過ぎによる「酷使」や「声帯の故障」という面ももちろんあるのですが、それ以上にもっと厄介なのが、

  • 声帯のバランスの崩れ

です。

 

この声帯のバランスの崩れとは『過度な高音発声を繰り返すことで、声帯の筋肉が偏っていく』ということです。

 

どういうことか?

この「偏りの問題」は、段階があって生じる問題だと考えられます。

 

step
1
過度な高音発声を繰り返すことで、その高音発声に必要な筋肉などがどんどん鍛えられる。

例えば、仮に喉の筋肉A・B・Cというもので発声の能力が構成されているとすると、

  • 筋肉A 80%→90
  • 筋肉B 80%→80%
  • 筋肉C 80%→80%

この段階では高音はどんどん出しやすくなる。

 

step
2
鍛えられすぎたことによって、だんだんとその能力に頼るように発声するようになる。

  • 筋肉A 90%→95
  • 筋肉B 80%→80%
  • 筋肉C 80%→80%

頼る分だけそれをたくさん使うので、それが集中的に鍛えられすぎる

この段階で高音の出しやすさはピーク。楽に高音発声できるようになっているはずです。

 

step
3
それを繰り返した結果、他の能力がだんだん衰退していく。

  • 筋肉A 95%→95%
  • 筋肉B 80%→70
  • 筋肉C 80%→70

頼ってしまう分だけ、他の能力がゆっくりと衰退する。

この段階ではまだ高音は出せるが、中音域あたりのハリがなくなっていくなどの何らかの問題が生まれ始める。

 

step
4
喉の能力バランスが大きく崩れて、高音も出なくなっていく。

  • 筋肉A 95%→95%
  • 筋肉B 70%→60
  • 筋肉C 70%→60

全体のバランスが大きく崩れる。こうなると「高音も出なくなる」、厳密には『高い音は出るが、良い音色の高い声は全く出せなくなる』みたいなものが起こると考えられます。

 

このように

過度の高音発声を繰り返すことで、発声に必要な筋肉のバランスのようなものが大きく崩れて、結果的に高い声が出なくなると考えられます。

 

高音の出しすぎによる『喉の酷使』によって声帯を痛めてしまった場合というのは、ある意味分かりやすくていいんです(*重症でない場合)。

声帯の『怪我』のようなものなので、治す場所が明確ですし治療すれば治りますし、治れば自然と元通りの発声ができるようになるでしょう。風邪をひいて声が出なくなっても、風邪が治れば元の声に戻るように。

 

ところが、この『声帯のバランスの崩れ』は非常に厄介です。

 

声帯の筋肉のバランスが崩れているのかどうかも分かりにくい上、もともとがどんなバランスだったのかもわからない。何かが足りないのではなく、鍛えられ過ぎてバランスを崩すというのがこれの恐ろしいところ。

 

声帯を検査しても「診断上は特に異常なし」になるにも関わらず高い声が出なくなったという人で、かつ過度な高音を繰り返していた場合、これに当てはまる人が多いのかもしれません。

 

⑤風邪・発声障害・ポリープなど

上記4つの項目に当てはまらない場合は、喉や声帯に何らかの問題を抱えている場合があるでしょう。

 

身近なものでは風邪や声枯れはもちろんですが、ポリープができている可能性、何らかの発声障害などの病気になっているなどの可能性が考えられるので、病院へ行くというのが一番の解決策になるでしょう。

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