「歌うときに喉が締まる」「喉締めが治らない」という悩みを抱えている人も多いと思います。
今回はそんな喉締めの原因と改善方法についての内容です。
歌うときに喉が締まる原因と改善策
歌うときに喉が締まる理由は主に
- 声変わり(変声期)
- 限界以上の「声量」を出すとき
- 限界以上の「高音」を出すとき
- 何らかの発声障害を抱えている
という4つの理由が考えられます。
⑴声変わりが原因で喉が締まる
声変わりの時期は声帯が大きく変化している最中で、一言で言えば『声が不安定な時期』です。一般的には中学生〜高校生くらいの時期が一番当てはまりやすいでしょうが個人差があるので一概には言えません。
この時期は声帯の変化に合わせて声に関する様々な問題が起こりやすく、当然「喉が締まりやすくなる」という問題を抱える人もいます。
この場合原因は「声帯の変化・成長」にあるので、トレーニングで改善するというよりも「声変わりが終わるのをじっと待つ」が一番の解決策になったりします。
⑵『声量』が原因で喉が締まる
これは自分の能力を超えた声量を出そうと喉が締まるということです。
まず、声帯というのは息という風によって細かくなびく弁です。この弁が絶妙に閉じているからその細かい振動により音が鳴ります。
そして、声量を大きくするときというのは基本的に「息を強く吐く」という行動を取ります。
この息が強すぎたらどうなるか?
声帯が息の圧力に耐えられずに、綺麗に振動させられなくなります。声帯を綺麗に閉じた状態を維持できないのですね。
実際には声帯がこんな風に押し負けることはないのですが、こういう事態が起こりかけます。
この”起こりかける”というのが喉締め原因です。
人は自分の制御できる範囲を超えた声量(声帯が支えきれない息の量)になった場合、それでも声帯をしっかりと閉じていよう(綺麗な声を維持しよう)とします。
この時、声帯をコントロールする力は目一杯使っているので、もう声帯だけで息を支えられる余力はありません。なので喉全体を使って締めようとする(=声帯が息を支えられるようにする)のです。
これが声量によって喉が締まる理由と考えられます。
声量を大きく出そうとする→息の量を多く吐く→声帯が息を支えられない→喉全体を使って声帯を支えようとする=喉が締まる
ということ。
実はもう一つ、
この”息の強さを支える”とき『仮声帯』という部分が働くこともあります。
この仮声帯も声帯の息を支えようとする役割があり、大声を出した時に声が『ガラガラ・ゴロゴロ』鳴る正体はこの仮声帯です。
主に怒鳴り声やがなり声、張り上げ発声などで鳴ることが多いでしょう。
がなり声や張り上げ発声は喉締め発声とは方向性が違うので、ここでは省略します。
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対策・改善方法
声帯が息の圧力をある程度支えられるようになれば、大きな声量を出しても喉は締まりにくくなります。
とは言えどんな人にも声量の限界はありますので、あくまで個々の声量の限界範囲内において鍛えるということを頭に入れておきましょう。
声量のトレーニングの軸は
- 息の力そのもの
- 息と声帯の連動性のトレーニング
という二つです。
両方大事なのですが、喉締めに関しては特に「息と声帯の連動性」=『声帯が息の力を上手く活かす能力』が重要になってくるのでここを抑えておきましょう。
トレーニング方法は『ドッグブレス』がおすすめです。
このトレーニングは声量のトレーニングにもなりますし、息を支える声帯の力を向上させるトレーニングにもなります。
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⑶『高音』が原因で喉が締まる
これは自分の能力を超えた『高音』を出すときに喉が締まるということです。
声を高くする動きは4つあります。
- 声帯を伸ばす(*メイン)
- 声帯を締める
- 息を強める
- 裏声にする(*今回はテーマに沿ってないので除外)
です。
このうち「声帯を伸ばす」という動きが高音の主役です。
もしこの声帯を伸ばす能力が低い場合、当然高音は出せないことになります↓
伸びる能力が足りないので、これ以上「伸ばす」という選択肢はない。
この状態でより高音を出そうとすると残された選択肢は先ほどの4つの中から、
- 声帯を締める
- 息を強める
になるわけです。
つまり、限界以上の高音を出そうとすると「声帯を締める」=喉が締まる↓
声帯がこれ以上伸ばせないという状態で、高音を出そうとすると喉周りが(勝手に)締まるのですね。
人間に備わった本能の力みたいなものでしょう。
ちなみに、どんなに鍛えられたシンガーでも音程をどんどん上げていけばいつかはこれが起こります。人間は無限に高音を出せるわけではないので。
これが喉締めの原因の二つ目になります。
また、もう一つ残された選択肢は「息を強める」ですが、そうなると先ほどの声量の項目のお話になり息の力が強くなりすぎると結局「喉が締まる」もしくは「がなり声になる」。
このように声帯を伸ばす能力が限界を迎えると、それ以上の高音を出すには大抵の場合「喉を締める」に行ってしまうでしょう。
対策・改善方法
高音における喉締め発声を改善するためにはまず脱力促進系のボイストレーニングが有効だと考えられます。
例えば、
などは高音発声時の脱力を促すのに効果的です。
シンプルに『声帯の柔軟性(声帯コントロール)を向上させるトレーニング』もいいでしょう。
大事なのは声帯を伸ばす能力なので、この部分をコツコツと鍛えればいいのですね。
また、高音が喉締めの原因である場合、
- 一度『喉締めにならない音域』まで戻って、その発声状態の音域をゆっくりコツコツと広げる
という考え方もトレーニングの方針としてはいいでしょう。
おそらく、高音が原因で喉が締まるのであれば必ず喉締めにならない音域帯が存在するはずなので、”その音域帯の発声状態を維持したまま音域を広げる”練習をするというのが誰でもわかりやすく解決できる方法だと思います。
しかし、この練習方法は地道・つまらない・大変・効果が短期間でわかりにくい、など人が嫌うデメリットを多く抱えています。
なので、楽な道や一気にジャンプできる道を探してしまいますが、結局コツコツとした練習に勝るものはないでしょう。
⑷何らかの発声障害を抱えている
上記までの内容に当てはまらない場合は何らかの発声障害を抱えている場合があります。
もし喉締めがいつまでも解消しない場合は一度病院や声のクリニックなどに診てもらっ他方がいいでしょう。