この記事は
- 甘い歌声とは?
- 甘い声の出し方
という内容です。
甘い声とは
「甘い声」というものは、明確な言葉の定義付けがされていない慣用句です。
歌に関してはもちろん、小説などの表現などでも使われますね。
一般的には、
- 『性的興奮を感じさせるような声のこと』
とされています。
言い換えると「セクシーな声」という感じでしょう。
ただ、この定義ではそう感じる要因は、人それぞれということになってしまいます。個人個人の「セクシー」と感じる感覚は違うでしょうから、その感性によって決められるということです。
しかし、ある程度条件を定義しないと話はここで終わってしまいますので、無理矢理定義していきたいと思います。
歌や発声における「甘い声」とは、
語尾に吐息感のある発声
だと言えます。
甘い歌声のシンガーの例
例えば、以下の二人は、甘い声・セクシーな声と言えるのではないでしょうか。
世界中から「色気のある声」などと言われるような歌声だと思います。
随所に吐息感もあり、「甘い声」という印象を受けるのですが、どうでしょう。
では、お次はどうでしょう?
以下のお二方もセクシーを代表するようなボーカルスタイルだとは思います(*もちろん楽曲による)。
是非ともフレーズの語尾に集中して聴いてみてください。両者とも語尾に非常に特徴があります。
後半、「なにも〜〜*、ないさ〜〜*」とかわかりやすいです。
林檎さんは多用しますね。「キュッと鳴らして収束」させるようなニュアンスです。
両者とも吐息感があるのはもちろん、語尾で一瞬『キュッ』と鳴らして音を収束させるようなニュアンスを多く使っています。
一般的には「ヒーカップ」と言われそうなものですが、このニュアンスを入れると、一気に妖艶な雰囲気が増しますね。
吐息感だけでも甘いニュアンスは出るのでしょうが、
- 『一瞬鳴らして収束させる』ことで「声がこらえきれずに漏れ出た」みたいなニュアンスを生み出し、甘い声というものをより一層演出している
と思います。
ではお次は?
以下のお二方は息系の発声、つまり息の倍音成分が非常に多い発声をしています。当然ながら、息そのものが非常に多くフレーズ全体に息の流れを感じ取れます。
どうでしょう? お二方は「甘い声=セクシーな声」でしょうか?
確かに、すごく透明感のある声ではあるとは思うのです。
もちろん、捉え方によっては「甘い声(セクシーな声)」と感じる人もいると思いますが、ここでは少し除外させて頂きたいと思います。セクシーだと感じている方はすみません。
勘違いして欲しくはないのですが、全くセクシーでないとは言ってないのです。
ただ、どこかではっきりと線を引かないと、プロのシンガーなんてみんな「甘い声」ってことにもなりかねませんので。
そうなると、このような考察も意味をなくしてしまうので。
先ほどのお二人のような声は
- 「吐息のある発声」というより、「全体的に息の流れが綺麗な発声」
という印象です。
つまり、「甘い声」は『全体的な息の流れ』というより『瞬間的な吐息』が大事と考えます。
発声における息の流れがどうこうはあまり関係なく、単純に口からふっと漏れ出るような吐息のような息遣いが語尾にあるとセクシー感を演出すると思われます。
典型的なセクシー感
息系の発声ではありますが、それ以上に大量に溢れ出る吐息↓
鳴り系の発声の中に、吐息感のある発声を随所に散りばめることでセクシー感を演出↓
セクシー感で大事なのは、語尾の吐息感↓
このように鳴り系の発声や息系の発声など関係なく、語尾に吐息感がある歌声はセクシーに感じるような気がします。
最後に、こちらのお二人は吐息感のあるフレーズですが、どう感じるでしょうか?
こちらの二人が先ほどの三人と少し違うのは共鳴、音色の作り方ですね。
このお二人は
- 上方向への共鳴主体に発声しているので浅く明るい音色
になっています。
先ほどの三人は
- やや下方向へも深く響かせて太さのある音色
を作っています。
もちろん両方とも優劣はありませんし、区分としては「甘い声」でいいとは思うのですが、
- 『上方向への共鳴中心+吐息』
- 『下方向への共鳴中心+吐息』
では、セクシー感という点に若干の差が出そうな気がします。
下方向への音色の方がクールな分、音色が大人びていて妖艶な印象を生むような気もします。
下方向への共鳴がある方がセクシー感が増す?
この辺りは個人の価値観によるとは思うので、ここまでは追求せずある程度は広く考えましょう。
以上のようなことから
甘い声とは
- 『語尾に吐息感のある発声』
とします。
甘い声の出し方
最も重要なのは
- 『吐息感』
です。
この吐息において重要なのは
- 『口先からの吐息』
です。
実際に声帯を通る息・発声の中に含まれる息の成分量ではなく、口先から出す吐息です。なので、声帯の鳴り自体はある程度あってもいいし、なくてもいい。
つまり、声質そのものはどんな声質でもいいと考えられます。
また、口先から息を吐くので、基本的にはフレーズの語尾ということになるでしょう。
例えば
フレーズの最後だけ息を吐くだけでも甘さを演出します。
- 「あーーーー(はぁ)」
という感じです。
このように、フレーズの最後を息で終わらせるようなニュアンスは、甘さ・セクシー感を演出します。
全部のフレーズにつけるとくどくなってしまうでしょうが、バランスよく吐息を出すと甘さを演出できると思います。
また、先ほどの林檎さんの例で紹介したように、語尾で『声帯を一瞬鳴らして吐息』というテクニックもセクシーさを演出するのに非常に有効です。
これは、露骨なセクシー感を出すような時に使うといいと思います。
甘い声の練習方法
語尾で吐息感を出せばいいのですから、特に練習で習得するようなものはなく意識やテクニックである程度のセクシー感は演出できるのではないでしょうか?
できない人も
- 「あーーーー(はぁ)」
を繰り返して感覚つかみ、それを歌の中で入れられるように癖づけて行きましょう。
そんなに息の量が必要というわけでもないはずです。ただし、息系の発声を主体とする場合、そこからさらに吐息を出さなけらばならないので、それだけ息の量が必要になります。
つまり、息系の発声からさらにセクシー感を出すためには、相応の息の量が必要(息のトレーニングが必要)になるということですね。
息のトレーニング
逆に鳴り系の発声から吐息を出すのはある程度簡単でしょう。ただ、『声帯を一瞬鳴らして吐息』のようなテクニックは、声帯コントロールが必要となってくるでしょう。
これはエッジボイスのようなトレーニングが有効だと考えられます。