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歌のスキル・テクニック

歌のフェイク・スキャット・アドリブについて|『コード感』が重要

投稿日:2018年7月12日 更新日:

今回は「フェイク」「スキャット」「アドリブ」についてまとめた内容です。

 

これらは、

  • フェイク・・・原曲の音程やリズムを少し崩して変えること
  • スキャット・・・適当な言葉(歌詞)で自由に歌うこと
  • アドリブ・・・即興で〜をする

という意味ですが、歌においては共通して『コード感』(楽曲のキーやコードに乗る能力)が必要になるので、それぞれまとめて掘り下げます。

『フェイク』とは

フェイクとは、

  • 原曲の音程やリズムを少し崩して変えること

です。

原曲に対しての『フェイク(fake=偽物)』という意味ですね。

 

曲の中でどこを変えるかというのも決まりはなく、音程やリズムの変え方にも決まりはありません。なので、自由に色々なパターンが考えられますが、一般的には「フレーズの語尾で、音程やリズムを少し変える」くらいが多いです。

 

そして、ルールは無いとは言いましたが、”どれくらい変えるか”という程度に関しては注意が必要です。

 

原曲をあまり大きく崩しすぎると、「偽物」ではなく「別物」になってしまうので、あくまでも原曲を変えすぎないよう意識しましょう。

どれだけ崩すとダメなのか?という点に関しては、個々の価値観次第なところもあるので一概には言えません。

 

少し違う捉え方がある

上記までのように、フェイクとは「原曲を少し崩す」という意味の言葉なのですが、

  • 「メリスマ」「ラン」と呼ばれるような細かいピッチ変動のこと

を指して使われることもあります。

 

おそらく、これを「フェイク」という認識の人も多いのではないでしょうか?↓

これは、「メリスマ」「ラン」「リフ&ラン」などの呼ばれ方をしているテクニックです(*ここでは簡単に「ラン」と呼ぶことにします)。

 

厳密に言えば、このテクニック自体が「フェイク」ではないです。

フェイクはあくまでも『原曲を崩すかどうか』『原曲の偽物を作るかどうか』が論点の言葉ですので、音程を早く動かすことを指しているわけではないのですね。

 

つまり、「フェイクのラン」と「フェイクではないラン」があることになります。

 

しかし、フェイクをするときに「ラン」をすることが多いので、言葉の意味がひっついてしまったのでしょう。なので、一般的に「フェイク」=「ラン」という認識になってしまったと考えられます。

 

ただ、やはり音程を高速で動かすテクニックが『偽物』という意味では、変な感じがしますよね。だからかどうかはわかりませんが、最近の海外ではこういうテクニックは『ラン(run)』と呼ばれることが多いです。

「音程を走らせる」という意味なのでしっくりきますね。

 

言葉の定義は言葉を使う人次第なところもあるので、どう使ってもいいとは思いますが、ここでは本来の「フェイク(fake:偽物)」=『原曲を崩す』という意味で話を進めたいと思います。

 

「ラン」を求めている方は、こちらにて↓

歌の超高等テクニック『メリスマ』【連続的な高速の音階変化】

続きを見る

 

『スキャット』とは

「スキャット」とは、

  • 適当な言葉(意味のない言葉)で自由に歌うこと

を指します。

 

(再生位置*3:12〜即興のスキャット)↓

 

例えば、歌の間に「Wow〜♪」「Oh yeah〜♪」などを入れることも、スキャットと言えるわけです。

一般的には、歌の中のある程度長い時間適当な言葉で歌うことを指す場合が多いですが、意味上は短い時間であってもスキャットはスキャットです。

 

言葉(歌詞)

スキャットは基本的に、歌詞は自由です。

しかし、歌詞が言葉としての意味を持ってしまうと、それはスキャットではなくなるので、あくまでも意味のない言葉である必要があります

 

例えば、

  • Wow〜♪
  • yeah〜♪
  • lalala〜♪
  • nanana〜♪

などなど、書ききれないほど無限にあります。もちろん、色々な発音を組み合わせて適当な言葉で歌うのもOKです。

 

本能に任せて、適当に歌うということです。

 

フェイクとスキャット

ややこしいのですが、「フェイク」が「スキャット」になることもあります。

 

例えば、フェイクを入れる(音程とリズムを崩す)と、歌詞も一緒に崩れるので、余った部分で「Wow〜♪」「Oh yeah〜♪」などを入れることになります。

 

つまり、

  • フェイク(原曲を崩す)における『スキャット(適当な言葉で歌う)』

ということですね。

 

先ほどもありましたが、言葉の意味が違うだけで同じ部分を指す場合があるので、言葉の意味を明確にしておきましょう。

 

『アドリブ』とは

歌における「アドリブ」とは、

  • 即興で歌うこと
  • 即興で歌を変化させること

を指します。

アドリブは『決まっていない部分を即興で自由に』という意味です。つまり、予定調和でないことがアドリブになります。

 

例えば、楽器の即興演奏に合わせて、即興でメロディをつけて歌ったりすることを「アドリブで歌う」などと言ったりします。

 

こんなイメージです(実際に即興でセッションしている)↓

*ちなみに、これは適当な言葉で歌っているので「スキャット」とも呼べます。

 

アドリブは何か決まった動作というわけではなく、「即興」で何かをすれば全てアドリブになります。

 

例えば、

  • 音程を変える
  • リズムを変える
  • フレージングを変える
  • 歌詞を変える
  • 歌のない部分で歌う(スキャットも含む)

などは全て、”即興でやれば”アドリブと呼べるでしょう。

 

もちろん、「フェイク(原曲を崩す)」も即興でやっていればアドリブになります。

 

ということは、

  • アドリブ(即興)で、フェイク(原曲を崩す)をして、スキャット(適当な言葉で歌う)する

ということも成立します。

 

言葉の意味がややこしいですね。

 

逆に、それがあらかじめ準備して決まっていることなら「アドリブ」とは言えなくなるというのが、厳密な言葉の意味合いです。

 

しかし、歌において聴き手側が、それがあらかじめの決まりかどうかを判断することができる場面は少ないでしょうから、「フェイク」と似たような言葉の使い方になってしまったりもすることもあるでしょう。

 

フェイク・スキャット・アドリブに必要なものは『コード感』

フェイク・スキャット・アドリブは共通して、

  • 『コード感』が必要

です。

*ここでの『コード感』とは、楽曲のコード進行(和音)に乗る力という意味で使います。コードに合わせて歌う能力。スケール感と言ってもいいと思います。

 

このコード感があると、フェイク・スキャット・アドリブができると言えます。

 

コード感

先ほどの動画のように、演奏に歌を乗せられる能力です。楽曲の『調』やコードの構成音と調和する能力とも言えます。

 

例えば、Cのコードをピアノで鳴らしているとして、「さぁ、これに合わせて歌詞はなんでもいいので曲を作ってください」と言われると、コード感のある人は即興でメロディをつけて歌うことができます。

その際、人によって選択する音階やリズムは様々です。これが歌の作曲の原理であり、個性が出るところですね。

 

つまり、フェイク・スキャット・アドリブというのはある意味「作曲している」という状態に近いのです。

 

もちろん、作曲しているとは言っても、頭の中で「音程はこう行って、こう行って」と考えているわけではなく、無意識に自然と音楽に乗ろう・調和しようとした結果として生まれるものでもあるとも言えます。

 

多くの人が自転車に乗る時に「右足を出して、左足を出して、ハンドルはこう。」みたいなことを考えないのと同じように、コード感も理屈の先にある『染み付いた無意識の感覚』みたいなものだと言えるでしょう。

 

コードに乗れる人は無意識に乗れるが、乗れない人は訓練が必要になるのですね。

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フェイク・スキャット・アドリブのやり方・練習方法

フェイク・スキャット・アドリブの練習方法は、大きく二つあります。

  1. とにかく真似する
  2. コード感を鍛えるトレーニング

です。

 

①とにかく真似する

「いきなり適当だな」と感じるかもしれませんが、意外とこれでできるようになる人も多いでしょう。

 

というのも、お手本のシンガーのフェイク・スキャット・アドリブを真似すると、

  • 『そのシンガーの感覚を体で覚える』

ことにつながります。

 

もちろん、最初は上手くできないでしょうが、やっているうちにだんだんとできるようになってきて、色々な感覚がつかめてくるでしょう、

 

②コード感を鍛えるトレーニング

コード感を身につけるには、

  1. 全く知らない曲やインストに合わせて適当に歌う
  2. ピアノやギターなどのコードを鳴らす楽器を練習する・弾く

この二つがいいと考えられます。

 

知らない曲に合わせて歌う

自分がメロディーも何も知らない曲や歌の入っていないインスト曲に合わせて適当に歌ってみるという練習はコード感を鍛えるのに役立ちます。

 

例えば、歌の入っていないインスト曲に合わせて、歌詞も適当(スキャット)で、メロディーも自分の好きなように歌ってみます。

 

もちろん、最初のうちは全く歌にできないかもしれませんし、音程も外してしまうでしょう。

ところが、ずっと続けていくと自然と音楽に合わせた歌が歌えるようになってきます。だんだんと、聞こえてくる音楽に歌を乗せられるようになってくるのですね。

 

つまり、コード感がついてくるということです。

 

楽器を練習する

コード感を身につけるには、楽器を練習するのもおすすめです。身につきやすさで言えば、これが一番になるだろうと考えられます。

 

というのも、楽器を演奏するということは、コードについて学ぶことになりますし、自分で鳴らしてその音を聴くという作業ができるからです。

 

多くのプロのシンガーも、弾き語り程度はできる人という人が多いです。これは、楽器の練習がコード感にいい影響を与え、それが結果的に歌唱力につながるからだと考えられます。

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