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声の悩み・歌の悩み

たくさん練習しているのに歌が上手くならない原因

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今回は「いくら時間をかけても全然歌が上手くならない」「練習を頑張っているのに全く歌が上手くならない」という問題について。

 

歌の成長は、基本的に筋トレやストレッチなどと同じように年単位の時間をかける必要があります。ただ、しっかりと時間をかけさえすれば、誰でもある程度しっかりと成長できるものでもあります。

 

しかし、「数年取り組んでもほとんど成長していない」「何年かけても全然上手くならない」というような努力が報われない場合もあります。

 

こういう場合は、何か大きな問題が成長を邪魔していると考えられます。

 

特に以下の4つ、

  1. 自分の声の個性に逆らっている
  2. 『手順』を間違えている
  3. 悪い発声の癖が染み付いてしまっている
  4. 栄養が足りていない

という問題は、成長に大きな影響があるものだと考えられます。

①自分の声の個性に逆らっている

いくら練習しても全然歌が上手くならない時、最もよくある原因が『自分の声の個性に逆らっている』というパターン。

 

例えば、

  • 低い声を持っているのに、高い歌声を目指している
  • 細い声を持っているのに、太い歌声を目指している
  • 綺麗で息っぽい声を持っているのに、荒々しく力強い歌声を目指している

などのように、自分の適性とは違う方向へ進もうとすることがこれに当てはまります。

 

もちろん、これらが100%絶対にダメとは限らないのですが、『歌の成長』という観点では失敗する可能性が高いのは事実です。

 

これは、例えば『声が低いシンガーと声が高いシンガーがお互いの歌声になろうとトレーニングしている』という状況を仮定するとわかりやすいです。

 

もし、声が低い男性と声が高い男性がお互いの音域帯を歌おうとするとどうなるか?をイメージしてみましょう。

 

女性も同様に。

 

これはいくらプロのシンガーと言えども、持っている喉(声帯)が違いすぎるので、トレーニングを続けてもお互いの歌声になれることはないだろうというのは想像がつくと思います。

 

もちろん、ある程度は目標に近づけることもあるかもしれませんが、歌声の魅力は元々の状態と比較して半減してしまうでしょう。

 

つまり、

  • 自分がもともと持っている楽器(声帯)を磨くことはできるが、タイプの異なる楽器にはなろうとすると無理が生じる

ということです。

 

ただ、人間は自分にないものを求めてしまう生き物でもあるので、憧れや理想の歌声が自分の適性とかけ離れていているというパターンは意外に多いです。なので、結果的に自分の声の個性に逆らってしまう人が多いのですね。

 

憧れや理想は簡単に捨てられないものでもありますが、魅力的な歌声を目指す(=歌が上手くなる)のなら、自分の声の個性に適した道を進む必要があります。

 

②『手順』を間違えている

練習しても歌が上手くならないという時、その練習のやり方に問題があるというのは多くの人が考えるところでしょう。

 

もちろん、それも成長に悪影響を及ぼすことはあると考えられるのですが、意外と『方法・やり方』という部分は致命的な問題にはならないことが多いです。それよりも『手順』の問題が致命的になる確率が高い

 

『方法・やり方』というのは、目標に対してどんな行動を取るかの選択のお話です。例えば、「高音域を広げたい」という目標があった場合、それに向けてどんなトレーニングをするのかというのが問題です。

 

ただ、目標さえしっかりしていれば、あまりにも見当はずれのトレーニングをしてしまうという人はそこまでいません。また、仮に失敗しても試行錯誤を繰り返せばいずれ正解のルートを見つけられるので、そういう点では全然成長しないという問題には結びつきにくいのです。

 

対して『手順』というのは、それ以前の問題。つまり、「何を目標にするのか」という選択のお話です。

 

例えば、

  1. まず音域を広げて、その後に歌のクオリティ(音程・リズム・発声の質など)を上げていこう
  2. まず現状の自分が歌える音域の歌のクオリティを上げて、その後に音域を広げていこう

というように、先に「音域」を取るか「歌の質」を取るか、などの選択の問題です。

 

このような手順の選択は、成長に大きな影響があり、手順を間違えると上手く成長できなくなることがあります。

 

ちなみに、上記の例で言えば、前者は上手く成長できない可能性が高く、後者は上手く成長できる可能性が高いです。もちろん、100%そうなるとは限りませんが、そういう傾向になるのは間違いないです。

 

やはり、何事にも基礎と応用というものがあり、先に基礎を固めることが大切ですから。

 

歌の場合、

  • 基礎は、『質・精度・正確性』
  • 応用は、『範囲・幅・速度・組み合わせ』

となります。

 

例えば、音域は『範囲』や『幅』なので、応用です。音程やリズムは『精度』や『正確性』に当たるので、基礎になります。

 

厄介なことに、歌は初心者ほど音域や声量などの応用部分に目が行きやすく、応用から真っ先に取り組んでしまいやすいです。

 

いきなり応用に触れると何が問題になるのか?というところですが、基礎がないので間違った状態で練習し続けてしまいやすく、結果的に「悪い発声の癖」「間違った状態」をしっかりと身につけてしまいやすいのです。

 

つまり、

  • 基礎を飛ばす⇨間違った状態のまま練習を継続してしまう⇨悪い発声の癖を身につける⇨成長できなくなる

という流れです。

 

悪い発声の癖に関しては次の項目につながるので、次で詳しく説明しますが、ここで大事なのは『手順』を間違えないようにしないといけないということです。

 

そして、とにかく基礎をしっかりと固めることを第一に考えると、手順を間違えることは少なくなるでしょう。

関連
歌の基礎練習について【「基礎」と「応用」の考え方】

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③悪い発声の癖が染み付いてしまっている

悪い発声の癖が染み付いてしまうと、それが邪魔して上手く成長できなくなってしまいます。

 

悪い発声の癖は一度完全に抜いてしまう必要があるのですが、体に染み付いた癖はそう簡単には抜けません。癖を抜くにはかなり苦労しますし、長い時間もかかってしまいます。そもそも、癖は癖だと認識するのも難しいものです。

 

なので結果的に、その癖を抜くことなく上塗りするようにトレーニングしてしまうことになるのですが、そうなるとその癖のせいで上手く成長できなくなってしまうのです。

 

これに当てはまる場合は、まずはその悪い癖を抜くことに全力を注ぎましょう。

 

「悪い癖」の例

「具体的に何が悪い癖なのか?」という部分は無数の答えがあるので、全てを具体的に述べることはできませんが、例えば『声帯が締まる(固まる)癖』などは厄介な一例です。

 

これは、本人の自覚なく声帯自体に余計な力が入ってしまうというものです(*ちなみに、これは基礎ができていないのに高音発声のトレーニングをすると起こりやすいです)。本人は力を入れている認識は全くないのに、声帯だけが力んでしまっていて(喉周りが締まっているわけではない)、いい発声ができなくなってしまうのです。

 

癖というものは、ある意味『体に染み付いてしまった無意識の行動』なので、良くも悪くも自分で認識できないことが多いです。

 

結果的に悪い状態になっているとは気づけないままに、上からトレーニングを重ねて、上手く成長できない状態に陥るということ。

 

全然成長しないという時は、何か悪い癖があるかもしれないと疑ってみるといいかもしれません。

 

発声障害の可能性

癖の領域を超えて、発声障害や声帯の怪我を抱えている場合もあります。

発声障害や声帯の怪我は、重い症状の場合自分で気づくことができますが、中には自覚しにくい微妙なものもあります。

 

例えば、『輪状甲状関節の亜脱臼(*簡単に言えば、声帯を動かすための関節が小さく脱臼している)』というもの。これは日常性活で声を使う分には何も問題ないし、自覚症状もないが、歌唱時(特に高音発声)に声帯が固まってしまいやすくなり金属的な発声になってしまうというものです。

 

先ほど『声帯が締まる癖』の例を出しましたが、同じような症状でも小さな発声障害を抱えているという可能性もあるのですね。

 

こうなってくると、「癖なのか、発声障害なのか」を自分で判断するのは非常に難しい問題になりますが、可能性としてあるということだけは頭に入れておきましょう。もし、何らかの障害の可能性があるのなら、ボイスクリニックに行った方が改善につながるかもしれません。

 

④栄養が足りていない

栄養が不足していると、いくらトレーニングしても全然上手くならないという状態になります。

 

これは例えば、「栄養が極端に不足している状態で筋トレし続けるとどうなるか」を考えるとわかりやすいです。 こういう状態だと、いくら筋トレを頑張っても筋肉がつくどころか、逆にやせ細っていくだろうというのが想像できますね。

 

もちろん、そんなに極端な状態にある人は少ないでしょうが、現代では様々な原因によって『質的栄養失調(*食事量自体は足りているが、特定の栄養素が不足している状態)』が増えているそうです。

 

単純に考えて、

  • 色々な栄養が不足している人
  • 色々な栄養が満ちている人

では、確実に後者の方が成長が早く、前者は成長が鈍ってしまうというのは感覚的に理解できることでしょう。

 

スポーツなどではこの考え方は一般的になっていて、食事(栄養)の重要性はよく語られますが、歌も体を使うものなので同じように重要です。

 

つまり、歌はトレーニングや経験だけで伸びるものではなく、栄養も必要な要素の一つだと考えるべきだと言えるでしょう。

 

なので、たくさん練習しても全然歌が上手くならない時には、栄養面に気を配ることで改善する可能性があります。

関連
ボイトレにおける『栄養』について【歌の成長を加速させるために】

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まとめ

いくら練習しても歌が成長しないというときには、

  1. 自分の声の個性に逆らっている
  2. 『手順』を間違えている
  3. 悪い発声の癖が染み付いてしまっている
  4. 栄養が足りていない

という部分に問題を抱えている可能性が高いです。

 

それぞれ、

  1. 自分の声の個性をしっかりと把握し、それを活かす方向性を進むこと
  2. 基礎(質・精度・正確性)を優先的に固めることで手順の失敗を無くす
  3. 悪い発声の癖を完全に抜く
  4. 栄養をしっかりと摂ることを意識する。場合によっては、サプリなどの補助食品を摂る。

と対策を打てば、止まっていた成長が動き出す可能性があります。

 

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