今回はサザンオールスターズのボーカル 桑田佳祐さんの歌声について書いていきたいと思います。サザンオールスターズ・桑田佳祐さんと言えば、国民的なミュージシャンとして長い間日本のトップに君臨し続けて多くの名曲を残しています。
なんといっても楽曲の素晴らしさ、唯一無二の歌声は多くの人を魅了しています。心掴まれている方も多いのではないでしょうか。今回はそんなサザンオールスターズのボーカル 桑田佳祐さんの歌声について書いていきたいと思います。
どういう声質・声の出し方か
地声・話し声の音域はやや低めで、しゃがれた声質
地声・話し声の音域はやや低めの音域ですね。やや低めの音域帯の声帯を持っているように感じます。
声質は典型的なしゃがれ声、いわゆるハスキーボイスというものですね。声帯の閉鎖が不完全でガサガサ・カサカサとした倍音が鳴っている声質です。ガサついた声帯の鳴りが息の倍音と共に鳴るので、心地よいハスキー感があります。
このガラッとした声はウォッカでうがいをしたとか色々な努力をされたというような話がありますね。ウォッカでうがいをすればあの声になれるのならやってみたいものですが、果たしてどうでしょうか。
共鳴は咽頭共鳴(下方向への共鳴)寄りな話し声です。
歌声も地声の声質を活かした個性的な声
歌声は主に3種類の歌声を使っています。地声・ミックスボイス・ファルセットの3種類です。
低中音域は地声を使っています。話し声と同様の声質でしゃがれた声質の歌声です。声帯のノイジーな鳴りに息も含まれている声質を使うことが多いですね。また、共鳴は咽頭共鳴(下方向への響き)を深めのとっているので、太い音色になっています。
口の中の空間も深くとっているのも太さのある音色になるのに一役買っているように感じます。音色の作り方は太い音色の作り方で、声質がしゃがれたハスキー感のある声というのが桑田佳祐さんの特徴ですね。
また、ミックスボイスまでの声質変化がほとんどない一本化された声のコントロールも特徴です。
地声
一部ミックスボイス(最後に途切れる部分)ですが、ほとんどが地声のフレーズです。
中高音域はミックスボイスを使っています。声質は地声と変わらないのですが、聞き分けるポイントは声帯の鳴りと閉鎖がやや強くなることと声の共鳴・倍音が強くなることですね。声帯を強く鳴らしてミックスボイスを鳴らしているのですが、ミックスボイスを使うときに喉の空間を広くして良く響く声を作っています。
特に下方向へ強く響かせていますね。地声よりも強い鳴りと共鳴で独特の倍音が鳴っている、そしてそこにザラついた声帯の鳴りもある、桑田佳祐さんだからできるすごい声ですね。
ミックスボイス
高音域はファルセットを使っています。このファルセットもまた桑田佳祐さんの魅力の一つですね。ザラついた倍音やハスキー感がほとんどなくなり、綺麗なファルセットを使いこなします。やや閉鎖感(芯)があるファルセットですが、地声やミックスボイスとは少し違う音色になるのがスパイス的に効いていますね。切り替えも自由自在に切り替えるのがすごいですね。
ファルセット
「ま〜だ〜」の部分です。
どういう歌い方か
子音をしっかりと強調する歌い方
声質の個性が強いのも特徴ですが、歌い方も特徴的ですね。一言で言うと「洋楽的」ですね。日本語の歌詞でも子音をしっかりと強調することで、英語っぽいニュアンスを作り出しています。少々日本語としての言葉のニュアンスが崩れても、子音を立たせて音楽的に美しく聞こえるようにしているのでしょうか。少々大げさに子音を強調させることが桑田佳祐さんの特徴ですね。
ですが、完全に子音言語にしてしまわずに、日本語感も絶妙に出しているバランスがすごいですね。
ビブラートはやや深めにかけるタイプです。ただフレーズによってしっかりとまっすぐに止めたりと表現力豊かな方ですね。
どういう練習をすれば桑田佳祐さんのように歌えるか
桑田佳祐さんのように歌うには多くの音楽的要素が必要です。そのぶん、多くの練習や訓練が必要となります。
しかし、要点やポイントを絞ることで近づく近道になります。
桑田佳祐さんのように歌うポイント
ポイント
鳴りの強いミックスボイスを身につける
しゃがれ声を作る?
下方向への響きを身につける
この二つが重要ですね。では練習方法を書いていきたいと思います。
鳴りの強いミックスボイスを身につける
桑田佳祐さんは声帯の強い支えに強い息の圧力をかけてミックスボイスを鳴らしています。トレーニング方法としては「ネイ」「ヤイ」トレーニングで鳴りの強いミックスボイスを練習したりすることをお勧めします。
また、理屈的にはベルティングボイスの出し方で出している強い鳴りの声なのですが、声質が特徴的すぎてなんとも言えないところです。
しゃがれ声を作る?
基本的には人間は生まれ持った声質を変えられません。しゃがれ声じゃない声質の人がしゃがれ声になるのは難しいでしょう。もちろん真似して似たようなニュアンスを出すことはできます。しかし、仮にそういう声が出せても、もともと持っている声でない場合負荷がかかってしまいますし、魅力的な歌声にはならないでしょう。ハスキーボイスについても同様です。
ただ理屈的にしゃがれ声というのは声帯が綺麗に閉鎖していなかったり、息の圧力に負けて割れているような声です。なので、声帯閉鎖のコントロールと息の圧力のコントロールでしゃがれ声は作ることができます。
声帯閉鎖のコントロール練習はエッジボイスのトレーニングがいいでしょう。
エッジボイスの状態から息の圧力をかけるとシャウト系の発声ができますし、その過程でしゃがれ声は作れますが喉への負担は考慮したほうがいいかもしれませんね。
下方向への響きを身につける
桑田佳祐さんは下方向への響き(咽頭共鳴)が強く、声がよく響きます。マイクの向こう側で共鳴しているのがわかるほどに良くなっていますね。下方向への響きについてのトレーニングはこちら
まとめ
桑田佳祐さんのように歌うポイント
ポイント
鳴りの強いミックスボイスを身につける
しゃがれ声を作る?
下方向への響きを身につける
桑田佳祐さんの歌声の重要なファクターは強いミックスボイスとしゃがれ声ですね。このしゃがれ声はなりたくてなれるもんでもないのが、なかなか難しいところですね。重要なのは綺麗な共鳴で響くしゃがれ声ということです。