今回は、歌うときに喉に力が入る原因についてです。
この記事は
- 喉に力が入る原因「状況編」
- 喉に力が入る原因「状態編」
に分けて考察します。
喉に力が入る原因【状況編】
喉に力が入る状況は、大きく分けると2パターンと考えられます。
それが
- 限界を超えた高音を出すとき
- 限界を超えた声量出すとき
の二つです。
この二つは単体で考えてもいいですし、両方が繋がっているとも言えます。
一つづつ掘り下げていきます。
①限界を超えた高音を出すとき
自分が現状出せる音階の限界を超えると、喉に力が入ります。
特に地声の高音発声(もしくは俗にいうミックスボイス)などの裏声以外の発声で高音を出そうとすると、喉に力が入る人が多いでしょう。
これは、自分でコントロールできる音階を超えたから喉に力が入るのですね。
まず、声帯は伸びて音程を上げるという仕組みになっています。
そして、高音の限界とは声帯をこれ以上伸ばせなくなる状態です。
この限界以上の高音を出すためには、喉を締めるしか高音を出す方法はありません。
なので、喉を締める=喉に力が入るのですね。
高い声の限界以上を出そうとすると、体が勝手にこういう状態を作ります。これが『高音が原因で喉に力が入る』ということ。
どんなにすごいシンガー達であっても必ず限界の高音はあるので、もし限界にたどり着いているのならそれ以降は基本的には諦めた方がいいかと思います。
「鍛え不足」「まだまだ鍛える余地がある」という状態であれば、コツコツとトレーニングすることで喉に力が入る状態は改善できるでしょう。
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②限界を超えた声量出すとき
自分が現状出せる声量の限界を超えると、喉に力が入ります。
大きな声量を出す時というのは、基本的に息の力を強めます。強い息によって声帯を強く振動させることで大きな声量を生み出しますが、この時息の力に声帯が耐えられないのを「サポートしよう」と喉に力が入るのですね。
簡単な図解ではこんなイメージです↓
声量を出すには息を強める必要があるのですが、強すぎる息の力は声帯だけでは支えられず声にできなくなります。
これが、声量の限界点↓
実際にこれが起こるわけではなく、人間の体はこうなる前に息の力をなんとか支えようとします。
つまり、「息を支えるために喉が締まる」。
このような原理で喉に力が入ります。
まぁこれは結構単純に考えた場合で、実際は、このような声帯が息を支えられなくなるときに「仮声帯」の閉鎖も起こります。
これが「がなり声・唸り声」の源です。これもある種の「力が入っている」と言えるものでしょう。
これに関しては『がなり声・仮声帯発声について』の記事にまとめています。
声量においても「能力的限界」であれば、受け入れるしかないでしょう。
「鍛え不足による限界」であれば改善の余地があると考えられるので、コツコツとトレーニングをしましょう。
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喉に力が入る原因【状態編】
上記二つの状況以外で喉が締まる場合、もしくはトレーニングでもなかなか改善しない場合は「状態」そのものに原因がありますね。
考えられるのは2つ
- 変声期
- 発声法がおかしい
という内容です。
①変声期
変声期の時期は、声そのものが非常に不安定です(*個人差がある)。どんなに少年少女の頃に上手い人でも変声期の時期は思うように声が出なくなることもあります。
無理に出そうとすると、変に喉の力が入ってしまうなどのこともあるでしょう。
声帯が大きく変化している最中なので、ある意味「当たり前のこと」ですし「どうしようもないこと」とも言えるでしょう。この場合、変声期が終わるまで待ちましょう。
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②発声法がおかしい
高音・声量の限界などではなく、どんな音程でも歌を歌う時点で喉に力が入るという場合は『そもそもの発声がおかしい』と言えるでしょう。
変な発声の癖がついてしまっている状態だと考えられます。何をどうしても喉に力が入ってしまう発声は根本的に間違っている可能性が非常に高いです。
このような時は、その声の出し方は一度捨てて、楽に声を出す癖をつけましょう。
話し声で喉に力が入るという人は少ないでしょうから、まずは話す声のままで歌う練習をするといいでしょう。
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