今回は、高い声を出すと声が裏返ってしまうという問題についての内容です。
よくある問題ですが、原因はいくつか考えられます。
- 地声の限界音域を超えたから
- 変声期・声変わりの影響
- 過度な緊張によるもの
- 風邪や発声障害など
それぞれ掘り下げます。
①地声の限界音域を超えたから
地声の限界音域よりも高い声を出そうとすると、声は裏声に切り替わってしまいます。
まず、このパターンで裏声に切り替わっている場合は、健全な反応だと言えるので、あまり心配しなくていいでしょう。声が綺麗に裏返ることは良いことだとも言えるので、まずは安心していいと思います。
ただ、その上で、「いや、この音階で裏返りたくないんだよ。もっと高い音まで地声で出したいんだよ。」と考える人も多いと思います。
これに関しては、
- まだ地声を伸ばせる余地がある場合は、裏返らずに地声で出せるようになる
- 自分の声帯的な限界を迎えている場合は、諦めて裏声にした方がいい
と言えます。
大事なポイントは、『歌に使える(=魅力的な)地声の音域』は無限に伸ばせるわけではなく、人によって限界が決まっているということです。
なので、その限界に達していない場合は裏返らずに出せる音域が広がるし、限界に達している場合はそれ以上音域を広げられません。
仮に無理に限界以上を広げようとしても、『歌に使えない(=魅力的ではない)地声の音域』が広がるだけで、結局歌に使えないことがほとんどでしょう。それどころか、無理やり裏返らないようにすることで裏声が出せなくなる可能性が高くなりますし、喉を壊す可能性も高くなります。
なので、自分の声帯に合った地声の限界までしっかりと鍛えて、それ以降は裏声に切り替えるのが基本的にはおすすめです。
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地声の高音域を広げる方法【結局、地道なトレーニングが一番いい】
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②変声期・声変わりの影響
これは声変わりが原因で、声が裏返りやすくなるということです。もちろん、個人差があるのですが、声変わりの時期は声が不安定になりやすく変に声が裏返ってしまうなどの問題も生まれやすい時期です。
人によっては、話しているだけで声が裏返ってしまうという人もいるかもしれません。
これは、声帯が大きく変化(成長)している最中なので仕方のないことです。
なので、変声期中で声が裏返ることに悩んでいる場合は、声変わりが終わるまで我慢するしかないでしょう。
例えば、地声の音域を広げられる余地がまだある状態だとしても、声変わり中は声帯の成長中なので、いくらトレーニングしても音域が広がらず裏返ってしまうということもあります。それどころか、声変わり中に無理に裏返らないようにすると、裏声を失ってしまう可能性すらあります。
待っていれば、自然と良くなる可能性が高いので、我慢した方がメリットは大きいと考えられます。
もしこの時期に歌のトレーニングをするのなら、地声をあまり伸ばそうとせずに裏声を鍛えるのがおすすめです。
③過度な緊張によるもの
歌うときに過度に緊張していると、声が裏返ってしまうことがあります。
緊張すると体がガチガチに硬くなると同じように、喉の筋肉も硬くなります。喉が過度に緊張すると、地声を出すときに主に働く筋肉(声帯筋)が上手く動かなくなってしまい、裏声へと切り替わってしまうのですね。
例えば、ジェットコースターで高いところから下るときなどに裏声で叫ぶ人が多いのは、これが理由です。
この場合の解決策は、『歌うとき緊張しないようにする』しかないのですが、これがなかなか難しいことでもあります。
過度に緊張してしまう要因は、
- そもそも喉の緊張が癖になっている
- 人前で歌うのに慣れていない
- 実力が足りていないなどの精神的要因
- 体質や栄養不足(マグネシウム不足)によって緊張しやすい
など色々ありますから、それぞれの問題に合わせて解決しなければいけません。
個々に抱える問題は色々ですが、一つ言えるのは『喉が硬くなって起こっていることなので、喉を物理的にほぐしてあげれば症状はある程度和らぐ』ということです。
一番おすすめなのは、『上を向いて声を出す』という方法です。首のストレッチになり、喉の過度な力を入れられない状態になるので、緊張を取るのに最適です。
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『上を向いて声を出す』というボイストレーニングについて
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④風邪や発声障害で裏返る
これは、風邪などによる喉のダメージや何らかの発声障害によって裏返ってしまうということです。
風邪などによる喉のダメージは、粘膜(皮)の炎症によって裏声が出なくなることが多いですが、逆に裏返りやすくなる人もいるでしょう。この場合は、安静にしておけば治ります。
また、発声障害の可能性もあります。発声障害には色々な種類がありますが、力が上手く入らなくなるタイプは多いので、それによって裏返ってしまうという可能性もあります。
何をどうしても治らないという時には、ボイスクリニックなどのお医者様の元へ行きましょう。