今回は「ボイトレしてもなかなか上手くならない」「成長しない」「上達しない」という原因や理由についての研究考察です。
ボイトレで上達しない理由は以下の理由が考えられます。
- 練習量が足りない
- 長期的視点を持てていない
- やり方・方法が間違っている
- 自分には合っていない
- バランスを考慮していない
- 声帯の適性や限界を考慮していない
それぞれ掘り下げます。
①練習量が足りない
一つ目は「練習量が足りていない」という可能性。
”どれくらいボイトレすればいいのか”というのは『人による』ので一概にこれだと言い切ることはできません。
しかし、
- 1週間に30分、一ヶ月で合計2時間の練習をしている人
- 毎日30分、一ヶ月で合計15時間の練習をしている人
であれば、後者の方が上達が早くなるのは当然ですね。
②長期的視点を持てていない(成長に時間がかかる)
ボイストレーニングは基本的にすぐに効果が出るようなものではないでしょう。
成長に時間がかかるものであり、筋トレやストレッチなどと同じように少しづつ変化していくもの。
トレーニングのタイプにもよるのですが、半年くらいほとんど成長実感を感じられないものもあるでしょう。
なので成長していないわけではなく『変化に時間がかかるだけ』という場合はある。
そもそも、ボイトレは
- 目に見える変化や痛みがわかりにくいので成長実感を感じにくい
というのがある意味弱点ですね。
例えば、
筋トレなら筋肉が疲労し筋肉痛になることで「達成感」が生まれますし、筋肉がついてくると見た目が変わりますから「成長実感」が得られやすいです。
ところが、ボイトレは”筋肉痛”のようなものはほぼないですし、見た目が変化することもまずないです。
そういう点で成長実感を感じにくいのがボイトレです。
なので、ボイトレは少し長い目で成長を考えなければいけないでしょう。
③やり方・方法が間違っている
たくさんの練習量をこなして、長期的にトレーニングしたにも関わらず上達しない場合は、そのトレーニング自体のやり方や方法を疑うべきかと。
ボイトレにはたくさんの有名なトレーニングがありますが、
- そのトレーニングの形やフォームをしっかりと整えることばかりに集中してしまうことで、目的を捉えたトレーニングになっていないということはよく起こる。
要するに『何のためにするのか』をという目的が抜け落ちて、形だけ整えた抜け殻のようなトレーニングになっているということですね。
例えば、『リップロール』ではこういうことがよく起こるのでその注意喚起をしている動画はよく見かけます↓
目的を意識しない練習は「STOP!」と言っています。
このようにトレーニングは「目的からしっかりと逆算して考えること』が大事ですね。
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ボイトレの意味・目的とその難しさについての研究
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④自分には合っていない
「正しいやり方でやっているはずなのに成果が出ない」という場合は、そもそも自分に合っていない・適していないトレーニングである可能性が考えられます。
いかに有名なトレーニングであろうと、自分に適さないトレーニングというものは存在します。
これは人それぞれ体(喉・声帯)が違うから。
全ての人に万能な効果を生み出すトレーニングは存在しないということですね。
自分に合っていないトレーニングは潔く「捨てる」、もしくは自分に合うように「工夫する・カスタマイズする」といいでしょう。
⑤バランスを考慮していない
ボイトレをするときに大事な考え方だと思うのですが、
- 喉や声帯はバランスよく鍛えることが重要
- バランスを崩すような偏ったトレーニングは逆効果になることもある
ということを頭に入れておくことが重要だろうと考えられます。
例えば、喉や声帯の能力として「能力A」「能力B」「能力C」があるとします。そしてこの3つの総合力で歌声が決まるとします(*あくまで例のお話)。
現状3つの能力は
- 「能力A」60
- 「能力B」60
- 「能力C」60
このように60ずつの能力があるとします。総合力180です。
ここで能力Aだけをひたすら鍛えるとします。
すると、
- 「能力A」60 → 80
- 「能力B」60 → 60
- 「能力C」60 → 60
当然総合力は200になります。
ここまでは全然いいですね。
ところがこのトレーニングだけをひたすら続けると
- 「能力A」60 → 90
- 「能力B」60 → 50
- 「能力C」60 → 50
他の能力とのバランスが崩れて能力B、Cが衰え始めると考えられます。
能力B、Cが衰える理由は能力Aに偏り過ぎてそれに頼るような発声をするようになったから。
これ結局、総合力190になってしまっています。
スポーツで言う「ある筋肉を鍛え過ぎた結果体のバランスが崩れた」みたいなものです。偏ったトレーニングが総合的にいい結果を生み出すかというとそうでもないでしょう。
つまり、ボイトレも喉や声帯という小さな部分を体のようにバランスよく鍛えることが必要だと考えられます。
⑥声帯の適性や限界を考慮していない
これは『人それぞれ持っている声帯が違うので、鍛えられる範囲や方向性もそれぞれ決まっている』ということです。
つまり、
- 上達しないのではなく、その方向性へは上達できない可能性がある
ということ。
特に「音域のタイプ」「声質のタイプ」この二つには基本的には逆らえないでしょう。
なぜならこの二つは声帯の個性だから。
例えば、
- 声がすごく低くて、しっかりとした鳴りを持つ声質のAさん
- 声がすごく高くて、カサカサとしたハスキーボイスの声質を持つBさん
この二人が『声がすごく高くて、カサカサとしたハスキーボイスの声質のシンガーの歌声』を目指したとします。
この場合、Bさんは目標にたどり着くのが早いでしょうし、同じレベルまでたどり着ける可能性が高いということになります。
AさんはBさんよりもはるかに努力してもなかなか目標に近づけないし、最終的に同じレベルまでたどり着くことはできない可能性が高いでしょう。
当然、目標を入れ替えた場合はBさんの方が不利になります。
これが人それぞれの『適正』。
自分の声帯の個性に従おうとする練習は追い風が吹きますが、逆らおうとする練習は向かい風が吹きます。
逆らう道を行っている人はなかなか上達できない可能性が高まるでしょう。
この自分の声帯の「音域のタイプ」と
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『声帯のタイプ』と『魅力的な音域』の関係性について
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をしっかりと考慮してトレーニングしないとボイトレは上手くいかないかもしれません。