この記事は
- 歌のリズム感を鍛えるトレーニング方法について
- 歌の「リズム感」について整理する
- リズム感も行き着くところは「発声能力」が握っている
という内容です。
目次
歌のリズム感を鍛えるトレーニング
歌のリズム感を鍛えるトレーニング方法は
- リズムに集中して音楽を聴く
- 自分でパーカッションを叩きながら歌う
- ボイスパーカッションをやってみる
- リズムに効くボイトレ
などがあります。
①リズムに集中して音楽を聴く
まずは一番シンプルですが、
- リズムを意識してたくさんの音楽を聴く
だけで、ある程度自然と体にリズム感が身についてくるでしょう。
「そんなことでいいの?」と思うでしょうが、意外とその重要度は高い。まずはリズムに”関心を持つこと”が大事なのですね。
ドラマーはある意味「リズムに関心があるからリズム感がある」とも言えるでしょう。
色々な曲の「ドラム」と「ベース」のリズムに集中して聴くと、リズム感が良くなりやすいかと。
②自分でパーカッションを叩きながら歌う
これは『打楽器を演奏しながら歌う』ということです。
そう言われると難しく感じるでしょうが難しく考えず、テーブルやイスを叩く、手を叩く、指パッチンなどで問題ないです。
とにかく自分でリズム刻みながら歌うことは、リズム感を向上させることに大いに役立つと考えられます。
お手軽でおすすめなのは『エッグシェーカー』。
エッグシェーカーをシャカシャカ振りながら歌うだけで、リズム感をつけるとてもいいトレーニングになると考えられます。
エッグシェーカーのいいところ
- 歌いながら鳴らせる
- お手軽で安い
- 誰でも簡単に鳴らすことができる
- リズムがはっきりしやすい
- リズムの強弱を意識しやすい
というところです。
手を叩く練習
実は「手を叩く」のも奥が深い。
よくあるリズム感のトレーニングで、
- メトロノームのクリック音を手を叩いて消す
というトレーニングがあります。
どういうことかというと、メトロノームのクリック音は完璧に同じタイミングで手を叩くとクリック音が消えます(*手を叩く音と、完全にタイミングが一致したことによって消えたように聞こえる)。
これが完璧にタイミングを合わせないと消えないので、リズムを鍛えるいいトレーニングになるのですね。
表拍だけ消す、裏拍だけ消すなど色々工夫してみてください。メトロノームは、無料のメトロノームアプリなどで十分です。
③ボイスパーカッションをやってみる
歌に合わせてボイスパーカッションをやってみるのもいいと思われます。
これは別に「ボイスパーカッションを上手くなれ」というわけではなく、
- 口でリズムを刻んでみる
ということがいい練習になるということです。
歌も結局口から音を出すものですから、口でリズムを刻むボイスパーカッションをやってみる練習は、歌のリズム感を向上させることに大きく役立つと考えられます。
④リズム感に効くボイトレ
リズム感向上につながるトレーニングは、主に『アタック(出だし)』の質を高めるトレーニングです。
トレーニングは、
がおすすめです。
これらはリズム感を高めるだけが目的のトレーニングではないのですが、「声のアタック」を鍛えることになり、結果的にリズム感が向上すると考えられます。
歌に必要なリズム感は「グルーヴ感」と「タイム感」に分けて考える
歌におけるリズム感は、
- グルーヴ感
- タイム感
という二つの能力に分けると上手く整理できるでしょう。
もちろん二つの能力は繋がっているのですが、この二つに分けることで『リズム感』というものを捉えやすくなる。
①グルーヴ感
これは「リズムの調和能力」、簡単に言えば「演奏のリズムに合わせる能力」です。
音楽というものは、楽器同士が「リズム」によって繋がっています。
そして基本的にはドラム、次にベースが”リズムのリーダー”で、歌を含むその他の楽器はそこに合わせる側です。
つまり、歌は「リズム楽器に合わせる能力」=「リズムに乗っかる能力」が必要になります。
これが「グルーヴ感」。
ちなみに「グルーヴ」とは
「グルーヴ」とは、本来は1930年代〜ジャズなどのスウィングした”ノリノリ”のリズムを指す言葉です。
つまり、意味としてはシンプルに「(スウィングの)ノリがいい」ということ。
ただし、厳密にはこれという定義がなく、現在では「単にリズムがいいこと」「演奏全体のリズムの統一感」などに対して使われることが多い言葉です。
この「グルーヴ」というものの正体は議論が尽きないところなので、ここでは単に「リズム感の良さ」「ノリの良さ」みたいなものと捉えておきましょう。
②タイム感
これは「自分だけで一定のリズムを刻む能力」、言い換えると「リズムのリーダー」になる能力です。
基本的には、ドラマーやベーシストに重要視される能力でしょう。
もちろん人間は機械ではないので、完璧に一定のリズムを刻み続けられる人間はいません。
どんな達人にも人間らしい誤差は存在します。
そういう人間らしさは大前提の上で、なるべく一定のリズムを刻める時間感覚が「タイム感」です。
先ほど歌は基本的には「合わせる側」だとは言いましたが、いつも合わせる側でいられるとは限りません。
例えば、弾き語りやアカペラなどは自分一人でリズムを刻むことになります。つまり、自分がリズムのリーダーにならなければいけない場面は結構あるのですね。
高度なレベルに行けば行くほど、ボーカリストにもタイム感が必要になってくる。
また、
「自分だけで一定のリズムを刻む能力(タイム感)」がある方が結果的に「演奏のリズムに合わせる能力(グルーヴ感)」も良くなります。
両方の感覚は繋がっていますから。
歌のリズム感は突き詰めると「発声能力」が握っている
上記の、
- 「グルーヴ感」
- 「タイム感」
というのが歌に必要なリズム感になります。
ただ、これらは言わば『脳の感覚』『頭で理解する部分』です。
これらが重要であることは間違いないのですが、”リズム感がいい歌声”というのを突き詰めていくと『発声能力』『体(喉・声帯)の動き』の部分が重要になってくるはずです。
例えば、
- 圧倒的なリズム感を持つ「ドラマー」
- 普通のリズム感を持つ「ボーカリスト」
この二人のどちらがリズム感がいい”歌”を歌えるかというと、断然『ボーカリスト』になるということです。
”頭でわかっていても体が動かなければ意味がない”というやつです。
どんなに頭でリズムを理解していても、喉・声などでそれを表現する能力がなければ、結果的に”歌のリズム感”は悪くなってしまうのですね。
発声能力は『アタック(出だし)の速さ』に影響する
発声能力が、歌のリズムのどの部分に一番関わってくるかというと、『アタック(出だし)』です。
言い換えると『声の立ち上がり』。
この『アタック』は”リズムの出発点”と言いましょうか、ある意味「リズムそのもの」とも言えます。
そして、発声能力が高い人はアタックが速く鋭い(*もちろん、あえて遅くしたり鈍くしたりコントロールできる。また、スムーズさ・滑らかさを持ち合わせている)。
対して発声能力が低い人は、アタックが遅く鈍い(*もちろん意識的に速くすることはできるが、上手くコントロールできない。鋭くしようとすると、トゲトゲしくなってしまう。)
これは「わかりやすい大きな拍単位のズレ」ではなく、「ミリ秒の世界の小さなズレ」です。
この小さなズレが歌全体の印象を大きく変えますし、一流のボーカリストたちは総じて「アタックの質」が素晴らしい。
*もちろん、どんな達人も機械ではないので人間らしい揺らぎ・ズレがあるのは大前提ですし、フレーズの表現次第でアタックは変化させるものでもあります。
歌のリズムを突き詰めていくと、必ずこの「アタック」の部分と向き合うことになり、アタックの質をよくしようとすると脳の部分(リズム感)ではなく体の部分(発声能力)そのものを鍛えなければいけないのですね。
つまり、リズム感を良くするためには、
- まず「グルーヴ感」「タイム感」など脳の音楽的感性を磨く必要がある
- そして突き詰めると『発声能力』『声帯のコントロール』『喉の柔軟性』を鍛える必要がある。
ということになります。
これが『高度な音感とリズム感は”発声の質”が握っている』というやつです。
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