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声の悩み・歌の悩み

張り上げ発声の改善トレーニング【張り上げ≠悪・苦しい=悪】

投稿日:2020年1月13日 更新日:

今回は「張り上げ」についての内容です。

高音を張り上げるという意味で使われる「張り上げ発声」。どちらかと言えばマイナス的な言葉として使われることが多いですね。個人的にはそこまで悪いものではない可能性もあると思っているのですが。

そんな張り上げ発声についての考察と改善のトレーニングの紹介です。

張り上げ発声とは【明確な定義はない】

張り上げ発声とは非常に漠然としているもので、明確な定義はないでしょう。

歌っている本人、もしくは聴いている人が『張り上げだ』と感じたらそうであるとしか言えないようなもの

ですね。

 

「何デシベル以上が張り上げだ」とか、「喉がこれくらい硬く発声していたら張り上げだ」とかそういうものは一切ないもの。つまり、曖昧な言葉ということです。

 

ではどのようなものが張り上げと言われるのか?

「張り上げ」は、どのような使われ方をするかというと

  • 地声の張り上げ
  • ミックスボイスの張り上げ

などの使われ方が一般的です。

 

「声を張り上げる」とは「声を大きく出す」という意味なので言葉の意味をそのまま捉えると

  • 大きな声の地声
  • 大きな声のミックスボイス

という意味になります。

 

しかし、これは使われている意味とは少しズレていると思います。

 

おそらく、ここでの「張り上げ」と言われるような発声は、『無理な高音発声(苦しそうな高音発声)のこと』を指すのではないでしょうか?

 

つまり

  • 地声の無理な高音発声
  • ミックスボイスの無理な高音発声

という意味で使われているのがほとんどでしょう。

 

また、か細く締まっていくような無理な高音(喉締め発声)ではなく、息などの勢いで押し切るように出す無理な高音のニュアンスが強いと思われます。

 

つまり

張り上げ発声とは、『息の勢いで押し切るような

  • 無理な高音発声
  • 苦しそうな高音発声

という意味になるでしょう。

そもそも「張り上げ発声」は悪いものなのか?

これが結構重要だと思うのですが、

  • 「張り上げる」のが悪いのではなく「音程が合ってない」もしくは「苦しそう」なのが問題

だと思うのです。

 

どれだけ強烈な音色の発声であっても、音程がドンピシャであれば音楽的には美しい↓

これはどちらかと言えば、シャウトの部類ですが。

シャウトは一般的な張り上げ発声をさらに張り上げているような発声ですよね。

 

全然苦しそうではなく、発声を操っています。

 

つまり、

  • 音程が合っていない苦しそうな張り上げ発声=「張り上げ」
  • 音程がしっかりと合っているコントロールされた張り上げ発声=「パワフルな発声やシャウト」

のように言われるのかもしれません。

 

何が言いたいかと言うと

  • 張り上げている→下手に聞こえる→張り上げ発声がダメだ

と考えるのではなく、

  • 張り上げている→下手に聞こえる→『音程が合っていないから、もしくは苦しそうだから』

まで考えるべきだろうということです。

 

なぜなら、張り上げ発声が質のいい高音発声への”通過点”である可能性もあるから

 

張り上げ発声は、息の力で押し切るようにしてなんとか高音を出そうとするような発声になるはずです。

無理やり出すので、結果的に大きな声で叫ぶようなニュアンスになってしまうのですね。

 

個人的にはこういう発声は”発声の質自体は”そこまで悪いものではない可能性が高いだろうと思っています(*もちろん、一概には言えない)。

ポジティブな言い方をすれば声量が出ているし、パワフルでロックな声と言える可能性が高いでしょう。

 

ある意味、張り上げられるのも才能です。

 

逆に、無理な高音になるにつれて喉がしぼんでいくような発声になったり、か細い声になっていったりする人もいます。

いわゆる『喉締め発声』と言われるようなものですね。

このような発声になるよりは随分いいものだろうと考えられます。

 

どんな発声かは個人個人違うので一概には言えないのですが、基本的には

  • 『張り上げ発声』=高音のための声帯が伸びる能力が足りずに、息の圧力で押し切って高音を出す発声。
  • 『喉締め発声』=高音のための声帯の伸びる能力が足りずに、声帯や声帯周りの過緊張(収縮)で高音を出す発声。

という仕組みです。

 

この二つのどちらが未来ある発声の確率が高いかを考えると、圧倒的に『張り上げ発声』の方だと個人的には思っています。

 

そして、一番危険だと思うのが、

  • 張り上げを治そうとして喉締めの方向へ進むこと

です。

 

あくまでも、張り上げが悪いのではなく、音程が合っていない・苦しそうなのが悪いので、「張り上げ=ダメ」と決めつけて張り上げをやめようやめようとする道が正しいとは限らないこともあるでしょう。

 

どっちにしても「音程が合っていない張り上げ」「苦しい張り上げ」である以上は改善していくのでしょうが、改善点を明確に捉えることが重要だと考えられます。

なぜ張り上げ発声になってしまうのか?

張り上げ発声は言い換えると声帯の制御不能状態です。

 

基本的に声を高音にするには

  1. 声帯を伸ばす(*メイン)
  2. 息を強める
  3. 裏声にする
  4. 喉を締める

という4つの選択肢があります。

 

そしてメインの「声帯を伸ばす」という能力が限界を迎えたときに残る選択肢が「息を強める」「喉を締める」の二つになるわけです(*「裏声」は今回のテーマに沿ってないので除外)。

 

なので無理な高音を発する場合、ほとんどの人が

  • 息を強く吐こうとする(張り上げ発声)
  • 喉を締めようとする(喉締め発声)

このどちらかになるのですね。

このうち息を強く吐こうとする』という選択肢が張り上げの大きな原因なります。

 

人は本能的に息を強く吐く

人は無理な高音を出そうとするとき本能的に息をより強く吐こうとします。

じゃないと目的の高い音を出せないからです。

 

しかし、声帯コントロール(声帯伸展能力)が未熟な場合、その息の勢いを綺麗な音に変換する能力がない状態と考えられます。

 

声帯の音程を調節する能力は限界を迎え、あとは強い息の勢いを声帯と仮声帯(*がなり声に使う部分)が必死に音にしようと支えている、そんな状態が生まれます。

 

これが『張り上げ発声』です。

 

つまり

声帯の力だけでは目的の高音を出すだけの調整ができない→息の勢いに頼る→張り上げる

ということです。

張り上げ発声を治すトレーニング

高音を張り上げてしまうのは「声帯コントロール能力がないから」でしたね。

では、それを身につけるようにトレーニングしていくのが改善の道になります。

 

考え方として、高音発声においてうまく脱力できるほどの声帯コントロールを身につけるトレーニングをすればいいと考えることができます。

 

張り上げを治すオススメトレーニングは3つ

張り上げ改善トレーニング

「ネイ」「ヤイ」トレーニング

「ネイ」や「ヤイ」の発音で発声練習をするトレーニングです。あごや舌根を動かしながら声帯が鳴りやすい発音でトレーニングするので強い高音発声の脱力を促す効果があります。

グッグトレーニング

「グッグ」の発音で発声練習をするトレーニングです。こちらも舌根や喉の空間にアプローチをかけて、高音域の脱力を促します。

リップロール

声帯のかかる呼気圧を軽減することで脱力を促すトレーニングです。

この3つのトレーニングは高音発声において脱力を促しながら練習することができるので、毎日少しづつでも続けていくうちに張り上げ発声を治す効果が見込めます。

 

ただし、先ほども言いましたが、張り上げから喉締め方向へ行かないように気をつけてください。

また、人はどこまでも無限に高音を出せるわけではありません。どんなに鍛えられたシンガーであっても、音程を上げていけばいつかは張り上げや喉締めが起こってしまいます。

なので、その声帯の魅力的限界範囲を上手く見極めながらトレーニングしていく必要があるでしょう。

結論

張り上げ発声とは「無理な高音発声」により生まれる

張り上げ発声そのものが悪いのではなく、苦しそう・音程が合ってないことが問題の本質

張り上げ発声を治すには声帯コントロールを鍛える

声の音程を調節する仕組みについて【声帯伸展と声帯収縮】

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