歌の雑学・研究・考察

高い声を出す感覚について【結局、自分で見つけなければいけない】

更新日:

今回は高い声を出すときの感覚についての内容です。

おそらく「発声の感覚」において、気になることが最も多いのが高音発声だと思います。その正解の感覚を理解できれば、自分の道しるべにもなりますからね。

 

しかし、この問題の辿り着く答えは、

  • 高い声を出す感覚に正解はなく、自分で見つける必要がある
  • もしくは、『特別な感覚を持たないこと』が答えになる

という矛盾したような答えが、芯を食ったものになるかと思います。それについて掘り下げます。

高い声が出せる人は高い声を出そうとして高い声が出る

まず、大前提頭に入れておかなければいけないのが、

  • 高い声が出せる人の多くはそこまで複雑な意識・感覚で高い声を出しておらず、単に「高い声を出そう」として高い声を出しているだろう

と考えられます。

 

例えば、高い声が出せない人は、「鼻は?口の開きは?舌の位置は?共鳴は?声帯は?」などなど色々な細かい部分まで疑問が浮かんでくるでしょう。

もちろん、それは決して悪いことではないのですが、高い声を出せる人にとってはそんなに難しく考えるものではないことの方が多いでしょう。

 

多くのシンガー達もいい意味で物事を複雑にせずシンプルに考えていることが多いように思います↓

そして、自分の声の限界を自分で察知して、高い音になると、なんとかそこに届かせようと、声を置きに行く。つまり、そこに届きたいがために、逃げ延びたような歌になるのです。

逆ですよね。意外に、出るものなんです。声というのは。

例えば、遠くにいる人を呼ぶとき、「おーーーい!」と、手を振りながら声を出します。やってみてください。

いや、違う。「おーーーい!!」です。

ほら?お腹から、声が出ていて、やけに安定してませんか? このとき、すでに腹式呼吸に入っています。この、「おーーーい!!」で、歌えば良いんです。後は、それを使うところと、使わなくても良いところを、自分が知れば良い。これだけで、すでに70%くらい歌が上手くなっているはずです。

引用元:ASKA_burnishstone’s diary

このように、プロのシンガーたちは、簡単な感覚や意識で歌を歌っていると語ることが多いです。

 

しかし、これを聞いた多くの人は「そんなに簡単にできないよ」「能力が違うんだよ」と考えるでしょう。まさにその通りで、結局『能力によって感覚は変わる』ということです。

 

この『能力の差』と『感覚』の関係性は、開脚ストレッチのようなものだと考えるとわかりやすいと思います。

開脚で180度開ける人は、何も考えずに足を開けば180度開くことができますが、90度しか開けない人は、どんなに特別な感覚や意識を持っていても、現状ではどうにもなりません。

 

同じように、歌が上手い人は、特別な感覚や意識を持っていなくても自然と上手に歌える能力を持っているのですね。

高い声が出せる人と出せない人のイメージ

要するに「意識や感覚」でどうにかなるようなものではなく「能力」の問題であるということ。

*ただし、人それぞれ持っている声帯によって魅力的な高音域の限界は決まっています。なので、上記図の「能力がある」「能力がない」とは”その人の声帯のポテンシャル”が最大限活かされているかどうかと考えるといいと思います。

 

能力が高まると感覚を失う?

ある意味、能力の成長とは『複雑な意識や感覚を失くしていくもの』だとも言えるのかもしれません。

 

例えば、多くの人は自転車に乗れると思いますが、自転車に乗るときに何か特別な意識や感覚を持ってはいないはずです。単に「目的地に向かう」という意識のみでスイスイ乗りこなしているはず。ですが、自転車に乗る練習をした時はそうではなかったはずです。

 

これは、何も意識しなくても自転車に乗れる能力が身についているということですね。音楽で言えば、楽器などではこういうことを実感しやすいです。

 

つまり、人はできなかったことが簡単にできるようになると、その感覚や意識が薄れて、無意識に近くなっていくということです。

 

そして、

歌においても同じようなことが言えます。

 

例えば、ほとんどの人は「自転車に乗る感覚って、どんな感覚?」と尋ねられても、答えに困ると思います。

同じように「高い声を出す感覚って、どんな感覚?」と質問しても、能力があるシンガーたちは答えに困るのですね。

 

もちろん、無意識にできることが多い分だけ、次のレベルのことに意識を向ける必要が出てくるため、結局は何らかの感覚・意識を持つことにはなるでしょうが、高い声を出すことだけに割く意識・感覚はあまりないでしょう。

 

例えば、何も意識せずに楽に「あーー」と発声します。次に、その声から自分のできる限りの低い声を出そうとしてみてください。持っている声帯によって人それぞれ最低音は違いますが、自分の最低音を出すというのは多くの人ができるでしょう。

そして、この時、特別な感覚を持たずに「低い声を出そう」という意識のみで出せたと思います。これと同じ感覚が高音で起こっていると考えればいいのですね。

 

とにかく、能力が向上すると特別な感覚や意識が薄れて、より簡単にできるようになるのが人間です。

 

つまり、「高い声を出す感覚とは?」に対する答えは、『高い声を出すための特別な感覚がなくなること』という矛盾した回答こそが真の答えになるのかもしれません。

 

感覚は人それぞれ違う

最終的に目指すべきところは『ほぼ無意識にできるようになる』というところとは言え、練習段階ではある程度の『意識・感覚』が必要になることもあるでしょう。

 

「知りたい感覚はそれなんだよ」という人もいると思います。

 

しかし、それも他人の感覚を探りすぎずに自分で見つけた方がいいと言えるのかもしれません。

なぜなら、人それぞれ体の感覚は違うからです。

 

人それぞれに違うものが自分に上手く当てはまるとは限りませんよね。

そもそも、感覚を言語化したところで、同じ感覚になるかどうかもわからないわけです。

 

人それぞれに違うものが上手く自分に当てはまるとは限らないのですね。

 

もちろん当てはまることもあるので「絶対に他人の感覚を当てにしてはいけない」とも言えませんが、他人の感覚から自分に合う・合わないを見つけるよりも、「正解の感覚は自分で探す」というスタンスをとった方が結局近道になることの方が多いのではないかと思います。

 

まとめ

高い声を出す感覚というものは人それぞれ違うので、『自分の感覚を見つけなければいけない』。

 

また、究極的には高い声は高い声を出そうとして出すものなので『特別な感覚を持たないこと』こそ「高い声を出す感覚とは?」に対する答えになると思われます。

-歌の雑学・研究・考察

Copyright© 【ミュートレグ】 , 2023 All Rights Reserved.