今回は『声が出る仕組み』と「声の4要素」についての内容です。
声が出る仕組み
声は
- 肺が空気(息)を送り出す
- その空気によって声帯が振して音が生まれる
- 生まれた音が空間(咽頭腔・鼻腔・口腔)に響く
- 発音によって音の種類が決まる
という順番で生まれます。
こちらの動画がイメージしやすいです↓
①肺から空気(息)が出る
肺を動かしているのは「横隔膜」や「胸郭」です。
特にあまり意識せずとも「息を吸う」「息を吐く」で自然に動いている部分でもありますね。
ここで生まれた空気(息)が声帯へと向かいます。
②空気(息)によって声帯が振動する
声帯は左右のヒダが開いたり閉じたりするような仕組みになっています。
この閉じることによって肺から出てきた空気が声帯にぶつかって、声帯が振動します。
断面から見るとこういうイメージです↓
この振動は厳密には「ベルヌーイ」と呼ばれる流体力学によって振動しています。
簡単に言えば「息の流れに吸い付くように振動している」という感じです(*再生位置3:32〜)↓
このような振動によって音(声)が生まれているのですね。
③生まれた音が空間に響く
いわゆる「共鳴」です。
「①息」と「②声帯」によって生まれた音は主に
- 咽頭腔
- 鼻腔
- 口腔
という3つの空間に響きます。
こちらを見るとより鮮明にイメージできるかと↓
共鳴部分の役割は
- 音の増幅
- 音色の印象作り
です。
基本的には何も意識しなくても勝手に響いているものでもありますし、ある程度は意識的にコントロールすることもできます。
ただ、共鳴腔の大きさや形は頭蓋骨によって大体決まっています。
人それぞれの声が違うのは共鳴腔(頭蓋骨)が違うからとも言えるでしょう(*もちろん声帯の違いもある)。
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発声における3種類の共鳴について
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④発音によって音の種類が決まる
最後は
- 顎や口の開き具合
- 歯と舌の使い方
などによって発音が決まります。
また、
- 「声帯の鳴り」+「共鳴の形・顎の開き具合」=『母音』
- 「息」+「歯や舌の使い方」=『子音』
という見方をすることもできます。
「①息」と「②声帯」によって生まれた音が「③共鳴」によって増幅して、そこに「④発音」が加わることで声の完成です。
これらが声の4要素になる
以上の流れを踏まえると、声は
- 息
- 声帯
- 共鳴
- 発音
という4つの要素になると言えるでしょう。
つまり、『歌声に関する何かの問題はこの4つの中に答えがある』とも言えますし、何かを解決したいときなどは「息を〜」「声帯を〜」「共鳴を〜」「発音を〜」のようにこの4つから改善すればいいと言えるでしょう。
それぞれは連動している
ここで一つ重要なのが、4つは密接に繋がっているということ。
正確には『連動している』と言ったほうがいいかもしれませんね。
例えば
歩く時、下半身の動きに合わせて上半身も動いていますよね。これは上半身と下半身が連動しているということ。よくスポーツなどでは「上半身と下半身を鍛えることは大事だが、『連動力そのもの』を鍛えることが大事」などと言われますね。
歌においてもそれぞれの「連動力」は存在します。
例えば、代表的なもので言えば『息と声帯との連動性』など。
なので、声について考えるとき4つの要素で考えると同時にそれぞれを『繋ぐ力』にも着目することが大切と言えるでしょう。