今回は、意図せず声が裏返ってしまう原因についての内容です。
裏声にしたかったわけではないのに、勝手に裏声になってしまうのはなぜか?について掘り下げます。
声が勝手に裏返ってしまう原因
自分の意識とは裏腹に声が裏返る原因は、
- 変声期・声変わりの影響
- 緊張や興奮によるもの
- 地声の限界音域を超えたから
- 喉が柔らかすぎる
- 風邪や発声障害など
が考えられます。
①変声期・声変わりの影響
声変わりが原因で、声が裏返りやすくなるということです。
個人差はありますが、声変わりの時期は声が不安定になりやすく変に声が裏返ってしまうなどの問題も生まれやすいです。人によっては、話しているだけでいつも声が裏返ってしまうなんてこともあるかもしれません。
これは、声帯が大きく変化(成長)している最中なので仕方のないことです。
もし変声期の真っ只中で声が勝手に裏返ることに悩んでいるのなら、声変わりが終わるまで我慢するしかないでしょう。無理に裏返らないように頑張ると、それもそれで声帯には良くありません。
変声期は一般的には10歳〜15歳くらいで訪れるとされていますが、個人差が大きいので年齢だけでは判断できないという点も考慮しておきましょう。
②緊張や興奮によるもの
これは心理的な要因によって声が裏返ってしまうということです。
緊張状態
例えば、大勢の前で話す時、何かの発表会などで緊張している時などに裏返るというものです。
緊張すると体がガチガチに硬くなるのと同じように、喉の筋肉も硬くなります(*体が緊張しているから喉も緊張していると言える)。
そうすなると、地声で使う筋肉(声帯筋)が上手く動かなくなってしまい、裏声へと切り替わってしまうのです。
興奮状態
例えば、ジェットコースターで「キャーー!」と叫ぶ時の声、ライブ会場での「フゥーー!」と叫ぶ時の声などです。
理屈は先ほどと同じように声帯の緊張によるという見方が一つです。また、興奮状態では自然と大きな声になり強い息の力が声帯にかかることになります。この時、声帯への負荷を軽減するために裏声に切り替わりやすくなるという面もあります。
③地声の限界音域を超えたから
多くの人が感覚的にわかっているでしょうが、地声の限界音域を越えれば裏声になります。
これは、人間に備わった健全な反応です。
*もちろん、裏返らない人が健全でないということではありません。実は、綺麗に裏返らない人や裏声が出ない人も意外と多いです。これはまた別の話なので、ここでは掘り下げません。
地声の高音域は、訓練によって鍛えられる部分もあります。しかし、無限に鍛えられるわけではなくどんな人にも限界はあるので、その限界を超えれば誰もが声は裏返るのですね。限界は人それぞれの持っている声帯によって違います。
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④喉が柔らかい
これは基本的に良いことなのですが、喉が柔軟すぎて逆に裏返りやすくなるということです。
地声と裏声の行き来が簡単にできるような喉(声帯)が柔軟な人は、リラックスした状態や力が抜けているときに意図せず裏返ったりします。
よく歌のフレーズの中で一瞬だけ裏返ったような音が入るシンガーもいますよね。
こういう人は基本的に悩みにはなっていないでしょうが、一応原因としては考えられるものです。
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⑤風邪や発声障害で裏返る
これは、風邪などによる喉のダメージや何らかの発声障害によって裏返ってしまうということです。
風邪などによる喉のダメージは、どちらかと言えば粘膜(皮)へのダメージによって裏声が出なくなることが多いですが、逆に裏返りやすくなる人もいるでしょう。この場合は、安静にしておけば治るはずです。
また、何らかの発声障害などを抱えていることが原因で、声が裏返ってしまうこともあるでしょう。
「何をどうしても治らない」という時には、ボイスクリニックなどのお医者様の元へ行きましょう。