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歌のスキル・テクニック

歌のテクニック『しゃくり』について【出だしのニュアンスを作る】

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今回は、歌のテクニック『しゃくり』についてです。

しゃくりとは、目的の音程に下の音階から浮き上がるように入るテクニックです。メリット・デメリットがありますが、上手く使えば歌をより良くするために役立つでしょう。

そんなしゃくりについて掘り下げます。

『しゃくり』とは

歌における『しゃくり』とは、

  • 音程を下から上に上げること
  • 主に、音の出だしで下の音階から滑らかに入るピッチの取り方のこと

です。

このように、基本的には音の出だしを下からずり上げて入ることを「しゃくり」と呼びます。

 

出だしと語尾

「しゃくる」という言葉は『下から上にすくい上げる』という意味がある言葉なので、歌における「しゃくり」とは、本来なら『音程を下から上に上げること全般』を指すものだと言えるでしょう。

 

つまり、元々は音の出だしだけを指す言葉ではなく、ただ音をしゃくることを指すものだったのかもしれません。

 

ところが、語尾の部分をすくい上げるテクニックは、『ヒーカップ』と呼ばれることが多いです。

ヒーカップとは「しゃっくり」のことで、しゃっくりしているように語尾をはね上げるテクニックです(*1950年頃のロカビリーでそう呼ばれるようになった)。

 

あくまでも個人的な予想ですが、おそらくこの言葉が海外から入ってきて、語尾の方の市民権をこちらが得てしまい、結果的に「しゃくり」は出だしを指すものになっていってしまったのではないかと思われます。

 

「しゃくり」と「しゃっくり」で似たような日本語になることが厄介ですね。

 

ここでは、音の出だしをずり上げて入るテクニックのことを「しゃくり」として、話を進めたいと思います。

 

しゃくりの効果

しゃくりは、音程を短い時間で音程をずり上げるので、そこまでわかりやすい効果があるわけではありませんが、些細なニュアンスを付けるのに役立ちます。

 

主に、

  • 盛り上がる
  • 上を向く
  • 這い上がる
  • 浮遊感・飛躍感

などの印象をほんのりと与える効果があると考えられます。

これらは印象としての効果ですね。

 

また、印象とは別にしゃくりの効果は『落差を軽減する』『棒読み感を軽減する』というところにもあると考えられます。r

 

落差を軽減する

例えば、「あ〜お〜♪」という2音のフレーズがあったとして、この2音は、

  • 静かな音から一気に声量ある音へ行く
  • 低音から一気に高音へ行く

などの大きな落差があるとします。

 

「あ〜(小)お〜(大)」「あ〜(低)お〜(高)」という感じです。

 

そうすると、「お〜」は前の音からの落差が大きいので、いきなり大きな声量や高音を一気にパン!と出すと、聴き手はびっくりしてしまいます。

 

こういうときに、「あ〜〜♪」のように赤字部分にしゃくりを入れることで、大きな変化の『予兆』を表現することができ、これによって落差を軽減することができます。

 

棒読み感を軽減する

例えば、「ありがと〜♪」というフレーズの音階が『ドドドド〜♪』だった場合、同じ音階なのでそれを正確に歌うと棒読み感が出てしまったりします。

 

こういう時に「りがと〜♪」「ありが〜♪」などのように赤字部分にしゃくりを入れると、棒読み感が薄れて人の言葉らしい表現になったりします。

 

もちろん、状況次第ではしゃくりを入れない方がいい時もあるのですが、入れることで棒読み感が消え、感情的な表現ができることもあるので、そういう時が使い時です。

 

しゃくりのデメリット

「しゃくり」にはデメリットやマイナスの効果もあると考えられます。

 

主なマイナス効果は、

  • 出だしがはっきりしなくなる
  • 使いすぎると、くどくなる

などが考えられます。

 

出だしがはっきりしなくなる

例えば、静かな歌い出しなどは音程をまっすぐにスッと入った方が、心地よく聞こえる場面もあります。

そういう場面でしゃくりを入れると、出だしがはっきりしていないような印象、迷っているような印象を与えてしまいます。

 

こちらの動画が参考になります(*再生位置0:10〜)↓

 

このようにしゃくりは、逆にしゃくらないように修正した方がいいこともあるのですね。

 

使いすぎると、くどくなる

これは言うまでもないことかもしれませんが、しゃくりをたくさん使いまくると、聴き手にわずらわしい印象を与えてしまいます。

 

感じ方は人それぞれなので絶対ではありませんが、例えば、フレーズのほとんどの音にしゃくりを入れると、それを良いと感じる人は少ないと思います。

 

そういう点では、使いすぎに注意しなければいけないものと言えるでしょう。

カラオケの採点では、加点対象になっていたりしますが、必ずしもいいものではないということに注意しておきましょう。

 

しゃくりのやり方・練習方法について

まず、しゃくり基本的なやり方です。

 

音程の動きのパターンとしては、

  1. 半音〜1音下程度から目的の音階に入る
  2. 前の音階を引きずって目的の音階に入る

というパターンが多いでしょう。

 

まず、基本的には半音〜1音下程度から入ると考えましょう。

半音下がいいか、1音下がいいかというのは、楽曲としゃくりを入れる部分の音程によって変わってくるので一概には言えませんが、どちらかを基本として考えていいと思います。

 

もちろん、大きく離れた音階からしゃくっても何も問題はないのですが、しゃくりのニュアンスが強く出てくるという点で少し使いにくいものかもしれません。

 

ただ、前の音階から繋がりのあるフレーズをしゃくる場合だと、前の音階からしゃくっても自然に聞こえるではずです。

前の音階を引きずる場合は、『ポルタメント 』(音から音をなめらかにつなげること)とも呼べるでしょう。

 

練習方法

ピアノを使って練習するのがおすすめです。

 

例えば、

  • ピアノで『ド→ド#』を弾きそれに合わせて声を出します。
  • この場合しゃくりの部分が『ド』、メインの音程が『ド#』です。
  • 最初の「ド」はすぐに切り替えましょう「ド・ド#〜〜〜♪」

この素早い音の切り替えに合わせて声を出す練習をすると、しゃくりを習得しやすいでしょう。

 

注意点

しゃくりで大事なのはしゃくり本体よりも、しゃくった後の音程の正確性です。

ここをしっかりとしておかないと、全体的に台無しになってしまいますし、しゃくりっている分さらにマイナスの印象になるでしょう。

 

なので、しゃくった後の音程をしっかりと合わせることに注意しておきましょう。

 

しゃくり癖について

最後に「しゃくり癖」について触れておきます。

 

しゃくりをたくさん練習していると、「しゃくり癖」が付いてしまうことがあります。

というのもの、しゃくりは『音程を探りやすいテクニック』でもあるからです。

 

例えば、音の出だしからスパッと綺麗に声を出すのは意外と難しいものです。

 

これが難しいからこそ、しゃくりを入れることで音程を探る時間ができて、音程を合わせやすくなるということです。

このように、音程を合わせるためにしゃくりを使っていると、それがだんだん癖になって、ほとんどのフレーズがしゃくりっぽくなってしまうのですね。

 

しゃくり癖がひどくなると、出だしで音程をまっすぐには入れなくなったりするので、気をつけましょう。

 

しゃくり癖を治す

「すでにしゃくり癖になっている」という人も一定数いるでしょう。

この場合は、声の出だしを綺麗にするトレーニングをするといいでしょう。

 

トレーニングは、

などがオススメです。詳しいトレーニング方法は各リンク先にて。

 

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