歌のスキル・テクニック

歌における抑揚のつけ方について【音に大小の起伏をつける】

投稿日:2021年1月8日 更新日:

この記事は

  • 歌の”抑揚”についての概要
  • 歌の抑揚のつけ方について

という内容です。

歌における”抑揚”は声量の大小のこと

抑揚とは本来『発する音の調子の上げ下げのこと=音程の起伏』のことであり、英語で言う”イントネーション”になります。

なので、「抑揚のある話し方だね」と言った場合「音程の上げ下げがしっかりとある話し方だね」という意味になります。

 

ところが、歌においての抑揚は

  • 『声量差・大小表現=ダイナミクス』のこと

を指します。

歌は基本的に音程が決まっているものなので言葉のニュアンスが変化して『声量の大小』を指す言葉になったのでしょう。

 

つまり、「歌に抑揚をつける」とは

  • 声の『小と大』『静と動』を表現すること
  • 声の音量差をつけること

です。

考え方はシンプルに『音の大小を作る

なので歌に抑揚がない、歌が棒読みっぽくなるという場合はこの『音量の起伏』を作ることを意識するといいのですね。

抑揚のつけ方は3層の声量で考える

抑揚をつけるには発声を大きく3層に分けることがおすすめです。

 

発声は大きく区分すると、

  1. ささやくような発声=小
  2. 普通くらいの発声=中
  3. 大きく張る発声=大

という3つの層に分けられます。

自分の声量を3層に区切る

このようにざっくりでいいので、自分の意識を3つに分けます(*もっと細かく分けたい場合は層を増やしてOK)。

 

そうすると、「小中大」の声量を行ったり来たりすること=『抑揚を作る』になります。

3層の声量の行き来が抑揚になる

音量を押したり引いたりすることで音量の階層(落差)を作るのですね。

このように声量の階層をつけてフレーズを歌うことで抑揚が生まれます。

「どこに抑揚をつけるか?」には大きな決まりはないので、自分で色々と工夫しましょう。

良い抑揚を生み出すには

基本的には上記の考え方でできる人もいるでしょうが、いきなり「小・中・大をコントロールしろ」と言われても上手くできない場合もあるでしょう。

これを上手くコントロールするには

  1. 小の発声
  2. 大の発声

の片方・もしくは両方をコントロールできるようになる必要があると考えられます。

①小の発声を磨く

”単に音量を下げて小さな声・ささやく声を作ること”自体はそこまで難しいことではないと言いますか、おそらく誰にでもできることでしょう。

 

しかし、それが歌に使えるかどうかということを考えると途端に難しくなるはず。

要するに「小の発声」は音量自体は小さくなっても、声自体はマイクによく通る発声をしないと歌に使えなくなるのですね。

これを攻略しないと上手く抑揚をつけられなくなります。

 

なので、「よく通る小さな発声」いわゆる『ウィスパーボイス』という発声を極める必要がある

 

ウィスパーボイスをよく通る発声にするためには”息の流れ”が最も重要です。「とにかく綺麗にたくさん息が流れる発声はよく通る」と言えるでしょう。

ウィスパーボイスの出し方と解説

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②大の発声を磨く

まず「大きな声」に関しては小さな声とは違い、人によって得意・不得意があるということを頭に入れておくべきでしょう。

 

例えば、「大声を出せ」と言われた時にすぐできる人とすぐにはできない人がいるでしょうし、さらにすぐにはできない人の中にも

  1. 練習すればできるようになる人
  2. 練習してもできない人

がいるはずです。

 

どうしてもできない人

やはり「どうしても声が張れない」という声帯を持つ人は普通にいますし、大きな声を出せてもそれを歌に活かすとなると難しかったりもします。その場合はすんなり諦めて「小・中」で起伏を作るスタイルに徹した方がいいのかもしれません。そういうスタイルでも素晴らしいシンガーはたくさんいますから。

 

大の発声を鍛える

大きな声量を生み出すには

  1. 強い息の力
  2. 強い声帯の鳴り

という二つが必要です。

 

簡単に言えば、「強く息を吐いてそれを声帯でしっかりと支えて鳴りに変換する」ということです。

 

小の発声は『息の流れを声帯が華麗に受け流すイメージ』ですが、大の発声は『より強く息を吐いてそれを声帯で受け止めるイメージ』です。

 

「声帯をしっかりと鳴らす能力」と「息の圧力をしっかりとかける能力」の二つを鍛えていけばガツンと鳴らせるようになるでしょう。

力強い歌声の出し方について

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抑揚のトレーニング

最後に抑揚のトレーニングを紹介します。

やり方はシンプルです。

  • まずは自分の中での大きい声量「あ!」と小さい声量「ァ」を出してみます(*発音はなんでもOK)
  • 次にこの二つを連続で交互に発声していきます。
  • 『あ・ァ・あ・ァ・あ・ァ・あ・ァ』
  • 最初はゆっくりでもいいのでだんだん早くしていきましょう(*早すぎる必要はない)。
  • これを繰り返すことで大小の声量変化を体に染み込ませます。

基本はこれです。

 

ここでおそらく、何も意識しなければ音量の大小『あ・ァ』に合わせて音程も『高・低』となるはずです。これは息の勢いが変わっているので自然なことです。

これはこれで特に問題はありませんが、次のステップとして

  • 音程は変えずに音量だけ『あ・ァ・あ・ァ』と変化させる

という練習に取り組むとより抑揚をコントロールできるでしょう。

 

さらに慣れてきたら『大・中・小』の3層を意識して

  • 『あ・ア・ァ・あ・ア・ァ・あ・ア・ァ』

と練習しましょう。すぐにコントロールできるようにはならないかもしれませんが、繰り返していくうちに自然と抑揚をコントロールできるようになるでしょう。

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