「音感」は、主に『絶対音感』『相対音感』と言われる二つの音感に分かれます。
このうち歌に必要な音感は『相対音感』です。
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絶対音感・相対音感と歌の上手さの関係性について
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なので、基本的に歌における「音感」とは「相対音感」のことになります。
そして、相対音感はこのように分けることができると考えられます↓
今回は特に『②コード感』を中心とした内容です。
歌に必要は相対音感は、二つに分けられる
歌における相対音感は、『ピッチ感』と『コード感』という二つに分けられると考えられます。
- ピッチ感・・・音程を合わせる能力、音程が合っているか外れているかがわかる能力
- コード感・・・楽曲のキー・スケール・コード進行に音を合わせる能力
もちろん、お互いに無関係な別々の能力というわけではなく、密接につながっている能力でもあるのですが、このように分けて考えることで歌に必要な能力を捉えやすいと考えられます。
①ピッチ感
これは、シンプルに音程(ピッチ)を合わせる能力です。
例えば、ピアノで「ド」と鳴らした音に合わせて「ド」と歌えるかどうかというものです。言い換えると、音が合っているか外れているかがわかる能力とも言えます。
そう難しいことではないのですが、歌のピッチも深く突き詰めると
- 出だし
- 真ん中
- 語尾
- 移行
という4つに区分することができ、かなり奥が深くなります。
ここではテーマの中心ではないので省略しますが、この「ピッチ感」も次の「コード感」が密接に関係しており、ある意味ピッチ感の上位互換がコード感とも言えるような気がします。
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歌のピッチを鍛える方法について【4つの区分で考える】
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②コード感
歌においてのコード感とは、
- 楽曲のキー・スケール・コード進行に合わせる能力
- 楽曲の演奏と調和する能力
という感じです。
楽曲に「乗る」能力です。
*「コード感」とは厳密な定義のない曖昧な言葉で、主にギターソロなどで「君のギターソロはコード感が出てるね(コード進行に沿った音を弾いているね)」という感じで使われることが多い言葉ですが、ここでは少し歌用に噛み砕いて表現しています。世間では通用しないかもしれないので、気をつけてください。
「キー・スケール・コード進行に合わせる能力」「演奏と調和する能力」と言われてもよくわからないでしょうが、わかりやすく言えば、
- 即興のピアノ演奏に合わせて即興で歌を歌うことができる
- 歌の入っていないビートトラックに合わせて即興で歌を歌える
- 瞬時に適当な歌を作曲できる
などの能力です(*もちろん全て歌詞はなくていい)。
例えば、こういうイメージ(再生位置〜、即興のピアノに合わせて即興で歌っています)↓
このように、即興のピアノ演奏などに即興で歌を合わせて歌うことができる能力が『コード感』。
これは歌を楽曲のキーやスケールに合わせていることにもなるので、「キー感」とか「スケール感」と言ってもいいとは思いますが、「コード感(覚)」と呼ぶのが一番しっくりくる気がします。
そして、このコード感が高度な上手さに直結してくるので重要だと考えられます。
なぜ歌において『コード感』が重要なのか
それは『演奏と調和する能力だから』と言えるでしょう。
そもそも、世界的に主流な音楽のほとんどは、「キー(調)」や「コード進行」によって作られています。
歌も含めて音程のつく楽器の全ては、この「キー・コード」のもとで音が選択されているので、この「キー・コード」こそそれぞれの楽器が調和するための合言葉みたいなものになります。
そして、その合言葉をもとに音同士が手をつなぐことで生まれるのが”音楽”です。
つまり、
他の楽器(音)と手をつなぐための合言葉を持てる感覚(=コード感)が重要になるのですね。
「調和」とか「音同士が手をつなぐ」という感覚は、歌の合唱のハーモニーをイメージするとわかりやすいと思います↓
これは声のパートごとに調和しているのですが、一般的な音楽であれば「歌」は「ギター」「ピアノ」「ベース」などと調和します。
なので、歌においては『調和能力』=『コード感』が重要になってくる。
コード感が全くない場合
歌の全ての音程が「点」に感じるような意識になると思います。
決められた音に対して、音を一つ一つ「点」で当てはめていくような感じになってしまいます。
これはこれで悪いことではないのですが、”窮屈”と言えるのかもしれません。
点で合わせるのは『音程を合わせる能力』ですが、コード感は『音程を外さない能力』なのです。
コード感が抜群にある場合
歌っていい音程の「線」を感じることができ、『その線の中なら何を歌ってもいい』というような感覚になると思います。それによって例えば、フェイクやアドリブなども自由自在になります。
こういうのが歌っていい音の「線(スケール)」です↓
コード感があると、こういうことが可能になるのですね。
こういうはあまりに高度なので「すごすぎて意味わからん。」となってしまいますが、あまり難しく考えなくてもいいと思われます。
意外と多くの人には”なんとなくの”スケールの感覚は染み付いているものです↓
0:42~で笑いが生まれていますが、この”3つ目の音を導き出したこと”こそまさに観客の「スケール感覚」です。
1:18~観客の声に合わせて歌っていますが、これが『演奏に乗る能力・演奏と調和して歌う能力』=『コード感』です。
『コード感』の鍛え方
基本的に、コード感は「慣れ」や「経験値」によって身についてくる”感覚”です。
コード感の鍛え方は主に3つ
- たくさん音楽を聴く
- カラオケ(空の音源)で歌う
- 楽器を弾く・弾き語りをする
の方法があると考えられます。
①たくさん音楽を聴く
たくさんの音楽を聴くだけでも『コード感』は自然と身につくでしょう。
義務教育でも音楽の授業はたくさんありますし、日常に音楽は溢れていますから、自然と音楽の経験値は積み上がっていくものでもあるでしょう。
しかし、「コード感を身につけたい」という目標に対してそこまで大きな効果があるのかというと、そうでもないかもしれません。効果を感じるためには、膨大な時間や量が必要になると思われます。
②カラオケ(空の音源)で歌う
音源の演奏に合わせて歌うということ。
「空の音源」と強調しているのは、例えばカラオケなどはガイドボーカルなどが小さく鳴っていますが、ガイドボーカルがあるとコード感がつきにくくなるので切ったほうがいい、ということです。
適当な演奏に合わせて適当に歌う
これはコード感を身につけるために結構いい練習になると思われるのですが、
- 知らない曲の伴奏に合わせて適当に歌ってみる
という練習は結構いいと思われます。
YOUTUBEなどで伴奏やビートトラックを探せばたくさん出てくると思われますので、それに合わせて適当に歌うというのを繰り返すと、最初は上手く歌えなくてもだんだん音楽と調和できるようになってくるでしょう。
ある意味これは”作曲”ですね。
③楽器を弾く・弾き語りをする
やはり「楽器を弾く」「弾き語りする」、これがコード感を飛躍的に高めると考えられます。
弾き語りは自分でコードを弾いて、それに合わせて歌うのでコード感が鍛えられやすいと考えられます。コード理論も覚えられますし、一石二鳥です。
歌が上手い人(プロのシンガー)はほとんどの人が楽器の弾き語りができますが、これは「弾き語りを練習したことによって歌に必要なコード感がついたから歌が上手くなった」というのも、大きな要因の一つとして考えられるわけです。
効率的に高いレベルのコード感を手に入れるには、やはり楽器を弾くのが一番良いと考えられます。
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