今回は『お手本選び』が歌の成長に大きく影響するだろうということ、そして「どんなお手本シンガーを選ぶべきなのか」という内容です。
歌が上手いシンガーは、歌が上手いシンガーから影響を受けている
多くのシンガー達は、影響を受けたシンガーやルーツになった音楽などをインタビューで答えることがありますが、そういったものを多く調べてみると、
- 『歌が上手いシンガーは歌が上手いシンガーから影響を受けている』ことが非常に多い
です。
言い換えると、「歌が上手いシンガーの歌をよく聴いていた人は歌が上手くなりやすい」と。
例えば、歌が上手いシンガーのファンには歌が上手い人が多いという傾向があります↓
もちろん、全ての人がそうなるというわけではないですが、歌が上手いシンガーの歌声が大好きでたくさん聴いているからこそ、歌が上手くなりやすいという傾向が生まれると考えられます。
つまり、
- 歌が上手いシンガーの歌声をたくさん聴くことで歌が上手くなる
ということ。
ある意味当たり前と言えば当たり前なのですが、人間は真似をして成長する生き物なので、真似をする対象の能力に引っ張られるのですね。
これは歌の成長において非常に重要なポイントだろうと考えられます。
例えば、アリアナ・グランデが影響を受けたシンガーに挙げているのが「ビヨンセ、ファーギー、インディア・アリー、ブランデー」などです。
アリアナ↓
インディア・アリー↓
ブランデー↓
どこか「なるほど」と納得できるものがありますね。
もちろん、目標にしたからと言って同じ歌声・歌唱スタイルになるわけではないでしょうが、『同じレベル』に近づける可能性が高くなるでしょう。
お手本の選び方
お手本選びには重要な二つのポイントがあるだろうと考えられます。
お手本選びのポイントは
- とにかくすごいシンガー
- 声帯の特性を考慮する
という二つのポイントを考えればいいと思われます。
①とにかくすごいシンガーを目標にする
何を持って「すごい」とするかは、個人の好みやジャンルなど様々な要因によって変わってくるでしょうが、これは
- プロのシンガー達が「参考にした」と言っているシンガー
- プロのシンガー達が「すごい」と言っているシンガー
などを目標に設定すると間違いないのではないでしょうか。
多くのシンガーの影響を受けたシンガーを調査すると意外と同じ人の名前が出てきたりしますので、そういう人をお手本にするといいと思われます。
ここでありがちなのが「なんでこの人?何が良いのか全くわからない」というような、全然その凄さ・上手さが理解できないパターンですね。
ただこういう時、「理解できない!」と切り捨てるのはもったいないのかもしれません。歌に限らず、どんなことでも初心者と上級者の感覚の差みたいなものってありますよね。
そのシンガーが多くのプロシンガーから支持されているような人であった場合は、『自分の音楽的感性・感覚』がそれを理解できるレベルに至ってない可能性が高いので、理解しようと嫌でもずっと聴いておいた方が後々必ず得すると思います。
②声帯の特性を考慮する
この項目もかなり大事なポイントになるはずです。
というのも、「すごいシンガーだからこの人を目標にしよう」というだけでは、上手くいかないこともあるからです。
その原因が『個体差・個人差』です。
要するに
- 目標にしているシンガーの体(骨格・あご・のど・声帯など)と、自分の体が全然違うタイプであった場合、お手本として上手く成立しにくいだろう
ということです。
お手本にするということは、多くの人が真似から入るはずです。
真似すること自体は何も問題ないですし、練習としては正しいことでしょうが、声帯のタイプが大きく違い過ぎると、真似することが逆効果になることもあるはず。
例えば、
「すごく低い声帯を持っている人」が「すごく高い声帯を持っているシンガー」の歌声をいくら真似しようとしても、元々の特性が違いすぎるのでそのシンガーの歌声に近づくことはほぼ不可能でしょうし、特性が違いすぎるのに真似しようとした結果、変な方向性に行ってしまう可能性も高くなるでしょう。
つまり、自分の体の特性(声の特性)と近い人を目標に設定しないと上手くいかない可能性が高まる。
特に声帯の『音域のタイプ』と『声質のタイプ』の二つはなるべく自分と似たタイプを目標にした方がいいでしょう。
ただそうすると、「自分が好きなシンガーが自分にとっていいお手本になるとは限らない」というのが厄介なところですね。
人は大きく分けると、
- 自分と似たタイプのシンガーを好きになる人
- 自分と反対のタイプのシンガーを好きになる人
がいるはず。
『類似性の法則』『相補性の法則』と言われ、「自分と似ているから好きで憧れる」「自分にないものがあるから好きで憧れる」というものです。
どちらも人間的に正しい感情で間違いはないのですが、”歌の成長に関して”は自分と似たタイプを好きになる人の方が成長しやすいのかもしれませんね。
上手く自分の声帯に変換できるのならどんなお手本を選んでもいい
声帯の特性の違いを考慮して自分の声帯に上手く変換できるのであれば、この項目は無視してもいいと思います。
お手本シンガーの”完全な真似”をするのではなく、”上手く自分に置き換えた真似”ができるのであれば、どんなシンガーでもお手本になると思います。
- もしあのシンガーが自分の体(声帯)を使うならどうするか?
をイメージすると上手くいきやすいかと。
ただこれがなかなか難しく、この部分はある意味「才能・センス」と呼べるのかもしれません。心配な場合は、自分の声と似ているシンガーをお手本にするのが無難です。