今回は、「グッグトレーニング」というボイストレーニング方法について。
このトレーニングは、
- 舌の柔軟性を高める
- 喉を開く発声を身につける
- 鳴りの強い発声を身につける
などの効果が期待できます。
結果的に、太く力強い中高音の発声を開発するためにオススメのトレーニング方法だと考えられます。
「グッグトレーニング」とは
「グッグトレーニング」とは、その名の通り「グッグ」という発音を使って行うボイストレーニング方法です。
このトレーニングは、世界的に有名なボイストレーナーであるロジャー・ラブ氏が著書で紹介したことで広く知られるようになりました。
トレーニングイメージ(*再生位置0:45〜)↓
このように、歌手の中にはウォーミングアップとして取り入れている人もいます。
「グッグトレーニング」の効果
「グッグトレーニング」には、
- 舌根の柔軟性を高める効果
- 鳴りの強い発声を身につける効果
- 喉を開く効果
- 太い中高音発声の開発に役立つ効果
が期待できます。
①舌根をほぐす
「グッグッグ」という発音には、舌の上下運動が含まれています。特に舌の奥の方がしっかりと動いていることがわかると思います。
この動きには舌根をほぐす効果があり、発声しながらこの動きを繰り返すことで、声帯の動きと舌根を切り離すようなトレーニングになります。
結果的に、発声全体の力みを取る効果が期待できます。
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②鳴りの強い発声を身につける
「グ」の発音は声帯の鳴りが強いため、力強い発声をするために適しています。
例えば、「クックック」と発音しながら子音だけを外すと「ウッウッウ」になりますが、「グッグッグ」と発音した後に子音だけを外すと「ウ”ッウ”ッウ”」と強い母音を鳴らしていることがわかるはずです。
つまり、「グ」と発音するためには、声帯をしっかりと鳴らす必要があるということです。したがって、鳴りの強い発声のトレーニングになっているということです。
③喉を開く効果
「グッ」という発音は喉の奥に広い空間を作りやすいため、喉を開く効果もあると考えられます。
試しに「グッグッグッグッ」と連続で行うと、喉仏がやや下がり気味に作用し、喉の空間も広がるような感じになると思います。
逆に、「ゲッゲッゲッゲ」と発音すると浅い響きになり、喉はあまり開かないと思います。
つまり、「グ」の子音の舌の動きと「ウ」の母音が喉の空間を広げ、喉仏を下げる効果があると言えるのですね。
ほとんど同じ効果が期待できるのは「ゴ」の発音なので、実は「ゴ」でもOKです。
④太い中高音発声の開発に役立つ
以上の『舌根の柔軟性を高める効果』『鳴りの強い発声を身につける効果』『喉を開く効果』という3つの効果を総合的に考えると、グッグトレーニングは、太く深みのある中高音発声を開発するための練習としておすすめできます。
高音開発においては高音になるほど喉が締まってしまいますが、「グッグ」の発音なら、舌根をほぐしつつ、喉も広げながら高音を開発することができます。
つまり、脱力を促しながら太い発声を鍛えることができるということですね。
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グッグトレーニングのやり方・練習方法
やり方
具体的なトレーニング方法としては、ピアノなどの音階に合わせて「グッグッグッグッ」と発声する方法や、「グッ」の発音だけで歌ってみるなどの方法があります。
音階なしで、ひたすらに繰り返してもいいとは思いますが、音階があるとピッチ感も同時に鍛えることができるため、一石二鳥です。
トレーニング音源
トレーニング用音源に困っている方は『グッグトレーニング用音源ページ』を活用してみてください。
注意点
「グッグ」という発音をしっかりと維持することが重要です。
高い音程になると、「グェ」や「グァ」といった発音に変化してしまうことがよくありますが、「G」の子音と「U」の母音をしっかりと保ちましょう。
先に述べた通り、「ゴッゴ」でも同様の効果が期待できるため、「グッグ」がやりにくい場合は「ゴッゴ」でも代用可能です。個人的には、やりにくい発音の方がトレーニングには向いていると思うので、「グッグ」の方がおすすめです。
まとめ
「グッグトレーニング」は、「グッグ」の発音で行うボイストレーニング。
【効果】
- 舌根の柔軟性を高める
- 鳴りの強い発声を身につける
- 喉を開く効果
- 太い中高音発声の開発に役立つ
【注意点】
- 「グ」の子音と「ウ」の母音をしっかりと保つ
- 高い音程になると発音が変化しないように注意する
【その他】
- 「ゴッゴ」でも同様の効果が期待できる
ボイストレーニングはすぐに効果が出るようなものではないので、コツコツとした継続が大事です。そこまで負荷が大きいトレーニングでもないですし、ウォーミングアップついでに取り組むのがおすすめです。